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第2章 日常となる日々の中で
第2章 第2話 ご褒美タイム
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『この世界は愛の女神ミィフィルディアが「生きる喜び」を万物を通して甘受するために創られた。』
『この愛の女神ミィフィルディアは生命の源たる魔素を生むため世界樹を育んだ。』
『世界樹は女神の愛を糧にし、魔素を放ち続け、大地に根を張り巡らせた。魔素は生命の起源となり、世界は豊かに実った。』
『女神は天に還り、女神に連なる者たちが祈りを捧げ、世界樹に糧を捧げ続けている。』
まだうろ覚えな所作を繰り返しながら、ここ数日で読まされた経典の内容も頭に染み込ませるように繰り返し思い出す。
私が腕や足が空気を揺らすように動くと、魔素と呼ばれる淡い光の粒も舞うように、集まったり離れたりと不規則に動き回る。
舞を始めると歩く時以上に、魔素が絡みつくようで…いや、しがみついてくるような重さにうんざりしてくる。
身体中の筋肉にみちみちと細かい切り傷ができてきてる気がする…筋肉痛だよねぇ。
ーーもう、2時間近く練習してるんだよぉ
今度こそはと、わざと情けない表情を作ってミレイ様に視線を送る。
「お上手ですわよ。先ほどよりも動きが滑らかですもの。型も覚えてこられましたわねえ。」
けれど女神は褒めてはくれるけど、休ませてはくれない。
ーーいやあ…気付いてるでしょう。私がやすみたいのぉ。
義兄さんを見ると、私の視線に気づいても、まるで見えない糸を操るように淡々と手を動かしていて――
「魔素は今落ち着かせているから、気にするな」と自信あり気に頷かれる。
さっきから、こんなやりとり3回くらいやってるんだよ。
ーーこれはもう異世界系ラノベから青春系ラノベになっちゃってるの?
舞うと空気中の魔素が動き回るだけでなく、全身の細胞が粟立って開き出すような感覚がして、私自身から、生命力かと言えるような光が溢れ出してくる。
その光が放たれる度に、ごっそりと私の体力が奪われていく。
右手の神楽鈴を持つ指が痺れて、足先に床の固さを捉えきれなくなった頃、
ようやくミレイ様から「おやめくださいませ」の声がかかった。
ーー悔しいけど女神ミレイ様はいつも私の体力のギリギリを見誤らない…
ぐったりと両手をついて、荒い呼吸を繰り返してると、わずかに密度の薄い清涼な風が頬を撫で、火照った身体の内側をゆっくりと冷ましていく。
風の流れてくる先を見ると…
また義兄が魔素をコントロールして風を起こしてる。
器用に右手で魔素を操りながら、左手では冷たい水を差し出してきた。
ーー悔しいけど、こっちは『ただの過保護』が『気遣いの神に』なってるし…。どこのマネージャー?
私がようやく姿勢を戻して、しっかりと座り直せた頃、義兄さんは誰かに呼ばれて訓練場を出て行った。
不意に…ミレイ様と2人きりになった。
その瞬間、し…ん…と緊張を仄かに含んだ静けさが床に落ちる。
「リィナ様、こちらへどうぞ」
魅惑的な蜜を含んだ誘いに、静けさをそろそろと払いのけて進む。
そして、私は…
ーーミレイ様の膝に顔を埋めた。
「ふああああ、今日もふわふわですぅぅ」
人をダメにするソファは知ってるけど、
これはもう、人を堕とすマシュマロボディ。
――マシュマロ膝枕。離れたくない…至福…癒し…やっぱり、女神…
はあ…と疲れを吐き出しながら、ふわふわに顔を沈めていく。
「もう本当に、お可愛らしい方。本日の練習も大変よろしかったですわよ」
そんな私を、ミレイ様は私の頭を優しく撫でて、小さな子供をあやすように褒めてくれる。
私はギシギシと細かな痛みに悲鳴をあげる筋肉を感じながら、頭の中はただぼんやりとしていた。
ミレイ様の哀しげな声が聞こえてくる。
「私達は魔素を取り込んでエネルギーに変えることができますけれど、自ら魔素を生み出し放てるのは――巫女様だけなのですわ。…ご苦労をおかけして、申し訳ございません」
ーー……うん、それ、授業で習った。
正確に言えば、私が放つそれは魔素とは違うものらしいけど。
それでも、それが世界樹の糧になるって。
『女神に連なる一族』
『女神は愛でこの世界を創った』
頭の中を経典の一節が過ぎる。
ミレイ様の手と膝に蕩けながらも、みぞおちのあたりにだけ、ずくずくと固さが残るのが分かる。
ーー私にできるのかな――そんな「祈り」なんて。
大切なものとか、愛とか。
……よく、分からない。
自分の気持ちだって曖昧にしているのに。
そんな私が、祈る資格なんて、巫女だなんて、それでいいんだろうか?
