228 / 231
番外編 バレンタインデー 11
颯は、少し考える感じで黙って、それから、ふ、と穏やかに微笑んだ。
「慧を好きな奴がいること自体は、オレが良いとか悪いとか言うことじゃないかな」
「……まあ確かに。そっか」
「慧が好かれるのは、分かるし」
そんな言葉に、単純にも、すごく嬉しいなと思ってしまうけど。
でもなぁ、と考える。
「でもオレは、颯を好きな人が居たら、ちょっと……嫌かも」
「――」
「……颯は心、広いよね」
そう言った直後、引き寄せられて、至近距離で颯を見つめる。
「心広く居られるのは――誰かが慧を好きだって段階までだから」
「……ん?」
「慧が、少しでもなびきそうになってきたら、無理」
オレは颯を見つめながら、その言葉の意味を考えていたのだけれど。
……それはもしかして、ヤキモチというやつだろうか。
そう思ったら、一瞬でめちゃくちゃ嬉しくなってしまった。
「颯も、妬いたり、する?」
「しないと思ってる?」
「ん。なんか……冷静に受け止めて、大したことないなって言いそう」
「性格的に、そういうとこがあるのは確かだけど……」
そこまで言って、少し黙った颯。
颯の話の続きを待っていると、颯は、手を伸ばして、チョコを一粒、手に取った。
「これ、くわえて」
「え。……ん?」
言われるがまま、唇で挟んで、そのまま、颯を見つめる。
「慧が恥ずかしいって言ってたけど…… 確かにさ――口に、何かをツッコむとかは」
「――――」
「……ちょっとエロいし」
「……っ」
くわえさせられてるチョコと、唇に、颯の指が触れて、なぞる。
ぞく、としたものが背筋に走って、思わず背が伸びる。
「やっぱり、少しは、嫌かも」
ずきずき。胸が急に痛い。
ごめんって言いたいけど、チョコ入ってるし、颯が唇に触れてるし……!
胸、痛いけど、
ドキドキもしてしまってて、なんだかもう、また一気に、混乱状態だ。
「このまま、オレに食べさせてくれたら、許してあげようかな」
ゆっくり言い聞かせるように、優しいけど、少し熱を帯びた、話し方と視線。腰にまわった手に、引き寄せられる。
「食べさせてよ、慧」
…………っえええ。このまま??
手ですらハズイのに……!!
しかもなんかこの、颯の、このやらしい感じの、ドキドキしちゃう感じの時に……!!
ばっくんばっくん心臓が言ってる。
どんどん赤くなってると、思う。
「早く」
颯はにっこり笑顔で、またオレのチョコと唇に触れながら。
ぺろ、と舌を見せた。
優しい圧のある言葉。
ぞく、とお腹の奥の方が、震える。
何か色っぽくて。更にカッコよくて。
その視線に映るのすら、ちょっと恥ずかしいと思ってしまうのに。
恥ずかしすぎて死ぬかもしれない。
「慧」
澄んだ声で、颯がオレの名前を口にする。
びく、と震えてしまう。体の奥の方が、きゅんと疼く。
息が勝手に熱くなるとか。意味わかんないよう……。
震えてしまいそうな手で、颯の胸の辺りに触れて、そのまま颯の唇に近づく。少し微笑んで見える、形の良い唇に、さらにチョコを近づけて、触れさせる。
――中に入れるの、どうやって……。
恥ずくて、死んじゃいそう……。
思った瞬間。顎を掴まれて、少し上向かされると、覆いかぶさられるみたいに、キスされた。
「んぅ」
チョコ、奪われて。唇の間で、溶かされて。
チョコの匂いが、めちゃくちゃ甘くて。
ふ、と零れる息が熱すぎて、くらくらする。
「……ん、ン……っ」
チョコのかたまりが無くなると、強引に舌を絡めとられる。
頭の奥のほうが、痺れてきて。
かくん、と後ろに落ちそうになったのを、颯の手に支えられて、またすぐに、キスされる。
「……ん、っ……」
颯の息も、熱い。
さっきから何度も何度も、キスしては離れていたもどかしさもあって、もう、体のゾクゾクした快感が、全然抑えられなくなっていく。もう限界。
もう離れないで、このまま、がいい。
「……は、やて…………ベッド……」
は、と息を吐きながら、唇の間で言った。聞こえないかなと思ったけど、颯の喉が、ごくっと鳴ったのが分かった。すぐに抱き上げられて、オレは、ぎゅう、としがみついた。
(2025/6/13)
「慧を好きな奴がいること自体は、オレが良いとか悪いとか言うことじゃないかな」
「……まあ確かに。そっか」
「慧が好かれるのは、分かるし」
そんな言葉に、単純にも、すごく嬉しいなと思ってしまうけど。
でもなぁ、と考える。
「でもオレは、颯を好きな人が居たら、ちょっと……嫌かも」
「――」
「……颯は心、広いよね」
そう言った直後、引き寄せられて、至近距離で颯を見つめる。
「心広く居られるのは――誰かが慧を好きだって段階までだから」
「……ん?」
「慧が、少しでもなびきそうになってきたら、無理」
オレは颯を見つめながら、その言葉の意味を考えていたのだけれど。
……それはもしかして、ヤキモチというやつだろうか。
そう思ったら、一瞬でめちゃくちゃ嬉しくなってしまった。
「颯も、妬いたり、する?」
「しないと思ってる?」
「ん。なんか……冷静に受け止めて、大したことないなって言いそう」
「性格的に、そういうとこがあるのは確かだけど……」
そこまで言って、少し黙った颯。
颯の話の続きを待っていると、颯は、手を伸ばして、チョコを一粒、手に取った。
「これ、くわえて」
「え。……ん?」
言われるがまま、唇で挟んで、そのまま、颯を見つめる。
「慧が恥ずかしいって言ってたけど…… 確かにさ――口に、何かをツッコむとかは」
「――――」
「……ちょっとエロいし」
「……っ」
くわえさせられてるチョコと、唇に、颯の指が触れて、なぞる。
ぞく、としたものが背筋に走って、思わず背が伸びる。
「やっぱり、少しは、嫌かも」
ずきずき。胸が急に痛い。
ごめんって言いたいけど、チョコ入ってるし、颯が唇に触れてるし……!
