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第二章 黒い呪術師
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「うわー。童心にもどるわー」
七美はヘルメットのスクリーンを上げ、流れゆく田畑を眺めている。
工業団地から廃村へと向かう風景は、自身の生まれ育った故郷によく似ており、空気に緑の香りが含まれている。
華やかな舞台から身を引いたあとは、夜の雑踏や裏路地しか目にしておらず、この初めてなのに、どこか懐かしい景色を、瞼に焼きつけていた。
「隊長ーこの道で合ってるっすかー」
はしゃぐ彼女をよそに、ちょっぴり不安そうな顔を浮かべている大木場。
いつしかアスファルトは草で覆われ、鬱蒼と茂る森が迫っていたから。
「もうすぐ到着よー。誰かいるかも知れないから、ちょっと離れた場所に止めましょうか」
入り口には木製の立て札があるものの、名前すら読めないくらい朽ち果てている。
鳥居自体は存在しているが、なにを祀っているのか不明なうえ、どうして廃墟になったのかもわかっていない。
高校時代、伝承が好きな友人がおり、その彼女が言うには、かならずしも神社には『神様』が住むわけではなく、地元の荒くれ者や、村にやって来た無法者を村民たちが殺し、それを弔うため、神様に仕立てあげた場合もあるという。
『触らぬ神に祟りなし』との言葉通り、事情がわからない以上、不用意に手を合わせるのは控えるようとも聞かされていた。
「なんだか気味が悪いっすね……」
現場へと着いた途端、もっさりとした腐葉土の臭いが鼻を突く。
いつから閉鎖をしたかわからないが、草むらには獣以外のモノが通った跡が残っている。
ところどころ崩れた石段が奥までつづき、取り払われた石碑には、ワイヤーを結わえたまま放置されていた。
「スニーカーで来て大正解だったわね」
ぬかるんだ雑草地に足を取られてしまい、なにか掴んでいないと滑りそうになる。
大木場は落ちていた棒切れを杖にして進み、七美の手を取ってくれていた。
「それにしても暗いっす」
「まだ昼前なのにね」
敷地内は高い樹木に覆われ、陽の光が届かない。
それを深夜、ひとりで儀式を始めるなんて、考えただけでも肌に粟が立った。
「ここの廃神社について、いろいろと検索してみたけれど、あんまり情報が出てこないのよねー」
羽虫の大群が飛び交うなか、枯れた草木を踏みしめてゆくふたり。
人々から忘れられた土地ではあるが、ただの集落にある神社にしては、やたらと大きすぎる印象だった。
「隊長……。あそこにパワーショベルが横転しているっすよ」
「オカルト系の記事を読んだら、神社を取り壊そうとして事故があったと書いていたわね」
「そんな恐ろしい所に入っても、だいじょうぶなんすかね……」
「あった。あれかも」
大木場の問いに答えず、七美は走り出す。
その先には、瓦屋根の崩れ落ちた御社殿があり、賽銭箱の横には積み上げられたキャンバスノートがあった。
「なんすか、それは?」
「さて、なんだと思う」
ここで答えを出して欲しかったが、大木場は丸太みたいな腕を組んだまま動かない。
やがて意を決したように口を開くと、「交換日記」と宣った。
「ぶっぶー、残念です」
「惜しかったっすか?」
「まったくもって掠りもしてない。あたしの予感では順番待ちの予約表よ。店の入り口にある、ウエイティングボードみたいなものね」
呪いの儀式は、他人に見られてはいけない。
丑の刻参りで有名ならば、それなりのハウスルールが存在していると思いついた。
「順番待ち?」
「この儀式は七日七晩つづけるのが正式な方法なの。だから自分の名前ではなく、それこそ呪いたい相手の名前でも書いて予約しておくのよ。でないとバッティングしちゃうでしょ……。あった、ここの日付」
七美は紙面をなぞり、とあるページを撮影する。
「よしっ」とうなずき、スマートフォンをしまうと、大木場にふり返った。
「今日がラストチャンスね」
「今日が?」
