【ひみつの巣作り】💖書籍化進行中です✨

星井 悠里

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第182話 颯の部下

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 お昼、結構色々回れたよね、とか言いながら颯と、ご機嫌で屋台に戻ると、出る前と同じく混んでいた。

「ただいまー、ごめん、ゆっくりしてきちゃったー」
 そう言って屋台の下に入ると、昴や匠たち何人かが丸くなってた。

「なあなあ、聞いて、すっごいとこがあってさー、皆にも行ってきて欲しいんだけどー!」
「お化け屋敷だろ?」
「え」

 あれ、なんで? 行ったの知ってるの?
 笑いながら昴の口から出た言葉に、首を傾げると。

「学祭のホームページがあってさ、そこに、アカウント作ってログインすると投稿できる掲示板があるんだって。それを今、見てたわけ」
「掲示板?」
「口コミで伝わるにしろ、ここまで並ぶか? とか言ってたら、掲示板に色々書きこまれてたっつーからさ」
「ふうん? どんな感じ?」

 昴の持ってたスマホを覗き込むと、おー確かに、颯のこととか色々書いてある。αがいっぱい、とかいう書き込みも。尊いとか、カッコいいとか、一目近くで見るべき、とか、色々書いてある。

「これ見て来てたんだね。なるほど」
「SNSに載せてる人もいるんだけど、こっちの方が影響あるかも。ここに、前回優勝のイケメンコンテストの人がお化け屋敷に並んでたーって書いてあった」

 昴が見せてくれたのは、一つの書き込み。一緒に読んだ颯と、顔を見合わせて、笑ってしまう。

「なんか、すごいねーこれ。目撃情報だー。颯、悪いことできないね」
「しないけど」

 クスクス笑いながら言うと、颯も肩を竦めさせて笑った。

「まあ今日明日だけだから」

 そうじゃないと困っちゃうしね、と、オレも頷く。

「この掲示板、写真は載せられないようになってるから、全部文字だけど。まあ良かったかもな。お前らの写真が流れまくってもちょっと、だし……基本的には、どこの何がおいしい、とか、面白い、とかそういう書き込みが多いんだけど」
「なるほど。すごいね、こんなのあったんだー。去年知らなかった」

 昴が「そうだな」と苦笑い。

「とにかく、この調子だと、終わる時間まで混みそうだな」

 昴がスマホをポケットにしまいながら、屋台の列の方に目を向ける。

「皆はご飯とか食べた?」
「適当に食べてる」
「そっか。じゃあ、混み混みだし……オレも入るー! 時間まで頑張ろー!」

 腕まくりをしながら言うと、皆、笑顔で頷く。

 掲示板とSNSで盛り上がりまくった屋台は大盛況で一日目を終えた。客が大分帰って行って、人が少なくなった構内。道具を洗ったり片付け終えたオレ達は、朝みたいにまた颯を中心になんとなく、丸くなった。

「今日はお疲れさまでした」

 颯が言うと、皆も「お疲れさまでしたー」と言い合う。

「想定外の混みようだったけど」

 颯がそう言うと、「お前らのせいなー?」と昴とその周りがはやし立ててる。颯は、ふ、と苦笑しつつも。

「コンテストの協力もありがと。今日大盛況すぎて材料が足りなくなった分は、明日買い足しが必要かも。昼過ぎに売り切れるくらいで調整するってことで」

 皆、はーい、と返事。

「とりあえず明日も早くから準備だし、今日は早く帰って、ゆっくり休んで。明日の後夜祭の後は、打ち上げなー。店、取ってあるから。じゃあ、今日は解散!」

 颯の言葉に、皆、それぞれ適当に返事をしながら解散になった。皆それぞれ帰り始める。颯は色々話しかけられて、答えてるので、ちょっと飲み物を飲みながら、待機。

 ……ほんと、かっこいーな。颯。

 なんか、颯の部下になりたいかも。なんでも、仕事、頑張れそう。ついてったら間違いない、て感じがするんだよな。いいなあ。将来、颯の部下になる人。とか、そんなことを思っていたら。

「何でお前は旦那に熱視線を送ってるわけ? 帰ってからやれよ」
「送ってないし、なんだよー、熱視線って」

 昴に、むー、と言い返すと、「昼、イチャイチャ振りまいてきたんだろ?」と更に言われる。

「振りまいてないし。ていうか、別にオレ今、へんなこと考えてなかったし!」
「じゃあ何考えてた? 言ってみな?」
「えー? ……えーと……颯の部下になりたいなーとか??」
「は?」

 きょと、と昴に見つめられる。

「何、部下って」
「えー、なんか絶対仕事できそうだからさ、部下になって、ついてくの。楽しそうだなーと思って」

 そう言うと、クッと昴に笑われる。

「部下にはなんねーだろ、嫁なんだから」
「確かに部下はないかもだけどさ。なんか颯の部下になる人はいいなあって思っただけで、熱視線とかじゃないから」

「……つか、ほんとお前……」

 じっとオレを見つめた後、昴は。何やら笑いを堪えながら。

「颯のことが、ほんと大好きな?」
「……」

 ぼっ。
 一気に顔に熱が集まる。

「い……今更なこと、言うなよっ」
「はは。そうだな、今更……」

 可笑しそうに笑う昴を照れくささに睨んでると、颯の声。

「慧、そろそろ帰ろ……って。どした? 赤い」
「……っ」

「あー、颯の部下になりたいんだって。で、照れてる」
「え?」

 言うにしても、なんか省略しすぎだから!!

「どういうこと?」

 颯が昴とオレを交互に見て、可笑しそうに笑ってる。






(2024/8/2)
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