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第2章 日常となる日々の中で
第2章 第7話 小さな嫉妬
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魔獣の討伐について聞いた次の日から、何故か毎日レポートが置かれるようになった。
私と離れてる時の義兄さんの行動について、だ。
朝ベッドから身を起こして、テーブルを見るとまずその白い紙の束が目に入る。
すぐに読んでくれと主張しているようで、仕方なしに、起き抜けでそれを読むのが習慣になった。
ーー義兄さん、昨日は何してたの?
特に他愛もない内容で、もちろん討伐のことも書いてはあるんだけど…それよりも義兄さんのことが知れるのは嬉しい。
ーー誰がこんなことしてるのかな…?
欠伸を噛み殺しながら考える。
どうせ義兄さんに聞いても教えてくれない。
ーー義兄さんが心配して?それとも『巫女様』を安心させたい誰か?
ふわついた嬉しさが醒めて、かさりとした紙の手触りに心も乾く。
ーー皆いい人たちばっかりじゃない。なんかこんな疑うみたいなの…ダメダメ。あたしのこと心配してくれてるんだよ。きっとね。
こんな些細な考えから、自分がまだまだ小さな緊張を引き摺って過ごしていることを自覚する。
気を抜いてしまうと義兄への信頼が、不安を餌に依存に変わりそうで…自分が怖い。
ーーちゃんとしなくちゃ…ただでさえ迷惑かけてるんだから。
顔を洗うために、私は立ち上がった。
朝一番に感じたモヤつきを引き摺って、私は訓練を終えて王宮に向かっている。
魔素の重みにも慣れてしまって、今は転ぶこともなくなった。
すれ違う王宮の人達と挨拶を交わしながらも、「皆は私のことどう思ってるんだろう?」
そんな疑問が過って、焦燥に溺れそうになる。
ーーダメだなあ、私。なんか疑心暗鬼になってるわ…誰か正直に教えてくれないかなあ
義兄さん以外を信じられない…そんな風になってしまうのは嫌だった。義兄さんのためにも、きっと、私のためにも。
溜息をこぼしながらも訓練場を目指す。白い蝶が目の前を横切るのを目で追うと、茶色のモジャモジャが視界に映る。
ーー今日の朝の当番はクロードさんか…そうか…この人に聞けばいいのか。
「あの…クロードさん、ちょっと教えてほしいんですけど」
「はいっす」
躊躇いがちに声をかければ、クロードさんは私を見てくれた。
その間際にちらっと鋭く、周囲を警戒するように視線を動かしている。
ーーやっぱり…この人、チャラく見えるけど凄いのかも…
「あの…なんか最近、朝になると義兄さんの行動記録みたいなやつがあって…何ていうか…その…怖いって言うか…気持ち悪いって言うか…」
私の言葉に、クロードさんはちょっと驚いたように肩を竦めて、
「あっれぇ…なんすかね、こっちの報告書が間違っちゃって行ってたんすかねぇ……」
と声を上擦らせながら、また焦ったように言葉を滑らせる。
ーーその明らかに何か隠してますって言う態度…どうなのかな?
またジト目になってしまうのは仕方ないと思う。
「あ、そういや!今!ここの、近くで打ち合いの訓練してるんっすよ、行きましょう、行きましょう!隊長にも確認してみましょう」
クロードさんは私と視線も合わせずに、つらつらと言い訳をするように話しながら、先導するように歩き出す。
ーー義兄さんに丸投げするつもり…?クロードさんがいれば、義兄さんも何か言ってくれる、かな?
どんどん足早になるクロードさんに遅れないようについてくのがやっとで、嫌ともいいとも言えなかった。
魔素がまた足に絡みついて、縺れそうになる。
クロードさんの頭上ではあわあわとオレンジの光も忙しなく飛び回っていた。
「ほらほら、あそこあそこ。」
王宮の一角。ぐるりと高い壁に囲まれながら、入り口のところだけ切れて中が見える。
ーーグラウンドみたい…人もいっぱい…
クロードさんが指差した先には…他の騎士の人達に混ざって、たしかに義兄さんがいた。
義兄さんの姿を見つけて、ホッとしたのも束の間。義兄さんが誰の背後に立って、抱きかかえるようにしているのが…分かった。義兄さんの腕の中で銀髪がチラチラと揺れているのが見えた。
ーーあれは…シエナさん?
