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第6章 世界樹の儀式
第6章 第11話 薔薇園での逢瀬(Sideカイゼル) ※※
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sideカイゼル
青い結界の中で、向かい合って、力なく抱きつくリィナの甘い吐息を耳元で感じながら、しっとりと汗ばんだ双丘を掴んで下から何度も突き上げる。
その度にリィナの内側が戦慄いて、とろりと泉から蜜が流れ出し、俺の太腿を濡らしていく。腰が蕩けるような愉悦に何度も息を深く吸うと、薔薇に閉じ込められた東屋の一角で、花の香しさとリィナ自身の甘い匂いに酩酊は深くなるばかりだ。
俺の昂りも、しばらくはおさまりそうにはない。
漏れる声すらも欲して小さな腔内を舌で弄りながらも、どこか焦燥に駆られていた。
俺は何度もリィナの発作を落ち着かせ、生命を救い、愛し合っていると確認し合ったことで、リィナの心をも全て救えたとどこかで奢っていた。
儀式の失敗で、そんな思い上がりがあったことに気付かされて、打ち砕かれた。
どうすればいいのか答えを求めるように、魂まで混じり合うような交接を繰り返す。
「あっ、また…またいっちゃうの」
首に回された腕に力が入り、リィナの体が小刻みに震え始めた。
「いけばいい」俺はそう囁いて、まだ慎ましやかなリィナの快楽の芽に手を伸ばして撫でてやる。
リィナは「ああっ」と背を仰け反らせながら、俺を蜜壁を絶妙に締め付けて達する。
背筋に快楽が走り、俺もリィナの体を揺さぶって、魔素と自分自身を奥へと吐き出した。また、二人が一つに溶け合って白い地へと辿り着く。
多幸に満ちたその場所では、「二人で共に在る」という喜びの感覚だけが存在している。
たしかにそれは肉欲だけではなく、執着も全てかき消して、心も満たしてくれるが、その感覚は余韻を残しつつも儚く消えていくものだった。
どれだけ満たされても、全ての感情は移ろいゆくものだ。
悲しみも絶望も喜びも、己の内で様々な色合いを放ちながら流れては消えていき、ずっと幸福のみに留まっていることなどできない。
俺の腕の中にいる最愛をぎゅっと抱きしめて、その温もりを確かめる。
その度に迷いは腹の奥底から湧き上がる歓喜に塗り替えられていく。
この幸せを何度も時間をかけて分かち合っていくしかないんだろう。
俺だって、努力はするが、絶対にリィナを遺していかないという約束はできない。
その逆も然りだ。
諦観と無力感の混じり合った溜息が溢れ、リィナの額に口付けを落とす。
いつの間についていたのか、艶めく銀糸の隙間に薔薇のピンクの花弁が一枚覗いていた。
それをそっと取り除いて、茂みに返す。
くったりと意識を失ったリィナをクッションを敷いたベンチに横たえて、二人に洗浄魔法をかける。乱れた衣服も整えて、その小さな頭を俺の膝の上に乗せる。
それでも、リィナと紡ぎ合う時間は、喜びも悲しみも迷いも執着すら、全て俺の生きる糧なんだ。
穏やかな寝顔をそっと撫でてやると、またふにゃりとリィナは頬を緩める。風と共に薔薇の香りが通り抜け、薔薇の花弁が二枚に螺旋を駆け上がるように舞うのが見えた。
ずっと部屋に籠もっていたので、気分転換にとリィナを連れて薔薇園にやってきたのはいいが、日本にいた時の近所の薔薇園を思い出すと言ってはしゃぐリィナに、思わずまた欲を覚えて抱いてしまった。
「お前が可愛すぎるのも、すぐに俺を許して受け入れるのも、止まれなくなる一因なんだぞ」
リィナの顔を眺めながら、ただゆったりと髪を梳く。
この月の光を閉じ込めた銀糸一本一本すらも、今は全て俺の物だ。
