本編完結☆【+月ノ夜+】～大好きな親友に、恋愛感情がある、と言われたら…。

【+月ノ夜+】旅行編

+月ノ夜+旅行編【好き過ぎ】

　冷え切って2人で部屋に戻ると、女子の2人も来ていた。

「お前らこの寒い中なにしてんの……」
「瑞希、顔真っ赤」

「もう冷え切ってて……さっむ……」

　冷たいコートを脱いで、ハンガーにかける。


「なー見てみて雪だるま作った」

　スマホの写真を皆に見せる。

「可愛いー」
「うん、可愛くできたよな、涼介？」
「じゃなくて、瑞希くんが可愛いー」
「え？」

「雪だるま作って超楽しそうなのが可愛い」
「え、オレ？」

　愛美の発言に、皆がわっと笑った。
　ちょっと困って、涼介を見上げるけど、涼介もぷ、と楽しげに笑ってる。

「オレじゃなくて、雪だるま。　可愛いでしょ？」
「うん、可愛い。どこに作ったの？」
「この窓の下なんだけど……」

　帰る頃には吹雪出したから見えないかも……と窓を見ると、案の定、外は真っ白。のぞいても雪だるまは見えなかった。

「あ、もう食事の時間じゃん。レストランいこーぜ」
「ほんとだー。早いよなあ、１７時食事」

　皆で立ち上がり、貴重品だけ持って、食事に向かう。


「ぷ。可愛え、やて」

　廊下歩きながら、こそっと涼介に囁かれ、む、と睨む。


「やっぱり可愛ぇもんなあ」

　クスクス笑われ。
　ため息しか出ない。



◇　◇　◇　◇



　食事を終えて、皆と部屋に向かって歩いている時。
　涼介に呼ばれて、皆の一番後ろに2人で並んだ。

「ん？　どーした？」
「な、瑞希、貸切風呂、入らん？　空いてれば借りれるらしい」
「貸切？」

「2人きりではいろ」
「――――……」

「……部屋じゃできないこと、しよ？」

　言われて、一気に恥ずかしくなって、顔が少し、熱くなる。

「……本気で、言ってる？」
「え。本気やないと思う？」

「………」
「――――……入ろうや。オレ、瑞希にめっちゃ触りたい」

　言われて、もう、真っ赤になるしかなくて。
　そもそも嫌でもないので、もう、仕方なく。


「空いてたら、いいよ。　……皆に変に思われないようにできるなら」
「ほしたら予約とれるか見てく。先戻っててええよ」
「うん」

　なんか、涼介、すごく張り切って消えてった。

　――――……もー。　恥ずかしいなー、あいつ。
　…………まあ。……好きだけど。

　告白されて、受け入れて。
　恋人になって一緒に居れば居るほど。

　どんどん、好きになってて。


　居心地が良すぎるのは、昔からなんだけど。
　触れ方や、優しくする仕方が、もう、感覚的に、好き、としか言えない。

　相性、て、言うんだろうか。


　涼介の、ベタベタと甘やかしてくるのも。
　なんか、心地よくて。

　たぶん相性悪かったら、ベタベタに甘いのとかも、気持ち悪いとか、オレはなりそうなんだけど。　適度な感じの、甘やかしと、優しさと。


　ほんとに。
　好き過ぎて、困る位。好き。


　部屋についてドアを開けると、皆が荷物をがさがさ漁ってた。
　
「おー、瑞希ー、風呂いこーぜ」
「あれ？　涼介は？」

「……あー。なんかうろついてくるって……」

　聞かれた言葉には、ちょっとドキドキしながら、そう答えた。
　バレるはずは、ないのだけど……。


「オレら、混む前に温泉いっちまおうと思ったんだけど…女子も今から行くって。涼介すぐ帰ってくるかな？」
「あ、オレ残るから行ってもいいよ。　……オレもう少し休憩しとく」

「分かった。じゃあ先風呂行ってくる。カードキーが2枚あるから、1枚ずつもってこ」
「了解ー」

　1枚受け取って、頷く。

「いってきまーす」
「じゃーなー」

「いってらっしゃーい」

　3人は準備をすると、早々に風呂に消えていった。しばらく1人で、ぽつん、と待ちながら、さっき撮ったゆきだるまの写真を眺めて過ごす。

　んー。
　……涼介は、まだかなー……？

　と思った瞬間。
　ドアが開いて、涼介が入ってきた。


「あれ、皆は？」
「温泉行ったよ」
「お、ちょうどええな、オレらもいこ」

「ん？温泉？」
「ちゃうよ、オレらは貸切の方。予約取れたで」


　すごーく、嬉しそうな涼介に。


　……そこで何する気なんだろ。少し触るくらいならいいけど……。
　といえ、少しの不安もあるのだけれど。

「早よ、タオルとか持って行こ？」

　でも、笑顔がやっぱり好きで。
　瑞希も、うん、と笑顔で返した。