【ひみつの巣作り】💖書籍化進行中です✨

星井 悠里

文字の大きさ
184 / 231

第184話 颯の妄想。



 ドアを開けて、靴を脱いで上がる。鞄を片付けて、手を洗ってと一連の動作。

「颯、さっき、パスタか冷凍のピザかって言ってたけど、どっちにする?」
「慧はどっちがいい?」
「んー、いっぱい色々食べてたから、そこまで空いてないような……少なめに、パスタでいいかなあ。」
「じゃあパスタ作るから、サラダ作って」
「あ、うん」

 オレが作るっていうとレタスちぎるだけになるから、颯に聞きながらつくろう。なんか最近、料理ちょっとだけ覚えてきた。このまま順調に覚えていったら、オレが料理できるようになる日もいつか来るかも。なんて、考えて嬉しくなりながら、りょうかーい、とキッチンに向かおうとしたのだけれど、ぱし、と手首を掴まれた。

「え?」
 するすると引き寄せられて、リビングの壁に、とん、と背中を付けられた。

「……?」
 目の前のカッコいい顔を見上げて、思わず首を傾げる。

「……颯?」
「――……慧」
「ん??」

「オレと、別に働きたいって結論は何で?」
「え?」

 何だって??? 
 颯と別に働くってなんだっけ。

 ん? ……あ、さっきのオレの妄想の話?

「秘書とかの話?」

 違う? 屋台の話?? 何か話してたっけ??
 なんだか全然ピンとこない。颯が、なんかちょっと不満げなのも、オレはちょっと焦ってるので、頭が全然働かない。

「仕事は別の方がいいって、慧、言っただろ? 何で?」
「え。あ」

 ……やっぱりそっち!
 …………ていうか、それでそんな不満げって。

 ……なんだかものすごく、可愛い気がしてしまうのだけど。
 どうなんだろう、何が聞きたいのかによるけど……。

 とりあえず真意を確かめるために、颯をまっすぐ見つめる。

「あのね、颯」
「ん」
「オレ、さっき……ぱーっと妄想したんだよね」
「……何を?」

 聞かれて、えーーと、と何と言ったらいいかを考える。

「何と言うか……颯が社長で、オレが秘書だったら、こうかなーって。朝一緒に起きて、スーツの颯と一緒に出社して、仕事もずっと一緒で……社長室とかでも、ずっと一緒で……会食みたいなのも一緒で、会社に戻ったら、また仕事して、一緒に仕事終えて、またここに帰ってきて、一緒にシャワー浴びたりご飯、食べたり、それで、ベッドに一緒……って、何言ってんだって感じ、でしょ。……ていうか、今すごい、恥ずかしいんだけど、なんか、ぱぱーって、そういうの、色々妄想、しちゃって」

 じっと颯に見つめられてて、途中からめちゃくちゃ恥ずかしくて、早口になっていくオレ。

「それで?」
「え? あ、……えー、それで妄想したんだけど、これはさすがに、颯と一緒に居すぎかなって思って……だって、今オレ、一緒にって、何回言った?? なんか、それはさすがに、飽きられるだろうと思ったんだよね」
「――――……」

「そう、だから、仕事は、別の方がいいかなあって、結論……なんだけど……」

 それで颯は、何が言いたかったんだろう? と、見上げると。颯は、ちょっとまだ不満そう。

「颯……?」
「慧は、それでオレが、飽きると思ったんだ?」
「うん。……飽きるっていうか、なんかあの……居すぎって言われるかなって」
「――――ふうん」

 …………あれ、なんかまたむぅ、とした。
 ……珍しい顔してる。かわい……って言ってる場合じゃない?

「颯?」
 きゅ、と颯の腕に触れて、近づくと、そうなることが自然なことみたいに、顔が傾けられて、唇が触れてきた。

「――――……」

 優しいキスが触れて、ちゅ、ちゅ、と音を立てる。

「ん……ふふ」

 くすぐったい。
 笑った唇に、颯の舌が差し込まれて、塞がれた。

「ん……っぅ」

 深い深い、キス。
 ――――……気持ちいい。



「……多分似たようなこと、妄想してた」
「……ふ。 ん??」

「ていうか、オレはもっと……社長室で、慧に触れたりキスしたり……なんかそういうのもいいなあとかも、思った」
「……え――――……んっ……」

 詳しく聞こうと思ったら、壁に押し付けられて、本格的にキスされて。
 熱い舌が、オレの舌にめちゃくちゃ絡む。
 

  ……社長室で仲良しして……とか……!
 オレも、考えたよー!! 一緒一緒……!


「……ん、ンっ……ふ…………っ」

 言いたいのに、キスが、熱すぎて、全然喋れないうちに、頭の中、白くなっていく。かく、と足が抜けるけど、壁と颯に挟まれてて、何の問題もないみたい。


 どんどん。熱、上がっていく。 

 



感想 457

あなたにおすすめの小説

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

【本編完結済】巣作り出来ないΩくん

こうらい ゆあ
BL
発情期事故で初恋の人とは番になれた。番になったはずなのに、彼は僕を愛してはくれない。 悲しくて寂しい日々もある日終わりを告げる。 心も体も壊れた僕を助けてくれたのは、『運命の番』だと言う彼で…

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

【本編完結】期限つきの恋

こうらい ゆあ
BL
神崎葵は、聖桜病院の特別病棟で静かな日々を送っていた。 Ω性特有の難病『フェロモン崩壊症』に冒された彼は、かつてイラストレーターとして活躍していたが、今では病室でひとり、スケッチブックに心を刻む。 余命わずかな時間の中、担当医・佐藤悠真との出会いが、閉ざされた白い病室に温かな光を灯す。 葵の海への憧れ、恋への憧憬が色鮮やかに花開くが、時間は無情にも迫ってくる。 限られた時間の中での、儚い恋のお話。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。 様々な形での応援ありがとうございます!