「溺愛ビギナー」◆幼馴染みで相方。ずっと片想いしてたのに――まさかの溺愛宣言!◆

星井 悠里

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第5話 

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「遊んでもいいから、人の目に付かないとこでお願い。写真撮られなければ、オレ、文句は言わないよ?」

 本当は――「オレの目にも入れないで」って言いたい。
 自分の想いが叶うわけないし、期待なんかしてないんだけど……。

 好きすぎて。くるしくなる。記事一つで、勝手に、心臓が痛む。

 ……女の子を、見ようって、努力もしてるし。
 付き合おうとしたり、頑張ってるんだけど。

 さっきみたいな、そういう写真、見せられると、なんかもう、女の子のこととか、どうでもよくなるくらいに。
 結局残るのは――蒼紫への、このどうしようもない気持ちだけ。

 ……オレ、ほんとにずっと、蒼紫が好きすぎるんだ。

「……つーか、さ」

 急に蒼紫の手が伸びてきて、オレの頬に触れた。

「……? なに?」

「お前は、たまんねえの?」
「は? ……って、ばか……!」

 それが下ネタだと気づいた瞬間、カッと赤くなる。
 ぷ、と蒼紫が笑いながら、頬から手を離した。


「なに、こんなので顔赤くして…… これだから童貞は……」
「……つーか、蒼紫、マジで殴らせて」

 睨んでそう言うと。

「冗談」

 軽くかわされて、結局殴れず終わる。
 まあもともと本気で殴る気なんか、ないけど。
 
 ひとしきりじゃれあうようにバタバタしてた後、もういい、とため息をついて、また椅子に腰かける。
 胸の奥では――さっきの一瞬の頬の熱が、まだ収まらなかった。

「……てかさ、オレ…… 童貞じゃないよ」
「は?」

 一瞬で空気が凍った。  
 蒼紫の目が細められて、低すぎる声が聞こえた。  

「……だから……もう違うから」

 蒼紫の女癖を責めた、このタイミングで話すことじゃなかったかな、と思いながら。
 でももう引っ込められそうにないので、続けて言った。

 すると、すうっと真顔になった蒼紫。

「は?……なにそれ、涼」


 何。
 顔と声、こわいん、だけど。


 ……そう。こういう会話を、蒼紫と、してたんだよ。

 ただ、オレが、初体験、済ませたよっていう、話。それだけだったよな?

 蒼紫なんか、中学ん時だったし。
 そんな、ビックリされること……??

「いつ?」
「しばらく前……」
「相手、誰? オレ何も聞いてねえけど」
「言ってないし…… 言わない」

 何だか尋問でもされているみたいで、全然何も話したくない。

 というか、もともと、話したい話じゃないから、言ってなかったのに。
 ……なのに、蒼紫が、童貞、とかからかうから、つい……。

「……お前、見栄はってる? 嘘だよな?」

 そんな風に言われると、何だか悔しくなってくる。
 なんでオレが、お前にそんな見栄をはらなきゃいけないんだよ。

「……だから……嘘じゃないってば」

 強がって見つめ返すけど、胸の奥が痛む。



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