10 / 57
第二章 黒い呪術師
‐6‐
しおりを挟む
――同じころ。
刺殺事件の起きた所轄管内では緊急の会議が始まっている。
報告書によると、麦仲が殺害されたのは、土曜日にかならず訪れる繁華街のクラブ、『リュカオン』からの帰途で、雑居ビルが並んだ狭い裏路地のなか。
建物同士のあいだにある、わずか八十センチほどの隙間で、うつ伏せのまま倒れているところをパトロール中の警察官により発見されたとのこと。
被害者である麦仲は、息子夫婦の営む飲食店の代表となり、フランチャイズ化へと発展させていったものの、賃金の未払いで従業員から訴えられたり、契約書にはないロイヤリティを課したりするなどの悪行ぶりで、恨みを抱いている人間は多数いるとの話。
現在の捜査状況としては、防犯カメラの確認に全力を挙げてはいるも、被害者はクラブからタクシー乗り場まで裏路地を歩いていたため、いまだに情報が乏しく、目撃者もいない。
次いで怨恨である見方については、すでに十二名の容疑者が挙げられており、裏の取れた者から消し込んでいく作業がおこなわれていた。
「大沢仁、原田謙三、彼らは社宅で一緒に飲んでおり、アリバイはあります」
マジックペンの超音波が室内に響き、実行が不可能な人物に横線が入れられていく。
「あと上田将太は、このふたりの飲み会に途中で加わったのですが、ATMでお金を下ろすのを社宅近くにあるコンビニの防犯カメラが捉えていました。それと取引先の橋本健治につきましては――」
アリバイを説明後、名前に線が入れられ、残りもわずかとなる。
「つづいて石倉龍二に、森山幸典。彼らも麦仲からパワハラを受けて辞めさせられましたが、現在は共同でイタリア料理店を経営していますので、今さら怨恨はないかと思われます。『クビにしてもらって感謝してる』と、手を叩いて笑っていましたから」
次々と報告がなされ、マジックペンが不快な音を立てつづける。
いよいよ次で、動機のありそうな人物は最後となった。
「ラストは女性です。平良みどり子、七十歳。彼女の場合は二年前、ひとり息子の純一が、麦仲が代表を務めているフランチャイズ事業に加盟していたようですが――」
「経営に失敗したんかいのぉ」
「いえ、仕事は順調だったのですが、麦仲が不当なロイヤリティを請求したみたいでして、それを苦に飛び降り自殺を図ろうとしました」
「図ろうとした? それじゃあ無事じゃったのか」
「背中や両手足の骨を折り、長いあいだ療養中でしたが、もうすぐ退院するそうです。ですが後遺症がひどいらしく、まだまだ社会復帰への道は遠いでしょうね」
「……とんでもない奴じゃのぉ、この麦仲って男は」
調べれば調べるほど、こんな証言しか上がってこず、むしろ恨みを買っていない者を探すほうが困難なくらい。
犯人逮捕に躍起になっていた高橋班であったが、ここまでの悪評ぶりに指揮も低下してしまっていた。
「この平良に関しては、『頭痛がひどく、吐き気がする』と、深夜、市民病院の救急窓口に連絡をして、自ら運転をしたそうですが、そもそも高齢の女性であるだけに、犯行はむずかしいでしょうね」
「病院に着いた時間はわかるかいのぉ」
「記録によると十一時過ぎです。ちょうど被害者が刺されて間もなくの時間帯ですね」
「うーむ。そうか」
病院から殺人現場まで五十キロ以上は離れており、どう考えても実行は不可能となる。
音頭を取っている老齢刑事は白髪頭を撫でつけ、全員の名前が消されたホワイトボードを眺めた。
「みんなアリバイがあるんじゃのぉ……。そうなると物盗りかのぉ」
ひとりくらい曖昧な人物がいてもよさそうだが、完璧なまでに、立証をしてくれる第三者がいる。
高橋はポケットから出してきた綿棒で、耳の穴をほじっていると、そんな小説があったのを思い出した。
「そういや、あの列車内でのミステリーなんじゃったかいのぉ」
先端についた耳垢を吹くと、現在、教育係を押しつけている女性警官。山並巡査長に尋ねてみた。
「もっと具体的に言ってもらわないと、全然わからないです」
「ほらほら、みんなが犯人を恨んでおって、全員でかばい合う小説じゃ」
