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1巻 学内格差編
第9話 ①
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「単刀直入に聞く」
満さんは鋭い眼光で俺の目を射貫くように睨んできた。
「君、電気系統の物質を操れるだろう? 恐らく栄養ドリンク辺りがトリガーだな」
――え?
なぜこの人は貴津学園の生徒でもないのに、能力のことを知っているんだ!?
というか、どうして俺の秘密をものの一瞬で見抜けたんだろう?
「なんで分かったのって顔をしているな」
俺はこくこくと首を縦に振った。
「さっき君の右手から一瞬雷光が迸ったのを見てしまってね。それで確信したよ」
この人は天才だ。なにしろ天王坂高校を卒業している。
しかし単なる天才でもなさそうだ。
満さんは絶対にこの不可解な能力についての詳細な事情を知っている。
「君を能力者に変えたドリンクにも心当たりはある。今の段階ではまだ詳しい内容は話せないけどね――そうか、奴らは本格的に計画を実行しはじめたか……」
「あの、奴らとは? 計画って」
顎に手を当てて神妙な面持ちで思案する満さんに疑問をぶつける。
「詳細は追々話すつもりではいるけど、迫害された人々を救済しようとしているとある組織があってね」
「そんな怪しげな組織があるんですか」
今や日本もすっかり物騒な国になったものだよ。
「その組織に関与している誰かが、何らかの理由から貴津学園に件のドリンクを送りつけたんだ」
「どうしてそんなことを……」
「単純に実験台にしたかったんじゃないかな」
高校生を実験台にするとか、とんでもない組織だな。
「学園はドリンクを飲ませる前に検査したと言ってましたよ? ドリンクに訝しい成分はないってお墨付きもありましたし」
専門機関が調べた結果、異常は見つからなかった。
更に学園長も承認していたんだ。がさつだけど天才の学園長が異常を見落とすはずがない。
――――だけど、もし、気づいていながら理由があって意図的にスルーしていたとしたら?
そんな疑念がふと脳裏をよぎるも、満さんは俺の思案を待たずして話を続ける。
「なら、現代の科学では察知できないように作られていると考えるべきだね」
そんなことが実現できる組織があるのか……?
眉唾な話でとても信じられないけど、俺自身が実際に超能力という不可解な現象に遭遇してしまっている以上否定はできない。
「なぜこうなったのかを今考えても時間の無駄だ」
つまり現段階で超能力の詳細を追ったところで何も解決できないと満さんは暗に告げている。
「話の方向性を変えよう。ドリンクを飲んだ人は全員超能力を使えるようになった?」
「いえ、使えた人と使えなかった人がいました」
俺や豊原は使えて太一や誠司は使えなかった。
「ほう。両者の違いは分かるかい?」
「能力者は暗い人や捻くれた人が多かったと思います。よく言えば個性的と言いますか……」
自分で言っててあれだけど俺も該当者なので複雑な心境だ。
「なるほどな――ときに高坂君はRPGは好きかい?」
RPG? プレイは結構してはいるけど。
「え、えぇ、好きですよ。先週発売した作品は特にやり込んでます」
「おお、気が合うね。俺もその作品にハマってるよ」
い、いきなり話が明後日の方向に脱線していませんかね?
「すまない、話が逸れてしまったね。で、だ。RPGではよく魔法の概念があるよね。君だったらゲームで何のために魔法を使う?」
単に敵にダメージを与えるだけならば通常攻撃で事足りる。魔法を使うシチュエーションがあるとすれば――
「魔法は敵との相性によっては通常攻撃よりも敵により大きなダメージを与えられますからね。簡潔に言えば敵をやっつけるため、ですかね」
「普通はそうだね。では補助魔法や回復魔法の存在意義は?」
「補助魔法は効率よく相手を倒すために使いますし、回復魔法がないと味方が死んでしまいますね」
戦闘において、特に回復魔法は重宝する。RPGにおいてHPの温存は死活問題だ。
「ゲームオーバーにならないためにはどうする?」
「パーティのHPを残しつつ敵を倒す、それしかないと思いますよ」
「そうだね。つまり補助魔法だろうが回復魔法だろうが、結果的に魔法というものは『敵を倒すための手段』に集約される」
ゲームの中ではそうかもしれない。けど現実世界で回復魔法が存在するなら、その使用目的はゲームとは違うはずだ。誰かを傷つけるためではなく誰かを助けるため。怪我や病気を治療するため。それらの用途に使われるべきだ。
「少なくとも君が得た能力はね、人を傷つけるために存在しているんだ」
超能力は使い方によって人の命を奪うこともできてしまうって太一にも言われたっけ。
「ここからは俺の推測だけど、ドリンクに入っていた物質がドリンク摂取者の体内――恐らくは脳に侵入して記憶を辿るんだ。そこで陰性か陽性かの判断を行い、陽性の場合は物質が脳に常駐する」
物質とか記憶とか、小難しい話になってきたな。
「陰性と陽性の判断材料は何になるんですか?」
「記憶の内容だ」
特定の記憶が能力発動の引き金になるってことか?
