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『深淵の森』を左手に見ながら、シロ君の爆速で草原を駆けてくと、何もなかった景色の中に人工物がチラホラ見えてきた。
「あれは‥‥‥‥違う街‥‥‥‥でいいよね?」
『 砦近くの街から約二百キロ。 隣街です 』
─────隣街が二百キロ離れてるとは。
それって隣街でいいんかな、という疑問は置いておいて、これだけ移動しても『深淵の森』とやらの終わりが見えない。
「ひょっとして、この森ってめっちゃデカいんじゃ‥‥‥‥」
『 大陸の中では最大の森です。その全貌を人間はまだ知りえてませんが、○〇ドーム何個分で表示しましょうか?』
「あ、それはいい」
ここは○〇ドーム何個分の広さです!とか表現されても、あれってどんなもんか結局よく分らないもんな。
でも異世界初心者として、初見の街は興味が沸く。
「シロ君、シロ君。あそこ行こ!」
「─────はぁ?水路とやらの出口付近に、行くんじゃないのか」
「ちょっとだけ!ちょっとだけだから」
好奇心よろしく道草を決めようと、シロ君に進路を変えてもらう。
水路の土木工事はもちろん急ぎの案件だが、少しくらい寄り道してもバチは当たらないだろう。
街の入り口で検問所とやらがあったが、長からもらった『身分証』とやらでサクッと問題なく通過できた。
まあ、シロ君という大型犬を連れてはいるが、ほぼ手ぶらの人物と、大荷物を積んだ馬車とでは検分の時間に差が出るのは当然だろう。
─────しかしだ。
「『身分証』の照会が、タッチパネル式って‥‥‥‥」
異世界に来てから、チョイチョイ顔を覗かせる元世界の技術にちょっと引く。
「ここに『身分証』かざしてくださ~い」とどこかの店員のような呼びかけと共に、パネルの様な『石版』とやらが出てきた時は、マジかよ!て声をあげそうになってしまった。
「あれってアレだよな。『大昔の再現不可能な技術』ってヤツよね」
『 あなたも何か開発しますか? 』
「あ、自分は遠慮しまっす」
文字だけなのに、ワクワクすっぞ感を出してきた『ナビ』ちゃんを振り切って、異世界に来てから単独で初めての街に入った。
大昔の再現不可能技術って、一体どれぐらい前の話なんだろうな。
『大昔』っていう割に、自分の元世界とそれほど技術の差異を感じない所をみると、時間軸とやらが違うというやつなのかな。
異世界あるあるなのか、あのピンク頭とはまた違う神とやらの仕業なのか‥‥‥‥。
「‥‥‥‥お前、一人で大丈夫か?」
周りに人がいない所で、シロ君がこそっと話しかけてくる。
「今はいたって普通の格好だし、ちょっと見学するだけだから。一人でも問題ないって」
やだなぁ、シロ君たら心配性なんだから、もう~と手をヒラヒラさせる人物の横で、ホントか?と白陽は半目で見送った。
「─────お、おいっ!」
街の検問所の詰所から、慌てた様子で一人の兵士が飛び出してきた。
「あれ、先輩?もう交代の時間でしたっけ?」
「阿保かまだだよ!それよりお前、要注意人物が見なかったか!?」
「いたっていつも通りですよ。流れの商人と一般人、冒険者しかいませんでしたよ。要注意人物ってなんです?犯罪者とかですか」
「ちげーよっ!『特級』だよ『特級』!今、裏でこの街に入ったって表示が出たんだよ。お前それらしい人物見なかったか!?」
「え~?お貴族様とかなら区別つきますけど、特に変わった人なんていなかったですよ」
「なんだよ、使えないなお前」
「『特級』だと何かあるんですか?」
「いや、特にない。 『特級』の人物なんて見た事ないからな。‥‥‥‥単なる野次馬だ」
「そうですか‥‥‥‥」
そんな会話をしている二人の傍を、「何か美味しいものとかないかな~」とふんふんご機嫌な様子の「要注意人物」は通過していった。