「列車内で起きる事件……。シベリア超特急じゃないですか」
「違うぞい。似ているけど」
捜査一課にいるからには、みんな推理小説が大好きらしく、有名どころの作品は押さえている模様。
それを横で聞いていた若手の捜査員は、自信満々に手を上げた
「それってアガサクリスティですよね」
「そうそうアガサクリスティじゃ」
思わず手を叩いてよろこぶ高橋。喉まで出かかっている作品名は、あと一歩だった。
「普通にオリエント急行殺人事件だろ」
またまた別の捜査員が入ってきたが、高橋は首を捻った。
「そんなタイトルじゃなかったのぉ……たしかカタカナの文字は入っていなかったぞい」
「『アガサクリスティやエラリークイーンを後年になって知る者はしあわせ』とは、よく言ったもんだよな。大人になって、たのしみがあるもんな」
またまた別の捜査員が話に入ってきて、徐々に雑談化していく。
さほど緊張感もなく、だらだらとした井戸端会議となろうとするなか、現役時代にコンビを組んでいた山並巡査長が本題に戻してきた。
「すみません。ひとついいですか。最初にあった、吉野木誠一は、麦仲と別れたあと、ひとりで居酒屋に入り、『殺してやる』って息巻いていたのですよね? 詳しい経緯はなんでしょうか」
「彼の場合は麦仲に、『役員待遇で迎えてくれる』との約束で別会社からヘッドハンティングをされたのですが、土壇場でバイト扱いになったそうですよ」
「ひどい話ですね……」
「うーぬ、それは怒るぞい」
一事が万事、こんな調子であり、方々から恨まれていたのを、あらためて実感するだけ。
高橋は長きに渡る刑事生活で、ここまで指揮がガタ落ちしたのを初めて見た。
「俺の知り合いは定年退職の日に、じつはバイトだったと聞かされたらしいよ」
「それもひどいな」
「いやいや、普通は気づくだろ」
またも雑談となりそうなので、高橋は手を叩いて注目を促す。
まさしく担当主任らしく、全員を見渡しながら指示を与えていった。
「それじゃあ一班から三班までは、容疑者の身元を徹底的に洗いなおしと共犯者の有無、それとじゃな――」
残りの班にも詳細な任務を伝え、このたびの会議に特別参加してもらっている科学捜査研究所には防犯カメラの特定を急ぐように申し入れた。
「――ただいま午前九時四十五分をもって広域捜査体制に移行じゃ。情報はすべて当本部で一元管理。麦仲の素性については公式発表以外、口をきかないように頼みますぞい。以上、散会」
老齢刑事による、鋭い号令が響くと、捜査員たちは訓示室から出ていった。
***
「あーあ、やれやれじゃ」
警察官とはいえ、ひとりの人間。そこまで乗る気のない事件であっても、雇用の延期が掛かっているため、無理やり己を奮起させていた。
「しかし、せっかく現場に出られると思ったにのぉ」
急遽として捜査会議に入ってしまったため、休憩すらも満足に取れていない。
高橋は自動販売機コーナーで疲れた体を投げ出していると、轢き逃げ事件を担当している、元部下が手を振りながらやって来た。
「お疲れさまです、高橋さん。このたびの事件の臨時主任なのですね。そちらはどうですか?」
缶コーヒーを購入し、隣へと腰を下ろしてくる。現状を尋ねられた老刑事は、ごそごそとポケットから小銭を取り出した。
「それが、こっちも難儀しているんぞい、みーんなアリバイがあって、あとは物盗りの犯行しか残ってないんじゃ」
元部下と入れ替わりに腰を上げ、自動販売機の前に立つ。
当初は轢き逃げ事件を調べていたので、高橋も進捗状況を尋ねてみた。
「――地取りの甲斐なく、誰も捜査線に上がっていませんね。被害者の女性は、いったいどの山田一夫を恨んでいて、誰に撥ねられたのか、皆目、見当がついていません」
「……ぐぬぬ、そうか」
単なる轢き逃げと決まったわけではなく、あえて被害者を狙った線は消えていない。
もしもその場合、ふたたび犯人は殺害に訪れるかも知れず、やはり七美たちを雇って正解だと思った。
「それじゃあ、わしは行きますわ」
お互い挨拶代わりの経過報告を済ませると、高橋は外へと出る。
主任ともなればやることが多く、まずは腹ごしらえをしようと牛丼屋に向かった。