もっとよく見ると、シエナさんの腕を義兄さんが後ろから掴んで、一緒に剣を振るっている。
ーー剣の指導してるんだ…そうだ…訓練…だよね。
それにしても…
ーーとても、近い…よね。
胸が何かに貫かれたように衝撃が走り、思わず足が竦む。
みぞおちが重くて…何かに掴まれたみたい。
それでも離れたりくっついたりを繰り返し、剣を振るったり、何かを目囁き合う様子から目が離せない。
どんどん口の中がカラカラになっていくのを防ごうとして、何か喋ろうとして今度は私が焦ってしまう。
「あ、な、何かお似合いですね。あの2人。」
やっと絞り出した言葉がこれで…なんとも情けなくなった。
ーーなんでこんなことしか言えないんだろう。妬いてるみたいじゃない。ただの義妹のくせに。
そのまま俯いて、これ以上何も言えずに俯いてしまう。
「え?あ??いやあ??え??えーー??」
私の情けない言葉に、義兄さん達と私をキョロキョロと見比べて、慌て出したのはクロードさんだった。
「いや、あれはですね!あれはですよ?いいですか?落ち着いてください。
落ち着いてくださいね、巫女様。
ねえ!……えーと、えーと?
…いや…ちょっと待って、いや、落ち着けええ!俺。」
「隊長の剣の型はですね、ちょっと独特なもんですからね、俺達と違うんですよ」
こうっこうっなんですと身振りを交えて必死に取り繕うクロードさんの姿にどんどん笑いがこみ上げてくる。
「こうっですね、こんな感じで、違いましてね…シエナ副隊長はですね…その違いに興味があって…うわっっっ」
焦りすぎた上にオーバーリアクションが過ぎて、クロードさんは後ろに倒れ込んで尻もちをついてしまった。
いかにも「失敗した!俺!」という表情がもうたまらなくツボってしまった。
自分よりも混乱した人を見ると、不思議と気持ちも落ち着いてくる。
「ははははは」
突然笑い出した私を見て、クロードさんは一瞬虚を突かれた表情になったけれど、すぐにまたへらりと笑い返してくれた。
ーーあれ?こんな笑ったの…ここに来て初めて?
「そんなに焦らなくても。私達は…ただの兄妹なんですから。」
苦笑いを浮かべながら、クロードさんに手を貸そうとして右手を伸ばした。
その瞬間、何か凍りつくような気配に背筋を撫でられて…ゾワリと悪寒が全身に走った。
「リィナ。」
馴染みある低い声が冷気のように鼓膜から入り込む。
伸ばした右手首に青くて黒い靄のような光が纏わりつくようにくるりとまわって消える。
…義兄さんが、すぐ後ろまで来ていた。
その周囲に一瞬だけ青黒い靄がちらついたように見えた。
ーー怒ってる…?
いえ、そんな単純な感じでもない。暗い夜道を葉音に怯えて歩くような…不気味さを義兄さんから感じた。
また喉が乾いて、何を言っていいのか…音が出ない。
「巫女様!お疲れ様です」
義兄の後ろから、シエナさんが現れた。
額から流れる汗が、銀色の前髪を伝っていて、動くと艶を帯びて見える。
私の意思に関係なくほんの少し唇の端がピクリと動く。
「隊長の動きは本当に素晴らしく、とても勉強になります。」
真っ直ぐに姿勢を正して、こちらに見て話すシエナさんは、精悍で格好良くて…大人の女性って感じで…やっぱり…お似合いだと…思ってしまう。
ーーちんちくりんで迷惑ばっかりかけてる私とは大違い…だ、ね。
自然と目線が下がり「はい…」と返すのがやっとだ。
「クロード!試したいことがあるから、ついて来い。」
シエナさんは尻もちをついて固まったままのクロードさんの腕を引っ張りあげて、疾風のようにまた向こうに戻っていった。
「リィナ…終わったなら…ちょっと来い」
義兄さんが私の手を掴んで、指を繋ぎ直して歩き始める。
また、青黒い靄が2人の手の周りをくるりとまわって霧散した。
私と離れてる時の義兄さんの行動について、だ。
朝ベッドから身を起こして、テーブルを見るとまずその白い紙の束が目に入る。
すぐに読んでくれと主張しているようで、仕方なしに、起き抜けでそれを読むのが習慣になった。
ーー義兄さん、昨日は何してたの?
