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負け犬
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ルナ帝国は、軍部が主権を獲ってから。
周辺国の各地に侵攻を進めようとしていた。
ヴォルペ共和国が侵攻された際は、あまりの快進撃を繰り広げるルナ帝国軍に怖気付いた周辺国は一切援助しなかった。
しかし、今は違う
ルナ帝国の周辺国は連合を組んで対抗しようとした。
その連合軍は旧ヴォルペ共和国の首相も含まれている。
結果、
ルナ帝国軍は各地で数と兵力で圧倒され、次第に敗走を繰り返す様になる。
ついにルナ帝国の領土である旧ヴォルペ共和国と本国にも連合軍がの魔の手が迫ってきていた。
ヒラリー空軍基地でも、連日の様に無謀に爆撃機が出撃し
未帰還機が続出した。
敵の最新鋭戦闘機軍団と防空能力を前に、技術的遅れを取っている格下の爆撃機しか保有していないルナ帝国軍に、もはや勝ち目は無かった。
ある日、ヒラリー空軍基地には空襲警報が鳴り響いた。
ほぼ夜明けと同時の攻撃であった。
ロバートたち非戦闘員は急いで防空壕へ退避した。
戦闘機パイロットたちが必死に離陸しようと躍起になっている。
プロペラ戦闘機で構成された迎撃部隊が先に出発し、その後を追う様に
ジェット特有の独特な音を響かせながら、次々と最新鋭戦闘機が飛び立った。
それからしばらく後、
爆弾が空から降り注いだ。
滑走路や格納庫といった空港施設はもちろん、さらには周辺の街も破壊された。
爆撃機が飛び去ってしまうと、全員が消火作業に必死だった。
格納庫は焼け落ち、燃料貯蔵タンクは大炎上していた。
たった1日にして、ヒラリー空軍基地は壊滅的被害を負った。
軍はこの基地を使用不能と判断し、戦闘飛行部隊は別の飛行場で運用されることになり、ロバートたち非戦闘員は本国へ帰還することとなった。
もちろん一般市民もことの重大さに気づいていて、次々と本国へ逃れようとした。
ロバートは最後の日もリサ達に食料を渡した。
「もう会えないの!?」
「ああ、基地が破壊されて運用不能と判断されたんだ、だから本国に帰ることになったんだ」
「行かないで! お願いよ!」
「ごめんな、でも行かなきゃらないんだ」
ロバートはそう言って、少し大きな長方形の箱を取り出した。
「せめてこれだけでも受け取っておいて欲しい」
「…っ!」
「絶対、生きて帰ってくる。それまで待っててくれ」
ロバートはそう言って、その大き目の箱を押し付ける様に渡すと走り出した。
「ロバート、ちょっと!」
あっという間に、彼は行ってしまった。
彼女は家の中に入ると、渡された少し大きな箱を机に置いた。
箱を開くと、中からはロバートがパイロット時代に着ていたパイロットスーツが入っていた。
それを丁寧に広げると、ポケットの部分が膨らんでいることに気が付いた。
そっとポケットの中を探ると、小箱に手が触れた。
それを取り出して開いてみると、中には小さく折り畳まれた紙と、指輪が入っていた。
『親愛なるリサへ、また会う日までどうか僕のことを忘れないで。 ロバート』
それを読んで、堪えてた熱いものが頬を伝って流れた。
ロバートはバイクに跨り、撤退中の空軍基地へと戻った。
半分原型をとどめているゲートの近くに、約束通りアルトが立っていた。
「アルト、銃手を頼むぞ」
「ええ、任しといてください」
アルトはそう言ってサイドカーへ乗り込んだ。
バイクを飛ばして国境まで急いだ。
「こうやって走るとなかなか遠いな、なあアルト」
「ええ、バスで4時間くらいなので同じくらいかかるでしょう… 幸い昼に出発できたので夕方までには到着できるでしょう」
「そういえば君はパイロットじゃ無かったのか?」
「ええ、そうですけど僕も本国から呼び戻されたんですよ」
「つまり本土最終決戦用のパイロットってことか…」
バイクはただひたすらにルナ帝国を目指して走った。
他にもルナ帝国を目指して帰ろうとしているオオカミ族の徒歩集団ややバスなどと途中で何度もすれ違った。
森の中の薄暗い道を抜けて、平野に出た。
辺りには畑が広がっている。
突如、上空から戦闘機が急降下し、機銃掃射が二人に襲いかかった。
運良く弾は外れたものの、その戦闘機は上空で旋回し、再攻撃を仕掛けようと準備している。
「アルト! もう一回来るぞ!」
「ああ、分かってますよ!」
戦闘機は狭い農道を疾走するバイクの真後ろから、再度攻撃を仕掛けようと接近してきた。
アルトはサイドカー正面に取り付けてある旋回機銃を向かってくる戦闘機に向けて連射した。
数発が戦闘機に命中して、戦闘機が真後ろにいるにも関わらず機銃掃射が止んだ。
「相手の弾切れか?」
ロバートはバイクを止めた。
敵戦闘機は翼からは燃料を、エンジンから黒煙を吹きながら徐々に高度を落として、ロバート達を追い越してフラフラと飛んで行った。
そして数百メートル先に墜落し、火柱と黒煙が上がった。
「偶然弾がパイロットに当たったのでしょうか?」