昼間の光の中であっても、独占欲という仄暗い影は俺の中に渦巻いて、静かな愉悦をもたらしている。
お前は俺をずっと好きだったと言ってくれたが、どれほど俺がお前を求めて狂っているのかは分かっていないんだろうな。
ふっと自嘲気味な苦笑いが漏れる。
「もし、お前を喪ったら俺は迷わず世界を壊して後を追うだろう。それが逆だったら、俺はお前に生きていて欲しいと願うくせにな。」
「そんなの嫌だよ。私だってカイゼルに生きてて欲しいよ。」
起きてると思っていなかったリィナがぱちりと目を開けて、紫の瞳をこちらに向けた。
「怖いよ。大好きな人がいなくなるの。でも、その恐怖にずっと怯えながら大好きな人といるのはもっと嫌。もう発作でカイゼルに迷惑かけたくないし。だから、お母さんに会いに行く。そして発作もトラウマも乗り越えるの。…私もっとカイゼルに色々してあげたいの。」
そのアメジストの瞳は潤みながらも強い光を秘めていて、その眩さに俺は目を細める。
「ああ、悪かった。一緒に行こう。」
「私、もっとカイゼルと幸せだなって思える瞬間を増やしていきたい。」
リィナの言葉が胸の内に落ちて温かな波紋を広げていく。
ああ、いつだって俺に様々な感情を与えて、俺をまともな人間だって感じさせてくれるのはお前だけだったな。
そんな瞬間を互いに与え合っていこう。
「リィナ、まずは飯にでもするか」
俺の提案にリィナは嬉しそうに、「うん。でもご飯はもう自分で食べれるからね」と言いながらそっと身を起こす。
「あと、そっちの迷路みたいなとこにも行こう。もう、そこではエッチなことしちゃだめだよ。魔素は充分でしょ?」
リィナが俺を見上げて、ほんの少し目を釣り上げて、『お願い』をしてくる。俺に釘を刺しているつもりのようだが、その表情に俺は甘い疼きしか感じない。
残念だが、その願いは叶えてやれそうにないな…俺の腹は飯だけでは満足しそうにないんだ。
俺は結界を薔薇園全体に広げて、静かに密度を増した。
青い結界の中で、向かい合って、力なく抱きつくリィナの甘い吐息を耳元で感じながら、しっとりと汗ばんだ双丘を掴んで下から何度も突き上げる。
その度にリィナの内側が戦慄いて、とろりと泉から蜜が流れ出し、俺の太腿を濡らしていく。腰が蕩けるような愉悦に何度も息を深く吸うと、薔薇に閉じ込められた東屋の一角で、花の香しさとリィナ自身の甘い匂いに酩酊は深くなるばかりだ。
俺の昂りも、しばらくはおさまりそうにはない。
漏れる声すらも欲して小さな腔内を舌で弄りながらも、どこか焦燥に駆られていた。
俺は何度もリィナの発作を落ち着かせ、生命を救い、愛し合っていると確認し合ったことで、リィナの心をも全て救えたとどこかで奢っていた。
儀式の失敗で、そんな思い上がりがあったことに気付かされて、打ち砕かれた。
どうすればいいのか答えを求めるように、魂まで混じり合うような交接を繰り返す。
「あっ、また…またいっちゃうの」
首に回された腕に力が入り、リィナの体が小刻みに震え始めた。
「いけばいい」俺はそう囁いて、まだ慎ましやかなリィナの快楽の芽に手を伸ばして撫でてやる。
リィナは「ああっ」と背を仰け反らせながら、俺を蜜壁を絶妙に締め付けて達する。
背筋に快楽が走り、俺もリィナの体を揺さぶって、魔素と自分自身を奥へと吐き出した。また、二人が一つに溶け合って白い地へと辿り着く。
多幸に満ちたその場所では、「二人で共に在る」という喜びの感覚だけが存在している。
たしかにそれは肉欲だけではなく、執着も全てかき消して、心も満たしてくれるが、その感覚は余韻を残しつつも儚く消えていくものだった。
どれだけ満たされても、全ての感情は移ろいゆくものだ。
