【愛じゃねえの?】~社会人*嫌いだったはずの先輩に恋する理由。攻めの後輩視点

星井 悠里

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◇事情説明

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 結局、祥太郎の店でご飯を食べようという事になって、2人で入店すると。


「あ、蒼生さん。いらっしゃいませ。祥さん、蒼生さんですよ」

 出迎えてくれたホール担当のしんくんが、祥太郎に声をかける。


「ああ、蒼生、いらっしゃ――――……い?」

 祥太郎がこっちを向いて。確実に何か言いたげに固まりながらオレを見た。


「えーと。……個室? カウンター? テーブル席?」

 何でまず個室を先に言うんだ。2人なんだから、この店だとまず、カウンターだろ。
 何かよくわからないが、明らかに何らかの意図を感じる。


「先輩どこがいいですか?」
「カウンターでいいんじゃない?」

「じゃあ、あっちの端っこでいいか?」


 祥太郎が頷くので、先輩と進むと。


「いらっしゃいませー」


 祥太郎がものすごく先輩を見ながら、そう言ってる。


 一番奥のカウンター席。周りから見にくくて、とにかく隅で。

 別にカップル専用と決まってはいないのだけれど、何となくカップルがよくハマってる席。

 ……それを知ってて、オレはそこを選んだ。

 先輩はもちろん知らないので、オレ、奥入っていい?と普通に言ってる。
 もちろん。先輩を奥に囲いたいからの、その場所だし。

「ちょっと先座っててください」
「ん」

 何の疑問もなく、先輩は奥に入って座った。
 祥太郎がいつも接客する場所から出て来て、「蒼生、外」と呼ばれる。呼ばれるのも分かってたけど。


「……どーいうこと? 何? とりあえずオレはどう対応すりゃいー訳」

 店の外、非常階段に出るドアの前で、眉を顰めた祥太郎が聞いてくる。


「すげえ簡単に言うぞ」
「どーぞ」

「金曜先輩と出張に出たら、今までの態度の理由が分かって。兄貴が、とにかくほめずに仲良くせずに仕事を覚えさせろって頼んだらしい」
「――――……志樹さんらし……こえーな」

 眉を顰めたまま。

「で分かって、オレはもういいやって思って」
「……で、出張先で、やたら仲良くなって帰って来たって事?」

「――――……まあ、一言でいうなら」

 祥太郎は、ぷ、と笑った。

「まあ、お前、ムカつくって言いながら綺麗って言ったりしてたし、なんか
まあ、ほんとは好きなんだろうなとも思ってたから、まあ分かるけど」

 はは、と笑われて、一瞬言葉に詰まる。

 これと同じ事、会社でも言われたような。
 ――――……オレどんだけ、ムカつくと言いながら、好き光線を密かにはなってたんだか。 マジで恥ずい。


「じゃあ、もう、仲良しの先輩後輩って事で、相手すりゃいいンだな?」

 祥太郎が、腕を組みながら、ぷぷ、と笑いながら、オレを見てくる。

「まあ。そうなんだけど……」
「――――……何、まだ何かあんの?」


 どう言おうかな、と思っていると。


「出張っていつ? 泊り?」
「金曜から。日曜に帰ってきた」

「なんか金曜の夜、お前、チームん時の写真、要求してきたろ」
「――――……ああ」

「何あれ? おかげで、夜中までずーっと写真が飛び交ってたけど」
「オレもう良いって言ったのにな?」

「久しぶりに動いたから、楽しかったんだろ。おかげで土曜、なんかチームの奴らがやたら店来たぞ」
「良かったじゃんか。商売繁盛」

「つか、あれなんだったわけ? 金曜ってことは、先輩と居たって事だよな?」
「先輩が見たいって言ったから、聞いただけ」

「見せたの? 話したのか、総長って?」
「なんか、流れで」

「よく話したばっかの先輩に、んな事話したな?」

 祥太郎が呆れたように笑ってる。


「それがさー、祥太郎」

 オレが名前を改めて、呼ぶと。

「……なに? 改まんなよ、ドキドキするわ、何だよ?」



 ――――……なんて言おう。


 まあ、一言で。言ってみっか。





「先輩と寝た。――――……でもって、今、口説き中」



 オレを見てた祥太郎は、一瞬眉を寄せて。それから、首を傾げて。


「は?」


 と、一言。
 しばらく、それ以外の言葉が出てこないらしい。




 まあ。
 ……だよな。うん。分かる。




 早く復活してこい。話すから。





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