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第7章 禁足の地と解放
第7章 第7話 別れ
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目を伏せながら話す、途切れ途切れの言葉の合間に母の後悔が滲んでいて、胸の奥が切なく軋む。
私はここでどうしても聞いておかないといけないことがある。
「お母さん…」
そっと呼ぶと、「なあに?」と潤む瞳で母がそっと私を見つめる。
「あの時…あの事故の時ね。お父さんとお母さんの生命…私に分けてくれたの?あの時ね、紫と水色の光が…私を…今だって…時々…まだ」
嗚咽が込み上げてきて言葉にならない。母も何も言わず、溢れる涙を拭きもせず、ただ何度も頷き返す。
「里菜…あなたを一人にしてしまってごめんなさい…。でも、私達はあなたに生きて欲しかったの…。辛い思いをさせてしまって…本当にごめんなさい…」
私は何も言えず、ただ首を何度も横に振る。そして、絞り出すように一言だけやっと言えた。
「一人じゃなかったよ…」
カイゼルがぎゅっと私の手を握り締めて、もう片方の手で肩を抱いた。
「辛くなかったって言ったら、嘘になるけど…ずっと海生が側にいてくれたから。」
私はその胸に身を寄せて、温もりを身の内に移してもらう。
「あとね、私も海生が死んじゃうって焦った時、私自分がどうなってもいいから、私の生命を分けようって…そう思っちゃったの…だから、あの時のお父さんと、お母さんの気持ちが…今なら…凄くよく分かるって言うか…二人とも凄く辛かったんだろうなって…」
また胸が痛んで嗚咽が込み上げてくる。
「リィナ…お前そんなことを…」
カイゼルが縋りつくように私を強く抱き込んだ。熱い吐息が額に落ちてくる。
「里菜。海生君との時間を大切にしなさい。その時間はね、たしかに形として何も残らない。
でも、その一瞬一瞬は、
あなたの心に、体に、幸福を残してくれるわ。」
母の身体から白い光が溢れ出し、カイゼルと私に静かに降り注ぐ。
「そして、その幸福は祈りとなって、また次へと受け継がれていくのよ。あなた達は…いえ、私達はずっとずっと数多の人々から、幸福を願われ続けて生まれ落ちてきたのよ。」
光はどんどん強くなり、暗い湖面全体まで広がる。それに呼応して、湖の中から、色とりどりの淡い光の粒達が産まれ始めた。そして、ふわりふわりと洞窟内を淡く照らしながら舞う。
「そろそろ時間ね。あなたに会えて、私の魂も浄化の時を迎えたみたいよ。」
母の体が薄く儚く透明になっていく。湖面に揺らいでいた光の粒が母の周りを取り囲み始めた。
「お母さん!」
私は思わず手を伸ばして触れようとするけど、何も掴めずに虚空を切るばかり。
「海生君、里菜をお願いします。」
「はい。」
カイゼルは真っ直ぐに母を見据えて答える。青い魔素が母を包んだ。その煌めきに母は眩しそうに目を細める。
「お母さん!私…生まれてきて良かったよ。ありがとう。お母さんやお父さんや…皆の祈りをずっとずっと繋いでいくね。」
「里菜。あなたの内に私達はいつでもいるわ。覚えていてね。大好きよ。…愛してる」
「愛してる」
その言葉の余韻とともに笑顔を浮かべた母の姿は光となって音もなくすっと消えていった。
「私も…大好きだよ。お母さん。」
まだ光漂う虚空に向かって、私はそっと呟いた。
紫の光が一つ。
私の頬を撫でるように掠めて、溶けた。
私はここでどうしても聞いておかないといけないことがある。
「お母さん…」
そっと呼ぶと、「なあに?」と潤む瞳で母がそっと私を見つめる。
「あの時…あの事故の時ね。お父さんとお母さんの生命…私に分けてくれたの?あの時ね、紫と水色の光が…私を…今だって…時々…まだ」
嗚咽が込み上げてきて言葉にならない。母も何も言わず、溢れる涙を拭きもせず、ただ何度も頷き返す。
「里菜…あなたを一人にしてしまってごめんなさい…。でも、私達はあなたに生きて欲しかったの…。辛い思いをさせてしまって…本当にごめんなさい…」
私は何も言えず、ただ首を何度も横に振る。そして、絞り出すように一言だけやっと言えた。
「一人じゃなかったよ…」
カイゼルがぎゅっと私の手を握り締めて、もう片方の手で肩を抱いた。
「辛くなかったって言ったら、嘘になるけど…ずっと海生が側にいてくれたから。」
私はその胸に身を寄せて、温もりを身の内に移してもらう。
「あとね、私も海生が死んじゃうって焦った時、私自分がどうなってもいいから、私の生命を分けようって…そう思っちゃったの…だから、あの時のお父さんと、お母さんの気持ちが…今なら…凄くよく分かるって言うか…二人とも凄く辛かったんだろうなって…」
また胸が痛んで嗚咽が込み上げてくる。
「リィナ…お前そんなことを…」
カイゼルが縋りつくように私を強く抱き込んだ。熱い吐息が額に落ちてくる。
「里菜。海生君との時間を大切にしなさい。その時間はね、たしかに形として何も残らない。
でも、その一瞬一瞬は、
あなたの心に、体に、幸福を残してくれるわ。」
母の身体から白い光が溢れ出し、カイゼルと私に静かに降り注ぐ。
「そして、その幸福は祈りとなって、また次へと受け継がれていくのよ。あなた達は…いえ、私達はずっとずっと数多の人々から、幸福を願われ続けて生まれ落ちてきたのよ。」
光はどんどん強くなり、暗い湖面全体まで広がる。それに呼応して、湖の中から、色とりどりの淡い光の粒達が産まれ始めた。そして、ふわりふわりと洞窟内を淡く照らしながら舞う。
「そろそろ時間ね。あなたに会えて、私の魂も浄化の時を迎えたみたいよ。」
母の体が薄く儚く透明になっていく。湖面に揺らいでいた光の粒が母の周りを取り囲み始めた。
「お母さん!」
私は思わず手を伸ばして触れようとするけど、何も掴めずに虚空を切るばかり。
「海生君、里菜をお願いします。」
「はい。」
カイゼルは真っ直ぐに母を見据えて答える。青い魔素が母を包んだ。その煌めきに母は眩しそうに目を細める。
「お母さん!私…生まれてきて良かったよ。ありがとう。お母さんやお父さんや…皆の祈りをずっとずっと繋いでいくね。」
「里菜。あなたの内に私達はいつでもいるわ。覚えていてね。大好きよ。…愛してる」
「愛してる」
その言葉の余韻とともに笑顔を浮かべた母の姿は光となって音もなくすっと消えていった。
「私も…大好きだよ。お母さん。」
まだ光漂う虚空に向かって、私はそっと呟いた。
紫の光が一つ。
私の頬を撫でるように掠めて、溶けた。
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