「うーん……。でもその前に落としたことがあるか聞いておかないとダメかな」
「誰に尋ねるんすか?」
「もちろん山田さんによ。それさえ確認したら事件は終り。被害者の警護は不要よ」
「『終り』って、もう犯人がわかったんすか」
「そうよ。わかるでしょ。普通」
「いや、わからないでしょ。普通」
ふたりは顔を見合わせ、瞬きをくり返す。
――これは異なことを。
お互い、そう言いたげな表情だった。
「そっかー、じゃあ犯人を当ててみて。もしも解決ができたなら」
「なんかご褒美でももらえるっすかっ」
七美は意味ありげに笑い、大木場の耳元に口を寄せる。
こんな誰もいない場所で内緒話もないが、『こっそり』との演出をしてあげたかった。
「なんとっ、三倉とデートする機会を与えてあげようジャマイカ」
「やった。マジっすか」
大木場は杖にしていた木を放り投げ、子どもみたいに万歳をした。
「がんばりなよ。あとここまで来たら、御神木とやらを見てみたい。君も来るか?」
「はいはい。もちろんお供するっすよー」
またしてもふたりは足場の悪い野道を歩き出す。
だが揉み手をしてついて行く大木場は、不意に足を止めると、急に辺りを見渡しはじめた。
「あのー……、誰かがいる気がしませんか……」
その問いに七美はふり向きもしない。
ただ前を見据えたまま、こともなげに返した。
「君にもわかるか。この『あやかしのものたち』が――」
七美の額には『玉のような』ではなく、どこか粘土質を帯びた、『嫌な汗』をかいている。
彼女はとっくに気がついていた。悪鬼の如く、禍々しい存在が、視界の隅で蠢いているのを。
「じょ、冗談を言わないでくださいよ」
「ごめんごめん。あたしの錯覚とばかり思っていたんだ」
謝っているわりには、よけいに怖がらせる言葉を被せてしまった。
なにかフォローしようと、七美が口を開いたそのとき――。
突如として彼女の栗色の髪が、意思を持ったみたいに暴れはじめる。
深い木々に囲まれているにもかかわらず、目も開けられないほど、荒々しい風が吹いた。
「君はここで待機っ」
「は、は、はいぃー」
本能的に危険を察知する七美。ただの伝承であり、呪いなんて実在しないとわかってはいる。
しかし夢のなかにいるみたいに、もうひとつの意識があり、自分でも制御ができない。
今、自身の目の前にいるのは白装束を着た女性。悲しそうな表情を浮かべ、じっとこちらを見つめていた。
「どいてちょうだい」
七美は眉をひそめるが相手は動かない。これは自身が作りだした幻影であり、臆する必要なんてまったくない。
かまわずに女性の傍らをすり抜けていくと、その先にある光景に愕然とした。
「あれが……、御神木……」
直径二メートルはある巨大な樫の木が真っすぐ上へ伸びている。
立派な枝ぶりからも数百年は経っているよう見受けられ、神々しいオーラを放っていた。
「おぞましいわね」
しかし、それ目にした七美の真反対の感想をもらす。
巨木の周囲には、藁で編んだ人形が鈴なりとなっており、まるで怨嗟の念が渦巻いているようだった。
「――もう見たくない」
吐き捨てるようにつぶやくと、七美は踵を返す。
白装束姿の女性はまだ立っており、しつこく目を合わせてこようとしていた。
「あたしは帰るから。あんたはそこで一生、誰かを呪ってなさい」
すれ違いざま、肩越しに投げかけると、女性はゆっくりと口を開いた。
『……あのひとから手を……引け』
くるしげな声をあげ、自分を睨んでくる。
だが、その顔にどこか見覚えもあった。
「あのひとから手を引け?」
相手の姿が透けてゆき、やがて消える。
なぜ自身の脳内で作った幻影が、そんなことを言ったのか理解できなかった。
「もっそい顔色がすぐれませんが、どうされましたか」
帰り道に差し掛かると、待機を命じられていた大木場が、駆け寄ってくる。
七美は膝が折れそうになるのを堪えると、努めて明るい声で言った。
「気にしないで。疲れているから変なのを見ちゃった。ところでお昼にしよっか。なにが食べたい?」
筋肉で覆われた、分厚い胸筋を指で突く。
しかし次の瞬間、急に自我が消失し、大木場へと倒れ込んだ。