刺殺事件の起きた所轄管内では緊急の会議が始まっている。
報告書によると、麦仲が殺害されたのは、土曜日にかならず訪れる繁華街のクラブ、『リュカオン』からの帰途で、雑居ビルが並んだ狭い裏路地のなか。
建物同士のあいだにある、わずか八十センチほどの隙間で、うつ伏せのまま倒れているところをパトロール中の警察官により発見されたとのこと。
被害者である麦仲は、息子夫婦の営む飲食店の代表となり、フランチャイズ化へと発展させていったものの、賃金の未払いで従業員から訴えられたり、契約書にはないロイヤリティを課したりするなどの悪行ぶりで、恨みを抱いている人間は多数いるとの話。
現在の捜査状況としては、防犯カメラの確認に全力を挙げてはいるも、被害者はクラブからタクシー乗り場まで裏路地を歩いていたため、いまだに情報が乏しく、目撃者もいない。
次いで怨恨である見方については、すでに十二名の容疑者が挙げられており、裏の取れた者から消し込んでいく作業がおこなわれていた。
「大沢仁、原田謙三、彼らは社宅で一緒に飲んでおり、アリバイはあります」
マジックペンの超音波が室内に響き、実行が不可能な人物に横線が入れられていく。
「あと上田将太は、このふたりの飲み会に途中で加わったのですが、ATMでお金を下ろすのを社宅近くにあるコンビニの防犯カメラが捉えていました。それと取引先の橋本健治につきましては――」
アリバイを説明後、名前に線が入れられ、残りもわずかとなる。
「つづいて石倉龍二に、森山幸典。彼らも麦仲からパワハラを受けて辞めさせられましたが、現在は共同でイタリア料理店を経営していますので、今さら怨恨はないかと思われます。『クビにしてもらって感謝してる』と、手を叩いて笑っていましたから」
次々と報告がなされ、マジックペンが不快な音を立てつづける。
いよいよ次で、動機のありそうな人物は最後となった。
「ラストは女性です。平良みどり子、七十歳。彼女の場合は二年前、ひとり息子の純一が、麦仲が代表を務めているフランチャイズ事業に加盟していたようですが――」
「経営に失敗したんかいのぉ」
「いえ、仕事は順調だったのですが、麦仲が不当なロイヤリティを請求したみたいでして、それを苦に飛び降り自殺を図ろうとしました」
「図ろうとした? それじゃあ無事じゃったのか」
「背中や両手足の骨を折り、長いあいだ療養中でしたが、もうすぐ退院するそうです。ですが後遺症がひどいらしく、まだまだ社会復帰への道は遠いでしょうね」
「……とんでもない奴じゃのぉ、この麦仲って男は」
調べれば調べるほど、こんな証言しか上がってこず、むしろ恨みを買っていない者を探すほうが困難なくらい。
犯人逮捕に躍起になっていた高橋班であったが、ここまでの悪評ぶりに指揮も低下してしまっていた。
「この平良に関しては、『頭痛がひどく、吐き気がする』と、深夜、市民病院の救急窓口に連絡をして、自ら運転をしたそうですが、そもそも高齢の女性であるだけに、犯行はむずかしいでしょうね」
「病院に着いた時間はわかるかいのぉ」
「記録によると十一時過ぎです。ちょうど被害者が刺されて間もなくの時間帯ですね」
「うーむ。そうか」
病院から殺人現場まで五十キロ以上は離れており、どう考えても実行は不可能となる。
音頭を取っている老齢刑事は白髪頭を撫でつけ、全員の名前が消されたホワイトボードを眺めた。
「みんなアリバイがあるんじゃのぉ……。そうなると物盗りかのぉ」
ひとりくらい曖昧な人物がいてもよさそうだが、完璧なまでに、立証をしてくれる第三者がいる。
高橋はポケットから出してきた綿棒で、耳の穴をほじっていると、そんな小説があったのを思い出した。
「そういや、あの列車内でのミステリーなんじゃったかいのぉ」
先端についた耳垢を吹くと、現在、教育係を押しつけている女性警官。山並巡査長に尋ねてみた。
「もっと具体的に言ってもらわないと、全然わからないです」
「ほらほら、みんなが犯人を恨んでおって、全員でかばい合う小説じゃ」
「列車内で起きる事件……。シベリア超特急じゃないですか」
「違うぞい。似ているけど」
