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第7章 禁足の地と解放
第7章 第5話 悪夢 (Sideカイゼル)
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sideカイゼル
差し込む朝日の眩しさに、思わず顔を顰めながら瞼を上げる。
窓に背を向けながら、寝返りを打つと柔らかくて温かい感触が腕に触れる。
腰の辺りが熱を帯びて疼いて、その愛しい存在を腕の中に抱き寄せるか…額にキスを落とそうかと…迷いながら顔を覗き込む。
顔に掛かった髪を避けた瞬間に、背筋がひやりとした。
そして、明らかになったその面差しに、ぞっとするほどの嫌悪感が誘われる。
ーーこれは誰だ?…里菜は…どこだ?
ベッドから飛び起きて、周囲を伺うとそこは見たことのない部屋だ。
淡い色のカーテンに、白い壁に掛かった時計、頭元には…黒い四角い物体が置いてある。
ーースマホか?ここはどこだ?日本なのか?
逸る鼓動と共に背中を脂汗が伝い落ちるのを感じる。
ドアを開ければ、テレビやソファ、観葉植物が並んだリビングが広がって行った。
荒くなる呼吸を宥めながら、寝室に戻り、クローゼットらしいドアを開ける。
見たこともない女物の服と俺の物らしい服が整然と並べられている。ここも嗅いだこともない女物の匂いが満ちていて、吐き気が込み上げてくる。
ーーリィナはどこだ?いや…今は里菜か。
手近なシャツを掴んで羽織り、俺の物らしいスマホを開く。震える指先で連絡先を隈無く探す。
なのに「里菜」の名だけが見つけられない。
「雨崎」の家族の名前は全員あるのに…
体の芯から凍りつくような恐怖に襲われる。
ふと左側を見ると鏡に映る男と目があった。呆然と絶望を湛えた目をしている。
ーー俺だ。そして、その瞳の色は…黒だ。
リィナが「凪のようだ」と言った青ではない。
叫びだしたくなる衝動をなんとか堪えて、殴りつけるかのように音を立てて扉を締める。
「え?どうしたの?」
聞いたこともない女の声が、背後から追いかけてきたが、それを振り切るように衝動のままに外に飛び出す。
真っ先に目に飛び込んだのは真っ青な空。
この数カ月見慣れた青紫の空はどこにもない。
どこまでも澄み切った空気に魔素の揺らめきは欠片も見つけられない。
目の前を黒髪黒目の人々が、スマホやコーヒーを片手に通り過ぎていく。
ーー俺は今「雨崎海生」なのか?本当に?
気が狂いそうになりながら、闇雲に足を動かして、神社の方向に走り出す。
息のしやすい。
空気がやけに軽い。
体がいつも以上に動く…。
その事実がさらに俺を不安と恐怖に陥れる。
息を切らして坂を駆け上がる。
見慣れていたはずの鳥居が目に入ってきた。
だがその赤い色が妙に青い空に浮いて見える。
俺は夢との境目にいるような奇妙な浮遊感に襲われる。
ーーここはどこなんだ?里菜は?
敷地に入ると箒を片手に驚いたような顔をした陸人と目が合った。
「兄ちゃん。どうしたの?急に。」
膝から崩れ落ちそうになるのをなんとか押し留めて、乱れた息を整える。
「…陸人。里菜はどこだ?」
俺の問いに陸人は怪訝な顔をする。その反応に心臓がどくりと大きく跳ね上がる。
背中を一筋、嫌な汗が落ちていく。
「里菜って誰のこと?そんな知り合いいたっけ?」
これ以上は聞きたくないと体は拒否しているのに、口だけは動いてしまう。
「里菜だ。俺達の幼馴染で…家族で…」
俺の言葉に陸人はさらに眉間に皺を寄せて、怪訝な顔をする。
「兄ちゃん、何言ってんの?」
それ以上の言葉は継げられなかった。耳元でバクバクと心臓の音が鳴り響く。
脂汗が全身を流れ落ちて、俺の体温を奪っていく。
のたうち回って叫びだしたくなるほどの絶望。
ーーああ、自我すら失いそうだ。
『里菜がいない?』
『リィナがいない??』
本当にまた狂いそうだ。
いや、あの時のよう狂ってしまって、最愛のいないこの世界を壊してしまいたい。
だが、どれだけ怒りや絶望を渦巻かせても、あの世界でのように世界を壊すほどの嵐を起こすことはできない。
あれだけ、体中を巡っていた魔素が感じられない。
ーーどうすればいい??
どうすれば、リィナの元に戻れる??
リィナとの記憶だけを抱えて、ここで生きていけというのか?
誰も里菜を覚えていないのか?