特に他愛もない内容で、もちろん討伐のことも書いてはあるんだけど…それよりも義兄さんのことが知れるのは嬉しい。
ーー誰がこんなことしてるのかな…?
欠伸を噛み殺しながら考える。
どうせ義兄さんに聞いても教えてくれない。
ーー義兄さんが心配して?それとも『巫女様』を安心させたい誰か?
ふわついた嬉しさが醒めて、かさりとした紙の手触りに心も乾く。
ーー皆いい人たちばっかりじゃない。なんかこんな疑うみたいなの…ダメダメ。あたしのこと心配してくれてるんだよ。きっとね。
こんな些細な考えから、自分がまだまだ小さな緊張を引き摺って過ごしていることを自覚する。
気を抜いてしまうと義兄への信頼が、不安を餌に依存に変わりそうで…自分が怖い。
ーーちゃんとしなくちゃ…ただでさえ迷惑かけてるんだから。
顔を洗うために、私は立ち上がった。
朝一番に感じたモヤつきを引き摺って、私は訓練を終えて王宮に向かっている。
魔素の重みにも慣れてしまって、今は転ぶこともなくなった。
すれ違う王宮の人達と挨拶を交わしながらも、「皆は私のことどう思ってるんだろう?」
そんな疑問が過って、焦燥に溺れそうになる。
ーーダメだなあ、私。なんか疑心暗鬼になってるわ…誰か正直に教えてくれないかなあ
義兄さん以外を信じられない…そんな風になってしまうのは嫌だった。義兄さんのためにも、きっと、私のためにも。
溜息をこぼしながらも訓練場を目指す。白い蝶が目の前を横切るのを目で追うと、茶色のモジャモジャが視界に映る。
ーー今日の朝の当番はクロードさんか…そうか…この人に聞けばいいのか。
「あの…クロードさん、ちょっと教えてほしいんですけど」
「はいっす」
躊躇いがちに声をかければ、クロードさんは私を見てくれた。
その間際にちらっと鋭く、周囲を警戒するように視線を動かしている。
ーーやっぱり…この人、チャラく見えるけど凄いのかも…
「あの…なんか最近、朝になると義兄さんの行動記録みたいなやつがあって…何ていうか…その…怖いって言うか…気持ち悪いって言うか…」
私の言葉に、クロードさんはちょっと驚いたように肩を竦めて、
「あっれぇ…なんすかね、こっちの報告書が間違っちゃって行ってたんすかねぇ……」
と声を上擦らせながら、また焦ったように言葉を滑らせる。
ーーその明らかに何か隠してますって言う態度…どうなのかな?
またジト目になってしまうのは仕方ないと思う。
「あ、そういや!今!ここの、近くで打ち合いの訓練してるんっすよ、行きましょう、行きましょう!隊長にも確認してみましょう」
クロードさんは私と視線も合わせずに、つらつらと言い訳をするように話しながら、先導するように歩き出す。
ーー義兄さんに丸投げするつもり…?クロードさんがいれば、義兄さんも何か言ってくれる、かな?
どんどん足早になるクロードさんに遅れないようについてくのがやっとで、嫌ともいいとも言えなかった。
魔素がまた足に絡みついて、縺れそうになる。
クロードさんの頭上ではあわあわとオレンジの光も忙しなく飛び回っていた。
「ほらほら、あそこあそこ。」
王宮の一角。ぐるりと高い壁に囲まれながら、入り口のところだけ切れて中が見える。
ーーグラウンドみたい…人もいっぱい…
クロードさんが指差した先には…他の騎士の人達に混ざって、たしかに義兄さんがいた。
義兄さんの姿を見つけて、ホッとしたのも束の間。義兄さんが誰の背後に立って、抱きかかえるようにしているのが…分かった。義兄さんの腕の中で銀髪がチラチラと揺れているのが見えた。
ーーあれは…シエナさん?