「うわあぁ、隊長、しっかりしてください。隊長ってば――」
七美はヘルメットのスクリーンを上げ、流れゆく田畑を眺めている。
工業団地から廃村へと向かう風景は、自身の生まれ育った故郷によく似ており、空気に緑の香りが含まれている。
華やかな舞台から身を引いたあとは、夜の雑踏や裏路地しか目にしておらず、この初めてなのに、どこか懐かしい景色を、瞼に焼きつけていた。
「隊長ーこの道で合ってるっすかー」
はしゃぐ彼女をよそに、ちょっぴり不安そうな顔を浮かべている大木場。
いつしかアスファルトは草で覆われ、鬱蒼と茂る森が迫っていたから。
「もうすぐ到着よー。誰かいるかも知れないから、ちょっと離れた場所に止めましょうか」
入り口には木製の立て札があるものの、名前すら読めないくらい朽ち果てている。
鳥居自体は存在しているが、なにを祀っているのか不明なうえ、どうして廃墟になったのかもわかっていない。
高校時代、伝承が好きな友人がおり、その彼女が言うには、かならずしも神社には『神様』が住むわけではなく、地元の荒くれ者や、村にやって来た無法者を村民たちが殺し、それを弔うため、神様に仕立てあげた場合もあるという。
『触らぬ神に祟りなし』との言葉通り、事情がわからない以上、不用意に手を合わせるのは控えるようとも聞かされていた。
「なんだか気味が悪いっすね……」
現場へと着いた途端、もっさりとした腐葉土の臭いが鼻を突く。
いつから閉鎖をしたかわからないが、草むらには獣以外のモノが通った跡が残っている。
ところどころ崩れた石段が奥までつづき、取り払われた石碑には、ワイヤーを結わえたまま放置されていた。
「スニーカーで来て大正解だったわね」
ぬかるんだ雑草地に足を取られてしまい、なにか掴んでいないと滑りそうになる。
大木場は落ちていた棒切れを杖にして進み、七美の手を取ってくれていた。
「それにしても暗いっす」
「まだ昼前なのにね」
敷地内は高い樹木に覆われ、陽の光が届かない。
それを深夜、ひとりで儀式を始めるなんて、考えただけでも肌に粟が立った。
「ここの廃神社について、いろいろと検索してみたけれど、あんまり情報が出てこないのよねー」
羽虫の大群が飛び交うなか、枯れた草木を踏みしめてゆくふたり。
人々から忘れられた土地ではあるが、ただの集落にある神社にしては、やたらと大きすぎる印象だった。
「隊長……。あそこにパワーショベルが横転しているっすよ」
「オカルト系の記事を読んだら、神社を取り壊そうとして事故があったと書いていたわね」
「そんな恐ろしい所に入っても、だいじょうぶなんすかね……」
「あった。あれかも」
大木場の問いに答えず、七美は走り出す。
その先には、瓦屋根の崩れ落ちた御社殿があり、賽銭箱の横には積み上げられたキャンバスノートがあった。
「なんすか、それは?」
「さて、なんだと思う」
ここで答えを出して欲しかったが、大木場は丸太みたいな腕を組んだまま動かない。
やがて意を決したように口を開くと、「交換日記」と宣った。
「ぶっぶー、残念です」
「惜しかったっすか?」
「まったくもって掠りもしてない。あたしの予感では順番待ちの予約表よ。店の入り口にある、ウエイティングボードみたいなものね」
呪いの儀式は、他人に見られてはいけない。
丑の刻参りで有名ならば、それなりのハウスルールが存在していると思いついた。
「順番待ち?」
「この儀式は七日七晩つづけるのが正式な方法なの。だから自分の名前ではなく、それこそ呪いたい相手の名前でも書いて予約しておくのよ。でないとバッティングしちゃうでしょ……。あった、ここの日付」
七美は紙面をなぞり、とあるページを撮影する。
「よしっ」とうなずき、スマートフォンをしまうと、大木場にふり返った。
「今日がラストチャンスね」
「今日が?」
「うーん……。でもその前に落としたことがあるか聞いておかないとダメかな」
「誰に尋ねるんすか?」
「もちろん山田さんによ。それさえ確認したら事件は終り。被害者の警護は不要よ」
「『終り』って、もう犯人がわかったんすか」