無理だ。…俺には無理だ。
ただ呆然と里菜の面影を探すかのように、
神社の中や家の中を彷徨う。
どんぐりを拾った木はあるのに、
里菜が使っていた部屋はがらんどうだ。
隣の公園には薔薇が咲いているのに、
里菜が使っていたマグカップはない。
ーーいない…何もない…いない…ここは、一体何なんだ…
虚無に苛まれながら、舞殿に辿り着く。
もう体中の力が抜けて、ずるずると柱に背を預けて座り込む。
空っぽの空間は、さらに俺の思考を虚しさに染めていく。
「リィナ…」
ーー俺はどうしたらいい?
お前のいない世界で生きていて意味があるのか?
仄暗い何かが、ぞっとするほど媚を含んだ声で俺に囁きかけてくる。
『今までが全部夢だったんだ。リィナなんて存在は元々いないんだよ。お前の妄想だ。』
「違う!リィナはたしかに俺の腕の中にいた!」
囁きを振り払うように叫ぶが、その声はねっとりと耳にさらに毒を流し込む。
『じゃあ、お前はリィナの温もりを思い出せるのか?声は?匂いは?存在したという証拠は今ここにあるのか?』
…あんなに求めていたリィナの声も温もりも、思い出そうとすると、どんどん霞がかっていく。
ーー嘘だ…嘘だろう…
耳を塞いで何度も首を横に振る。声は続く。
『どんなに抗ったって忘れていくんだよ。抵抗するな、そんな執着から解放されてしまえよ。そもそも、お前のそれは本当に愛だったのか?』
嘲笑を含んだ言葉は俺の理性をガリガリと削り取っていく。
「俺は認めない。」
リィナがいない世界なんて認められるはずがないんだ。
ならば、いっそ狂って、我を失ってしまった方がずっと楽だ。
ーーいっそ、試しに俺自身を壊してしまえばいいのか?
あらぬ方向へと思考は飛び、理性はどんどんと剥がれ落ちていく。
普段ならば正気の沙汰ではない思いつきも、こうなってくるととんでもない名案に思えてくるから不思議なものだ。
ーー何か…剣の代わりになるものを。
力なく立ち上がり、ふらふらと舞殿の奥へと歩を進める。
つま先に何かがぶつかったと認識した瞬間に、゛しゃん゛とくぐもった鈴音が舞殿に響き渡った。
ーー鈴…か?
手を伸ばせば、リィナの欠片を拾うような心持ちになり、胸が熱くなる。
ーー俺は今、何をしようとしていた?
手の中で鈴を軽く振れば、しゃんしゃんと澄んだ音が虚空に響き、頭の芯が少しずつ冷えていく。
「リィナ。」
目を閉じて、全ての感覚を研ぎ澄ます。
ーーここが幻の世界ならば、必ず帰れるはずだ。
己の内を探り、どこかに潜んでいるであろう魔素を丹念に探る。
ーーここか…?
骨の髄。奥深くに青いその断片を見出して、全身に巡らせんと、さらに集中を高めていく。
ーー魔素が身体の中で淀んでいて…厄介だな。これは。
髄奥から、揺らぎ流れ始めた魔素を一気に引き摺り出して、なんとか腹底で練り上げる。
僅かばかり扱えるようになった魔素で、幻影を切り裂かんと、腕を振り上げた刹那、
しゃんと涼やかな音が鳴り響いた。
白い光が俺の世界を照らし出し、眩さに反射的に瞼を閉じる。
「カイゼル。それとも海生?」
瞳を開けると、そこには求めて止まなかった紫の輝きが目の前にあった。
吸い寄せられるように、俺の腕の中にその小さな体を引き入れる。
柔らかく耳を打つ声、胸を溶かす温かな感触、甘い香り…。
『リィナがここにいる。』
淀んでいた魔素が、元通りに少しずつ体中を巡り始める感覚がした。体温が戻ってくる。
リィナの紫の光が俺の中にとろとろと流れ込んでくる。
ーーそうだ、この温もりだ。
忘れられるはずがない。
救いを求めるように、俺はそっとリィナに口づけた。
甘やかな息を吸い込み、さらに奥深くへと舌を伸ばして、リィナを味わう。
両腕の中に閉じ込めて、リィナを存分に貪っていると、どんどんとリィナが俺の胸を叩いてくる。
仕方なしに顔を離して顔を覗き込めば、「苦しいよ…」と、アメジストの瞳にうっすらと涙を浮かべて、眉を寄せながら、抗議してくる。
その表情も愛おしく、もう一度口付けようと顔を近づければ、リィナの手で唇を塞がれてしまう。
「カイゼル愛してるよ。だからね、帰ろう。続きはね、帰ってから…」
頬染めて、はにかみながらそう言われてしまえば、俺は従うしかない。
「ああ、帰るぞ。」
リィナの指先に軽く口付けて、もう一度温もりを味わう。
俺は魔素を練り上げて周囲の幻を吹き飛ばし、帰り道を抉じ開けた。
差し込む朝日の眩しさに、思わず顔を顰めながら瞼を上げる。
窓に背を向けながら、寝返りを打つと柔らかくて温かい感触が腕に触れる。
腰の辺りが熱を帯びて疼いて、その愛しい存在を腕の中に抱き寄せるか…額にキスを落とそうかと…迷いながら顔を覗き込む。
顔に掛かった髪を避けた瞬間に、背筋がひやりとした。
そして、明らかになったその面差しに、ぞっとするほどの嫌悪感が誘われる。
ーーこれは誰だ?…里菜は…どこだ?
