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第六章 十三人目
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「――ラララー、ララーラーララー、フンフフン」
七美は病室での捜査会議後、タクシーに乗ってスーパーへと行き、ワインと海鮮手巻きの材料を購入していた。
大人の女性に許される贅沢な時間。それは彼氏や友人たちと呑むのではなく、誰に気兼ねすることなく、ひとりだけで嗜む美酒。
しかもタブレットを持ってきてもらったので、大好きなドラマでも見ながら過ごそうと決めていた。
「久しぶり。逢いたかったわよん」
ボトルの前で頬杖をつき、その優雅な曲線美に、しばし見惚れる。
ひとしきりニヤついたあと、いつも持ち歩いているマルチツールナイフから、コークスクリューを親指で押し上げた。
「嗚呼、コルクの感触すら愛おしい」
それなりに力も要り、いつもなら渋々している作業だが、今は笑顔しかこぼれてこない。
万感の思いを込め、栓を外した途端、ワイン特有の甘い香りがあふれ出し、無機質な室内を一つ星レストランへと変えていった。
「なんて豊潤な香りなの……」
喘ぎ声にも似たため息を交え、薄手のグラスへと注いでいく。
視覚と嗅覚による刺激をたのしみ、いざグラスの細い脚部へと指を這わせたそのとき――。
まるで狙いすましたかの如くスマートフォンが鳴り、それは今回の依頼者である再就職刑事からだった。
『平良の診断結果がわかったぞい』
「どうでしたか」
『流行りのウィルスや、季節はずれのインフルエンザでもなく、ただの風邪との話じゃ。病院に着いたら熱も下がっていたらしく、元気そうじゃったらしい』
「つまりホントに体調が悪かったのか、診断できなかったわけね」
テーブルに寿司ネタを広げ、ひとり宴会の準備をする七美。
鮮やかなピンク色をしたネギトロに目をやり、またしても微笑んでしまった。
『あと気になる目撃証言を看護師さんから拾ってのぉ。なんでも彼女は待合室で合掌していたそうじゃ』
「ガッショウ? お手々の皺と皺を合わせるほうの?」
『そらそうじゃ、大地讃頌でも歌っとったら変じゃろが』
「たしかに気にはなりますね……」
『しかも時刻は、ちょうど麦仲が刺されたころじゃ』
七美は押し黙り、その行為の意味を考える。
とにかく喉を潤そうと、グラスを持ち上げた瞬間、自身の額を軽く叩いた。
「あー、しまったー」
赤ワインを買ったあと、衝動的に寿司を選んでしまったが、和食には、だんぜん白。
ちょっぴり悔しい気持ちになりつつも、早くワインと一緒にかぶりつきたかったので、そこは諦めるしかなかった。
『どうしたんじゃ?』
「なんでもありません。そのあと平良は普通に運転して帰ったのでしょうか」
『どういうわけか診察が終わってもロビーにおったらしいのじゃ』
「わざとアリバイを作っているようにも見受けられますね……。もう少し彼女の近辺を洗うことは可能ですか?」
『わかった。今晩の捜査会議で提案してみるぞい』
通話が切れるや否や、今度は三倉から連絡が入る。なかなか寿司を巻けないでいた。
『隊長。吉野木のマンションに明かりがありません。留守のようでございます――』
彼女は死角になる位置で張っているらしいが、対象者は何処かに出ているとのこと。
次にどうすればいいのか尋ねてきたので、そのまま見張れと伝えた。
『かしこまりました。ところで隊長。まさかとは思いますが、病室にお酒を持ちこんでいませんよね』
「…………………………もちろんだ」
この七美という女性は根っからの正直者で、びっくりするくらい嘘をつくのが下手。
さんざん三倉に叱られたあと、矢継ぎ早に大木場から連絡が入った。
「あたし、ぜんぜん巻けないんだけどさー」