捜査一課にいるからには、みんな推理小説が大好きらしく、有名どころの作品は押さえている模様。
それを横で聞いていた若手の捜査員は、自信満々に手を上げた
「それってアガサクリスティですよね」
「そうそうアガサクリスティじゃ」
思わず手を叩いてよろこぶ高橋。喉まで出かかっている作品名は、あと一歩だった。
「普通にオリエント急行殺人事件だろ」
またまた別の捜査員が入ってきたが、高橋は首を捻った。
「そんなタイトルじゃなかったのぉ……たしかカタカナの文字は入っていなかったぞい」
「『アガサクリスティやエラリークイーンを後年になって知る者はしあわせ』とは、よく言ったもんだよな。大人になって、たのしみがあるもんな」
またまた別の捜査員が話に入ってきて、徐々に雑談化していく。
さほど緊張感もなく、だらだらとした井戸端会議となろうとするなか、現役時代にコンビを組んでいた山並巡査長が本題に戻してきた。
「すみません。ひとついいですか。最初にあった、吉野木誠一は、麦仲と別れたあと、ひとりで居酒屋に入り、『殺してやる』って息巻いていたのですよね? 詳しい経緯はなんでしょうか」
「彼の場合は麦仲に、『役員待遇で迎えてくれる』との約束で別会社からヘッドハンティングをされたのですが、土壇場でバイト扱いになったそうですよ」
「ひどい話ですね……」
「うーぬ、それは怒るぞい」
一事が万事、こんな調子であり、方々から恨まれていたのを、あらためて実感するだけ。
高橋は長きに渡る刑事生活で、ここまで指揮がガタ落ちしたのを初めて見た。
「俺の知り合いは定年退職の日に、じつはバイトだったと聞かされたらしいよ」
「それもひどいな」
「いやいや、普通は気づくだろ」
またも雑談となりそうなので、高橋は手を叩いて注目を促す。
まさしく担当主任らしく、全員を見渡しながら指示を与えていった。
「それじゃあ一班から三班までは、容疑者の身元を徹底的に洗いなおしと共犯者の有無、それとじゃな――」
残りの班にも詳細な任務を伝え、このたびの会議に特別参加してもらっている科学捜査研究所には防犯カメラの特定を急ぐように申し入れた。
「――ただいま午前九時四十五分をもって広域捜査体制に移行じゃ。情報はすべて当本部で一元管理。麦仲の素性については公式発表以外、口をきかないように頼みますぞい。以上、散会」
老齢刑事による、鋭い号令が響くと、捜査員たちは訓示室から出ていった。
***
「あーあ、やれやれじゃ」
警察官とはいえ、ひとりの人間。そこまで乗る気のない事件であっても、雇用の延期が掛かっているため、無理やり己を奮起させていた。
「しかし、せっかく現場に出られると思ったにのぉ」
急遽として捜査会議に入ってしまったため、休憩すらも満足に取れていない。
高橋は自動販売機コーナーで疲れた体を投げ出していると、轢き逃げ事件を担当している、元部下が手を振りながらやって来た。
「お疲れさまです、高橋さん。このたびの事件の臨時主任なのですね。そちらはどうですか?」
缶コーヒーを購入し、隣へと腰を下ろしてくる。現状を尋ねられた老刑事は、ごそごそとポケットから小銭を取り出した。
「それが、こっちも難儀しているんぞい、みーんなアリバイがあって、あとは物盗りの犯行しか残ってないんじゃ」
元部下と入れ替わりに腰を上げ、自動販売機の前に立つ。
当初は轢き逃げ事件を調べていたので、高橋も進捗状況を尋ねてみた。
「――地取りの甲斐なく、誰も捜査線に上がっていませんね。被害者の女性は、いったいどの山田一夫を恨んでいて、誰に撥ねられたのか、皆目、見当がついていません」
「……ぐぬぬ、そうか」
単なる轢き逃げと決まったわけではなく、あえて被害者を狙った線は消えていない。
もしもその場合、ふたたび犯人は殺害に訪れるかも知れず、やはり七美たちを雇って正解だと思った。
「それじゃあ、わしは行きますわ」
お互い挨拶代わりの経過報告を済ませると、高橋は外へと出る。
主任ともなればやることが多く、まずは腹ごしらえをしようと牛丼屋に向かった。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる