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第130話 変な光景
何でだよーというオレの視線を受けて、昴が言うには。
「辞退するのはいいけど、気になるだろ?」
「うん……まあ」
「お前を好きな奴がやっただけかもしれないけど」
……ていうか。
オレ、さっきからちょっぴり気になってることはあるんだよね。
それを確かめるべく、オレは委員さんに向き直った。
「あの。出るのが誰かは教えてもらえますか?」
「ほんとは告知前はダメなんですけど……出るか考えてくれますか?」
「とりあえず、一応考えてきます。誰にも言わないから教えてください」
そう言うと書類を見ながら順番に名前を読んでいく。何人か。でも、知らない名前ばかり。
「それと、慧さん、匠さん、颯さん、ですね」
……オレが、匠の前に呼ばれた。
「昴」
「ん?」
「今の人達の中に、高校一緒の奴ら居る?」
「いや。多分居ない」
「……分かった」
オレは頷いてから、委員さん達に視線を向けた。
「じゃあ少しだけ保留で。颯とも話して、それから断りにきまーす」
「断らない可能性も残していってください」
そんな風に言われて笑いながら、お邪魔しましたーと言って、昴と匠と、その部屋を出た。
「――慧、なんか心当たりあんのか?」
「……んー。分かんないけど」
確信は無いしな……と思って言い淀んでいると、匠がオレを見る。
「昨日、落ちてきた人とか? ですか?」
と言った。マジマジと見つめてしまう。
「何で、匠、そう思うの」
「だって、さっき出る人の順番、先輩、オレ、神宮司さん、だったから。オレの前に、先輩がエントリーされたってことですよね。もしそれが昨日なら、あの人達がしたのかなって思って。……まあ、あの人達は関係なくて、もっと前にエントリーされてたって可能性もあるけど」
「……だよね」
やっぱりそうだよなぁ。違うかもとは思うんだけど……。
「落ちてきた奴って?」
「……うん。昨日落ちてきた子ね、あの、颯の元カノの子だったの。だから、この階段を降りて来たんだよね」
「…………はー??」
珍しくしばらく固まった後、全然意味が分からん、と昴が首を傾げてる。
「え、あの人、神宮司さんの元カノ? ……うわー。なんか……カオスですね」
とか言って、匠は笑ってる。
面白がってるな、こいつ、と苦笑が浮かんでしまう。
とりあえず、授業だし行くか、と三人で階段を降り始めた。
「元カノが先輩をエントリーする理由なんてあります?」
「……ないよねえ? やっぱ違うのかな」
「でもあの上って、実行委員位しかなくないですか?」
確かに、まだ比較的新しい建物で、使われていない教室ばかりで。
とくにあの上には、他にそんなに用も無さそうなんだよなー……。
「この件、内緒だかんね、匠」
「分かってますよ、言わないです。でも、何だったのか教えてほしいんですけど」
「じゃあどっかで会った時」
「先輩、連絡先教えてくださいよ」
「ええええーやだよ、颯に変に思われる」
「気にしなきゃいいじゃないですか、何の関係もないんだし」
「お前がオレに匂いなんかつけるからだろ」
あ、そういえば……と、悪びれることもなく、匠は、ははっ笑ってる。
お前、なんか、そういうとこ。
顔良くて、αだからって、なんでも許されると思わない方がいいぞ、と言いたくなった瞬間。
「……じゃあオレが繋いどいてやるよ」
突然の昴のセリフに、えっ? とオレと匠は顔を見合わせた。
「え。昴いいの?」
「この件がどっかで噂んなったら、速攻こいつに電話入れたいし。けん制の意味含めて」
「うげ。すげーやなんですけど」
「うるさい。この件落ち着いたら、連絡先消してもいーから」
「ええ、なんかそれもなんかどうかと……」
とか、なんか良く分からない会話をしながらも、昴と匠が連絡先交換をしている。超変な光景……。
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