『なんの話っすか』
「いいの。聞き流してちょうだい」
ビデオ通話にして、彼が映す事件現場に目をやる。
いつもと違い画面が小さすぎるので、タブレットに接続して、スタンドに立てかけた。
「これでやっと巻けるわね」
『さっきから、なんの話っすか』
太い首を傾げる大木場のシルエットが映ったが、ほんの一瞬だけ。
大通りからつづく最後の街灯だったらしく、いきなり辺りは真っ暗闇となった。
「ホントに裏路地なのね」
『そうすっね。今、ライトを点けます』
小雨の降るなか、進む先々が正面となって、画面に映し出される。
まるでVR機器でホラーゲームをしている感覚となり、七美はこめかみに指を添えた。
「あたし酔ってきた。まだ飲んでないのに」
『さーせん。辛抱してください』
麦仲が土曜日になると顔を出していたクラブから、タクシー乗り場へは徒歩で十分近くはかかる。
しかしショートカットする形で、この裏道を使えば半分の距離で済み、事件当夜の彼は、この明かりひとつない細道を歩いていたらしかった。
「ほかにひとはいる?」
『猫ちゃん一匹いないっすよ』
「ふーん。待ち伏せには、お誂え向きの通りね」
ゴミ箱や室外機があるだけの、入り組んだ細道。
前から誰か歩いてくれば、どちらかが譲らなければならないほどの狭さだった。
『あー、ここっすね。ドラマでよく見るテープがありますよ』
ビル同士のあいだには、わずかな空間があり、そこは主に空調設備のメンテナンスをおこなう通路となっている。
麦仲の殺害された場所は、現場検証が終わっているものの、まだ立ち入りが許されておらず、キープアウトテープが残っていた。
「そこで用を足していたところを刺されたのね」
ようやく両手が使えた七美は、イカとイクラの入った寿司を丸めはじめる。待ちに待った至福の瞬間を迎えようとしていた。
『そうみたいっすね。でもって次はタクシー乗り場まで移動しますか?』
「ねぇ、大木場。殺害現場を中心に周りを映してくれないかな」
巻きおわったイカイクラ寿司を横に置き、ワイングラスへと手を伸ばす。
この環境でリモートできるのなら、事務所なんて要らないのでは? そんなことも思いはじめた。
『ぐるーと、ぐるーと、ぐるーとこんな感じっすか』
「はい。スットップ。それはなに?」
七美が止めた先には、一枚の捨て看板が電柱に立てかけてある。
その裏へと回った大木場が身をかがませると、さらに待ち伏せには最適のスペースとなった。
『こんな感じで犯人が隠れていたんすか……』
「いつも麦仲は裏通りを使っていたのよね? たまたま用を足したから建物の隙間に入ったけれど、そのままタクシー乗り場に向かったとしても、けっきょくは背後から刺されていたんじゃないかしら」
『そうっすね。ここで立ちションするってことは、誰も通ってなかったと思います』
「すなわち計画的である可能性が高いか……。どうもありがと。もう帰っていいわよ」
七美はタブレットのスイッチを切り、手にしたワイングラスを見つめる。
現場からレポートでは、事前に下調べしていた様子がうかがえ、このたびの事件に関しては、場当たり的な犯行ではないとの結論が出た。
「あとは犯人か……」
護衛する際のノウハウが役に立ち、どこに隠れていたかは推測ができた。
だが自分たちは警察や探偵ではなく、ただの警備会社であり、高橋の挙げた容疑者からは絞り込むことができなかった。
「もしかして十三人目の刺客が存在するのかな……?」
仮にそうだとしても門外漢の自分が突き止められるわけがない。
警察の捜査手段とは別のアングルからアプローチするしかなかった。
「まぁ、いいや。ドラマを見てから考えよう」
いったん事件の話は置いておき、夕食をとろうとする。
するとノックもせずにドアがスライドされ、怖い顔をした看護師が入ってきた。
