【愛じゃねえの?】~社会人*嫌いだったはずの先輩に恋する理由。攻めの後輩視点

星井 悠里

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◇可愛すぎて。

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 先輩は、ほんと。
 ――――……無防備というか。

 個室の部屋に入ると、先輩は、「ヤバい事しても、バレなそう」とか言い放った。

 人目がある所じゃ、まともに話が出来ないと思ったから取った個室。
 ――――……でも、個室という響きに、ヤバい想像をしてしまいそうになるのを、一生懸命、抑えていたのに。

 だってさ。
 ――――……すげえ好きだと思ってて。
 散々、色んな事してた人と、個室とか。

 ……でも、それは抑えて、まず話さないとと思っていたのに。


「……別にオレ、ヤバい事しようとしたわけじゃないですよ」

 そう言うと、先輩は、あ、しまった、という顔で振り仰いでくる。
 そんな間の抜けてる顔が、可愛いとか。はー。ほんと、オレって……。

「え。あ、分かってる。けど……」

「――――……さっき、話してる途中で、先輩――――……陽斗さんが、目立つからストップって言ったでしょ?」

 敢えて、陽斗さんと呼び変えてみる。


 ――――……すぐ反応するの、ちょっと可愛い。
 陽斗さんと呼んだら、いつも、最初は少しだけ反応して見上げてくる。


「これから新幹線だし、東京に帰ってご飯食べるにしても、知り合いがいるかもしれないし――――……昼食べながらゆっくり話したいって思っただけです」
「――――……うん。わか、てる」
「なのに何で、ヤバいこと、とか言うんですか?」

 なるべく考えないように、頑張ってたのに。 
 ふ、とため息をついてしまう。


「そーいうこと言われると……そっちを考えちゃうんですけど」
「…………ごめん、てば」

 なんだか――――……目の前で、恥ずかしそうな先輩を見てると。
 もう、触れたくて、どうしようもなくなる。

 立ち上がって、先輩の手を引くと、すんなり、立ち上がってくれる。


「陽斗さん、ちょっとこっち、来て」

 背をドアに押し付けた。
 抵抗は、全くない。嫌そうなそぶりも、まるで無い。


 腰と背に手を触れて、オレの方に引き寄せると、先輩はまっすぐにオレを見上げる。

 ――――……自然と、まっすぐに、見上げてくれるのが。
 もう可愛くてしょうがない。


 オレもう、ほんとに、この人が好きなんだけど。

 何回も何回も、確認してる気がする。


「……あのさ、陽斗さん」
「――――……うん」

「……オレ、何度もあんたに好きって言ってるし。陽斗さんも……そんなような事言ってくれて。でも、意味を考えようっても言ってるし――――……それでも、昨日、あんな風にしちゃって……」
「……うん」

「――――……正直、オレは、もう、陽斗さんと、付き合いたい」
「――――……」


「……意味なんか、もう、昨日の時点で分かってたし」
「――――……」


「好きじゃなきゃ、しない」


 思いのままに伝えると。
 先輩は、まっすぐ見つめ返したまま。

 なんだかものすごく、切なそうな顔をした。
 泣くのかな、と思うような、表情。


「……陽斗さんも、オレが好き……?」


 思わずそう聞いていた。
 そしたら。


「――――……うん……好きじゃなきゃ……オレだって、しない……」


 そんな風に言われたら、もう。
 キスするしかない、というか。

 何か続けようとしていたのは分かったけど。
 その唇に、キスした。

 
「……っ……」


 舌を絡めると、上向いてる先輩の喉が、ひく、と震えた。
 小さく、ん、と声が出る。

 ――――……すげー可愛い。

 ぐい、と更に抱き寄せて、深く深く、キスすると。
 多分、ここじゃ声が出せないから我慢してるんだと思うけど。

 背中にしがみついて、多分、声を堪えようとしてる。

「……っン……ふ………………」

 漏れる声――――……可愛い。


「――――……み、か……っ」

 びく、と体が、震える。
 すると、先輩は、オレの服を引っ張って。
 
 離さなきゃなと思うんだけど、可愛くて離したくなくて、舌を軽く噛むと。ぴくと震えて、また小さく声が漏れる。


 ――――……何でこんなに、可愛い、かな……。


「……陽斗さん?」

 シャツを引っ張られるので、仕方なく離して、見下ろすと。

「……三上、ばか……こ、んなとこで……」

 ほんとこの人。キス、弱い。

 顔赤いし。
 潤んでるし。
 息、熱いし。

 そんな風に、しがみつかれると。


 ――――……ここで我慢するの、かなりキツイんですけど。


 ……そんな風に、オレの目に映ってるとか。
 絶対分かってないんだろうけど。






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