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1巻 学内格差編
第3話 ③
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「……思いつかない」
他のメンバーが帰宅した後、俺たち四人は公園で作戦会議をしていた。
俺はない頭をフル回転させて思考を巡らせるも、有効な策は思い浮かばない。
「作戦なんて必要ねーだろ! 真っ直ぐ突っ込めばいいだけの話じゃないか!」
後頭部をポリポリと掻きながら唸る俺の横で誠司が叫んだ。
「その場合は、実力差がそのまま勝率に繋がることを意味するわけで」
太一の言う通りだ。正攻法で勝てれば最高だけど、まず無理だ。かたや体育会系が集まっている1科と、かたや文化系が固まっている2科では、勝敗の行方は火を見るよりも明らかだ。
「お、お、思いついた、よ」
「マジで!? どんなやつ?」
「あ、相手クラスのしゅ、主力生徒をお、おお怒らせて、わ、わざとファウルをさせて退場させる、大幅せ、戦力ダウン作戦。ど、どう?」
有力生徒をレッドカードで退場させるのか。卑怯なやり口だけど、アリっちゃアリか?
だけども穏やかじゃない手法だよな。新たな火種を蒔く原因になりそう。
「それじゃあ卑劣扱いされて、2科の風当たりがますます強くなるんじゃないの? それに怒らせ方によってはこっちもただでは済まないよ。怪我とかが心配だ」
太一の意見に同意だ。乱闘騒ぎになるのは回避したいところだ。
豊原の提案が却下されたところで今一度考えを巡らせる。今のメンバーで効果的な戦法――
「そうだ!」
俺も一つ閃いたぞ。
「何か思いついたの?」
「相手の上手い人を集団で邪魔して戦力ダウンを図るんだ。いくらサッカーが上手くても邪魔者が多ければ満足なプレーはできないでしょ」
「相手が一部の選手以外下手なワンマンチームなら悪くはない案だけど、多くの人材を一気に消費するわけで戦力ダウンするのは俺たちもだよね」
ぐう、太一の指摘に反論できない。
しかしさっきから聞いていれば、こいつは文句ばっかりじゃないか。そこまで言うなら貴様の意見も聞かせてもらおうか。
「太一は何かないの?」
「そうだね――ん?」
会話を切った太一が見つめる先を視線で追うと、貴津学園の制服を着た男子生徒が公園に入ってきていた。
あれは――
「おお、誰かと思ったらヒロたちか」
「歩夢こそ、こんなところに何用で? テニス部はどうしたの?」
俺の方こそびっくりだ。歩夢がこんな時間に下校しているとは。まだ五時半過ぎだぞ。
歩夢は星川さんと同じくテニス部だ。小学生の頃からの経験者で、かなりの実力者なんだ。
「生徒会の仕事で球技大会の組み合わせを作っててこんな時間になったんだ」
歩夢は生徒会の役員だ。天は何物も与えてくれたらしい。
「で、公園で貴津のジャージを着た四人組がいたから気になってさ。君たちだったとはね」
球技大会の組み合わせですと? 重大なワードが飛び出してきたぞ。
「俺たちの対戦相手を教えてくれないか?」
単刀直入に歩夢に申し出るとはさすがは太一。清々しいほどの厚かましさだ。この図太さは羨ましいぞ。
「発表は来週だからなぁ。一部の生徒にだけ情報をリークするのはちょっとね」
一方で歩夢は困惑した笑みを作って言った。
「そこをなんとか! お願い、歩夢!」
俺は深く頭を下げた。我ながら情けないけど、なりふり構ってる場合じゃない。対戦相手によって有効な手立てだって変わるのだから。
頭を下げた俺を見た歩夢は一瞬驚いた表情をするものの、すぐにやれやれと困った笑みを浮かべ、
「――ヒロの頼みなら仕方ないなぁ。マジで極秘だからね。種目はサッカーだよね? 6組の一回戦の相手は3組で、二回戦は5組対8組の勝った方とだね」
トーナメント表が書かれているであろう紙を見ながら俺たちの対戦相手を教えてくれた。
「ありがとう歩夢! 助かるよ!」
「そっか、ヒロの役に立てたんだ……」
歩夢が感慨深そうに呟いているが、何を言ってるかは聞き取れなかった。
「対戦相手を教えてくれたんだ。こっちのことも教えないとフェアじゃないね。俺たちは球技大会で勝つための作戦会議をしていたんだ。先ほどまでは他のメンバーも交えて練習もしてた」
今度は太一が6組の企てを歩夢にリークした。リークってほどでもないんだろうけどね。1科は俺たちなんてアウトオブ眼中だろうし。
「へ、へぇ。そうなんだ――ねぇヒロ……いや、なんでもない。みんな怪我だけはしないようにね。それじゃあ」
そう言い残して歩夢は帰宅していった。
一瞬、俺に憂いを帯びた表情を見せたけど、言いたいことでもあったのかな?