「三倉さんって方から電話があったわよ。あなたどうして入院しているかわかっているの」
「はうぅ、すいません」
ワインは没収され、寿司だけが残された。
七美は病室での捜査会議後、タクシーに乗ってスーパーへと行き、ワインと海鮮手巻きの材料を購入していた。
大人の女性に許される贅沢な時間。それは彼氏や友人たちと呑むのではなく、誰に気兼ねすることなく、ひとりだけで嗜む美酒。
しかもタブレットを持ってきてもらったので、大好きなドラマでも見ながら過ごそうと決めていた。
「久しぶり。逢いたかったわよん」
ボトルの前で頬杖をつき、その優雅な曲線美に、しばし見惚れる。
ひとしきりニヤついたあと、いつも持ち歩いているマルチツールナイフから、コークスクリューを親指で押し上げた。
「嗚呼、コルクの感触すら愛おしい」
それなりに力も要り、いつもなら渋々している作業だが、今は笑顔しかこぼれてこない。
万感の思いを込め、栓を外した途端、ワイン特有の甘い香りがあふれ出し、無機質な室内を一つ星レストランへと変えていった。
「なんて豊潤な香りなの……」
喘ぎ声にも似たため息を交え、薄手のグラスへと注いでいく。
視覚と嗅覚による刺激をたのしみ、いざグラスの細い脚部へと指を這わせたそのとき――。
まるで狙いすましたかの如くスマートフォンが鳴り、それは今回の依頼者である再就職刑事からだった。
『平良の診断結果がわかったぞい』
「どうでしたか」
『流行りのウィルスや、季節はずれのインフルエンザでもなく、ただの風邪との話じゃ。病院に着いたら熱も下がっていたらしく、元気そうじゃったらしい』
「つまりホントに体調が悪かったのか、診断できなかったわけね」
テーブルに寿司ネタを広げ、ひとり宴会の準備をする七美。
鮮やかなピンク色をしたネギトロに目をやり、またしても微笑んでしまった。
『あと気になる目撃証言を看護師さんから拾ってのぉ。なんでも彼女は待合室で合掌していたそうじゃ』
「ガッショウ? お手々の皺と皺を合わせるほうの?」
『そらそうじゃ、大地讃頌でも歌っとったら変じゃろが』
「たしかに気にはなりますね……」
『しかも時刻は、ちょうど麦仲が刺されたころじゃ』
七美は押し黙り、その行為の意味を考える。
とにかく喉を潤そうと、グラスを持ち上げた瞬間、自身の額を軽く叩いた。
「あー、しまったー」
赤ワインを買ったあと、衝動的に寿司を選んでしまったが、和食には、だんぜん白。
ちょっぴり悔しい気持ちになりつつも、早くワインと一緒にかぶりつきたかったので、そこは諦めるしかなかった。
『どうしたんじゃ?』
「なんでもありません。そのあと平良は普通に運転して帰ったのでしょうか」
『どういうわけか診察が終わってもロビーにおったらしいのじゃ』
「わざとアリバイを作っているようにも見受けられますね……。もう少し彼女の近辺を洗うことは可能ですか?」
『わかった。今晩の捜査会議で提案してみるぞい』
通話が切れるや否や、今度は三倉から連絡が入る。なかなか寿司を巻けないでいた。
『隊長。吉野木のマンションに明かりがありません。留守のようでございます――』
彼女は死角になる位置で張っているらしいが、対象者は何処かに出ているとのこと。
次にどうすればいいのか尋ねてきたので、そのまま見張れと伝えた。
『かしこまりました。ところで隊長。まさかとは思いますが、病室にお酒を持ちこんでいませんよね』
「…………………………もちろんだ」
この七美という女性は根っからの正直者で、びっくりするくらい嘘をつくのが下手。
さんざん三倉に叱られたあと、矢継ぎ早に大木場から連絡が入った。
「あたし、ぜんぜん巻けないんだけどさー」
『なんの話っすか』
「いいの。聞き流してちょうだい」
ビデオ通話にして、彼が映す事件現場に目をやる。
