【キスの意味なんて、知らない】

星井 悠里

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第3章 キャンプ

「楽しい」*樹

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 皆にお好み焼きを食べさせて、焼くのが落ち着いて、やっと蓮が座った。

「樹」

 小さく呼ばれて、隣に座る。
 2人で並んで、何となく顔を見あって。


「蓮、2日間、焼き係、お疲れ」
「ん」

 そう言ったら、くす、と笑って蓮がオレを見る。


「……明日の夕飯はまた家かな」

 そんな言葉と蓮の表情に、ふふ、と笑ってしまう。


「蓮って、今、明日何食べたい?て聞こうとしてる?」
「……してた」

「そんな顔してた」

 オレがそう言ったら、蓮は、ふ、と苦笑い。

「してたんだけど、今夕飯食べたばっかで聞くのもなーと思って、やめたんだけど――――……バレた?」
「うん。分かった」

 2人でクスクス笑ってしまう。


「……ほんと、今お腹いっぱいで、ぱっと考えられないけど……んー……」
「――――……」

「……蓮とゆっくり食べたいね……」
「じゃあ、つまみみたいなのいっぱい作って、ノンアルで乾杯しながら、ゆっくり食べるか?」

「うん。そうしよ」


「――――……まあ、早く帰れて、家で夕飯食べれたら、だけどな」


 今度は完全な苦笑いで、蓮は、前からどどーーと、こっちに向かってくる皆に視線を流した。


「だーかーらー何でお前らは気付くと2人で良い雰囲気な訳」

 森田うるさいし。


「そうだー混ぜろー!」

 ……はー。山田もうるさいし。 
 なんか、心の中で、ツッコミを入れる癖がついてきてしまった。

「やっと加瀬が座れたんだからさ。邪魔すんなよー」

 ……あれ? 佐藤までなんか変なこと言ってるし。
 邪魔、すんな?

 ……蓮とオレのことを邪魔すんな、じゃないよね?
 蓮が座れたのを邪魔すんな、って事だよね?

 もうよく分からないけど。
 ぎゃーぎゃー言ってる皆に、なんかももう、おかしくなってしまって、クスクス笑いながら、見上げる。

 なんか、楽しいなあ……。


「片づけたら、風呂いこーぜ」

 山田に肩を組まれて、そう言われる。

「何か昨日お前と一緒に入んなかったような? 裸の付き合いしようぜ~」
「いーけど」

 苦笑いで頷いて。
 ふと、蓮の視線に気づく。

 あ。ちょっと嫌がってる。
 肩組まれてることなのか、裸の付き合いとか言ってることなのか、
 ちょっと分かんないけど。

「とりあえず離して。片付けようか、そろそろ」

 言いながら立ち上がって、そう言うと、皆もバラバラと、さっきのテーブルの方に歩き始める。

 蓮を振り返ると、隣に来て。目が合う。

「……えと。……蓮、何が嫌?」
「…裸の付き合い」

 あ、そっちか……。
 笑ってしまうと。

「肩組まれてンのも、嫌」

 あ、どっちもだった。

 オレは蓮を見上げて。
 ああ、なんか、蓮、可愛いなあ、なんて思ってしまって。

 その気持ちのままで笑んだら。
 蓮は、少しの間オレを見つめて。それから、苦笑いを浮かべた。

「……そんな顔すると、キスするよ、ここで」
「――――……それはダメだけど」

 苦笑してから。

「……部屋なら、いいよ」
「――――……」

 蓮も、分かった、と笑んで。んー、と腕を伸ばした。


「ちょっと風呂がなあ……」
「ん?」

「オレ、どこ見てよう」
「……オレの事は、見ない?」
「見れない。……樹以外の奴だけ見てるから、目が合わなくても、その間だけ許して」

 蓮のセリフが可笑しくて、笑ってしまう。


「おーい、早く片付けるんだろー」

 残って喋ってたら呼ばれてしまって、「今行くー」と答える。


「行こ、蓮」
「ん」

 目を合わせて微笑んで。
 皆の所に向かった。











◇ ◇ ◇ 
お久しぶりです♡(*'ω'*)笑
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