悲しみも絶望も喜びも、己の内で様々な色合いを放ちながら流れては消えていき、ずっと幸福のみに留まっていることなどできない。
俺の腕の中にいる最愛をぎゅっと抱きしめて、その温もりを確かめる。
その度に迷いは腹の奥底から湧き上がる歓喜に塗り替えられていく。
この幸せを何度も時間をかけて分かち合っていくしかないんだろう。
俺だって、努力はするが、絶対にリィナを遺していかないという約束はできない。
その逆も然りだ。
諦観と無力感の混じり合った溜息が溢れ、リィナの額に口付けを落とす。
いつの間についていたのか、艶めく銀糸の隙間に薔薇のピンクの花弁が一枚覗いていた。
それをそっと取り除いて、茂みに返す。
くったりと意識を失ったリィナをクッションを敷いたベンチに横たえて、二人に洗浄魔法をかける。乱れた衣服も整えて、その小さな頭を俺の膝の上に乗せる。
それでも、リィナと紡ぎ合う時間は、喜びも悲しみも迷いも執着すら、全て俺の生きる糧なんだ。
穏やかな寝顔をそっと撫でてやると、またふにゃりとリィナは頬を緩める。風と共に薔薇の香りが通り抜け、薔薇の花弁が二枚に螺旋を駆け上がるように舞うのが見えた。
ずっと部屋に籠もっていたので、気分転換にとリィナを連れて薔薇園にやってきたのはいいが、日本にいた時の近所の薔薇園を思い出すと言ってはしゃぐリィナに、思わずまた欲を覚えて抱いてしまった。
「お前が可愛すぎるのも、すぐに俺を許して受け入れるのも、止まれなくなる一因なんだぞ」
リィナの顔を眺めながら、ただゆったりと髪を梳く。
この月の光を閉じ込めた銀糸一本一本すらも、今は全て俺の物だ。
昼間の光の中であっても、独占欲という仄暗い影は俺の中に渦巻いて、静かな愉悦をもたらしている。
お前は俺をずっと好きだったと言ってくれたが、どれほど俺がお前を求めて狂っているのかは分かっていないんだろうな。
ふっと自嘲気味な苦笑いが漏れる。
「もし、お前を喪ったら俺は迷わず世界を壊して後を追うだろう。それが逆だったら、俺はお前に生きていて欲しいと願うくせにな。」
「そんなの嫌だよ。私だってカイゼルに生きてて欲しいよ。」
起きてると思っていなかったリィナがぱちりと目を開けて、紫の瞳をこちらに向けた。
「怖いよ。大好きな人がいなくなるの。でも、その恐怖にずっと怯えながら大好きな人といるのはもっと嫌。もう発作でカイゼルに迷惑かけたくないし。だから、お母さんに会いに行く。そして発作もトラウマも乗り越えるの。…私もっとカイゼルに色々してあげたいの。」
そのアメジストの瞳は潤みながらも強い光を秘めていて、その眩さに俺は目を細める。
「ああ、悪かった。一緒に行こう。」
「私、もっとカイゼルと幸せだなって思える瞬間を増やしていきたい。」
リィナの言葉が胸の内に落ちて温かな波紋を広げていく。
ああ、いつだって俺に様々な感情を与えて、俺をまともな人間だって感じさせてくれるのはお前だけだったな。
そんな瞬間を互いに与え合っていこう。
「リィナ、まずは飯にでもするか」
俺の提案にリィナは嬉しそうに、「うん。でもご飯はもう自分で食べれるからね」と言いながらそっと身を起こす。
「あと、そっちの迷路みたいなとこにも行こう。もう、そこではエッチなことしちゃだめだよ。魔素は充分でしょ?」
リィナが俺を見上げて、ほんの少し目を釣り上げて、『お願い』をしてくる。俺に釘を刺しているつもりのようだが、その表情に俺は甘い疼きしか感じない。
残念だが、その願いは叶えてやれそうにないな…俺の腹は飯だけでは満足しそうにないんだ。
俺は結界を薔薇園全体に広げて、静かに密度を増した。
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