「四半世紀の恋に、今夜決着を」

星井 悠里

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第29話 同窓会はじまり

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 蒼真が会場の前方、マイクの所に立って、スイッチを入れた。「あ」とマイクのテスト。その隣には、懐かしい担任の大塚先生も立っている。

「本日はお忙しい中――」
「堅苦しいなー?」

 蒼真の一言目に、一人が即ツッコミを入れた。
 どっと笑いが起こる。

 あ。あの人……蒼真と仲良かった人だ。
 えーと名前……。絶対覚えてる。えーと。と考えていると。

赤城あかぎくんだよね。変わってないねー」
 遥香が隣でクスクス笑う。

たもつ、黙ってろよ。とりあえず一回ちゃんと挨拶させて」

 くすくす笑いながら蒼真が言うと、皆がパチパチと拍手をし出した。私も、少しだけそれに参加する。

「本日はお忙しい中、集まってくれてありがとう。遠くから来てくれた人も、本当にありがとうございます!」

 言いながら蒼真は、会場を見回す。
 ふ、と目が合った……ような。気のせいかな。
 気のせいでも……ドキドキしちゃって困る。

「卒業からもう十年以上が経ち、二十五歳の年。人生でも大きな節目を迎えました。いいきっかけだなと思いついてから、準備はそれなりに大変でしたが――」

 言ってクスクス笑う蒼真に、皆も笑ってる。

「手伝ってくれた遥香さん、ありがとう。拍手―!」

 皆が蒼真と一緒に、遥香に向けて拍手。照れて笑ってる遥香に、私も拍手をしながら笑って顔を見合わせる。

「無事開催できて、心から嬉しく思っています。当時まだ子供だった皆が、こうしてスーツやドレスで集まり、皆それなりに大人になったんだなと実感してます。――中学時代と言えば、大塚先生の熱血指導。体育祭や文化祭、合唱コンクールなど、かなり他のクラスよりも大変で……」

 蒼真の隣でクスクス笑ってる大塚先生。
 元気そう。皆も、当時を思い出したのか、笑いながら頷いている。

 そうだった。
 大塚先生は、行事は優勝目指すって、超熱血だったっけ。成績の方はそんなに言わなかったのに。と、思い出すと笑ってしまう。 

「先生からも、ご挨拶を――」
「大変で、で渡す?」

 皆、くすくす笑ってる。蒼真も笑いながら頷き、先生の身長に合わせてマイクを動かした。
 
「先生、そのまま乾杯もお願いします。皆も、先生の話を聞きながら、乾杯のジュースかビールを受け取ってください」

 ホテルの人たちが数人、会場を回っていて、先生が挨拶している間に、皆にグラスが回った。

「――ということで。皆が大人になってて、嬉しいです。色々話して、楽しんで、また明日からの日々に繋げましょう」

 先生が、蒼真から受け取ったグラスを上げる。乾杯の音頭が取られて、会が始まった。
 最初、思ってた以上に誰か分かんなくて困ったけど、それも話し出すと、皆それぞれ自己紹介しつつ、どうにかなっていく。

 昔の話や、今の仕事、既婚かどうかとか、皆、それぞれ気を使い合いながらも、話に花が咲いていく。
 蒼真は幹事としてなのか、皆のところを回っていろいろ話している。

 バイキング形式の立食だから、いろいろ食事をとりながら。
 懐かしい出来事を思い出したりと、旧友たちと話すのは、思っていたより楽しかった。

 なのに、蒼真の笑い声ばかりが響いて聞こえる。
 蒼真と話したいなと思うけど――皆がいるところで、話したい訳でもない。

 時間がどんどん過ぎていく。
 少しだけ飲んだお酒が、緊張を少しだけ解いてはくれている。

「あ、彩葉~!」
「遥香も~久しぶり~」

 黒と、ピンク、派手めで綺麗なスーツで私と遥香の前に立ったのは、香織かおり真弓まゆみだった。

「ほんと、久しぶりだね~」

 昔から、オシャレグループの二人。
 そのテンションに付き合って、ちょっと声のトーンを上げた。

「遥香はもう結婚して子どももいるんだもんね~」
「うん。そうだよ」
 真弓の言葉に、遥香がにっこり頷く。

「彩葉は? ずっと東京?」
「うん。大学からずっと」
「そうなんだ~ずっと一人暮らし?」
「うん、そうだよ~」

 そんな話をしていたら、真弓がちょっとこそこそっと話し始めた。

「ねね、昔さ、蒼真くんにラブレター渡してって頼んだの覚えてる?」
「――あ、うん。そうだったね」

 ……そうだったねくらいじゃないのだけど。
 すごく、なんだかモヤモヤしたから、完全に覚えているのだけど。
 って……昔の、子ども時代のことなのに。

「ねえねえ、結局さ、彩葉と蒼真くんは付き合わなかったの?」
「――え?」

 びっくりして見つめ返すと、その反応を見た真弓と香織は、なるほど、と勝手に納得した。

「じゃあほんとにただの幼なじみだったんだね」
「……どういう意味?」

「いや、なんか――幼なじみとか言ってたけど、そのうち付き合ったりしてそうだなって思ってたんだよね」
「……そう、なの? ううん。付き合ってないよ」
「そうなんだ。私てっきり、彩葉はライバルなのかと思ってたから」
「ねー、違ったんだね」

 真弓と香織がそんな風に言って、顔を見合わせている。
 なんだかちょっと気になる。だって私自身がまだ、蒼真を好きとか……気づいてなかった頃なのに。

「……なんで、ライバル……?」
「だって、ラブレター渡してもらった後に、返事貰ったんだけど、その時、蒼真くんが……えーとたしかね。彩葉にはもう頼まないでねって。彩葉は何も言ってないけど、オレが、嫌だから、みたいなこと言ってたから……」
「――」
「だから蒼真くんは、彩葉のことが好きなのかなーとか思ってたんだけど……でも高校、同じとこ行ったのに、結局付き合ってないなら、違ったんだね? もう昔のことすぎて、分かんないけど」

 ……知らなかった。そんなの、言ってくれてたの。
 隣の遥香がじっと、私を見つめてくる。

 その隣で、真弓が、うふふ、と笑った。

「ていうかさ、蒼真くん、昔より今の方が、めっちゃよくない? しぬほどカッコいい」
「ほんと、そう思う」

 香織もそう答えてる。テンション上がって楽し気な二人に、微妙に頷いていると、男の子たちが近づいてきた。
 さっき蒼真にツッコミを入れてた赤城くんもいる。

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