191 / 231
第191話 呼び出し
「――――……先輩ってさ」
「うん」
匠はオレを見て、なんだか眉を寄せる。
「オレが過去に出会った人の中で、いっっちばん、鈍い」
「えっ! なにそれ。ひどくない?」
「ひどくないです」
はー、と深いため息をつきながら、フランクフルトを保温の箱に移していく匠。
「つか、オレ、かなり上位ランクのαですからね。家柄的にもね。つーかモテないはずないし。はーもう、その質問されたの、はじめてかも。はーもうマジで、先輩、無理」
「……ええ……なんかごめん……」
そんなはーはー言わなくても……。
「いや、モテるんだろうなぁって、普通に思ってるよ? ごめん、変なこと、聞いて」
「はー、もういいです。もうマジで」
「なんかごめんって……」
とそこへ、昴が「慧、次焼いて。このストックもらってく」とやってきた。
「うん。分かったー」
頷いて、次の焼きそばを焼く準備を始めたオレの横で、昴が匠を見て、さすが気付くみたいで、ん? と首を傾げた。
「お前は何でそんな仏頂面で、フランクフルト焼いてんだ?」
「……もう、先輩の親友がむかつくんですよ」
「――慧、なんか言ったのか?」
「えー……匠って、モテるの? って聞いただけなんだけど」
それだけだよねぇ、オレが言ったの。
モテるよって言ってくれればいいだけじゃんね。
すると、昴はちらっと匠を見て、匠の背中をポンポンたたいた。
「お前がモテるのは、コイツ以外は、全員知ってるから」
「ですよね……」
なんかその会話も、変だと思うんですけど。
と思うけど、なんか言う雰囲気ではない。
ていうか。なんか面白い。
「なんでそんな仲良いの??」
くすくすと笑ってしまうと、二人はちらっと顔を見合わせて苦笑する。
「仲良いか、オレら」
「……まあ。仲悪くはないんじゃないですか?」
そんな二人のやりとりを見て、「仲良すぎるかんじだけど」とオレが言うと、昴がさらに苦笑い。
「とりあえず、次焼いて」
「はーい」
昴と匠が離れていく。仲良しだよなぁ。ちょっと似てるとこもある気がするような。顔が綻ぶ。
油をしいて、肉を焼いてた時、スマホが鳴った。
知らない番号。――なんだろ。
「はい。もしもし?」
「神宮寺慧さんのお電話ですか?」
「はい。そうですけど……」
肉をジュウジュウ焼きながら、なんだろ、と首を傾げると。
「イケメンコンテストの実行委員会です」
「あ。はい。何ですか??」
「すみません、あとでそちらのお店に行ってもいいですか? お話したいことがあって」
「いいですけど……あ、でも忙しかったら話聞けないかもなので……オレの方から行きますか? 空いたら行きます」
「あ、分かりました、お手数ですけど、よろしくです」
「あ、それって、颯は一緒じゃなくていいんですか?」
「――あ、言い忘れてました、すみません、むしろご本人には内緒で来て下さった方がいいです」
電話の向こうの声が、なんだか楽しそうな笑いを含んだ。
「あ、はーい」
電話を切って、ジュウジュウしつつ。
……はて。何だろう???
既に颯の優勝が決まりましたー、とか?
……ないか、最終的に、ネットの投票を集計してからって言ってたもんな。
なんだろ。まあいっか、あとでいっとこ。
にしても。
匠ってば。
……どこ行った?
見回すと、昴の隣で、売り子をしてる。
フランクフルトも焼いとくか……。
横の空いてるところに、フランクフルトを並べて、焼きそばと一緒に焼きながら、なんとなくさっきのことを思い起こす。
はーもうはーもうって。
そういう感じで、なんか面白いから、ちょっと、モテるのかなーってききたくなっちゃったんじゃん。
あいつ、黙って立ってたら、相当イケメンなんだけど、なんか絡んでると、ちょっと面白いんだよな。ふふ。昴と仲良いのも、なんか面白い。
「昴―」
「ん?」
「ここ、少し落ち着いたら、オレちょっとだけ離れるね」
「ん。どした?」
「颯に内緒で、運営来て、だって。イケメンコンテストで」
「ふうん。いいよ、今行ってくれば?」
「じゃあこの焼きそば焼き終えたら行ってくる」
すると、持ってたヘラを奪われた。
「気になるなら先行ってこいよ」
「――ん、分かったー行ってくる。よろしくー」
昴にバイバイしつつ、オレは、早足で歩き始めた。すごい人なので、避けながら、十号館を目指す。
(2024/10/25)
お知らせ。11月のコンテストについてです。
読みたい方だけおすすみください(´∀`*)。
また詳しくまとめてお話しますが、
あるふぁポリスのBL大賞というコンテストに、颯×慧をエントリーしました。11月がコンテスト期間なので、そこまでにこのお話の本編。完結させられるように。…………とりあえず、目指して!頑張ります。
アルファポリス・悠里で検索してもらえたら、私のページが出てくると思うので(´∀`*)ウフフ 応援に来ていただけたら嬉しいです。
私このお話、去年完結させるつもりだったんですけどね笑
皆さまが、伸びていいよーってどこまでも伸びていいよーって言って下さる方が多かったため、こんなところまで好き放題に書いてきました。(これ!人のせいにしない!)笑
このお話は、書いててすごく幸せなので。
幸せなハッピーエンドにしたいです(*´艸`*)
あなたにおすすめの小説
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
【本編完結済】巣作り出来ないΩくん
こうらい ゆあ
BL
発情期事故で初恋の人とは番になれた。番になったはずなのに、彼は僕を愛してはくれない。
悲しくて寂しい日々もある日終わりを告げる。
心も体も壊れた僕を助けてくれたのは、『運命の番』だと言う彼で…
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【本編完結】期限つきの恋
こうらい ゆあ
BL
神崎葵は、聖桜病院の特別病棟で静かな日々を送っていた。
Ω性特有の難病『フェロモン崩壊症』に冒された彼は、かつてイラストレーターとして活躍していたが、今では病室でひとり、スケッチブックに心を刻む。
余命わずかな時間の中、担当医・佐藤悠真との出会いが、閉ざされた白い病室に温かな光を灯す。
葵の海への憧れ、恋への憧憬が色鮮やかに花開くが、時間は無情にも迫ってくる。
限られた時間の中での、儚い恋のお話。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
様々な形での応援ありがとうございます!