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第2章
「ずるいと思う」
しおりを挟むあの後、シャワーで綺麗に流してから、タオルでざっと拭かれて、抱き上げられた。
「ソラ」
散々感じさせられた体は、もう全部、ぽわぽわ上気してるみたいな感覚で。
頭はふわふわ浮いてるみたいな。
「ん……?」
ぼんやりと、オレを呼んだルカを見つめると。
一本立てた指をくるんと動かしながら、ルカが何か唱えた。……と思ったら。ふわりと吹いた温かい風が髪を包んで。風が通りすぎた時には、もうオレの髪の毛は乾いていた。
「……うわ。ほんとすごい……」
楽しすぎる。
「……オレ、その魔法使いたいなあ……」
「風と火の魔法どっちも使って、しかも燃やさないように加減して、だからなあ。相当難しいぞ?」
クスクス笑いながらルカが言う。
「そうなんだ……加減しないと、髪の毛、燃えちゃうの?」
「火だからな」
「あはは。チリチリんなったら面白いねー」
「笑いごとか?」
ルカが可笑しそうに笑いながら、オレを見る。
「あ、オレのはやだ。やるならルカの髪で、ちりちりを再現してよう」
「……ちりちりっつうか、燃えるぞ?」
「う。……怖いね、この魔法。ルカは失敗しないの?」
「しない」
可笑しそうに笑いながら、ルカがオレを見下ろす。
「失敗するかもしれないようなもの、お前にかける訳ないだろ」
あ、また。さらっと、そういう。
オレを大事にしてそうなことを、さらさらっと言っちゃうんだ、ルカは。あんまりそういうの言ってることは、自覚してない気がするけど。
抱き上げてたオレを、ベッドの上に、そっと降ろす。
タオルを一応巻いてたけど、オレもルカも全裸なので……正気に返ってる今は、結構恥ずかしい。
しかも今、真昼間だし。なんか余計、気持ち的に、恥ずかしいような……。
ルカもベッドの上に腰かける。
「……ルカは、髪、乾かさないの?」
「別にオレは気になんねえけど」
……濡れてるルカ、カッコいいからまあ。そのままでもいいけど。
とか、考えて、ハッと気づく。
何言ってんだ、オレってば。
相当、ルカのこと好きになってる気がしてきたような……。
うう。恥ずい。
「来いよ、ソラ」
腕を引かれて、抱き寄せられる。
「……また、するの?」
「ん……けど少し、休憩な。お前、飛びそうだから」
「飛びそう?」
「意識、飛びそう」
クスクス笑いながら、そんなことを言うルカに、ちゅ、と頬に口づけられた。後ろから腕が回されて、ルカの脚の上に座らされる。
「――――……」
密着感が、すごい。
「……なんかさ、ルカに言いたいことがあるんだけど、オレ」
そう言うと、まだ何も言ってないのに、ルカは、クッと笑い出す。
「何で笑うの」
「……また面白いこと言いそうだから」
「まだ分かんないじゃん!」
「……まあそうだな。いいぜ、言ってみな?」
言ってみな、とか言われちゃうとそんな大した話じゃないんだけど。
「なんかさぁ。シてる時さ?」
「ん」
「……オレばっかり、ぐちゃぐちゃで、なんか、すごく、嫌なんだけど」
そう言うと、ルカは、しばらく無言で。
何かを考えていたみたいなんだけど、ふ、と吹き出したみたいな笑い方をするので、キッと後ろを睨む。
「何で笑うの!」
「……だって、お前……確かにぐちゃぐちゃになってるなと思ったのと……」
「何??」
んー、とルカはまた少し考えてから。
「……ソラばっかりぐちゃぐちゃで、としたら、じゃあオレはなんだって感じな訳?」
「――――……なんか、ルカは……」
「ん、オレは?」
……何なんだろう。ルカはね。
…………とにかくオレは、ぐちゃぐちゃにされてるのは、よく分かるんだよ。涙すごいし、汗もすごいし、ずっとイってるみたいで、あっちもヤバいし……。
「ルカは、なんか……しれっとしてて。カッコイイまんまって言うかさ……」
「――――……」
「……多分、ルカはシてる時に覗かれても、別に困らないというかさ」
「――――……」
「オレは、絶対誰にも見られたくないもん、ぐちゃぐちゃだから」
「――――……」
「……だからさあ、ずるいと思うんだけど!」
ルカの返事がなかったけど、とりあえず全部言い終えるところまで、言ってみた。
すると。腕を掴まれたと思ったら、くるん、とひっくり返された。座ってるルカに抱き寄せられる、オレはルカの上に座らされて、ルカと真正面で向かい合った。
「――――……」
裸でこれは、結構恥ずかしい……。黙ってると、ルカの右手がオレの顎を掴んで、頬まで、ぶに、とつまむ。必然的に口がとんがってる感じにさせられる。
「オレが余裕で、しれっとして見えてんの?」
「……見えてるっていうか、そうでしょ? 見た目全然変わらないしさ、ルカはいつものルカのままでさ。ちょっと息が速い位? ずるいと思うんだよね」
喋りづらいけど、何とかそう言うと。ルカは、苦笑い。
「お前、自分がいっぱいいっぱいで、オレのことなんて、見てないんだろうな?」
ルカはクスクス笑って、そんな風に言う。
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