いつもと違い画面が小さすぎるので、タブレットに接続して、スタンドに立てかけた。
「これでやっと巻けるわね」
『さっきから、なんの話っすか』
太い首を傾げる大木場のシルエットが映ったが、ほんの一瞬だけ。
大通りからつづく最後の街灯だったらしく、いきなり辺りは真っ暗闇となった。
「ホントに裏路地なのね」
『そうすっね。今、ライトを点けます』
小雨の降るなか、進む先々が正面となって、画面に映し出される。
まるでVR機器でホラーゲームをしている感覚となり、七美はこめかみに指を添えた。
「あたし酔ってきた。まだ飲んでないのに」
『さーせん。辛抱してください』
麦仲が土曜日になると顔を出していたクラブから、タクシー乗り場へは徒歩で十分近くはかかる。
しかしショートカットする形で、この裏道を使えば半分の距離で済み、事件当夜の彼は、この明かりひとつない細道を歩いていたらしかった。
「ほかにひとはいる?」
『猫ちゃん一匹いないっすよ』
「ふーん。待ち伏せには、お誂え向きの通りね」
ゴミ箱や室外機があるだけの、入り組んだ細道。
前から誰か歩いてくれば、どちらかが譲らなければならないほどの狭さだった。
『あー、ここっすね。ドラマでよく見るテープがありますよ』
ビル同士のあいだには、わずかな空間があり、そこは主に空調設備のメンテナンスをおこなう通路となっている。
麦仲の殺害された場所は、現場検証が終わっているものの、まだ立ち入りが許されておらず、キープアウトテープが残っていた。
「そこで用を足していたところを刺されたのね」
ようやく両手が使えた七美は、イカとイクラの入った寿司を丸めはじめる。待ちに待った至福の瞬間を迎えようとしていた。
『そうみたいっすね。でもって次はタクシー乗り場まで移動しますか?』
「ねぇ、大木場。殺害現場を中心に周りを映してくれないかな」
巻きおわったイカイクラ寿司を横に置き、ワイングラスへと手を伸ばす。
この環境でリモートできるのなら、事務所なんて要らないのでは? そんなことも思いはじめた。
『ぐるーと、ぐるーと、ぐるーとこんな感じっすか』
「はい。スットップ。それはなに?」
七美が止めた先には、一枚の捨て看板が電柱に立てかけてある。
その裏へと回った大木場が身をかがませると、さらに待ち伏せには最適のスペースとなった。
『こんな感じで犯人が隠れていたんすか……』
「いつも麦仲は裏通りを使っていたのよね? たまたま用を足したから建物の隙間に入ったけれど、そのままタクシー乗り場に向かったとしても、けっきょくは背後から刺されていたんじゃないかしら」
『そうっすね。ここで立ちションするってことは、誰も通ってなかったと思います』
「すなわち計画的である可能性が高いか……。どうもありがと。もう帰っていいわよ」
七美はタブレットのスイッチを切り、手にしたワイングラスを見つめる。
現場からレポートでは、事前に下調べしていた様子がうかがえ、このたびの事件に関しては、場当たり的な犯行ではないとの結論が出た。
「あとは犯人か……」
護衛する際のノウハウが役に立ち、どこに隠れていたかは推測ができた。
だが自分たちは警察や探偵ではなく、ただの警備会社であり、高橋の挙げた容疑者からは絞り込むことができなかった。
「もしかして十三人目の刺客が存在するのかな……?」
仮にそうだとしても門外漢の自分が突き止められるわけがない。
警察の捜査手段とは別のアングルからアプローチするしかなかった。
「まぁ、いいや。ドラマを見てから考えよう」
いったん事件の話は置いておき、夕食をとろうとする。
するとノックもせずにドアがスライドされ、怖い顔をした看護師が入ってきた。
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