上 下
18 / 75
第2章 王様ゲーム

「キス」*樹

しおりを挟む

「――――……」


 なんだかなあ。
 ……キス……さっきの、キス。

 ………感想って何……。
 ……何が聞きたいんだ……。


「……蓮、もうケーキ、明日にする……」
「ん。片付ける?」
「うん」

 立ち上がって、ケーキのお皿をキッチンに運ぶ。
 一緒に立ち上がった蓮が来てくれて、ラップをかけて片づけてくれる。



「――――……感想って言われてもさ」
「ん」

「……だって、罰ゲーム、じゃん」
「――――……うん。てか、そうじゃなくて」
「……なくて?」


「……舌入れるキス。 嫌だった?」
「……っ」

 顔に熱が集まる。


「っそんなの……嫌に決まってるし。あんな……皆、見てる前で」」
「――――……樹」


 ぐい、と腕を掴まれて。
 蓮の真正面に、引き寄せられる。


「――――……なに……?」


「樹のその言い方だと――――……見られるのが嫌だっただけ、みたいだけど」


 顎に、蓮の右手がかかって。
 その親指が、唇を、なぞった。


「……っ」


 唇から、ぞく、とした感覚が広がる。
 

 そう、言われると――――……。 
 そういう言い方、な気がしなくも、ないけど……。




「――――……皆の前じゃなければ、良かったのか?」
「……っな事言ってない、し」




 ……ちょっと言い方、違っただけ――――……。



「――――……」

 
 ちゅ、と触れるだけのキスをされて。
 すぐ、離れる。


「――――……」


 蓮の、整った顔が、至近距離にあって。
 まっすぐ、見つめられて。


「――――……はー……」


 なんだか、もう、力が抜けて。
 ずるずる、と蓮の両腕にすがりながら、うなだれた。


「……樹?」
「……蓮……――――ちょっとこのまま……」


 ほんと。
 ――――……なんでこんな、顔キレイかな。かっこよすぎだよな。

 もう、見慣れてるのに、急に至近距離に来られると。
 ……その目で、まっすぐ見つめられると。


 ……なんか。
 蓮の 事しか、見えなくなる。
 
 蓮が良い奴なのはもう、これ以上ない位、知ってて。
 ……蓮がオレを、大事に、してくれてれるのも分かるから。


 余計。
 ――――……なんか。


「――――……」

 蓮の腕を頼りに、頭をあげて。
 少し、距離をとってから、まっすぐ、蓮を見つめる。
 

「……正直に、言う、ね」
「――――…ん」


 蓮は、何を言われるのかと、少し、身構えたみたいで。
 唇を少しだけ、引き結んで。じっと、オレを見つめ返した。



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

スーツの下の化けの皮

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:35

ファンタジーの夢

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,520pt お気に入り:2

ツンデレの恋愛小説

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,463pt お気に入り:1

極道の密にされる健気少年

BL / 連載中 24h.ポイント:3,103pt お気に入り:1,712

「桜の樹の下で、笑えたら」

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:142pt お気に入り:166

ホラー小説のお話

ホラー / 連載中 24h.ポイント:15,463pt お気に入り:3

【FairyTale】 ノンケ同士×お互い一目惚れ。甘い恋♡

BL / 連載中 24h.ポイント:170pt お気に入り:1,384

「今日でやめます」

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:7,696pt お気に入り:112

【完結】死神探偵 紅の事件 ~シリアルキラーと探偵遊戯~

ミステリー / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:4

処理中です...