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本能の中でも
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ロバートは突然リサの前で立ち止まった。
そのまま、クルッと後ろを振り返り、ロジャー少佐の方を睨みつけた。
その頃家の中では、ロジャー少佐の部下が奥の部屋を探っていた。
「まったく… もう一匹はどこへ隠れたんだ?」
棚の上中下、机の下
カーペットの下に隠し扉がないかなど
隅々まで調べた。
そして奥の部屋も調べてみることにした。
部屋といってもそこは人が二人入れるかどうかくらいの
大きさの押し入れだった。
彼が一応中を調べようと、その扉を開けた時であった。
ショットガンを持ったリサの父親がその中から飛び出した。
ロジャー少佐はロバートが自身に敵意を抱いていることに困惑していた。
(ど、どう言うことだ、本能的に動いてるのであればそのままあのキツネをバラバラに噛み殺すはずなのだ! …まさか、本能的にあのキツネを守ろうとしているのか?)
「ならば仕方があるまい、どうやらこの場で仕留める以外の選択肢はない様だな」
そう言ってロジャー少佐は銃を構えた。
その時、家の方から銃声が響いた。
「なっ!?」
予想外の事態にロジャー少佐が怯んだ。
その隙をついてロバートは彼の懐に飛び込み、そのままの勢いで体を押し倒した。
馬乗りになったロバートは、彼が手に持っていた銃をその前足で弾き飛ばした。
「ロバート君! 君はオオカミだ、オオカミの私は君の仲間だろう!」
彼の必死の説得も虚しく、ロバートは容赦なく彼の喉笛を鋭い爪で掻っ切った。
ロバートは立ち上がって、もう起き上がることがないロジャー少佐を見下ろした。
ロバートは本能的に動いた。
本能に従って愛する者を守ろうとしたのだ。
それがたとえキツネ族だったとしても、彼には関係無かった。
愛する者を守ろうとする感情が、種族の壁を超えて彼を動かしたのだ。
ロバートは急いでリサの元へと駆け寄った。
「リサ!」
彼女は弱々しくだがまだ息をしていた。
急いで開いている傷口を強く押さえた。
「間に合ってくれ… 頼む」
しかしそんな彼の願いを嘲笑うかのように、彼女の脈は徐々に弱くなっていく。
「…そんな! 頼む!」
その時、背後から気配を感じたロバートは勢いよく振り返った。
そこにはリサの父親が立っていた。
手には液体が半分ほど入った瓶を持っている。
「それは…!?」
「ロバート、ちょっとどいてくれ」
父親は、瓶の蓋を開けるとその中身をリサに飲ませた。
「これは万能薬で、だいぶ昔に私の嫁が作ってた代物だ。どんな深い傷でも完全に治すことができる…」
みるみるうちに傷が消えていく
そうしているうちにリサが目を覚ました。
「リサ! 目が覚めたか!」
ロバートがリサの体を抱き起こした。
「ロバート… それにお父さん…… 兄さんは? 兄さんはどこへ行ったの?」
リサは父親が持っている瓶に気がついた。
「お母さんが作ってた傷薬…… 私に使ったの?」
「ああ使ったとも……… 良かった、間に合ってくれて… きっと天国の母さんと兄さんも喜んでことだろうよ」
その言葉にリサが反応した。
「…そんな! その薬を使ったんでしょ! 何で兄さんは…!」
「間に合わなかったんだ… この薬の魔法は生命が終わった者には効果がない」
リサはそんなこと聞かずに、父親から瓶を取り上げると
玄関で倒れている兄のリアドの元へ向かった。
しかし玄関に入るなりその場で立ち止まった。
そこには傷だけが癒えたリアドが横たわっていた。
口元は薬で濡れている。
「きっと起きるはずよ!」
「間に合わなかったんだ、もうよすんだリサ」
「でも…! きっと目を覚ますわ! そうよ、絶対そうよ!!」
リサはそう叫んで泣きじゃくった。
父親はそんな彼女を優しく抱きしめた。
そのまま、クルッと後ろを振り返り、ロジャー少佐の方を睨みつけた。
その頃家の中では、ロジャー少佐の部下が奥の部屋を探っていた。
「まったく… もう一匹はどこへ隠れたんだ?」
棚の上中下、机の下
カーペットの下に隠し扉がないかなど
隅々まで調べた。
そして奥の部屋も調べてみることにした。
部屋といってもそこは人が二人入れるかどうかくらいの
大きさの押し入れだった。
彼が一応中を調べようと、その扉を開けた時であった。
ショットガンを持ったリサの父親がその中から飛び出した。
ロジャー少佐はロバートが自身に敵意を抱いていることに困惑していた。
(ど、どう言うことだ、本能的に動いてるのであればそのままあのキツネをバラバラに噛み殺すはずなのだ! …まさか、本能的にあのキツネを守ろうとしているのか?)
