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第一章
16.「接点を」*リュシオン
しおりを挟む「お前、すごいな」
エリアスを連れて、エイトの城へ。
エイトと会った瞬間、開口一番、そう言われた。
エリアスを連れてこれたオレがすごいという意味だが、意味が分かってないエリアスはオレの隣でニコニコ微笑んでいて、その後、エイトに普通に挨拶をしていた。
「……お前、ほんとすごい」
今エリアスは、好みの酒というか、あまり強くないお酒がないか、給仕をしている者に聞きに行った。
その隙に、エイトにつつかれる。
「連れてこれないって言っただろ、どーして連れてこれた訳?」
「……誘ったから」
「良く誘えたよな?」
ニヤニヤされて、ため息をつく。
「さっき、エリアスの城に話をしに行ってて」
「ああ」
「アリシアとの話はもう終わったんだ。結局、もう、よりは戻せないという結論になった。だけどそうなると、もう接点なんかないだろ?……で、帰るしかないなとなった時に、お前の誘いを思いだした」
「なるほど。……こんな無理やりでもいいから、接点が欲しくなった訳かあ……」
エイトはもうこの上なくニヤニヤ笑いながらそう言う。その視線の先にはエリアスが居る。
「もともと接点は、アリシアしかないんだから、それが片付いたら、永遠に会わない」
「て思ったら、嫌だったってことだろ?」
「…………とりあえず、接点を繋げてみた、ってことだな」
そう言うと、エイトは、はは、と笑い出した。
「オレ、お前がそういうのに一生懸命な姿、あんま見た記憶無いんだよな。……つか、接点を求めるのは、お前の場合、大体相手の方だったろ?」
「……そんなこと言ったって、エリアスが向こうから来る訳ないだろ」
まあそりゃそうだ、とエイトは笑う。
「……まあ、すごく綺麗な男だとは思った」
「だろ?」
「……だろって。何で得意げなの。……お前、ほんと面白いな」
クックッと笑って、エイトが、オレの背中をバシバシとたたく。
「まあ、普段オレらが接してる男とは、なんか全然別次元に居る感じだよな」
「そうだよな……別次元」
「……ていうか、どうしたいの? 接点つないで、飲みに連れてきて、で、飲み終わったら、どうすんの?」
「この間に考える」
「――――……」
少しの沈黙のあと、ぶはっ、と笑い出されて、とても不愉快になった時。
「戻りました」
エリアスが、グラスを持って、戻ってきた。
「良さそうな酒、あった?」
「はい」
ふ、と笑んでるエリアスに、つい、微笑み返してしまう。
……横で、エイトが面白そうに笑ってるのが、オレは不愉快で、エリアスには不思議らしく。
「まあ、適当に飲んでてよ。オレ、とりあえず、挨拶に回ってくるから」
「おう」
「お前も少しは回れよ」
「ああ」
まあオレは自分の城の時に結構挨拶したからな……あの時来てなかった奴んとこに行けばいいだろ。
というか、オレは今日は、エリアスからあんまり離れたくないし。
というのも。
……男同士、正式に結婚はできないが、関係は緩く認められている。愛人が男という騎士も、結構居る。……のは知っていたが、エリアス、なんだかこの場でやたら目立ってる。
本人はかけらも気にしていないが――――……。
「リュシオンさま、どこか、座りますか?」
「そうだな。どこか端の方に……」
「端でいいんですか? 私は、端にいるので、リュシオンさまは」
「一緒に居る」
エリアスの言葉をさえぎって言うと、エリアスは一瞬オレを見て、ふ、と微笑む。
「ありがとうございます」
クスクス笑っているエリアスに、何で礼を言うのか聞くと。
「騎士様と、綺麗な女性しか居ない気がするので、場違いかなと……だから一緒に居てくださるのかと思って」
……何だか本当に、素直なキラキラした瞳で見つめられると。
こちらも素直に、可愛いとしか、思えない。
どんどん、重症になっていく気がする。
応援ありがとうございます!
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みんなの感想(3件)
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騎士さまのお話読んでますー♡
エイトさんとのやり取りも好きです!(´∀`*)
綺麗な涙……キュン♡ エリアスさん、美人さーん!
アリシアちゃん、なでなで……。
大好きな騎士さまと美人さまに一票!(∩´∀`)∩
リュシオンさんのイケメンっぷりを楽しみに読ませていただきます!
応援してますー!
めーぷるさま♡
わぁ、めーぷるさん♡ ありがとうございます、嬉しい~ヾ(*´∀`*)ノ
まだエリアスが素でちゃんと喋れてない(笑)から、そろそろちゃんと出さないとと焦ってました(^^💦
頑張って書きます~ヾ(*´∀`*)ノ
二人の人物紹介と名前がピッタリ合ってるーーー!(^O^)
理想の涙と出会ってしまったお兄様がんばれーーー!!
kuronekoさま♡
わーいあってますかー♡ ありがとうございます(^^♪♡♡
もだもだ関係を深めたりなんだりしながら頑張ってもらうので、可愛がってもらえたらいいなぁ……(*´艸`*)♡♡ お兄様も私も、がんばりまーす♡
…これは…もしや…カミングアウトのされちゃった…?!
勇気を出して行動したアリシアちゃん…(´・ω・)カワイソス
むいむいさま♡
コメントありがとうございます~ヾ(*´∀`*)ノ♡
そうなの、アリシアちゃん、可哀想なの(^^; かわいそすってかわいい(笑
あ、でもカミングアウトじゃないんですよ~その話もあとで出てきます♡♡
読んでくださってありがとうございます♡♡