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三章 逢瀬
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「お母さん、大丈夫? 変じゃない?」
姿見の前でくるくると回りながら、おかしなところがないかチェックする。
「大丈夫よ。どこから見ても美人さんよ。水色の浴衣って初めて買ってみたけど、可愛いわね」
「本当に可愛いよね! 買ってくれてありがとー! ピンクにするか悩んだけど、この色にして良かった」
「お母さんも新しい浴衣欲しかったから楽しかったわ。さてと、お母さんも自分の着付けしちゃうから、あなたはリビングで時間まで寛いでいなさい」
「はーい」
今日は、待ちに待ったお祭りの日だ。
約束したのが一月前だったから、一ヶ月がとても長く感じた。
勉強しつつもそわそわとカレンダーを眺めては、「あと何日だ」と呟いた。
奏くんは今日浴衣かな……
誘った時は、浴衣あるか分からないって言ってたから、私服かな。
「あっ、時間だ。お母さん行ってくるねー!」
「はーい、楽しんでー」
「お母さんたちもね」
履き慣れないゲタだと靴擦れして楽しめなさそうな気がしたので、履き慣れたサンダルを履いていく。
もちろんヒールの高さは低いものを選んだ。これで、奏くんの身長は超えないはず。
最近、少し奏くんと身長に差が出てきたので、男の子の成長期ってすごいと感じた。
奏くんの成長期に期待して良かったー。
お祭りの会場で待ち合わせすると人が多くて見つけられなくなりそうだったので、いつもの公園で待ち合わせ。
初めてクッキーたち抜きで二人で会う……デートなんだよね。
早く会いたいと足早に公園に向かうと、すでに奏くんが待っていた。
早めに出たのに……奏くんはいつも先に待っててくれるね。
濃紺色の無地の浴衣が格好良すぎる……
「奏くん、お待たせ」
「おー、なんか照れくさいな」
「ふふっ、そうだね」
改まってデートなんて初めてだから、なんとなく気恥ずかしい。
近所のお祭りだから、お互いのクラスメイトにも出会しそうだけど、奏くんは大丈夫かな?
「ほら、いくぞ」
そういうと奏くんは手を差し出した。
……これは、手を繋ごうと言うことかな? とまじまじと手を見つめてしまう。
「いや、ほら、人が多いから逸れると困るだろ?」
「……うん!」
そっと奏くんの手を取ると、しっかりと握り返してくれて、胸が高鳴っていく。
奏くんはこういうの慣れてるのかな……と彼の方を向くと、耳を真っ赤に染めていた。
可愛い……
今日一日色んな顔の奏くんが見れそうだなと、まだお祭り会場にもついていないのに浮かれていた。
会場の到着すると、すでに多くの人で賑わっていた。
広い空き地の中央に櫓があり、ぐるっと囲むように多くの屋台が出店されている。
いつもながら、色んな屋台が出ていて、見て歩くだけでも楽しい。
金魚すくいやりたいけど……うち、金魚鉢あったっけ?
ちょっとお母さんに聞いてみよう。
「奏くん、ごめん。ちょっとお母さんにメッセージ送ってもいい?」
「いいよ」
ささっとスマホを取り出し、お母さんにメッセージを送ると、すぐに既読がついた。
『確か、物置に入れてあったはず』
『ありがとー! じゃ、金魚すくいしてくねー』
よしっ、これで金魚すくいも楽しめる。
でも、食べ物食べたりとか色々するから、最後にやろうかな。
「奏くん、ごめんね。もう終わったから大丈夫」
「だいぶいきなりだったな」
「金魚すくいが目に入ってきて、やりたいなって思ったんだけど、金魚鉢あったか分からなくてちょっと確認をね」
「あー、なるほど。やるか?」
「ううん、最後にする。先に、何か食べよう? お腹空いたでしょ?」
「そうだな。食べたいのあるか?」
「んー、焼きそばとかたこ焼きとか?」
さっきからソースの美味しそうな匂いが漂っていて、とても食欲をそそられる。
お祭りと言えば定番だよね。
「じゃ……別々に並ぶか。いや、うーん。やっぱり一緒に並ぶか。逸れそうだしな」
「うん。そうしよう」
列に並びながら、周囲を見渡し、どんな屋台があるかを確認していく。
かき氷も食べたいし、りんご飴とかも買いたいな。
奏くんは射的とかはするのかな? 私はそういうの苦手だけど……
「何か気になるものあったか?」
「ねぇ、奏くんって射的とかするの?」
「まぁ、祭りに来たらやる程度だな。それくらいしかやること無くないか?」
「じゃ、あとで射的やろうよ! 私は応援してるから」
「茉莉絵はやらないのか?」
「私は……下手なんだよね」
「ははっ、気にするなよ。一緒に楽しもう」
「……うん。じゃ、やってみようかな」
見てるだけにしようかと思ったけど、奏くんが一緒に楽しもうって言ってくれたお陰で、挑戦してみようと思った。
下手すぎて笑われないかな?
