「胸が痛いくらい綺麗な空に」*時間が止まればいいって初めて思った*

星井 悠里

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第33話 

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 歩きながらふっといろいろなことが気になってきた。

 いつか好きになってもらえたらとか、オレ、楽観的すぎ、だよなぁ。
 もともと湊が、男は無しなら、そんなの絶対無理だろうし。


 なんか、赤くなったりするから。すげー可愛い顔をしてくれるから、
 ついつい、少し期待してしまっているんだろうか。

 男女なら、いつか、普通に少しは考えてもらえるかもしれないけど……

 男同士なんだから、友達として仲良くなってたって、そういう意味では絶対ナシ、て湊に言われる事もある……よな。
「友達としてなら楽しいけど」「そんな意味じゃない」って、きっぱり線引きされたら、そこで終わりか。

 うーん。
 どうしよう。……聞く?
 いや、聞けるか? 何て聞くんだ、オレ。

 男は対象? って?
 いやいや、無い無い。

 だって、無いって言われたら、どうすんだ。
 自覚した当日に、「無理」って即答されたら、その瞬間、これは終わりだ。て、いきなり失恋すんのは嫌だし。

「……司?」
「え?あ、何?」
「いや、なんか……黙ってるから」
「あ、ごめん」
「いいんだけど……司が黙るとか、珍しいから」

 くす、と笑ってこっちを見上げてくる、湊。
 ……ああ、もう可愛いな。


 オレは、男でも、湊が可愛くて、好きで。
 男とか、もはやどっかに吹っ飛んでしまうくらい、好きだって実感しているのだけど。
 可能性があるのか、聞いてみたい。

 でも、ほんとに、無かったらどーすんだ?

 ……諦められる気、しないんだけど。

 聞くべき?聞かないべき?
 聞いて、アリなら嬉しいけどナシだったら?

 並んで、道を歩きながら、そんな事を考える。

「……なに?」
 湊が不思議そうにオレを見上げた。

「え?」

「何で、そんなに、見るの?」
「あ、ごめん。オレ、そんなに見てた?」

「見てなかった?」

 湊が、自分の勘違いだったのかと、少し、焦ってる。

「いや……やっぱり見てたかも」
「何、それ?」

 ふ、と湊が笑う。

「な、湊。……少しだけ――止まって、話してもいい?」
「いいけど……あそこ、座る?」

 小さな橋の近くに、ベンチがある休憩所があるのが見えた。
 オレが頷くと、湊が先を歩き出してすぐにそこにたどり着く。隣に座った。
 風が心地よくて。川の水の音が余計に近く聞こえる。

 ……なんか隣に座ったら。
 オレの心臓が、めちゃくちゃ速く動き出した。

「……なんかここ、いいね」
「うん。昼間は、人がいっぱいいるよ。お散歩中の人達とか。子供づれとか」

「そっか」
「うん」

 頑張って話してみたが、そこで一旦話が止まってしまう。

「――」

 こんなに気になること、聞かないで帰ったら、ずっと気になる。

 この話は顔が見れない電話なんかじゃできないし、いつものランニング途中みたいな時間の限られた時になんか、話せない。
 今しかないよな、と思ったから、湊を止めて、ここに座ったのだけれど。

 湊的に、完全に無しだったら……。
 そんな質問をして、気味悪がられたら、どうすんだ?

 思ったら、言葉が出なくなった。

「――司?」
「……あ、うん……あの――」

「うん……」

 湊は、すごく、静か。
 名前を呼んで促した位で、それ以上、何も言わない。

 静かに座ってる湊が、青い外灯に照らされてて、なんだかキレイで。
 余計に、何も言えなくなる。

 言わなければ、今のまま、楽しく、居られるかもしれない。
 少しずつ、心を開いてくれて。

 友達と、して――。

 そこで、ふっと、止まった。

 このまま、黙ったまま、友達の振りして、
 友達として、好きになってもらっても――。

 ……それって、湊をだましてることになるよな……。
 友達として信頼されればされるほど……気まずいことになるんじゃ……。

 じゃあやっぱり……。
 先に伝えなきゃ。

 でも――言ったら、終わるかもしれない。

 これで湊に会えなくなったら、死にそうになりそう……。

 この期に及んで、堂々巡りで悩みまくる。

 視線を落として、靴の先を睨むように見つめていると。

「……司、あの――」

 ずっと黙っていた湊が、耐えきれなくなったように、口を開いた。

「……なんかオレに、言いたいこと、あるよね……?」
「え」

 どきん、と心臓が弾む。
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