「そうよ。わかるでしょ。普通」
「いや、わからないでしょ。普通」
ふたりは顔を見合わせ、瞬きをくり返す。
――これは異なことを。
お互い、そう言いたげな表情だった。
「そっかー、じゃあ犯人を当ててみて。もしも解決ができたなら」
「なんかご褒美でももらえるっすかっ」
七美は意味ありげに笑い、大木場の耳元に口を寄せる。
こんな誰もいない場所で内緒話もないが、『こっそり』との演出をしてあげたかった。
「なんとっ、三倉とデートする機会を与えてあげようジャマイカ」
「やった。マジっすか」
大木場は杖にしていた木を放り投げ、子どもみたいに万歳をした。
「がんばりなよ。あとここまで来たら、御神木とやらを見てみたい。君も来るか?」
「はいはい。もちろんお供するっすよー」
またしてもふたりは足場の悪い野道を歩き出す。
だが揉み手をしてついて行く大木場は、不意に足を止めると、急に辺りを見渡しはじめた。
「あのー……、誰かがいる気がしませんか……」
その問いに七美はふり向きもしない。
ただ前を見据えたまま、こともなげに返した。
「君にもわかるか。この『あやかしのものたち』が――」
七美の額には『玉のような』ではなく、どこか粘土質を帯びた、『嫌な汗』をかいている。
彼女はとっくに気がついていた。悪鬼の如く、禍々しい存在が、視界の隅で蠢いているのを。
「じょ、冗談を言わないでくださいよ」
「ごめんごめん。あたしの錯覚とばかり思っていたんだ」
謝っているわりには、よけいに怖がらせる言葉を被せてしまった。
なにかフォローしようと、七美が口を開いたそのとき――。
突如として彼女の栗色の髪が、意思を持ったみたいに暴れはじめる。
深い木々に囲まれているにもかかわらず、目も開けられないほど、荒々しい風が吹いた。
「君はここで待機っ」
「は、は、はいぃー」
本能的に危険を察知する七美。ただの伝承であり、呪いなんて実在しないとわかってはいる。
しかし夢のなかにいるみたいに、もうひとつの意識があり、自分でも制御ができない。
今、自身の目の前にいるのは白装束を着た女性。悲しそうな表情を浮かべ、じっとこちらを見つめていた。
「どいてちょうだい」
七美は眉をひそめるが相手は動かない。これは自身が作りだした幻影であり、臆する必要なんてまったくない。
かまわずに女性の傍らをすり抜けていくと、その先にある光景に愕然とした。
「あれが……、御神木……」
直径二メートルはある巨大な樫の木が真っすぐ上へ伸びている。
立派な枝ぶりからも数百年は経っているよう見受けられ、神々しいオーラを放っていた。
「おぞましいわね」
しかし、それ目にした七美の真反対の感想をもらす。
巨木の周囲には、藁で編んだ人形が鈴なりとなっており、まるで怨嗟の念が渦巻いているようだった。
「――もう見たくない」
吐き捨てるようにつぶやくと、七美は踵を返す。
白装束姿の女性はまだ立っており、しつこく目を合わせてこようとしていた。
「あたしは帰るから。あんたはそこで一生、誰かを呪ってなさい」
すれ違いざま、肩越しに投げかけると、女性はゆっくりと口を開いた。
『……あのひとから手を……引け』
くるしげな声をあげ、自分を睨んでくる。
だが、その顔にどこか見覚えもあった。
「あのひとから手を引け?」
相手の姿が透けてゆき、やがて消える。
なぜ自身の脳内で作った幻影が、そんなことを言ったのか理解できなかった。
「もっそい顔色がすぐれませんが、どうされましたか」
帰り道に差し掛かると、待機を命じられていた大木場が、駆け寄ってくる。
七美は膝が折れそうになるのを堪えると、努めて明るい声で言った。
「気にしないで。疲れているから変なのを見ちゃった。ところでお昼にしよっか。なにが食べたい?」
筋肉で覆われた、分厚い胸筋を指で突く。
しかし次の瞬間、急に自我が消失し、大木場へと倒れ込んだ。
「うわあぁ、隊長、しっかりしてください。隊長ってば――」
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