193 / 231
第193話 顔を引き締める…
色々打ち合わせして、実行委員会の部屋を出た。
もうオレ、すごいご機嫌になってる。
だって、ほぼオレの中では、颯が優勝って決まってるから、絶対颯に花束渡せるって、思ってるし。
えー、そんな幸せなこと、ある?
颯の推薦させてもらえたし、でもって、颯が優勝したら、花束を渡して、おめでとうって言えちゃうんだよ。
しかも、颯も、「推薦者じゃだめ?」とか言ってくれてたとか、それを知った上で、颯が喜んでくれること、分かった上での、サプライズ花束ー!
嬉しすぎるんだけど。
どうしよう。なんか、ニコニコしてしまう。顔が。
顔を引き締めつつ、屋台のところに戻った。相変わらず、行列。颯はまだ売り子から戻ってきてないみたい。
マジですごいな。すごい売り上げ出てそうな気がする。なんだかんだ言って、材料費って、安いもんね。しかも屋台は颯が借りてくれちゃったから。ほんとならそういうところで、経費として結構お金がかかるんだろうけど。
「ただいまー」
焼きそばを焼いてる昴に声をかけた瞬間。ちらっと振り返られて、ちょっと顔を見つめられた。昴がくいくい、とオレを手招きするので、近づくと。
「話、何だった? なんか嬉しいこと?」
と、こそこそと聞かれた。
「――え。な、なんで? そ、んなことないけど」
「――――」
すっとぼけてみたけど、昴は眉を寄せて、「それで隠してるつもりなら笑う」とか言う。なんかもう脱力してしまう。
「――……何で分かるんだよ、オレ今、そこで顔引き締めてきたんだけど」
「ただいまーの声が、浮かれてるし」
「そんなことないし。超普通だったよね?」
「普通だったら、オレがこんなこと言ってるはずないだろ。何、オレの勘違いで、嬉しい話じゃなかったなら、謝ってやるけど?」
――――くーー。
絶対、謝るつもりなんかない聞き方。はー、ほんと、昴ってもう……!!
「……内緒だかんな」
「……オレにそれ、言う? 自分に言えよ」
呆れたように言われて、く、と悔しがっていると。
「で、何だったんだよ?」
苦笑しながら先を促されて、むむ、と眉を顰めながら、昴を見つめて。
「――颯が優勝したら、オレが花束渡すことになった」
「ああ、なるほど」
そう言って頷くと、こそこそと告げたオレから離れて、焼きそばをパックに詰め始める。「ふた閉めて?」と言われて、輪ゴムをかけて積み始めると。
「それ、嬉しい話、だよな?」
そんな風に言われて、クッと笑われる。
「――これ、実行委員の人達と相談して、サプライズだから。黙っててね?」
「オレが言うわけないだろ。――だから、お前、それは自分に言えって」
「オレだって言う訳ないじゃん!」
「お前は顔が言ってるし。何なら、ただいま、だけで、なんか訴えてきてるから。ほんと、サプライズとか出来ない奴だよなー。まあ、もう、もっともっと、心して、顔引き締めろ。今のじゃまったく引き締まってねーから」
「……もー、なんでそんな昴はムカつくんだよ!」
昴の腕を掴んで、ゆさゆさ揺すると。
「バカ、焼きそばこぼれるわ」
「昴が悪いんじゃんか!!」
「何でオレが悪いんだよ、どっちかって言ったら、悪いのはお前だろ」
「何でオレが悪いんだよ!」
ゆさゆさ揺するオレと、剥がそうとしてる昴を見て、周りの奴らが、ほんと仲イイねとか言って、なんか笑ってるけど。
そんな微笑ましいものじゃないんだけど。
はームカつく!
あなたにおすすめの小説
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
【本編完結済】巣作り出来ないΩくん
こうらい ゆあ
BL
発情期事故で初恋の人とは番になれた。番になったはずなのに、彼は僕を愛してはくれない。
悲しくて寂しい日々もある日終わりを告げる。
心も体も壊れた僕を助けてくれたのは、『運命の番』だと言う彼で…
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【本編完結】期限つきの恋
こうらい ゆあ
BL
神崎葵は、聖桜病院の特別病棟で静かな日々を送っていた。
Ω性特有の難病『フェロモン崩壊症』に冒された彼は、かつてイラストレーターとして活躍していたが、今では病室でひとり、スケッチブックに心を刻む。
余命わずかな時間の中、担当医・佐藤悠真との出会いが、閉ざされた白い病室に温かな光を灯す。
葵の海への憧れ、恋への憧憬が色鮮やかに花開くが、時間は無情にも迫ってくる。
限られた時間の中での、儚い恋のお話。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
様々な形での応援ありがとうございます!