それはそれとして、歩夢のおかげで少しだけ希望が見えてきたな。
「ア、アイツ、む、『無駄なことを』、と言いたげな面をしてやがった。こ、これだから、リ、リア充、イ、イケメンは、に、憎いんだよ、チ、チクショー!」
豊原が苦虫を噛み潰したような顔で先ほどまで歩夢が立っていた場所で地団駄を踏んでいる。明らかな殺気が感じ取れる。嫉妬とは本当に恐ろしい感情だと改めて実感する。
しかし歩夢が? 他人を小馬鹿にする奴ではないんだけど。
「まぁまぁ。気持ちは分かるけど、まずは対3組戦の攻略法を考えようよ」
地団駄を踏み終えたと思ったら今度は唾をまき散らしはじめた豊原をなだめ、俺たちは話し合いを再開する。
「3組ってサッカーが上手い人はいるの?」
「3組はサッカー部が二人いるな。高沢椋って顔立ちが端正な奴と、山田ってサッカーはそこそこ上手いがそれ以外は特徴がない奴。注意すべきはその二人くらいか。晴生がいる5組に比べるとそこまで大したことはないな。というか、1科クラスの中では最弱かもしれない」
運動部同士のナレッジがある誠司が3組の要注意人物を洗い出してくれる。
ところで高沢って、どこかで聞いたことがあるような?
「た、高沢君。が、学年一の美形で、バ、バレンタインの、しゅ、主役だった、ひ、人だよ」
「歩夢とともにバレンタインに貰ったチョコの数がぶっちぎりの二強の片割れか」
豊原の話で思い出した。今年のバレンタインデーの日に、二名ほどチョコレートを持った女子生徒の集団から逃げ惑ってた人たちがいたっけ。それが歩夢と、もう一人が高沢君って人だった。
他校の女子生徒までもが学内に無断侵入していたし、モテる男は実に辛いと思う。
ちなみに俺は、人生で一度もチョコレートを貰ったことがありません。えへん。
「椋は部活でのポジションは攻撃主体のフォワードだけど、今回の球技大会では攻撃と守備の中間に立つミッドフィルダーに徹すると思う。で、フォワードの山田を中心とした他のメンバーに攻撃を任せる、と」
チームワーク重視か。高沢君が攻め、守りの双方で中間に立って他のメンバーに繋げ、あとはメンバーに任せるやり方なのかもしれない。大量得点こそ厳しいものの、確実性があり好ゲームが展開できるやり方だ。
「それなら、こんな戦法はどうかな?」
俺が頷いていると、誠司の分析を聞いた太一がふいに閃いたとばかりに切り出した。
「なるほどな。けど、かなり運の要素が強くなっちゃうんじゃないか?」
誠司の言う通り、この作戦だと失敗した場合はみすみす相手に大量得点をプレゼントする羽目になってしまう。
悩んでいると、再び太一が声を上げる。
「どうせ正面から突っ込んでいったって百%勝てないんだ。だったら、作戦に賭けてみてもいいんじゃないか?」
「うーん、この作戦に賭けるしかないかなぁ」
他に有効な手も思いつかない。
しかし、結局は運に頼らないとダメなんだな。
「そ、そうかも。ス、スポーツは、ま、真っ直ぐ突っ込めば、勝てるものでもないし、や、やってみる価値はあ、あ、あるかも、しれないな」
「そうだな。それに3組はサッカーよりもバスケに力を入れるらしいしな。運動神経が良い連中はバスケに流れてるだろうし、可能性はあるか」
最終的には満場一致で、一回戦は太一が提案した戦法で臨むこととなった。
こんな調子で俺たちは作戦会議に熱中し、解散する頃には既に六時半を回っていた。
他のメンバーが帰宅した後、俺たち四人は公園で作戦会議をしていた。
俺はない頭をフル回転させて思考を巡らせるも、有効な策は思い浮かばない。
「作戦なんて必要ねーだろ! 真っ直ぐ突っ込めばいいだけの話じゃないか!」
後頭部をポリポリと掻きながら唸る俺の横で誠司が叫んだ。
「その場合は、実力差がそのまま勝率に繋がることを意味するわけで」
太一の言う通りだ。正攻法で勝てれば最高だけど、まず無理だ。かたや体育会系が集まっている1科と、かたや文化系が固まっている2科では、勝敗の行方は火を見るよりも明らかだ。
「お、お、思いついた、よ」
「マジで!? どんなやつ?」
「あ、相手クラスのしゅ、主力生徒をお、おお怒らせて、わ、わざとファウルをさせて退場させる、大幅せ、戦力ダウン作戦。ど、どう?」
有力生徒をレッドカードで退場させるのか。卑怯なやり口だけど、アリっちゃアリか?