もっとよく見ると、シエナさんの腕を義兄さんが後ろから掴んで、一緒に剣を振るっている。
ーー剣の指導してるんだ…そうだ…訓練…だよね。
それにしても…
ーーとても、近い…よね。
胸が何かに貫かれたように衝撃が走り、思わず足が竦む。
みぞおちが重くて…何かに掴まれたみたい。
それでも離れたりくっついたりを繰り返し、剣を振るったり、何かを目囁き合う様子から目が離せない。
どんどん口の中がカラカラになっていくのを防ごうとして、何か喋ろうとして今度は私が焦ってしまう。
「あ、な、何かお似合いですね。あの2人。」
やっと絞り出した言葉がこれで…なんとも情けなくなった。
ーーなんでこんなことしか言えないんだろう。妬いてるみたいじゃない。ただの義妹のくせに。
そのまま俯いて、これ以上何も言えずに俯いてしまう。
「え?あ??いやあ??え??えーー??」
私の情けない言葉に、義兄さん達と私をキョロキョロと見比べて、慌て出したのはクロードさんだった。
「いや、あれはですね!あれはですよ?いいですか?落ち着いてください。
落ち着いてくださいね、巫女様。
ねえ!……えーと、えーと?
…いや…ちょっと待って、いや、落ち着けええ!俺。」
「隊長の剣の型はですね、ちょっと独特なもんですからね、俺達と違うんですよ」
こうっこうっなんですと身振りを交えて必死に取り繕うクロードさんの姿にどんどん笑いがこみ上げてくる。
「こうっですね、こんな感じで、違いましてね…シエナ副隊長はですね…その違いに興味があって…うわっっっ」
焦りすぎた上にオーバーリアクションが過ぎて、クロードさんは後ろに倒れ込んで尻もちをついてしまった。
いかにも「失敗した!俺!」という表情がもうたまらなくツボってしまった。
自分よりも混乱した人を見ると、不思議と気持ちも落ち着いてくる。
「ははははは」
突然笑い出した私を見て、クロードさんは一瞬虚を突かれた表情になったけれど、すぐにまたへらりと笑い返してくれた。
ーーあれ?こんな笑ったの…ここに来て初めて?
「そんなに焦らなくても。私達は…ただの兄妹なんですから。」
苦笑いを浮かべながら、クロードさんに手を貸そうとして右手を伸ばした。
その瞬間、何か凍りつくような気配に背筋を撫でられて…ゾワリと悪寒が全身に走った。
「リィナ。」
馴染みある低い声が冷気のように鼓膜から入り込む。
伸ばした右手首に青くて黒い靄のような光が纏わりつくようにくるりとまわって消える。
…義兄さんが、すぐ後ろまで来ていた。
その周囲に一瞬だけ青黒い靄がちらついたように見えた。
ーー怒ってる…?
いえ、そんな単純な感じでもない。暗い夜道を葉音に怯えて歩くような…不気味さを義兄さんから感じた。
また喉が乾いて、何を言っていいのか…音が出ない。
「巫女様!お疲れ様です」
義兄の後ろから、シエナさんが現れた。
額から流れる汗が、銀色の前髪を伝っていて、動くと艶を帯びて見える。
私の意思に関係なくほんの少し唇の端がピクリと動く。
「隊長の動きは本当に素晴らしく、とても勉強になります。」
真っ直ぐに姿勢を正して、こちらに見て話すシエナさんは、精悍で格好良くて…大人の女性って感じで…やっぱり…お似合いだと…思ってしまう。
ーーちんちくりんで迷惑ばっかりかけてる私とは大違い…だ、ね。
自然と目線が下がり「はい…」と返すのがやっとだ。
「クロード!試したいことがあるから、ついて来い。」
シエナさんは尻もちをついて固まったままのクロードさんの腕を引っ張りあげて、疾風のようにまた向こうに戻っていった。
「リィナ…終わったなら…ちょっと来い」
義兄さんが私の手を掴んで、指を繋ぎ直して歩き始める。
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