【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇希生さんちへ

「ちょろい?」*優月

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「え。あれ?? 鯉って、そんなに長生きなんですか?」

 希生さんに聞くと、希生さんは笑顔で頷く。

「野生だと十五年前後らしいけどね。飼育条件整えて水温とかエサとか水質を適切に管理すると、三十年とか生きる鯉も居るんだよ」
「ひゃー……玲央とオレより長く生きてる鯉もいるんですか?」
「居るよ。結構なサイズの鯉は、長生きしてるね」

 クスクス笑う希生さん。

「え、じゃあそこのめちゃくちゃ大きいのは……?」
「金色のより前からいるね」
「わー……すごいーていうか、鯉がそんなに長生きなの初めて知りました」

 ひえー、すごーい。
 餌をあげ終えたので、さっきよりは少し落ち着いた鯉たちにちょっと近づいて、しゃがみ込む。

「なんかすごく、色が鮮やかですね……」
「飼育環境によって、色つやも良くなるんだよ」
「そうなんですか? じゃあここ、すごくいいんですね……」

 鯉、大きいし、元気そうだし、すっごい綺麗。
 すごいなぁ……。

 しゃがんだまましばらく見ている隣で、希生さんが色々説明してくれる。
 鯉の育て方なんて聞くのは、初めてで、すっごく楽しくて、うんうん聞いていると。
 希生さんと反対側の隣に足音。

 ふと見上げると、玲央で。
 何だかとってもにっこり笑ってオレを見下ろしてくる。

「楽しい?」
「え。うん、楽しい。鯉の育て方とか初めて聞いたし。こんなに綺麗な鯉、初めて見たし。……玲央の鯉、貴重~」
「オレの鯉、ではないけどな?」

 苦笑いで言いながら、玲央もオレの隣にしゃがみこんだ。

「なんかさ」
「うん?」

「ほっといたら、ずーっと鯉の話で終わりそうだから、とりあえずそろそろじいちゃんち行かない?」
「………」

 あ。そういえば。
 ……なんか今結構な時間、鯉のことで盛り上がってしまった。

 逆隣りの希生さんを見上げると、なんだか可笑しそうにオレと玲央を見ている。

 ふと、後ろを振り返ると、蒼くんと久先生も、なんだか笑いながら並んでる。……あ、待ってくれてた……?

「行こうか、優月くん。また、ちゃんとしたエサやりの時間に話そう?」
「あ、はい」

 頷いて、オレは、隣にしゃがんでる玲央を見つめた。

「おまたせ……ごめんね、なんか、楽しくて」
「ん。全然いーよ」

 玲央がクスクス笑いながら立ち上がったので、オレも一緒に立ち上がると。
 希生さんが先に歩き出して、久先生たちに並んだ。「行こうか」とオレ達に言うので、返事をして、三人の後ろを、玲央と並んで歩き出す。

「……じーちゃんさ」
「うん?」
「鯉、大好きだからさ」
「うん」
「……多分今の優月の反応で、もう優月のこと大好きだと思う」

 前の三人に聞こえないように少し小さく、そんな風に言いながら、玲央はもう本当に可笑しそうに笑ってる。

「……そうなの?」

 そんな簡単に大好きになるかな?
 首を傾げると。

「……意外にちょろいんだよ、じーちゃん」

 玲央はなかなか笑いを止めず。

「ついてすぐに、とか。――――……優月って感じ。ほんと、面白ぇな……」

 なんだかめちゃくちゃ優しく見つめられるので、とっても嬉しいのだけれど。でも今、鯉の話聞いただけだからなぁ……ちょろい……?? と、とっても疑問に思いつつ。

 広い庭を突っ切って、希生さんのお家に、向かった。
 





 
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