「そうかもな、まあ運が良かったってことだ」
バイクはそのままルナ帝国を目指して走り続けた。
周辺国の各地に侵攻を進めようとしていた。
ヴォルペ共和国が侵攻された際は、あまりの快進撃を繰り広げるルナ帝国軍に怖気付いた周辺国は一切援助しなかった。
しかし、今は違う
ルナ帝国の周辺国は連合を組んで対抗しようとした。
その連合軍は旧ヴォルペ共和国の首相も含まれている。
結果、
ルナ帝国軍は各地で数と兵力で圧倒され、次第に敗走を繰り返す様になる。
ついにルナ帝国の領土である旧ヴォルペ共和国と本国にも連合軍がの魔の手が迫ってきていた。
ヒラリー空軍基地でも、連日の様に無謀に爆撃機が出撃し
未帰還機が続出した。
敵の最新鋭戦闘機軍団と防空能力を前に、技術的遅れを取っている格下の爆撃機しか保有していないルナ帝国軍に、もはや勝ち目は無かった。
ある日、ヒラリー空軍基地には空襲警報が鳴り響いた。
ほぼ夜明けと同時の攻撃であった。
ロバートたち非戦闘員は急いで防空壕へ退避した。
戦闘機パイロットたちが必死に離陸しようと躍起になっている。
プロペラ戦闘機で構成された迎撃部隊が先に出発し、その後を追う様に
ジェット特有の独特な音を響かせながら、次々と最新鋭戦闘機が飛び立った。
それからしばらく後、
爆弾が空から降り注いだ。
滑走路や格納庫といった空港施設はもちろん、さらには周辺の街も破壊された。
爆撃機が飛び去ってしまうと、全員が消火作業に必死だった。
格納庫は焼け落ち、燃料貯蔵タンクは大炎上していた。
たった1日にして、ヒラリー空軍基地は壊滅的被害を負った。
軍はこの基地を使用不能と判断し、戦闘飛行部隊は別の飛行場で運用されることになり、ロバートたち非戦闘員は本国へ帰還することとなった。
もちろん一般市民もことの重大さに気づいていて、次々と本国へ逃れようとした。
ロバートは最後の日もリサ達に食料を渡した。
「もう会えないの!?」
「ああ、基地が破壊されて運用不能と判断されたんだ、だから本国に帰ることになったんだ」
「行かないで! お願いよ!」
「ごめんな、でも行かなきゃらないんだ」
ロバートはそう言って、少し大きな長方形の箱を取り出した。
「せめてこれだけでも受け取っておいて欲しい」
「…っ!」
「絶対、生きて帰ってくる。それまで待っててくれ」
ロバートはそう言って、その大き目の箱を押し付ける様に渡すと走り出した。
「ロバート、ちょっと!」
あっという間に、彼は行ってしまった。
彼女は家の中に入ると、渡された少し大きな箱を机に置いた。
箱を開くと、中からはロバートがパイロット時代に着ていたパイロットスーツが入っていた。
それを丁寧に広げると、ポケットの部分が膨らんでいることに気が付いた。
そっとポケットの中を探ると、小箱に手が触れた。
それを取り出して開いてみると、中には小さく折り畳まれた紙と、指輪が入っていた。
『親愛なるリサへ、また会う日までどうか僕のことを忘れないで。 ロバート』
それを読んで、堪えてた熱いものが頬を伝って流れた。
ロバートはバイクに跨り、撤退中の空軍基地へと戻った。
半分原型をとどめているゲートの近くに、約束通りアルトが立っていた。
「アルト、銃手を頼むぞ」
「ええ、任しといてください」
アルトはそう言ってサイドカーへ乗り込んだ。
バイクを飛ばして国境まで急いだ。
「こうやって走るとなかなか遠いな、なあアルト」
「ええ、バスで4時間くらいなので同じくらいかかるでしょう… 幸い昼に出発できたので夕方までには到着できるでしょう」
「そういえば君はパイロットじゃ無かったのか?」
「ええ、そうですけど僕も本国から呼び戻されたんですよ」
「つまり本土最終決戦用のパイロットってことか…」
バイクはただひたすらにルナ帝国を目指して走った。
他にもルナ帝国を目指して帰ろうとしているオオカミ族の徒歩集団ややバスなどと途中で何度もすれ違った。
森の中の薄暗い道を抜けて、平野に出た。
辺りには畑が広がっている。
突如、上空から戦闘機が急降下し、機銃掃射が二人に襲いかかった。
運良く弾は外れたものの、その戦闘機は上空で旋回し、再攻撃を仕掛けようと準備している。
「アルト! もう一回来るぞ!」
「ああ、分かってますよ!」
戦闘機は狭い農道を疾走するバイクの真後ろから、再度攻撃を仕掛けようと接近してきた。
アルトはサイドカー正面に取り付けてある旋回機銃を向かってくる戦闘機に向けて連射した。
数発が戦闘機に命中して、戦闘機が真後ろにいるにも関わらず機銃掃射が止んだ。
「相手の弾切れか?」
ロバートはバイクを止めた。
敵戦闘機は翼からは燃料を、エンジンから黒煙を吹きながら徐々に高度を落として、ロバート達を追い越してフラフラと飛んで行った。
そして数百メートル先に墜落し、火柱と黒煙が上がった。
「偶然弾がパイロットに当たったのでしょうか?」
「そうかもな、まあ運が良かったってことだ」
バイクはそのままルナ帝国を目指して走り続けた。
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