お喋りしている間に列は進み、焼きそばを手にすることができた。
五店舗先にあったたこ焼き屋さんに再度並び直し、またお喋りに花を咲かせる。
ただ並んでるだけなのに、奏くんといるとこんなにも楽しい。
お祭りって最高。
姿見の前でくるくると回りながら、おかしなところがないかチェックする。
「大丈夫よ。どこから見ても美人さんよ。水色の浴衣って初めて買ってみたけど、可愛いわね」
「本当に可愛いよね! 買ってくれてありがとー! ピンクにするか悩んだけど、この色にして良かった」
「お母さんも新しい浴衣欲しかったから楽しかったわ。さてと、お母さんも自分の着付けしちゃうから、あなたはリビングで時間まで寛いでいなさい」
「はーい」
今日は、待ちに待ったお祭りの日だ。
約束したのが一月前だったから、一ヶ月がとても長く感じた。
勉強しつつもそわそわとカレンダーを眺めては、「あと何日だ」と呟いた。
奏くんは今日浴衣かな……
誘った時は、浴衣あるか分からないって言ってたから、私服かな。
「あっ、時間だ。お母さん行ってくるねー!」
「はーい、楽しんでー」
「お母さんたちもね」
履き慣れないゲタだと靴擦れして楽しめなさそうな気がしたので、履き慣れたサンダルを履いていく。
もちろんヒールの高さは低いものを選んだ。これで、奏くんの身長は超えないはず。
最近、少し奏くんと身長に差が出てきたので、男の子の成長期ってすごいと感じた。
奏くんの成長期に期待して良かったー。
お祭りの会場で待ち合わせすると人が多くて見つけられなくなりそうだったので、いつもの公園で待ち合わせ。
初めてクッキーたち抜きで二人で会う……デートなんだよね。
早く会いたいと足早に公園に向かうと、すでに奏くんが待っていた。
早めに出たのに……奏くんはいつも先に待っててくれるね。
濃紺色の無地の浴衣が格好良すぎる……
「奏くん、お待たせ」
「おー、なんか照れくさいな」
「ふふっ、そうだね」
改まってデートなんて初めてだから、なんとなく気恥ずかしい。
近所のお祭りだから、お互いのクラスメイトにも出会しそうだけど、奏くんは大丈夫かな?
「ほら、いくぞ」
そういうと奏くんは手を差し出した。
……これは、手を繋ごうと言うことかな? とまじまじと手を見つめてしまう。
「いや、ほら、人が多いから逸れると困るだろ?」
「……うん!」
そっと奏くんの手を取ると、しっかりと握り返してくれて、胸が高鳴っていく。
奏くんはこういうの慣れてるのかな……と彼の方を向くと、耳を真っ赤に染めていた。
可愛い……
今日一日色んな顔の奏くんが見れそうだなと、まだお祭り会場にもついていないのに浮かれていた。
会場の到着すると、すでに多くの人で賑わっていた。
広い空き地の中央に櫓があり、ぐるっと囲むように多くの屋台が出店されている。
いつもながら、色んな屋台が出ていて、見て歩くだけでも楽しい。
金魚すくいやりたいけど……うち、金魚鉢あったっけ?
ちょっとお母さんに聞いてみよう。
「奏くん、ごめん。ちょっとお母さんにメッセージ送ってもいい?」
「いいよ」
ささっとスマホを取り出し、お母さんにメッセージを送ると、すぐに既読がついた。
『確か、物置に入れてあったはず』
『ありがとー! じゃ、金魚すくいしてくねー』
よしっ、これで金魚すくいも楽しめる。
でも、食べ物食べたりとか色々するから、最後にやろうかな。
「奏くん、ごめんね。もう終わったから大丈夫」
「だいぶいきなりだったな」
「金魚すくいが目に入ってきて、やりたいなって思ったんだけど、金魚鉢あったか分からなくてちょっと確認をね」
「あー、なるほど。やるか?」
「ううん、最後にする。先に、何か食べよう? お腹空いたでしょ?」
「そうだな。食べたいのあるか?」
「んー、焼きそばとかたこ焼きとか?」
さっきからソースの美味しそうな匂いが漂っていて、とても食欲をそそられる。
お祭りと言えば定番だよね。
「じゃ……別々に並ぶか。いや、うーん。やっぱり一緒に並ぶか。逸れそうだしな」
「うん。そうしよう」
列に並びながら、周囲を見渡し、どんな屋台があるかを確認していく。
かき氷も食べたいし、りんご飴とかも買いたいな。
奏くんは射的とかはするのかな? 私はそういうの苦手だけど……
「何か気になるものあったか?」
「ねぇ、奏くんって射的とかするの?」
「まぁ、祭りに来たらやる程度だな。それくらいしかやること無くないか?」
「じゃ、あとで射的やろうよ! 私は応援してるから」
「茉莉絵はやらないのか?」
「私は……下手なんだよね」
「ははっ、気にするなよ。一緒に楽しもう」
「……うん。じゃ、やってみようかな」
見てるだけにしようかと思ったけど、奏くんが一緒に楽しもうって言ってくれたお陰で、挑戦してみようと思った。
下手すぎて笑われないかな?
お喋りしている間に列は進み、焼きそばを手にすることができた。
五店舗先にあったたこ焼き屋さんに再度並び直し、またお喋りに花を咲かせる。
ただ並んでるだけなのに、奏くんといるとこんなにも楽しい。
お祭りって最高。
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