胸、痛いけど、
ドキドキもしてしまってて、なんだかもう、また一気に、混乱状態だ。
「このまま、オレに食べさせてくれたら、許してあげようかな」
ゆっくり言い聞かせるように、優しいけど、少し熱を帯びた、話し方と視線。腰にまわった手に、引き寄せられる。
「食べさせてよ、慧」
…………っえええ。このまま??
手ですらハズイのに……!!
しかもなんかこの、颯の、このやらしい感じの、ドキドキしちゃう感じの時に……!!
ばっくんばっくん心臓が言ってる。
どんどん赤くなってると、思う。
「早く」
颯はにっこり笑顔で、またオレのチョコと唇に触れながら。
ぺろ、と舌を見せた。
優しい圧のある言葉。
ぞく、とお腹の奥の方が、震える。
何か色っぽくて。更にカッコよくて。
その視線に映るのすら、ちょっと恥ずかしいと思ってしまうのに。
恥ずかしすぎて死ぬかもしれない。
「慧」
澄んだ声で、颯がオレの名前を口にする。
びく、と震えてしまう。体の奥の方が、きゅんと疼く。
息が勝手に熱くなるとか。意味わかんないよう……。
震えてしまいそうな手で、颯の胸の辺りに触れて、そのまま颯の唇に近づく。少し微笑んで見える、形の良い唇に、さらにチョコを近づけて、触れさせる。
――中に入れるの、どうやって……。
恥ずくて、死んじゃいそう……。
思った瞬間。顎を掴まれて、少し上向かされると、覆いかぶさられるみたいに、キスされた。
「んぅ」
チョコ、奪われて。唇の間で、溶かされて。
チョコの匂いが、めちゃくちゃ甘くて。
ふ、と零れる息が熱すぎて、くらくらする。
「……ん、ン……っ」
チョコのかたまりが無くなると、強引に舌を絡めとられる。
頭の奥のほうが、痺れてきて。
かくん、と後ろに落ちそうになったのを、颯の手に支えられて、またすぐに、キスされる。
「……ん、っ……」
颯の息も、熱い。
さっきから何度も何度も、キスしては離れていたもどかしさもあって、もう、体のゾクゾクした快感が、全然抑えられなくなっていく。もう限界。
もう離れないで、このまま、がいい。
「……は、やて…………ベッド……」
は、と息を吐きながら、唇の間で言った。聞こえないかなと思ったけど、颯の喉が、ごくっと鳴ったのが分かった。すぐに抱き上げられて、オレは、ぎゅう、としがみついた。
(2025/6/13)
あなたにおすすめの小説
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
【本編完結済】巣作り出来ないΩくん
こうらい ゆあ
BL
発情期事故で初恋の人とは番になれた。番になったはずなのに、彼は僕を愛してはくれない。
悲しくて寂しい日々もある日終わりを告げる。
心も体も壊れた僕を助けてくれたのは、『運命の番』だと言う彼で…
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【本編完結】期限つきの恋
こうらい ゆあ
BL
神崎葵は、聖桜病院の特別病棟で静かな日々を送っていた。
Ω性特有の難病『フェロモン崩壊症』に冒された彼は、かつてイラストレーターとして活躍していたが、今では病室でひとり、スケッチブックに心を刻む。
余命わずかな時間の中、担当医・佐藤悠真との出会いが、閉ざされた白い病室に温かな光を灯す。
葵の海への憧れ、恋への憧憬が色鮮やかに花開くが、時間は無情にも迫ってくる。
限られた時間の中での、儚い恋のお話。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
様々な形での応援ありがとうございます!