だけども穏やかじゃない手法だよな。新たな火種を蒔く原因になりそう。
「それじゃあ卑劣扱いされて、2科の風当たりがますます強くなるんじゃないの? それに怒らせ方によってはこっちもただでは済まないよ。怪我とかが心配だ」
太一の意見に同意だ。乱闘騒ぎになるのは回避したいところだ。
豊原の提案が却下されたところで今一度考えを巡らせる。今のメンバーで効果的な戦法――
「そうだ!」
俺も一つ閃いたぞ。
「何か思いついたの?」
「相手の上手い人を集団で邪魔して戦力ダウンを図るんだ。いくらサッカーが上手くても邪魔者が多ければ満足なプレーはできないでしょ」
「相手が一部の選手以外下手なワンマンチームなら悪くはない案だけど、多くの人材を一気に消費するわけで戦力ダウンするのは俺たちもだよね」
ぐう、太一の指摘に反論できない。
しかしさっきから聞いていれば、こいつは文句ばっかりじゃないか。そこまで言うなら貴様の意見も聞かせてもらおうか。
「太一は何かないの?」
「そうだね――ん?」
会話を切った太一が見つめる先を視線で追うと、貴津学園の制服を着た男子生徒が公園に入ってきていた。
あれは――
「おお、誰かと思ったらヒロたちか」
「歩夢こそ、こんなところに何用で? テニス部はどうしたの?」
俺の方こそびっくりだ。歩夢がこんな時間に下校しているとは。まだ五時半過ぎだぞ。
歩夢は星川さんと同じくテニス部だ。小学生の頃からの経験者で、かなりの実力者なんだ。
「生徒会の仕事で球技大会の組み合わせを作っててこんな時間になったんだ」
歩夢は生徒会の役員だ。天は何物も与えてくれたらしい。
「で、公園で貴津のジャージを着た四人組がいたから気になってさ。君たちだったとはね」
球技大会の組み合わせですと? 重大なワードが飛び出してきたぞ。
「俺たちの対戦相手を教えてくれないか?」
単刀直入に歩夢に申し出るとはさすがは太一。清々しいほどの厚かましさだ。この図太さは羨ましいぞ。
「発表は来週だからなぁ。一部の生徒にだけ情報をリークするのはちょっとね」
一方で歩夢は困惑した笑みを作って言った。
「そこをなんとか! お願い、歩夢!」
俺は深く頭を下げた。我ながら情けないけど、なりふり構ってる場合じゃない。対戦相手によって有効な手立てだって変わるのだから。
頭を下げた俺を見た歩夢は一瞬驚いた表情をするものの、すぐにやれやれと困った笑みを浮かべ、
「――ヒロの頼みなら仕方ないなぁ。マジで極秘だからね。種目はサッカーだよね? 6組の一回戦の相手は3組で、二回戦は5組対8組の勝った方とだね」
トーナメント表が書かれているであろう紙を見ながら俺たちの対戦相手を教えてくれた。
「ありがとう歩夢! 助かるよ!」
「そっか、ヒロの役に立てたんだ……」
歩夢が感慨深そうに呟いているが、何を言ってるかは聞き取れなかった。
「対戦相手を教えてくれたんだ。こっちのことも教えないとフェアじゃないね。俺たちは球技大会で勝つための作戦会議をしていたんだ。先ほどまでは他のメンバーも交えて練習もしてた」
今度は太一が6組の企てを歩夢にリークした。リークってほどでもないんだろうけどね。1科は俺たちなんてアウトオブ眼中だろうし。
「へ、へぇ。そうなんだ――ねぇヒロ……いや、なんでもない。みんな怪我だけはしないようにね。それじゃあ」
そう言い残して歩夢は帰宅していった。
一瞬、俺に憂いを帯びた表情を見せたけど、言いたいことでもあったのかな?
