【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中🍫バレンタインデー💖

星井 悠里

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近くて遠い

「ムカつく理由?」*大翔

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 なんか、マジで気分悪い。
 何でって。分かってるけど。

 ――――……あちこちから、色々声掛けられて。
 へらへらしてる。

 ……ように見えるから。
 それを言ったら、否定するとは思うけど。

 さっき少し口に出してしまったら、何だかすごくムッとしてて。
 なんだかあまりに素直にムッとしたので、珍しいなと、笑ってしまった。

 いつもは分からないようにムッとするというか。静かなため息だったりするんだけど。

 先輩は何か言おうとしてたのに、女子に絡まれて離れてしまった。


「――――……」

 次々絡んでくる子達と話しながら。
 モテて良いなとか、よく分からない 絡みを入れてくる男子とも話しながら。
 

 何なんだ、立食の合コンて。話す人数多くて疲れる。

 しかも、誰かを選ぼうとか、そんな気も全くない合コン。
 オレ一体ここに、何しにきたんだっけ……。

 ああ、マジで、来なきゃよかった。
 と思うのだけれど――――……。

 ただ、その気持ちはまったく表には出ない。

 先輩も先輩で、多分全然乗り気ではないんだろうけど、ものすごく、愛想良いし。


「四ノ宮くんて、ほんとに彼女居ないの?」
「――――……」

 余計な言葉は言わず、ん、と頷くと。 
 チャンスだとでも思うのだろう。じゃあさ、という話につながっていく。

 1人だとちょっと、という子は、何人かで集まって遊ぼうよ、と言う。
 いつも同じ感じ。

 前はとりあえずその中から、気になる子に声かけてみたりして、過ごしてみたりもしたんだけど。



 一体何で、オレが、女じゃなくてあの人を目で追うのかが、全然分からない。

 オレと離れてから、女に囲まれてた先輩は。
 ドアが開くと、そこに来た男の店員の元に行って、誰かが頼んだアルコールのトレイを受け取ってる。

 ――――……また、人の良い。

 結構な数のグラスに、どれが誰のか分からないらしくて、一瞬固まってる。それを見たその店員が再びそれを受け取って、笑って、何かを言ってる。

 それに対して、先輩も笑いながらあたりを見回して。
 一緒に空いてるテーブルの所に行くと、そこにグラスを移していく。


「アルコール来たよー」

 先輩が声を上げると、頼んだ奴らが寄っていく。

 一体何を、店員と話す事があるのか、まだ喋ってるし。


 あーなんか。
 ――――……むかつく、なあ。


 そうは思うのだけれど、理由はいまいちよく分からない。

 それでも、オレの周りにいる子達との会話が途切れた時、オレはそこを離れて、先輩に近付いた。


「先輩」

 呼びかけると、先輩は振り返って、オレを見上げた。


「じゃ。ありがとうございました」

 先輩と話していた店員はそう言って先輩に笑いかける。先輩も、はーい、と笑顔で返してから、オレを振り返った。


「四ノ宮どしたの?」

 ――――……さっき何か言いたげなまま離れたのに、もう忘れてるみたい。
 にこ、と笑って、オレを見上げる。


「――――……先輩、今日、一緒に帰ります?」
「……つか、ほんとに、誰も良い子いないの?」


 先輩は首を傾げながら、オレを見上げてくる。



「まだ分かんない。小太郎達と二次会行くかもってさっき言ってたし。帰れたら、帰ろ?」

 そんな話をしていたら、相川先輩が近づいてきた。

「あ、ユキ、酒ちょーだい」
「あ、これ小太郎の?」
「うん」

 相川先輩はもう20才。

「いーなー、オレも飲みたい」
「20才になったら祝ってやるから一緒になー?」
「うん。祝って」

 2人でクスクス笑ってる。

「でもうち、親2人とも弱いらしいから、オレも弱いのかも」
「ユキの両親、そんな弱いの?」

「うん。母さんなんてちょっとで酔っちゃうらしい」
「でもじいちゃんとか強かったら、強いかもしんないし。飲んでみないとわかんねえよ」
「ん、そうだね。弱いよりは強い方がいいなあ~オレ」

「まあ分かる」

 2人で話しながら、相川先輩がふと、オレを見る。

「なんか四ノ宮はザルって感じがする……何でだろう」
「あー、分かる。そんな気がする」


 2人でうんうん頷き合って笑ってるし。

 ほんとここ2人は、のどかに仲良いな……。
 








 

 
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