【ひみつの巣作り】💖書籍化進行中です✨

星井 悠里

文字の大きさ
195 / 231

第195話 セーフ?



「じゃあ、今の材料が作り終わったら、屋台は終わりだな」

 昼も大分過ぎた時、集まった皆に、颯が言う。

「オレは、今から最後、売り歩いてくるから、屋台の方は、大体の残りの数が分かったら、並んでる人に断るようにしてって」
「はーい」
「終わったらもう、看板とかは下ろして、紛らわしいから」
「はーい」
「何か質問は?」
「ないでーす」
「じゃあそれで。最後までよろしく」
「よろしくお願いしまーす!」

 颯の声にそろって答えて、集まって輪っかになってた皆は解散した。


「ふふ」
 時計を見てる颯の隣に行って、笑ってしまうと、「ん?」と微笑まれる。

「なんか颯が指示出してるとこって、すげー好き」
「――そう?」
「うん。すげー良い」
「……ありがと」
 ふ、と瞳を細める颯は、本当に、カッコいい。優しいし。

「なあ、最後、売りにいくの、ついていっていい?」
「いいけど。屋台の方、平気か?」
「うん。オレ今当番じゃないし。最後一緒に行きたい」
「いいよ」

 やった、と思って、屋台に居る昴を振り返った。

「昴―! 一緒に売りに行ってくるー」

 そう言うと、はいはい、てな感じで頷いてる昴。じゃねーと手を振って、颯の隣に並ぶ。一緒に行く皆とも話しながら、歩いてると。

「すみませーん、焼きそばくださーい」
 いきなり話しかけられた。颯は「いくつですか?」と笑顔。皆がお金とかやり取りして、颯が焼きそばを手渡す。
 きゃっきゃと楽しそうな女の子たち。

 ――あ、こういうことか。
 すぐ売り切れるって、と、オレは悟った。

 その後も、一応皆、焼きそばどうぞ―っとかは言ってたけど、別にその呼び込みが無くても、颯に引き寄せられてくる女子達が、すごく多いって感じ。


「ていうか、これ、颯がそこに立ってたら、列、できんじゃねーの?」

 オレがちょっとムーッとしながら言うと、皆が「そうかもな」と笑う。

「怒んな怒んな。ていうか、慧んとこにも列できるって」
「そーだよ、お前も話しかけられてるじゃんか」
「そうかなあ。ていうか、オレのことはどーでもいいんだけど」

 むむ。颯ってば、二日間、こんな感じで売りさばいてたのか。
 どうりで、大量に持ってっても、売切れたーって帰ってくるわけだな。
 すごいなぁ。なんか。

 ……オレの旦那さまだけどね。
 なんだか得意げな気分なような。ちょっとむむ、とヤキモチなような。

 ――でも中高の時は「負けるかー」ってなってたから、あの時の気持ちに比べたら、えらい違いだ。

 これ売り終えて、屋台とか片付けて――その頃から、後夜祭。
 イケメンコンテストが始まるんだよな。
 今すでに、事前投票はされてるみたいだけど――どうなってるのかなぁ。

 うー。そわそわする。

 ってまあ、颯には誰も勝てないって、オレは、思ってるから。
 信じてるから、大丈夫かなっていう心配のそわそわというよりは……。

 ――何だろうなぁ、このそわそわは。

 颯がカッコいいの、皆に知られると思うけど。
 ……外見だけがカッコいいんじゃないんだよなあ。
 インタビューとか、あるなら、颯の中身が知られるような質問とか、してくれたらいいな。なんて思ったりもする。

 よく考えたら、皆、颯はクールだとか、少し冷たそうとか。熱くならなそう、とか。笑い方とかも、あんな風に笑うんだ、みたいなこと、たまに聞くし。
 ……颯、結構楽しそうに笑うし。そういうの、知ってほしいなあ。たまにちょっと可愛いんだよ、とか。

 ……むりか、そんなとこでは。
 まあオレが知ってるから、良いんだけどさ。

 あと、あれだな。
 花束渡すっていうのが加わったから、余計今、そわそわしている。


「どした?」
「え?」
「なんか楽しそうだから」

 …………だからオレ! 
 昴に言われたじゃんかー! 顔顔顔……!

「――い、いや……颯、モテる、なぁ、と思って……」

 辛うじて言った言葉に、颯と周りの皆が笑い出した。

「それ、楽しいの?」
 クスクス笑う颯。

「……ま、ぁ。旦那がモテるのは。まあ、嬉しい……けど」
「けど?」

 面白そうな顔で、颯はオレを見下ろす。

「……ちょっとは、ムッとする……かも……? いや、でも、嬉しいけど」

 どっちだよ、と周りに突っ込まれて、笑われるけど。
 颯には、めちゃくちゃ優しく笑われて、頭をくしゃくしゃ、撫でられた。

 ……セーフ?? だったかな? と思いながらも。
 撫でられて、嬉しい。

 




感想 457

あなたにおすすめの小説

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

【本編完結済】巣作り出来ないΩくん

こうらい ゆあ
BL
発情期事故で初恋の人とは番になれた。番になったはずなのに、彼は僕を愛してはくれない。 悲しくて寂しい日々もある日終わりを告げる。 心も体も壊れた僕を助けてくれたのは、『運命の番』だと言う彼で…

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

【本編完結】期限つきの恋

こうらい ゆあ
BL
神崎葵は、聖桜病院の特別病棟で静かな日々を送っていた。 Ω性特有の難病『フェロモン崩壊症』に冒された彼は、かつてイラストレーターとして活躍していたが、今では病室でひとり、スケッチブックに心を刻む。 余命わずかな時間の中、担当医・佐藤悠真との出会いが、閉ざされた白い病室に温かな光を灯す。 葵の海への憧れ、恋への憧憬が色鮮やかに花開くが、時間は無情にも迫ってくる。 限られた時間の中での、儚い恋のお話。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。 様々な形での応援ありがとうございます!