それはそれとして、歩夢のおかげで少しだけ希望が見えてきたな。
「ア、アイツ、む、『無駄なことを』、と言いたげな面をしてやがった。こ、これだから、リ、リア充、イ、イケメンは、に、憎いんだよ、チ、チクショー!」
豊原が苦虫を噛み潰したような顔で先ほどまで歩夢が立っていた場所で地団駄を踏んでいる。明らかな殺気が感じ取れる。嫉妬とは本当に恐ろしい感情だと改めて実感する。
しかし歩夢が? 他人を小馬鹿にする奴ではないんだけど。
「まぁまぁ。気持ちは分かるけど、まずは対3組戦の攻略法を考えようよ」
地団駄を踏み終えたと思ったら今度は唾をまき散らしはじめた豊原をなだめ、俺たちは話し合いを再開する。
「3組ってサッカーが上手い人はいるの?」
「3組はサッカー部が二人いるな。高沢椋って顔立ちが端正な奴と、山田ってサッカーはそこそこ上手いがそれ以外は特徴がない奴。注意すべきはその二人くらいか。晴生がいる5組に比べるとそこまで大したことはないな。というか、1科クラスの中では最弱かもしれない」
運動部同士のナレッジがある誠司が3組の要注意人物を洗い出してくれる。
ところで高沢って、どこかで聞いたことがあるような?
「た、高沢君。が、学年一の美形で、バ、バレンタインの、しゅ、主役だった、ひ、人だよ」
「歩夢とともにバレンタインに貰ったチョコの数がぶっちぎりの二強の片割れか」
豊原の話で思い出した。今年のバレンタインデーの日に、二名ほどチョコレートを持った女子生徒の集団から逃げ惑ってた人たちがいたっけ。それが歩夢と、もう一人が高沢君って人だった。
他校の女子生徒までもが学内に無断侵入していたし、モテる男は実に辛いと思う。
ちなみに俺は、人生で一度もチョコレートを貰ったことがありません。えへん。
「椋は部活でのポジションは攻撃主体のフォワードだけど、今回の球技大会では攻撃と守備の中間に立つミッドフィルダーに徹すると思う。で、フォワードの山田を中心とした他のメンバーに攻撃を任せる、と」
チームワーク重視か。高沢君が攻め、守りの双方で中間に立って他のメンバーに繋げ、あとはメンバーに任せるやり方なのかもしれない。大量得点こそ厳しいものの、確実性があり好ゲームが展開できるやり方だ。
「それなら、こんな戦法はどうかな?」
俺が頷いていると、誠司の分析を聞いた太一がふいに閃いたとばかりに切り出した。
「なるほどな。けど、かなり運の要素が強くなっちゃうんじゃないか?」
誠司の言う通り、この作戦だと失敗した場合はみすみす相手に大量得点をプレゼントする羽目になってしまう。
悩んでいると、再び太一が声を上げる。
「どうせ正面から突っ込んでいったって百%勝てないんだ。だったら、作戦に賭けてみてもいいんじゃないか?」
「うーん、この作戦に賭けるしかないかなぁ」
他に有効な手も思いつかない。
しかし、結局は運に頼らないとダメなんだな。
「そ、そうかも。ス、スポーツは、ま、真っ直ぐ突っ込めば、勝てるものでもないし、や、やってみる価値はあ、あ、あるかも、しれないな」
「そうだな。それに3組はサッカーよりもバスケに力を入れるらしいしな。運動神経が良い連中はバスケに流れてるだろうし、可能性はあるか」
最終的には満場一致で、一回戦は太一が提案した戦法で臨むこととなった。
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