【ひみつの巣作り】💖書籍化進行中です✨

星井 悠里

文字の大きさ
154 / 231

第154話 世界で一番


「慧の周りって、本気でαが多いよな」
「んー……そう、かもね」
「αって、オレがオレがって奴、結構多いと思うんだけど。慧が居ると和んでるっていうか」
「それ、オレの影響ある??」
「あるよ」

 くす、と笑って、颯が頷く。

「自然とそうなってるだけだから、自覚無いかもだけどな」
「んー。ていうか、皆いい奴だから」

 ふ、と笑ってそう言うと、颯は、そうだけど、と笑う。

「そういえば慧、少し前に言ってたろ」
「ん?」
「結婚式までには、オレの友達にも認めておいてほしいって」
「あ、うん、言ったね」

 頷くと、颯は「もう大丈夫だと思うよ」と笑った。

「そう思う?」
「ん。思う」
「そっか。――――そしたら早く、結婚式、したいね」
「――――したい?」
「うん。したい」

 即答すると、颯は、そうだな、と笑ってくれる。うんうん頷いてると、颯が立ち上がった。

「そろそろ片付けて風呂入ろ。明日早いし」
「うん。そだね」

 オレも立ち上がって、一緒に片付けを開始。

 ――――結婚当初。
 急すぎて、ほんとにいきなり二人の生活が始まったから、家事とかも、オレは手探りだった。

 一人暮らしを一年はしてたけど、正直そこまで自炊とかしてなかったし、洗濯も食器洗いも掃除も何もかも、全自動の機械にお任せしてたし。大体のとこ全部適当にしてた。
 けど二人になったから、色々颯ルールを学んだりして。洗濯物の畳み方とか、冷蔵庫の中の定位置とか、いろいろ。なんか最初の頃は、オレ、結婚のままごとしてるみたいな。そんな感覚だったなーと、最近思う。遊んでるみたいな。色々照れながら、楽しみながら。

 少し、慣れてきた。
 颯と一緒に、家のことするの。

 αとΩが結婚したら、なんとなく、Ωが家に居て、家事とかして子供産んで、っていうイメージがあったし。Ω関係なく、奥さんが家を守るって感じだと思うから、必然的にそうなるのかもなと思うんだけど。

 今はオレ達、学生だし、颯は家のこと、全部手分けして一緒にしてくれるから。
 家事も楽しいなーってずっと思ってる。
 颯とするのは全部楽しい。

 

 夕飯の片づけを終えて、一緒にお風呂。
 この流れにも、大分慣れてきた。

 ……けど、まだ恥ずかしいのだけど。颯の前で裸になるの。


「慧おいで」

 洗い終えて湯船に入ると、腕を取られて、引き寄せられた。
 後ろから、そっと抱き締められて、後ろを振り仰いだ。

 すごい、ドキドキするし。
 ……颯、カッコいいし。

 オレの額が、颯の頬に触れる。そういう接触が、なんか嬉しい。
 ちょっとドキドキしすぎるので、背中に軽くよりかかって、前を向く。

「慧さ」
「んー?」
「明日は朝から忙しいよな」
「うん。屋台の飾りとか、売り歩く宣伝のとか、色々作んなきゃ。颯は?」
「基本、慧と一緒にそこらへんにいるつもりだけど……明日明後日の分担も詰めないとな。コンテストの打ち合わせも途中で行ってくる」
「あ、そうなんだー。んー……ドキドキするねー」

 そう言うと、颯はクスクス笑う。

「慧、ドキドキする?」
「うん。なんかもう、色んなとこに貼ってあるポスターをいっつも見ちゃって、すっごいドキドキしてる……」
「そっか」

「颯はドキドキしないの?」
「してないかな。早く終わんねえかなって思ってるけど。自分の顔があちこち飾ってあんのは、なんか落ち着かない」
「あれ、去年は? ドキドキした?」
「早く終われって思ってた」

 クスクス笑いながら言う颯に、あは、と笑い返して、オレはくるっと颯を振り返った。

「なんかそういうの、颯っぽくて、カッコいいなー」

 そう言うと、じっと見つめられて、ちゅ、と頬にキスされる。

「あんまり緊張とかないの?」
「そーかもな……」
「オレ、すっごくドキドキしてるー! あ、でもでも、颯が一位なのは絶対だと思ってるよ。だって、写真が一番キラキラしてるから」

 そう言うと、颯は面白そうに笑って、「おなじとこで撮影したし、オレだけキラキラはしてないよ」なんて言うけど。

 はて。
 めちゃくちゃキラキラして見えてるんだけど。おかしいな、と首を傾げつつ。


「一位になってる颯を思い浮かべると、めちゃくちゃドキドキする」
「はは。気が早いドキドキだな?」
「ん! なんか色々ドキドキ。ステージの颯を見るのもだしー。後夜祭が楽しみすぎるから、もう屋台もめちゃくちゃ頑張るから」
「ん」

 クスクス笑って、颯がオレを抱き寄せた。


「まあ……頑張るよ。慧の番として胸張れるように」
「ん?? あ、それは今も張ってくれていいよ?」

 振り返りながら、カッコいい瞳がオレを見て緩むのを見ると。
 世界で一番好きだもんな、なんて言葉が浮かんでしまう。
 
 
 
 

感想 457

あなたにおすすめの小説

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

【本編完結済】巣作り出来ないΩくん

こうらい ゆあ
BL
発情期事故で初恋の人とは番になれた。番になったはずなのに、彼は僕を愛してはくれない。 悲しくて寂しい日々もある日終わりを告げる。 心も体も壊れた僕を助けてくれたのは、『運命の番』だと言う彼で…

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

【本編完結】期限つきの恋

こうらい ゆあ
BL
神崎葵は、聖桜病院の特別病棟で静かな日々を送っていた。 Ω性特有の難病『フェロモン崩壊症』に冒された彼は、かつてイラストレーターとして活躍していたが、今では病室でひとり、スケッチブックに心を刻む。 余命わずかな時間の中、担当医・佐藤悠真との出会いが、閉ざされた白い病室に温かな光を灯す。 葵の海への憧れ、恋への憧憬が色鮮やかに花開くが、時間は無情にも迫ってくる。 限られた時間の中での、儚い恋のお話。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。 様々な形での応援ありがとうございます!