床に置かれた神楽鈴に、影が一筋、静かに落ちた。
『この愛の女神ミィフィルディアは生命の源たる魔素を生むため世界樹を育んだ。』
『世界樹は女神の愛を糧にし、魔素を放ち続け、大地に根を張り巡らせた。魔素は生命の起源となり、世界は豊かに実った。』
『女神は天に還り、女神に連なる者たちが祈りを捧げ、世界樹に糧を捧げ続けている。』
まだうろ覚えな所作を繰り返しながら、ここ数日で読まされた経典の内容も頭に染み込ませるように繰り返し思い出す。
私が腕や足が空気を揺らすように動くと、魔素と呼ばれる淡い光の粒も舞うように、集まったり離れたりと不規則に動き回る。
舞を始めると歩く時以上に、魔素が絡みつくようで…いや、しがみついてくるような重さにうんざりしてくる。
身体中の筋肉にみちみちと細かい切り傷ができてきてる気がする…筋肉痛だよねぇ。
ーーもう、2時間近く練習してるんだよぉ
今度こそはと、わざと情けない表情を作ってミレイ様に視線を送る。
「お上手ですわよ。先ほどよりも動きが滑らかですもの。型も覚えてこられましたわねえ。」
けれど女神は褒めてはくれるけど、休ませてはくれない。
ーーいやあ…気付いてるでしょう。私がやすみたいのぉ。
義兄さんを見ると、私の視線に気づいても、まるで見えない糸を操るように淡々と手を動かしていて――
「魔素は今落ち着かせているから、気にするな」と自信あり気に頷かれる。
さっきから、こんなやりとり3回くらいやってるんだよ。
ーーこれはもう異世界系ラノベから青春系ラノベになっちゃってるの?
舞うと空気中の魔素が動き回るだけでなく、全身の細胞が粟立って開き出すような感覚がして、私自身から、生命力かと言えるような光が溢れ出してくる。
その光が放たれる度に、ごっそりと私の体力が奪われていく。
右手の神楽鈴を持つ指が痺れて、足先に床の固さを捉えきれなくなった頃、
ようやくミレイ様から「おやめくださいませ」の声がかかった。
ーー悔しいけど女神ミレイ様はいつも私の体力のギリギリを見誤らない…
ぐったりと両手をついて、荒い呼吸を繰り返してると、わずかに密度の薄い清涼な風が頬を撫で、火照った身体の内側をゆっくりと冷ましていく。
風の流れてくる先を見ると…
また義兄が魔素をコントロールして風を起こしてる。
器用に右手で魔素を操りながら、左手では冷たい水を差し出してきた。
ーー悔しいけど、こっちは『ただの過保護』が『気遣いの神に』なってるし…。どこのマネージャー?
私がようやく姿勢を戻して、しっかりと座り直せた頃、義兄さんは誰かに呼ばれて訓練場を出て行った。
不意に…ミレイ様と2人きりになった。
その瞬間、し…ん…と緊張を仄かに含んだ静けさが床に落ちる。
「リィナ様、こちらへどうぞ」
魅惑的な蜜を含んだ誘いに、静けさをそろそろと払いのけて進む。
そして、私は…
ーーミレイ様の膝に顔を埋めた。
「ふああああ、今日もふわふわですぅぅ」
人をダメにするソファは知ってるけど、
これはもう、人を堕とすマシュマロボディ。
――マシュマロ膝枕。離れたくない…至福…癒し…やっぱり、女神…
はあ…と疲れを吐き出しながら、ふわふわに顔を沈めていく。
「もう本当に、お可愛らしい方。本日の練習も大変よろしかったですわよ」
そんな私を、ミレイ様は私の頭を優しく撫でて、小さな子供をあやすように褒めてくれる。
私はギシギシと細かな痛みに悲鳴をあげる筋肉を感じながら、頭の中はただぼんやりとしていた。
ミレイ様の哀しげな声が聞こえてくる。
「私達は魔素を取り込んでエネルギーに変えることができますけれど、自ら魔素を生み出し放てるのは――巫女様だけなのですわ。…ご苦労をおかけして、申し訳ございません」
ーー……うん、それ、授業で習った。
正確に言えば、私が放つそれは魔素とは違うものらしいけど。
それでも、それが世界樹の糧になるって。
『女神に連なる一族』
『女神は愛でこの世界を創った』
頭の中を経典の一節が過ぎる。
ミレイ様の手と膝に蕩けながらも、みぞおちのあたりにだけ、ずくずくと固さが残るのが分かる。
ーー私にできるのかな――そんな「祈り」なんて。
大切なものとか、愛とか。
……よく、分からない。
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そんな私が、祈る資格なんて、巫女だなんて、それでいいんだろうか?
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