【キスの意味なんて、知らない】

星井 悠里

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第3章 キャンプ

「改めて好き」*樹

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 さっき南達が混ぜておいてくれたお好み焼きの素に、切り刻んだ野菜を入れて混ぜてから、また鉄板の所に戻った。
 蓮が鉄板に、小さく丸く置いていくので、オレが豚肉を上に乗せていく。

「美味しそうだねー」
「ん、そだな」

 ……なんか穏やかで、楽しいなあ。
 蓮と話しながらそんな風に思っていたら、「まだ焼けないのか」と、どどど、と森田達が乱入してきた。

 一気に穏やかじゃなくなった空間に、苦笑い。


「あ、ふざけんな、手ぇだすなよ」

 やらせてとか言って森田達が蓮のお玉を奪い、今まで可愛く丸くできてた所に、何やら1枚だけバカでかいのが出来たりして、何やらわーわー騒いでる。

 そんなやりとりをクスクス笑いながら。


 ――――……こういうのって、意外にオレ、好きなんだなあ。
 なんてまた、改めて思う。


 ここ来るまで、坂井の事もあったし。
 そもそもあんまりこういうの好きじゃないと思い込んでたし。

 蓮は好きだろうに、オレと居ると、あまり皆の集まりに参加してないから、と思って、今回は蓮優先で、行くのを決めたんだけど。

 車で憂鬱だったのが嘘みたいに。なんか意外な程に楽しい。


 メンバーが、良かったのかなあ。

 森田と山田は騒がしいけど面白いし、佐藤はホッとするし、女子も話しやすくて、来てる男子メンバーとも仲良いし。

 坂井が蓮の事を好きだって事を知ってても、変にからかったり、空気を可笑しくするような奴も居ないし。

 居心地が、良い。
 蓮の隣に居なくても、楽しいなと思えてしまう感じで、居られる。


 昔から、友達は居たし、話せないとかそう言うんじゃなかったけど。
 ――――……高校に見かけてた蓮みたいな、派手なタイプの奴とは、ほとんど話した事も無かった。自分が、騒ぐ事は好きじゃないと思ってたから、のんびり話せる友達が多くて、それはそれで楽しかったし、全然それで良かったんだけど。


 こんな風に過ごせるなら。
 もっと、敬遠してないで、色んな人と、話せば良かったな。

 正直、森田とかだって、オレ、自分からは絶対話に行かないタイプだけど。

 ――――……結構面白いし。

 この気持ちの変化は、蓮のおかげ。
 オレが1人で過ごして、居やすい友達とだけ居て、自分の事も、騒ぐの嫌い、とか、思ってたら。 多分世界はもっと、狭かったと思う。


 蓮が、見た目と違って、中身、こういう人だって知ったのも大きくて。
 ――――……見た目だけで判断してた事にも気づいたし。


 この世で一番好きなんて。
 そんな風に思うなんて、高校で見かけてた時は、かけらも思わなかった。



「樹、肉貸して、乗っけるから」

 森田が手を出してくる。その手を掴んで、払いのけながら、蓮がオレを見る。

「渡さなくて良いよ、自分のに肉、山盛りにしそうだから」
「あ、このでかいの、森田のなの?」

 苦笑い。

「まだお腹空いてんの?」
「空いてるー、だから肉乗っけて」
「うん」


「ちょっとで良いよ樹」
「加瀬うるさい」

「うるさくない。つかお前のがデカくて、人数分焼けなくなったじゃねーかよ」
「いーのいーの」
「良くないっつの」


 クスクス笑いながら、まあ余ってるからいっかと、肉をちょっぴり盛ってあげてると、森田に肩を抱かれた。

「樹、サンキュー、いい奴なー、お前」

 よしよしと頭を撫でられる。


 ――――……えーと。

 ……蓮さん。
 ちょっと固まってるし。



「近いよ、森田」

 慌てて、ぐい、と離す。


 まあ当たり前だけど森田になんの意図もないのですぐ普通に離れて行って、お好み焼きをひっくり返そうと、佐藤達とまた騒いでるけど。


 固まってる蓮の隣に並んで。
 ちょっと見上げる。


「――――……」

 じっと見つめあってる内に、なんだか、ふ、と笑みが浮かんでしまう。
 蓮も、固まってたのが嘘みたいな、ふんわりと優しい笑みを浮かべる。



「なあ、加瀬、これもうひっくり返していい?」
「ちっちゃいのはいーけど、お前のはダメ」

「なんでだよ!」
「でかいから焼けてないからに決まってんだろ」


 クスクス笑いながら蓮が言ってる。



 ん。何かオレ。
 オレに優しく話してる蓮も好きだし。
 なんかこーやって、ツッコミ入れてるみたいに話してる蓮も好き。

 オレにはあんまりしない口調もなんかカッコいいし。

 ――――……なんかオレって、
 蓮のことって、なんでも、全部、好きなのかも。



 蓮と2人も好きだけど。
 ……こうやって皆で過ごすのも、改めて、蓮の事、好きになる気がして。



 なんか、いいなあって、すごく思ってしまう。



 


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