ベッドから飛び起きて、周囲を伺うとそこは見たことのない部屋だ。
淡い色のカーテンに、白い壁に掛かった時計、頭元には…黒い四角い物体が置いてある。
ーースマホか?ここはどこだ?日本なのか?
逸る鼓動と共に背中を脂汗が伝い落ちるのを感じる。
ドアを開ければ、テレビやソファ、観葉植物が並んだリビングが広がって行った。
荒くなる呼吸を宥めながら、寝室に戻り、クローゼットらしいドアを開ける。
見たこともない女物の服と俺の物らしい服が整然と並べられている。ここも嗅いだこともない女物の匂いが満ちていて、吐き気が込み上げてくる。
ーーリィナはどこだ?いや…今は里菜か。
手近なシャツを掴んで羽織り、俺の物らしいスマホを開く。震える指先で連絡先を隈無く探す。
なのに「里菜」の名だけが見つけられない。
「雨崎」の家族の名前は全員あるのに…
体の芯から凍りつくような恐怖に襲われる。
ふと左側を見ると鏡に映る男と目があった。呆然と絶望を湛えた目をしている。
ーー俺だ。そして、その瞳の色は…黒だ。
リィナが「凪のようだ」と言った青ではない。
叫びだしたくなる衝動をなんとか堪えて、殴りつけるかのように音を立てて扉を締める。
「え?どうしたの?」
聞いたこともない女の声が、背後から追いかけてきたが、それを振り切るように衝動のままに外に飛び出す。
真っ先に目に飛び込んだのは真っ青な空。
この数カ月見慣れた青紫の空はどこにもない。
どこまでも澄み切った空気に魔素の揺らめきは欠片も見つけられない。
目の前を黒髪黒目の人々が、スマホやコーヒーを片手に通り過ぎていく。
ーー俺は今「雨崎海生」なのか?本当に?
気が狂いそうになりながら、闇雲に足を動かして、神社の方向に走り出す。
息のしやすい。
空気がやけに軽い。
体がいつも以上に動く…。
その事実がさらに俺を不安と恐怖に陥れる。
息を切らして坂を駆け上がる。
見慣れていたはずの鳥居が目に入ってきた。
だがその赤い色が妙に青い空に浮いて見える。
俺は夢との境目にいるような奇妙な浮遊感に襲われる。
ーーここはどこなんだ?里菜は?
敷地に入ると箒を片手に驚いたような顔をした陸人と目が合った。
「兄ちゃん。どうしたの?急に。」
膝から崩れ落ちそうになるのをなんとか押し留めて、乱れた息を整える。
「…陸人。里菜はどこだ?」
俺の問いに陸人は怪訝な顔をする。その反応に心臓がどくりと大きく跳ね上がる。
背中を一筋、嫌な汗が落ちていく。
「里菜って誰のこと?そんな知り合いいたっけ?」
これ以上は聞きたくないと体は拒否しているのに、口だけは動いてしまう。
「里菜だ。俺達の幼馴染で…家族で…」
俺の言葉に陸人はさらに眉間に皺を寄せて、怪訝な顔をする。
「兄ちゃん、何言ってんの?」
それ以上の言葉は継げられなかった。耳元でバクバクと心臓の音が鳴り響く。
脂汗が全身を流れ落ちて、俺の体温を奪っていく。
のたうち回って叫びだしたくなるほどの絶望。
ーーああ、自我すら失いそうだ。
『里菜がいない?』
『リィナがいない??』
本当にまた狂いそうだ。
いや、あの時のよう狂ってしまって、最愛のいないこの世界を壊してしまいたい。
だが、どれだけ怒りや絶望を渦巻かせても、あの世界でのように世界を壊すほどの嵐を起こすことはできない。
あれだけ、体中を巡っていた魔素が感じられない。
ーーどうすればいい??
どうすれば、リィナの元に戻れる??
リィナとの記憶だけを抱えて、ここで生きていけというのか?
誰も里菜を覚えていないのか?
