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第三章 呪いのルール
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――同刻。
小雨が降りはじめたにもかかわらず、吉野木は電柱に体を預けたまま動かない。
幾度となく前かがみとなり呼吸を整えるも、決して座ろうとはせず、すでに六時間以上が経過していた。
「……雨か」
はね返る水滴が大きくなり、スラックスの裾を濡らしていく。
行き交う人々は一瞥したあと通り過ぎ、今は風景の一部となっていた。
「あの……この傘を使いませんか」
またも店内から小柄な少年が駆け寄ると、薄水色の傘を差し出してくる。
しかし吉野木は、軽く彼を見たあと「失せろ」と顎で店を差した。
「予報では、ずっと雨です、あまり濡れるとお体に障りますよ」
店員は傘を広げ、渡そうとする。
だが吉野木は、苛立ったように手を上げると、それを振り払った。
「うるせぇな、俺にかまうな」
「……すみません」
そのやり取りが聞こえなくとも、なにが起きたのか、ひと目でわかる。
窓越しで食事をしていた客たちは会話を止め、吉野木の蛮行に眉をひそめていた。
小雨が降りはじめたにもかかわらず、吉野木は電柱に体を預けたまま動かない。
幾度となく前かがみとなり呼吸を整えるも、決して座ろうとはせず、すでに六時間以上が経過していた。
「……雨か」
はね返る水滴が大きくなり、スラックスの裾を濡らしていく。
行き交う人々は一瞥したあと通り過ぎ、今は風景の一部となっていた。
「あの……この傘を使いませんか」
またも店内から小柄な少年が駆け寄ると、薄水色の傘を差し出してくる。
しかし吉野木は、軽く彼を見たあと「失せろ」と顎で店を差した。
「予報では、ずっと雨です、あまり濡れるとお体に障りますよ」
店員は傘を広げ、渡そうとする。
だが吉野木は、苛立ったように手を上げると、それを振り払った。
「うるせぇな、俺にかまうな」
「……すみません」
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