「胸が痛いくらい綺麗な空に」*時間が止まればいいって初めて思った*

星井 悠里

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第12話 恋愛感情? *湊

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 恋愛感情、というものを、今まで一度も感じたことがなかった。

 同級生たちは、小学生の頃にはもう、誰が可愛いとか、好き、とか、そういう話をしていた。
 全然分からなかった。話を振られても、分かんない、と言ってたら、その内に聞かれなくなったけど。

 口うるさい女子は苦手。そもそも、好きにはなれそうにない。
 おとなしい女子とは、そもそも話が続かない。

 男に関しては、もう、可能性を考えたこともなかった。

 女、男、関係なく、
 誰かに「ときめく」とか「ドキドキする」とか。そんな感覚、感じたことも無かったんだ。
 そういう気持ちが、心の中に、欠けてるんだと思ってた。

 司に会った、あの日までは。

 ◆◇◆


 雨だ。

 ずーーーーっと、雨。
 なんなの。もう。

 土砂降りの日もあれば、細かい雨の日も。
 とにかくほとんどずーーーっと、雨だった。

 そして、その途中で、ちょうどテスト期間も重なった。

「どうせ会えないんだから、勉強しなきゃ」と思うのに、集中できない。
 ふとした瞬間に、湊の顔が浮かふ。

 またなって言ってたあの顔が。
 笑い方とか、走っている姿とか。来た時の汗をかいてて息が弾む感じとか。
 気づいたら、ぼんやり思い出してて、ページが進んでいない。

 さすがに午前授業なのに、河原で塾までは待たないから家から塾に行くことになるんだけど。
 たまに晴れ間がのぞいた時には、河原を通って塾に行った。でも会えなかった。

 テストは、なんとか頑張った。勉強しか取り柄がないんだから、それくらいは頑張ろうって。
 多分大丈夫なはず。



 とにかく、会えないのが、問題見たい。


 恥ずかしくなって、もう塾に行く、と立ち上がって別れたあの日から二週間。
 もう、二週間も経ってしまった。

 別に毎日会えてた訳じゃないし、数日空いて当たり前だったし。
 でも、こんなに会えないと。なんだか、力が出ない。

 あんな風に、別れなきゃよかった……。
 なんだか気持ちが落ちていく。



 ◆◇◆



 テスト最終日。塾まで相当時間が空いていた。思い切って、幼馴染の二人に連絡をしてみた。
 普段はあまり自分からは誘ったりしないのだけど。もう、なんか、聞いてほしくて。

 二人とも、「ちょうどテスト期間で早く終わる」と言ってくれて。
 午後暇だからそっちに行くといってくれて、オレの塾がある駅前で待ち合わせて、ファーストフード店に入った。

「湊、どーした?」
「ほんと。どうした?」

 お昼を買って、座ってすぐに、ほぼ同時にそう聞かれた。

 ……どうしたって、なに?」

 ごまかしたかったけど、二人の視線がまっすぐでにげられなかった。
 上野さとるうえの さとるは、ぷ、と笑った。

「何、じゃないだろ、明らかにお前、変、絶対おかしいじゃん」

 宗谷 晃そうや こうは、さとるのその言葉に苦笑い。

「まあ、確かにおかしいけど。さとる、言い方」

 さとるは、人懐こい。思ったことを口に出すタイプ。裏表がなくて、疲れない。オレの言葉が足りなくても、全部聞いてきてくれるから、すごく楽。

 晃は冷静で、どんなことでも、落ち着いて聞いてくれる。頭良くて、分析が得意で、頼りになる。

 二人とも小さいころから一緒で、信頼してる。
 さとるも、晃も、大事な友達。だから、話してみたくて、誘ったんだから、ちゃんと話さないと。

 けど、どう話せばいいのか分からない。

 口を開いても、またすぐ言葉に詰まってしまう。





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