【愛じゃねえの?】~社会人*嫌いだったはずの先輩に恋する理由。攻めの後輩視点

星井 悠里

文字の大きさ
128 / 274

◇笑顔。

しおりを挟む
【side*蒼生】



「――――……?」


 ……オレ、寝てた?

 目が覚めて、ゆっくり視線を先輩の方に向けたら。
 先輩はすっかり起きてて、あ、とオレを見た。

 繋いだ手は、解けていて、上着もオレだけに掛かっていた。


「……あ。すみません、起こすって言ったのに」
「全然いいよ。つか、最初寝たのオレだし」

 クスッと笑いながら、先輩はオレを見る。


「良く寝た?」
「ん。なんか結構、ぐっすり。先輩は?」

「首痛くて目が覚めたんだよね。――――……でも、すっきりしてる」

 そっか、と返事をして、少し体を伸ばした。


「なんか、体固まってるんで、トイレまで歩いてきますね」
「うん」

 ふ、と笑って見上げてくる先輩に笑い返しながら、ドアを開けて、トイレに向かう。



 体痛って……。
 腕や肩を回しながら、進む。


 トイレを済ませて出た所で、小学生くらいの男の子がウロウロ歩いてきた。


「トイレ探してる?」
「あ、うん」

「ここだよ。 たまに揺れるから気を付けて」
「うん。ありがと!」

 はは。可愛い子だな。
 3、4年生位ってとこかな。

 そんな事を思いながら、席に戻って、先輩の隣に座ると。


「なんか笑ってんな? どしたの?」

 先輩がオレを見て、ぷ、と笑う。

「あー……なんか今、小学生がトイレ探してて、少し喋ったんですけど」
「うん?」

「トイレここだよって教えてあげたら、超笑顔で。……なんか、先輩がちっちゃい頃ってどーだったのかなーなんて思ったら、つい笑っちゃいました」

「オレのちっちゃい頃……?」

「どんな小学生でした?」
「んー……学校ではドッジボールばっかで、放課後と土日はサッカーばっかしてた」
「へー。ちょっと意外。腕白だったんですか?」

「だったよ。サッカーしてたから真っ黒だったし」
「なんか真っ黒、想像できませんね」

 今、めっちゃ肌綺麗だけど。

「中学からはバスケに入ったからさ、室内になったから、真っ黒だったのは小学生までだよ」

 懐かしそうに笑う。


「モテました?」
「モテたと思う?」

「うん。モテるでしよ、絶対」

 オレがそう言うと、先輩は、ぷ、と笑って。


「モテてないよ。オレ男子としか喋んなかったし。サッカーやってた女子とは喋ってたけど……男子みたいな女子ばっかだったし」

 そう言う先輩にちょっと考えて。


「……バレンタインとかは?」
「んー。バレンタイン? ……なんか女子がグループで持ってきたりしてたけど。別に……?」
「グループで? 家に?」

「……うん、家に。でも別に個人的に貰った訳じゃないし?」

 ……先輩が女子としゃべんない人だったから、グループでもってくしかなかったんじゃねーのかな。
 うん。はは。モテてたな。絶対。


 多分ここにツッコんでも、否定というか、きっと分かんないんだろうなーと思いながら、1人納得していると。

「お前は? 小学生んとき」
「オレも小学生ん時はサッカー。近くのグランドで、水曜と土日。公園でもサッカーって感じでしたね」

「そうなんだ。あ、三上は、モテた?」

「んー。まあ。モテた、かなあ。まあ、背ぇ高かったし、足速かったし。小学生ってそれだけでもモテるでしょ」
「ああ、そーだな。 一番モテる理由だなー」

 クスクス笑いながら、先輩がオレを見る。


「でもまあオレも、女子とか遊んだりしないタイプでしたよ」
「……ふーん?」

「ほんとですけど」
「……ふうん?」

「なんですか?」
「三上の慣れっぷりが、もう、女子としゃべんないとか、ありえない」

 笑って言われると、がく、と崩れそうになる。

 はー、とため息を付きながら。


「あ。今度先輩の子供の頃の写真、見せてくださいよ」
「え。やだよ、なんか恥ずかしい」

 速攻断られる。まあそうだと思って、言ったけど。

「絶対可愛かったと思うんで、見せてください?」
「……小学生のオレを、すげー可愛いって言われても、なんかやだし」

「――――……」

 むー、と困り顔でのそんな言い草に、ぷ、と笑ってしまう。



「じゃあオレのも見せるから、交換てのは?」
「うーーーーーん…… 三上の見せてくれたら考えようかなー」


「……ていうか、オレは、一番恥ずかしい写真みせましたよね?」
「ん?」

「高校時代の……」

 そう言うと、先輩はクスクス笑って。



「あれは、結構カッコよかったよ?」


 本気なのか分からないけど、そんな風に言って、先輩はオレを見て、楽しそうに笑ってる。

 先輩が笑ってると。
 ――――……ほんと。嬉しい。



 

 
しおりを挟む
感想 120

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

処理中です...