世界は、君を愛したくて創られた

六紫

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第2章 日常となる日々の中で

ミレイ様の華麗なる1日ー誰も知らない女神の素顔ー

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朝。

 ピンクブロンドの髪が朝陽に透ける。

 肌にはうっすらと香油が香り、ほんのわずかに目を伏せた横顔に、神々しい静寂が宿る。

『セリアス国王太子付筆頭補佐官』
ミレイ=アルヴィスの日常の始まりだ。

 
 彼女の一日は、まず世界樹再生プロジェクトの進行状況の確認から始まる。

 巫女の体調管理、魔力循環訓練の調整、王宮の防衛スケジュール、魔獣情報の処理に至るまで…全ての報告書に目を通し、王太子の決裁印手前までに整えていく。

 まるで髪型や服、メイクを選んでいくような軽やかさで、複雑な案件が処理されていく。

「護衛隊副長には護衛当番の入れ替えをご検討いただきたいですわ」「リィナ様は最近この国の歴史にご興味を示されています。講師の先生の手配とスケジュールの調整を」

 ふんわりとした緑色の魔素で相手を包み、優しい声と柔らかな笑みで癒す。

誰もが「はい、ミレイ様」と頷いてしまう。

だが、彼女のその魔素は誰よりも知略と策略の煌めきを隠している。

 お昼前に、儀式の訓練場に現れれば、瞬く間に場が華やぐ。

「おはようございます、リィナ様。お加減はいかがですか?」

笑顔を浮かべながらも、ほんの少し陰りを宿す巫女の様子に気付き、訓練の内容を負担の少ないものへと練り直す。

(リィナ様は我慢強い方でいらっしゃるので、ご自分からは何もおっしゃりませんものね。今日は少し長めに休憩を取りましょう。)
 
午後は王太子殿下との書簡整理。

優雅な笑みと柔らかな口調で情報を揺さぶり、裏で政務官たちの駆け引きを捌く。

(この国に仇をなそうとする方がいれば、この私が見逃しませんわよ。)
 
ただの『癒し』などではない――彼女はこの国の、本当の補佐官だ。

そして夜。

誰もが眠りについた後、ミレイはそっと王宮の奥の間へと足を運ぶ。

彼女の一番番重要な仕事は、もしかしたら、これからの時間かもしれない。

扉の奥、煌輝しい光の中でレオニスが待っていた。

「お疲れさま。今日も……完璧だったね」

近づくに連れて、金色の魔素が妖しい光を放ち、ミレイの周りを取り囲む。

「当然ですわ。私は貴方の筆頭補佐官ですもの」

 いつものやり取り。けれど、交わす指先はどこか艶めかしい。

「リィナ様は本当に健気で可愛らしいお方。
 貴方の無茶ぶりにも、ちゃんと応えておりますわ」

 レオニスは微笑み、彼女の肩を引き寄せる。
 そして、その膝にそっと頭を乗せる。

「ああ、君の膝枕は本当にご褒美タイムだよ。今日の疲れが溶けて無くなっていくようだ」

 目を閉じたレオニスは、その感触を堪能するように息を吐く。

「ふふふふふ、それは嬉しいですわ。リィナ様もいつも大変気に入ってくださっていますもの。」

 その言葉に、レオニスの瞳がうっすらと開かれる。
 金色の光がゆらめき、挑戦的な色をたたえる。

「でも、僕たちはもっと深く繋がって癒し合えるだろう?
 僕だけが、君に愛と癒しを与えられる存在だ」

レオニスに髪に指を差し込んで、焦らすように髪に巻きつけながらミレイが答える。

「まあ、嬉しいですわ。愛しの婚約者様。今夜もあなたが私を癒してくださるのですね?」

新緑の瞳に妖しい夜露が滲む。

「もちろんだよ。僕の愛しい婚約者殿」

 唇が重なり、深く、舌を絡め合う。

 ミレイがレオニスの背を抱いた瞬間、彼は彼女を押し倒す。

柔らかい声色が徐々にしっとりと汗ばんた色に変わっていく。

 夜の帳が下りる中、二人はもっと深く――確かに、繋がっていった。

 

 翌朝。

 幸せそうに眠るレオニスの横顔を見下ろしながら、ミレイもまた微笑む。

「昨晩も素敵な一夜でしたわ、レオニス様。
 いつも惜しまず、どんな時でも、どんな場所でも私への愛を表現していただけて、嬉しい限りですわ」

 そっと唇にキスを落としながら、彼女は囁いた。

「ええ、この世界は愛でできておりますもの。
 ……それを、今夜もお教えしましたわね?」
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