公爵令嬢の辿る道

ヤマナ

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5度目の世界で

王都のバザー・後編

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本当に、どうしてこうなってしまったのかしら。 目の前にいる人物の登場に、困惑すればいいのか頭を抱えればいいのか……。
なぜこんな所に、この国の王太子であらせられるジーク・ライラ・アリステル殿下がいらっしゃるのでしょうかね。

「ちょっとごめんなさいね。 知っている方がいらっしゃったから挨拶をしてくるわ」

とりあえず、ジークを無視するわけにもいかず、私自身も困惑が払拭できずにいるので、ジークから事情を聞くために子供達と一旦距離を取る。 いくら田舎から遊びに来ただけの子供達だけしかいないとはいえ、市井の中に王太子殿下がいると知れるなんて大問題すぎる。

「ご機嫌麗しゅうございます」

「ああ、やっぱりエリーナ嬢だったか。 しかし珍しい所で合うものだね」

「ええ、そうですね……ところで、どうしてこちらに? こんなところにいらっしゃるなんて、意外というか……」

むしろ縁遠い場所ですよね、そう口から零れそうになって口を噤む。 王太子であるジークの行動指針がどうあれ、それを決めつけるような発言は不敬だからだ。

「いやなに、俺だってたまには王城を抜け出して市井を見て回る事もあるからね。 それにお祭り騒ぎは嫌いじゃないんだ」

つまり、視察兼遊楽のために城下にいらっしゃったという事のようだ。 
もっとも、抜け出して来たと言っている辺り非公式な外出らしく、ジークが消えたと王城が騒ぎになっている可能性も否めないのだけれど。 当の本人は悪びれるでもなく飄々としているので、私もジークを見なかった事にしようかしら。

「ところで、エリーナ嬢はなぜここに? 事情は俺と同じように見えるけど」

ジークが私の格好を見て、そう評する。
確かに、今日の私はいつも孤児院に行く時の裕福な平民風の服を着ているし、学園ではバレッタやカチューシャを付けている髪もヘアゴムで一束に纏めているだけで、化粧も最低限の日焼け止めとリップクリームを塗っているだけである。
対するジークは少し着古したようなヨレた平民服を着て、いつも眩しいくらいの金髪は心なしかくすんだように輝きを失っている。 ジークの事を知っている人が今の彼の姿を見ても、これがこのアリステル国の王太子だとは思わないだろう。

「実は知り合いに頼まれまして、あちらの子達の面倒を見ています。 ここに訪れたのも、あの子達の引率としてですので」

「なるほどね。 わざわざ公爵令嬢であるエリーナ嬢に子守を頼むだなんて、相手方はなかなかの御仁なのかな」

私に頼んできたのは田舎教会の一介のシスターなのですけど。

「事情がありますので。 それと、ここでは私の事はラナとお呼びください。 公爵令嬢と知られると色々と問題がありますので」

庶民のフリをして、しょっちゅうあの子達の元へ遊びに出向いているだなんてわざわざ言うこともあるまい。 そもそも教えたら、事これについては前科のあるジークはまた誰かに喋りそうだから、むしろ言えない。

「そうか、分かったよ。 ところで、昼食の邪魔をしてしまったようで、すまなかったね……おや」

不意にジークの視線が私から外れた。 何か、私の後ろに目が行っているようだけれど。

「なーなーラナ姉、まだはなしおわんねーのー?」

居たのは、「はらへったー! 」と主張しに来たワイリーと、そんな彼を「じゃましちゃダメだよ!」と引き止めに来たエルマだった。

「だれだ、兄ちゃん。 兄ちゃんのせいでラナ姉のサンドイッチくえねーじゃん! エルマとヤーラがラナ姉がかえってくるまでたべちゃダメとかいうしさー、せっかくうまかったのに」

文句を言う割には、ちゃっかり1人だけつまみ食いをしていたらしい。 エルマに視線をやると、呆れたように首を横に振っていた。
そして私も、いくらお忍びで正体を隠しているとはいえあれだけ堂々とこの国の王太子に文句を言うワイリーに私は内心ハラハラドキドキしていた。 心労的な意味で。

「ああ、お姉さんを引き留めてしまってごめんね……ところで、ラナ姉のサンドイッチって、ひょっとして彼女の手作りなのかな?」

何を聞いているのでしょうこの王太子殿下。 たかがサンドイッチになぜ興味を示されるのでしょうかねぇ。

「そうだぞ。 ラナ姉がつくってきたっていってた、ぐちゃぐちゃだったけどなー」

なははー、なんて呑気に笑いながら余計な事を言わないでよワイリー! というか、サンドイッチがぐちゃぐちゃになったのはあなたのせいなのだけど!

「そうなのかい。 ところで、俺も昼はまだなんだ。 よければ一緒に彼女の作ったサンドイッチをいただいてもいいかな?」

「たくさんあったし、いいぞ。 なあなあラナ姉、この兄ちゃんがラナ姉のサンドイッチたべたいって」

へらへらしながら平然と事後承諾を押し付けてくるワイリーに、期待した目でこっちを見るジーク。 片や田舎孤児院の少年に、片やこの国の王太子という異例の組み合わせ。 
いくらお忍び中で、いくら平民の少年と仲良くして、いくら下手にお願いの体をとっていても、結局は王太子殿下の頼みである事に変わりはなく、つまりは断るという選択肢が端から欠落している。

「ええどうぞお好きなように」

なので、気分はもはや投げやりであった。


  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


私と子供達とに紛れて、ジークはなぜか昼食後もバザーを付いて回ってくる。 
さすがにジーク・ライラ・アリステルと名乗る訳にもいかない彼は、自身の事をリードと名乗った。 それがジークのお忍びの際の名前らしい。
人当たりが良く、また人との付き合いそのものが王族としての役割でもあるジークはあっさりと子供達とも馴染んだ。 唯一エルマだけは人見知りなために現状ではコミュニケーションがとれていないが、ワイリーを始めとしてヤーラもダイもアンも、ジークに懐いているように見える。

「ねぇねぇ、ラナさん。 あのひとがおうじさま?」

ジークの存在に馴染めず、私の腕にひしっと捕まっていたエルマが発した質問に、思わずギクリとなる。

「エ、エルマちゃん? あの人が王子様ってどういう事?」

「ちがうの? あのひとが、ラナさんのうんめいのひとじゃないの? まえによんでもらったほんで、うんめいのひとのことをおうじさまっていうんだっておしえてくれたでしょ?」

その返答に、とりあえずホッとした。 
考えてみれば当たり前だが、王都とすらまともに接点のないエルマがジークの事を王族の人間であるなんて分かるはずもないのだ。
ジークは、今日に限っては私の知り合いの男性であるリードで、断じて王族に名を連ねる王太子殿下ではないのだから。

「あの人は、別の人の王子様よ。 私の王子様は別にいるのよ、多分」

そう、彼は私の王子様でもない。 
もう既に認めた事実であり、覆せない現実であり、諦めた可能性の偶像である。
ジークは私の王子様でなく、そして私に運命の人など存在しない。 しかし、純真無垢な少女の夢を崩さないために、嘘を吐く。
そして言い聞かせるのだ。 
この嘘が祈りであってはならないと、期待してはいけないと。
もう何度目かにもなる戒めの警句を繰り返して可能性と期待を払拭するために、そしてそれを自らに言い聞かせるために。
しかし、いつもなら私から否定の言葉を聞いたらすぐに「そうなんだ」と興味なさげにするエルマが、今日はなぜか不思議そうに私を見ている。

「そうなの? でも……」

「2人とも、次は大通りから少し外れた場所にあるアンティークの小物店に行こうと皆で話していたんだ。 2人もそこに行くので構わないかな?」

何か言いかけたエルマを遮る形でジークの声が被った。 
先の質問への返答かエルマが小さくコクリと頷いたので、私も「構いません」と答える。
結局、エルマが何を言おうとしたのかは分からずじまいだけれど、今どうしても聞くべき事でもないとして、前を行くジーク 一行とはぐれないようについていく。

着いた先の小物店では、ヤーラが一つのカップを買うか買わないかで大分悩んでいたり、ダイとアンがお揃いのペンを買ってはしゃいでいたり、私にべったりのエルマと店内を見て回ったり、つまらないとむくれるワイリーの話し相手になっているジークの姿が見られたりした。
多弁で話題の多いジークは、話していてすぐにワイリーの好みを把握したらしく、今は剣術の話をしているようで、壁に飾られている模造剣を眺めながら何やら話し込んでいる。
ああして見ているとジークは気のいいお兄さんだ。 でも決して、余人に心を許し過ぎないだけの、王太子としての自覚もある。
ああいう風な万人向けの人当たりの良さにやられて、昔はそれだけで苛烈に迫り、筋違い勘違いな恋情を叫んでいたなぁと忘れ去りたい思い出がちらほらと浮かんでは消える。
ジークに対して未練もなければ、そもそも私生活に干渉させたくもなかった。 でも、なぜか今はお互いに身分を隠して、子供達まで連れて、市井のイベントを楽しんでいる。
どういう星の巡り合わせか、それとも神様の気まぐれか。

「ラナ嬢、これをどうぞ。 俺からの奢りだ。 ほら、エルマちゃんの分も」

そうして2人分手渡されたのは、噂に聞くりんご飴というものだった。
市井の屋台では定番のものらしく、小ぶりのりんごを甘煮でコーティングしたスイーツである。
先ほど手渡された分の他にも、ワイリー達も買ってもらっているようで皆一様にりんご飴にかぶりついていた。

「ありがとうございます、リード様。 まさか全員にご馳走していただくだなんて」

「いや何、昼のサンドイッチの礼だよ。 だから気にしないでくれ」

ジークはそう軽々しく言うけれど、形が崩れて見苦しいサンドイッチと、出店で売っている所謂お祭り価格のりんご飴6本ではどう考えても釣り合いがとれていない。 

「いえ、せめて何かお礼として私も奢り……申し訳ありません、今は手持ちのお金が。 また後日、改めて何かお礼を」

「いや、構わないよ。 これは私が勝手に買ってきたんだ、そういう事は気にしなくていいよ。 それに、普段から君には世話になっているんだから、これくらいはしなくてはね。 さて、俺はもう帰らなくてはな。 ではまたね、ラナ嬢」

そう言うと、ジークは踵を返して歩いて行った。 次第に人混みに紛れて完全に姿が見えなくなると、私は小さくため息をついた。
いくらジークが相手といえども、やはり王族の相手をするのは神経が削れる。
りんご飴を一口齧ると強烈な甘みとりんごの風味が口内に広がり、少し疲労が和らいだように感じる。

「それじゃあ、私達も帰りましょうか」

時間は既に夕刻間近。 ピューラとの約束で、子供達は日暮れ前には帰らなくてはならないので、王都散策はこれまでだ。
子供達は初めての王都での1日に興奮冷めやらぬようで、皆はしゃいでいる。

「ラナさん」

唯一、エルマだけはりんご飴を頬張りながら隣を歩いている。 
ジークがいる間はあまり口を開かなかったエルマが私を見上げて、何かを言いたげにしていた。

「なあに?」

「さっきのつづきだけどね」

さっきのつづき、と言われて一瞬分からなかったが、そういえばエルマは私の運命の人の話の後で何かを言おうとしていた。
何を言おうとしていたのかと気になる私は、そのままエルマの言葉を待つ。

「あのお兄さんをみてるときは、いつもとちがったね」

「……? 何が、どう違ったの?」

「よくわからないけど、とにかくなにかちがったの」

エルマの言葉は要領を得ず、私では理解の及ばなかった。 
エルマの感覚論からなる私の違和感についてという事は分かるのだけれど、具体的に私の何が違っていたのかは分からない。
私がジークといる時の話らしいけれど、どういう事なのか。
エルマ達を教会に送り届けて、皆にお別れをしてから公爵邸に帰るまでずっと考えたが、結局どういう事なのかは分からなかった。

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