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第26話 祈らない。
しおりを挟む無事に新幹線に乗り込んで席を探す。
本当は駅ビルのフィッティングルームで着替えてから乗りたかったけど、その時間は無かった。
同窓会の会場はホテルだから、着替えるところもあるだろうと思って、とりあえず余裕をもって新幹線に乗ることを優先させた。
指定席に腰を下ろした瞬間、なんだかほっとして、ふう、と息をつく。
肩の力が抜けたけど――なんだか、今度は、いよいよだって気持ちで、落ち着かない。
小さいテーブルを倒して、買ってきたお弁当とお茶を乗せた。もう一度、深く深呼吸しながら、窓の外に視線を向ける。
予定外に仕事になっちゃったけど――なんとか間に合いそう。
新幹線がついて、そこから電車に乗って二駅でつくから、ホテルまで歩いて、と検索してみる。
ホテルについて着替える時間を取っても、開始時間には間に合いそう。ギリギリっぽいけど、急げば間に合う。
良かったぁ、とスマホを置きそうになって、あ、と思いとどまって、愛梨さんへのメッセージを書く。
「愛梨さん、ありがとう。おかげさまで、お昼食べずに帰してもらえたから今、新幹線に乗れたよ。ちゃんと間に合うと思う」
そう入れると、愛梨さんからすぐ返事が来た。
『余計なことしてすみません……! でも先輩は言わずに残っちゃいそうだと思って』
「うん。ほんとにありがとう」
ハートを抱えた可愛いうさぎのスタンプを押して、また返ってきた、「どういたしまして」の可愛い笑顔のスタンプにふふ、とつい顔が綻んでしまった。
三か月前、蒼真の話をした時から、愛梨さんには、たくさん元気をもらった。
――エステとか付き合ってくれて、ジムや健康食とかも。楽しかったな。
先輩、絶対行ってくださいね、会ってきてくださいねって何度も言ってくれてた。
私よりも、一生懸命になってくれてた気がする。
ふっと涙腺が緩みかけて、慌てて、瞬きを繰り返した。
『三か月間、ほんとにありがとう』
そう送ったら、すぐに、感動して号泣してるみたいな絵のネコちゃんのスタンプが送られてきた。
何かおいしいものでも、お土産に買って帰ろう。そんな風に思いながらひとつスタンプを押して、今度は遥香とのトーク画面を開いた。
「仕事、無事に終わったよ。今新幹線に乗れた」と送ると、すぐに既読がついて返事が来た。
『良かった。間に合いそう?』
「うん。多分間に合う。ホテルまでの地図も見たし、大丈夫だと思う。ただ、着替えてる暇が無くて仕事着だから、ホテルに着替えたいんだけど」
『一階に更衣室があるから着替えて、荷物は受付で預ければ大丈夫。』
「分かった、ありがとう」
良かった、と思っていたら、続けて聞かれた。
『荷物とかいっぱいなら、誰かに駅まで迎えに行ってもらおうか? 何時に駅につくの?』
「ううん、大丈夫。十六時四十分くらいに駅に着くんだけど……ギリギリだから急いで歩きたいから。場所も地図で分かったから」
『そっか、分かった。待ってるね』
「うん。後でね」
やりとりを終えて、スマホをテーブルの上に置いた。
お弁当を開けて、いただきますと食べ始める。
窓の外を流れていく景色を眺める。だんだん、高い建物が減って、緑が増えていく。
――上京してから、この新幹線に乗る時。「蒼真に会いに帰る」のは初めて。
いつもは、蒼真に会わないように、してたもんね……。
社会人になってからは、蒼真も家を出たから、避けなくても会わなくなったけど。
今日は、同窓会もあるし、実家にも帰るし、他の友達にも会うけれど。
一番の目的は――蒼真に、会うこと。
愛梨さんのおかげで、三か月、折れずに、頑張れた。
遥香が、いろいろ、支えてくれた。
今日は、愛梨さんと桜木さんのおかげで、帰れた。
いろいろ皆に助けてもらって、ここにいる。
あとは、私が自分で頑張るだけ。
そうは思うのだけど。
――なんだかもう、緊張してきた。
蒼真って今、ほんと、どんな感じなんだろう。
……遥香に少しは聞いとけばよかったな。
――彼女とか。いるのかな。
……って、居る、と思っておこう。そしたら傷が浅くて済むかもしれない。
傷って……私は、決着をつけて終わりにするために行くのに、傷が浅くて済むとか。
振られるつもりなのかな、私。
ドキドキする。
そういえば、何をどう話すか、決めてないや。
なんとなく話したいことは、ぼんやりとたくさんあるんだけど。
どの順番で話したらいいんだろう。
「――」
ちゃんと入れたよね、と心配になって、鞄をあけて、ボールペンの紙袋を取り出した。
よかった、つぶれてなかった。
渡せますように。
蒼真と、話せますように。
……違う違う。
祈らない。
渡す。話す。
頑張ろう。
◇ ◇ ◇ ◇
いろいろありまして(近々書きます)
書けてなくてすみません(´;ω;`)ウゥゥ
完結……したい( ノД`)。
話は出来てるのであとは打ち込むだけなので
……どうだろ。
いろいろなお返事も出来てなくてすみません( ノД`)
ほんとに。ほんとに、ありがとうございます(´;ω;`)ウゥゥ
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