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ずっとそばに
「楽しそう」*大翔
しおりを挟む「次あれ乗りたいー」
「まだ乗るの?」
「乗ろうよ、ていうかまだ全然乗ってないじゃん」
この遊園地には初めて来たけど、どうやら家族連れが多い。身長制限のない穏やかな乗り物は混んでるが、大人やカップルが乗るような乗り物は空いてる。どれもこれも、十分程度並べば乗れる。
「来てからいくつ乗ったっけ」
「さあ? 早く行こ」
この人、絶叫系、好きだなあ……。意外……というのか、好きそう、というのか、どっちともとれるな。
オレが渋ってるからか、背中についた手に押される。
「早く早く」
「早く行かなくても乗れるって」
言いながらも、なんだかすごくはしゃいでる感が、すごく。
すごく。…………どう見ても、可愛い、ので。
まあいっか、と思う。
「これもすぐ乗れそうだね」
「絶叫系は人気ないのかも。親子連れの比率が半端ないですよね」
「だね。昔こんなだったかなあ……覚えてないや」
そう言いながら奏斗の視線の先は、ジェットコースター。逆さになって通り過ぎていくところを、うわー、と楽しそうに見てる。
「そんなにこういうの好き?」
「うん、すっごい好き。おしりの辺りが、ふわーって浮く奴、すごい好き。分かる?」
「ああ、分かる」
「四ノ宮も好き?」
「んーオレはバイキングとかが好きかな。船の形してて、風が気持ちいいやつ」
「じゃあこれ終わったら、バイキング行こう。どこにあるんだろ」
そう言って、さっきからずっと握り締めてるパンフレットをまた開いてる。
なんかその様子を見ていると、クスクス笑ってしまう。
「何?」
「いや。楽しそうだからさ」
「ん、楽しい……あ、ここだ。ジェットコースター終わったら向こうね?」
「はいはい」
頷きながら、少し下にある、奏斗の頭を見下ろす。
「バイキング乗ったら、何か食べよう?」
「うん。いいよ。……どこがいい?」
パンフレットを広げながらオレを振り返って見上げてくる。少しのぞき込んで「何があるの?」と聞くと。
「ファーストフードと、ピザと、ラーメンとかうどんとか……でっかいフードコートみたいなのもあるみたい」
「じゃあそこ行って決めよ」
「うん」
今日、出かけようと言った時、奏斗が着てきたのは、水色のTシャツに黒のデニム。シンプルだけど……何着てても可愛いからなぁ、この人。
「……? 何?」
じっと見つめてたら、バレた。
「別に?」
「……?」
「何食べようかなーって考えてただけ」
「ふうん?」
言いながら、奏斗はまた案内図を見てる。
「朝甘いの食べたからなあ……海鮮丼もあるってーオレそれがいいかなあ」
「あ、いいね。オレもそーしようかな」
そんな話をしながら誘導に従って進んでいたら、オレ達の目の前で、列が締め切られた。
「やったー、次一番前だね」
ジェットコースターの座る位置が一番前だからって、すごい嬉しそう。
「――――……」
ふ、と笑んでしまうと、奏斗が気づいて、なんだよ、とむくれる。
「別に……」
「……何で笑うんだよ?」
む、と見つめられて、んー、と考えてから。
さりげなくあたりを見回してから、奏斗に近づいて。
「なんかすごい、可愛いなと思って」
「な……」
なに言ってんのほんとに。恥ずかしいからやめろよ。
と、最後の方、小さくこそこそと言いながら、オレを睨む。
「だって、なんか子供みたいで」
「……む」
むむむ、と面白くなさそうな顔をしているけれど。
「どうぞー」
前の人達が出発して、待機の列に並ぶように係員に呼ばれると、すぐにパッと笑顔に戻った奏斗は、オレと目が合うと、む、と口を閉ざすけど……。
「もういいや。早くいこ」
と言って、またニコニコ。我慢できないらしい。
こんなに遊園地好きだとは思わなかったから、嬉しい誤算。
ここに来てからは、何に乗るかとか、次どっちに行くかとかしか考えていないみたいで、ほんと楽しそうで、良かった。
ジェットコースターの一番前の列の所に並んで、今走ってるのを目で追いながら。
「後でも一回乗ろ?」
「何回でもどーぞ」
「え、マジで?」
何だかものすごく嬉しそう。……何回乗る気なんだか。
……おもしろ。
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