「あれは‥‥‥‥違う街‥‥‥‥でいいよね?」
『 砦近くの街から約二百キロ。 隣街です 』
─────隣街が二百キロ離れてるとは。
それって隣街でいいんかな、という疑問は置いておいて、これだけ移動しても『深淵の森』とやらの終わりが見えない。
「ひょっとして、この森ってめっちゃデカいんじゃ‥‥‥‥」
『 大陸の中では最大の森です。その全貌を人間はまだ知りえてませんが、○〇ドーム何個分で表示しましょうか?』
「あ、それはいい」
ここは○〇ドーム何個分の広さです!とか表現されても、あれってどんなもんか結局よく分らないもんな。
でも異世界初心者として、初見の街は興味が沸く。
「シロ君、シロ君。あそこ行こ!」
「─────はぁ?水路とやらの出口付近に、行くんじゃないのか」
「ちょっとだけ!ちょっとだけだから」
好奇心よろしく道草を決めようと、シロ君に進路を変えてもらう。
水路の土木工事はもちろん急ぎの案件だが、少しくらい寄り道してもバチは当たらないだろう。
街の入り口で検問所とやらがあったが、長からもらった『身分証』とやらでサクッと問題なく通過できた。
まあ、シロ君という大型犬を連れてはいるが、ほぼ手ぶらの人物と、大荷物を積んだ馬車とでは検分の時間に差が出るのは当然だろう。
─────しかしだ。
「『身分証』の照会が、タッチパネル式って‥‥‥‥」
異世界に来てから、チョイチョイ顔を覗かせる元世界の技術にちょっと引く。
「ここに『身分証』かざしてくださ~い」とどこかの店員のような呼びかけと共に、パネルの様な『石版』とやらが出てきた時は、マジかよ!て声をあげそうになってしまった。
「あれってアレだよな。『大昔の再現不可能な技術』ってヤツよね」
『 あなたも何か開発しますか? 』
「あ、自分は遠慮しまっす」
文字だけなのに、ワクワクすっぞ感を出してきた『ナビ』ちゃんを振り切って、異世界に来てから単独で初めての街に入った。
大昔の再現不可能技術って、一体どれぐらい前の話なんだろうな。
『大昔』っていう割に、自分の元世界とそれほど技術の差異を感じない所をみると、時間軸とやらが違うというやつなのかな。
異世界あるあるなのか、あのピンク頭とはまた違う神とやらの仕業なのか‥‥‥‥。
「‥‥‥‥お前、一人で大丈夫か?」
周りに人がいない所で、シロ君がこそっと話しかけてくる。
「今はいたって普通の格好だし、ちょっと見学するだけだから。一人でも問題ないって」
やだなぁ、シロ君たら心配性なんだから、もう~と手をヒラヒラさせる人物の横で、ホントか?と白陽は半目で見送った。
「─────お、おいっ!」
街の検問所の詰所から、慌てた様子で一人の兵士が飛び出してきた。
「あれ、先輩?もう交代の時間でしたっけ?」
「阿保かまだだよ!それよりお前、要注意人物が見なかったか!?」
「いたっていつも通りですよ。流れの商人と一般人、冒険者しかいませんでしたよ。要注意人物ってなんです?犯罪者とかですか」
「ちげーよっ!『特級』だよ『特級』!今、裏でこの街に入ったって表示が出たんだよ。お前それらしい人物見なかったか!?」
「え~?お貴族様とかなら区別つきますけど、特に変わった人なんていなかったですよ」
「なんだよ、使えないなお前」
「『特級』だと何かあるんですか?」
「いや、特にない。 『特級』の人物なんて見た事ないからな。‥‥‥‥単なる野次馬だ」
「そうですか‥‥‥‥」
そんな会話をしている二人の傍を、「何か美味しいものとかないかな~」とふんふんご機嫌な様子の「要注意人物」は通過していった。
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