「ならば仕方があるまい、どうやらこの場で仕留める以外の選択肢はない様だな」
そう言ってロジャー少佐は銃を構えた。
その時、家の方から銃声が響いた。
「なっ!?」
予想外の事態にロジャー少佐が怯んだ。
その隙をついてロバートは彼の懐に飛び込み、そのままの勢いで体を押し倒した。
馬乗りになったロバートは、彼が手に持っていた銃をその前足で弾き飛ばした。
「ロバート君! 君はオオカミだ、オオカミの私は君の仲間だろう!」
彼の必死の説得も虚しく、ロバートは容赦なく彼の喉笛を鋭い爪で掻っ切った。
ロバートは立ち上がって、もう起き上がることがないロジャー少佐を見下ろした。
ロバートは本能的に動いた。
本能に従って愛する者を守ろうとしたのだ。
それがたとえキツネ族だったとしても、彼には関係無かった。
愛する者を守ろうとする感情が、種族の壁を超えて彼を動かしたのだ。
ロバートは急いでリサの元へと駆け寄った。
「リサ!」
彼女は弱々しくだがまだ息をしていた。
急いで開いている傷口を強く押さえた。
「間に合ってくれ… 頼む」
しかしそんな彼の願いを嘲笑うかのように、彼女の脈は徐々に弱くなっていく。
「…そんな! 頼む!」
その時、背後から気配を感じたロバートは勢いよく振り返った。
そこにはリサの父親が立っていた。
手には液体が半分ほど入った瓶を持っている。
「それは…!?」
「ロバート、ちょっとどいてくれ」
父親は、瓶の蓋を開けるとその中身をリサに飲ませた。
「これは万能薬で、だいぶ昔に私の嫁が作ってた代物だ。どんな深い傷でも完全に治すことができる…」
みるみるうちに傷が消えていく
そうしているうちにリサが目を覚ました。
「リサ! 目が覚めたか!」
ロバートがリサの体を抱き起こした。
「ロバート… それにお父さん…… 兄さんは? 兄さんはどこへ行ったの?」
リサは父親が持っている瓶に気がついた。
「お母さんが作ってた傷薬…… 私に使ったの?」
「ああ使ったとも……… 良かった、間に合ってくれて… きっと天国の母さんと兄さんも喜んでことだろうよ」
その言葉にリサが反応した。
「…そんな! その薬を使ったんでしょ! 何で兄さんは…!」
「間に合わなかったんだ… この薬の魔法は生命が終わった者には効果がない」
リサはそんなこと聞かずに、父親から瓶を取り上げると
玄関で倒れている兄のリアドの元へ向かった。
しかし玄関に入るなりその場で立ち止まった。
そこには傷だけが癒えたリアドが横たわっていた。
口元は薬で濡れている。
「きっと起きるはずよ!」
「間に合わなかったんだ、もうよすんだリサ」
「でも…! きっと目を覚ますわ! そうよ、絶対そうよ!!」
リサはそう叫んで泣きじゃくった。
父親はそんな彼女を優しく抱きしめた。
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