無理だ。…俺には無理だ。
ただ呆然と里菜の面影を探すかのように、
神社の中や家の中を彷徨う。
どんぐりを拾った木はあるのに、
里菜が使っていた部屋はがらんどうだ。
隣の公園には薔薇が咲いているのに、
里菜が使っていたマグカップはない。
ーーいない…何もない…いない…ここは、一体何なんだ…
虚無に苛まれながら、舞殿に辿り着く。
もう体中の力が抜けて、ずるずると柱に背を預けて座り込む。
空っぽの空間は、さらに俺の思考を虚しさに染めていく。
「リィナ…」
ーー俺はどうしたらいい?
お前のいない世界で生きていて意味があるのか?
仄暗い何かが、ぞっとするほど媚を含んだ声で俺に囁きかけてくる。
『今までが全部夢だったんだ。リィナなんて存在は元々いないんだよ。お前の妄想だ。』
「違う!リィナはたしかに俺の腕の中にいた!」
囁きを振り払うように叫ぶが、その声はねっとりと耳にさらに毒を流し込む。
『じゃあ、お前はリィナの温もりを思い出せるのか?声は?匂いは?存在したという証拠は今ここにあるのか?』
…あんなに求めていたリィナの声も温もりも、思い出そうとすると、どんどん霞がかっていく。
ーー嘘だ…嘘だろう…
耳を塞いで何度も首を横に振る。声は続く。
『どんなに抗ったって忘れていくんだよ。抵抗するな、そんな執着から解放されてしまえよ。そもそも、お前のそれは本当に愛だったのか?』
嘲笑を含んだ言葉は俺の理性をガリガリと削り取っていく。
「俺は認めない。」
リィナがいない世界なんて認められるはずがないんだ。
ならば、いっそ狂って、我を失ってしまった方がずっと楽だ。
ーーいっそ、試しに俺自身を壊してしまえばいいのか?
あらぬ方向へと思考は飛び、理性はどんどんと剥がれ落ちていく。
普段ならば正気の沙汰ではない思いつきも、こうなってくるととんでもない名案に思えてくるから不思議なものだ。
ーー何か…剣の代わりになるものを。
力なく立ち上がり、ふらふらと舞殿の奥へと歩を進める。
つま先に何かがぶつかったと認識した瞬間に、゛しゃん゛とくぐもった鈴音が舞殿に響き渡った。
ーー鈴…か?
手を伸ばせば、リィナの欠片を拾うような心持ちになり、胸が熱くなる。
ーー俺は今、何をしようとしていた?
手の中で鈴を軽く振れば、しゃんしゃんと澄んだ音が虚空に響き、頭の芯が少しずつ冷えていく。
「リィナ。」
目を閉じて、全ての感覚を研ぎ澄ます。
ーーここが幻の世界ならば、必ず帰れるはずだ。
己の内を探り、どこかに潜んでいるであろう魔素を丹念に探る。
ーーここか…?
骨の髄。奥深くに青いその断片を見出して、全身に巡らせんと、さらに集中を高めていく。
ーー魔素が身体の中で淀んでいて…厄介だな。これは。
髄奥から、揺らぎ流れ始めた魔素を一気に引き摺り出して、なんとか腹底で練り上げる。
僅かばかり扱えるようになった魔素で、幻影を切り裂かんと、腕を振り上げた刹那、
しゃんと涼やかな音が鳴り響いた。
白い光が俺の世界を照らし出し、眩さに反射的に瞼を閉じる。
「カイゼル。それとも海生?」
瞳を開けると、そこには求めて止まなかった紫の輝きが目の前にあった。
吸い寄せられるように、俺の腕の中にその小さな体を引き入れる。
柔らかく耳を打つ声、胸を溶かす温かな感触、甘い香り…。
『リィナがここにいる。』
淀んでいた魔素が、元通りに少しずつ体中を巡り始める感覚がした。体温が戻ってくる。
リィナの紫の光が俺の中にとろとろと流れ込んでくる。
ーーそうだ、この温もりだ。
忘れられるはずがない。
救いを求めるように、俺はそっとリィナに口づけた。
甘やかな息を吸い込み、さらに奥深くへと舌を伸ばして、リィナを味わう。
両腕の中に閉じ込めて、リィナを存分に貪っていると、どんどんとリィナが俺の胸を叩いてくる。
仕方なしに顔を離して顔を覗き込めば、「苦しいよ…」と、アメジストの瞳にうっすらと涙を浮かべて、眉を寄せながら、抗議してくる。
その表情も愛おしく、もう一度口付けようと顔を近づければ、リィナの手で唇を塞がれてしまう。
「カイゼル愛してるよ。だからね、帰ろう。続きはね、帰ってから…」
頬染めて、はにかみながらそう言われてしまえば、俺は従うしかない。
「ああ、帰るぞ。」
リィナの指先に軽く口付けて、もう一度温もりを味わう。
俺は魔素を練り上げて周囲の幻を吹き飛ばし、帰り道を抉じ開けた。
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