「さっきも言ったけど、ゲームでの魔法の存在理由は誰かを倒す――端的に言えば破壊が目的だ。標的を倒すぞ、悪者には制裁を、あいつが憎い――そういった他害の感情が能力のエネルギーに成し得るとしたら?」
他者への憎悪は感情なので姿形はない。それが超能力として具現化する? それって普通に危険じゃないか?
「感情は鉄や石油などとは違って目に見えて存在する有限物質ではない。記憶として持ち続ける限り永遠に存在するものだ」
嫌な感情は記憶を失わない限り、本人次第でいつでも記憶から蘇ってしまう。記憶の出来事を克服して気にならなくなったら話は別だろうけど。
「そんなものがエネルギー源になれば能力が使い放題だよね? ゲームでよくあるMPの概念を無視できる。非常に恐ろしい仕組みだよ」
「枯渇しない魔力みたいなものですか。チートじみてますね」
チートという単語を聞いた満さんは頷いた。
「記憶というものは、記憶喪失にでもならない限り決してなくなりはしないからね。たとえ本人が忘れていても、海馬にはいつまでも残っている。つまり、記憶を能力発動の燃料にすれば、能力が永久に使えるようになる」
感情が恒久的な魔力を提供し、記憶が超能力を実体化させるって仕組みか。
「石油とかの有限な資源とは違って、記憶は残っている限り空にならないですもんね」
「ちなみにどんな記憶があれば能力が使えるようになると思う?」
満さんが次なる問いを投げかけてきた。
先ほどの話から考えるに負の記憶だよね。
「嫉妬や憎しみとか、トラウマの記憶が能力を発動させるエネルギー源になるんじゃないでしょうか」
「正解だ」
満さんは微笑すら浮かべずに俺を見つめてくる。
「こんなことを聞くのは酷なんだけど、君には過去にそういった類の出来事があるかい? あ、無理に話す必要はないからね」
過去――――心当たりがありすぎる。
俺は幼少時代からの幼馴染に劣等感など様々な感情を抱いた。嫉妬心や羨望感は今をも持ち続けているし、幼馴染同士で比較され続けてきた過去は、俺の記憶に黒歴史として強く刻み込まれている。
「俺は、幼馴染に対して嫉妬や羨望の感情を抱き続けてます」
「なるほど。君の場合は記憶に残っている嫉妬心などがドリンクの成分と反応して能力が使えるようになったんだね」
羨ましい。なんで同じ幼馴染でもこうも違うんだ。そんな負の感情が記憶として残り、その記憶を媒体に俺の両手から雷が作り出せるってメカニズムか。
ん? ここで腑に落ちない点が。
「クラスメイトの中には単に浮いたり瞬間移動する能力の人もいましたよ? それは攻撃目的とは違うんじゃないですか?」
満さんは口元に手を当てて目を閉じた。
「なんとも言えないけど、浮いて他者を踏みつけることができるかもしれない。瞬間移動で他者の背後へと回って攻撃をしかけることができるかもしれない。パッと見攻撃目的ではない能力でもこじつけてみると、結局は攻撃手段になり得るかもしれないよね」
「発想の転換ですね」
それにしてもみんな人生谷ありなんだなぁ。
能力者はみんな、俺のように屈折した思いを抱いて生きているのだろうか。
思い出したくもない過去に蝕まれているのだろうか。
そういえば豊原も能力者だけど……まぁ、あいつはなんとなく想像はつく。
「すまないが、君たちから超能力を消失させる方法は分からない」
「そう、ですよね」
いくら満さんでも、奇妙な能力の全てを把握しているはずもなく。
本人は推測と謙遜してたけどおおよそ正解っぽい気がするし、そこまで予想できるだけでも十分だしすごいと思う。
「だが、先ほど話したトンデモ組織はまもなく淘汰される手筈だから、そこは心配いらないよ」
満さんはそこまで話すと、鋭く光っていた目を細めて優しい笑みを零す。
「つまらない話をして申し訳なかったね」
「いえ、色々と知れてよかったです」
何も分からずに得体の知れない超能力を持ったままでは気味が悪かったしね。
「さて、ここからは純粋に親交を深めようじゃないか」
この人、いくらなんでも切り替えが早すぎない? さっきまでの重い話で締まった空気は一瞬で掻き消え、いきなりだらけモードに入ったぞ。
「なにせ、真夏が男の子を自宅に連れ込んだのは初めてだからね。正直ビックリだ」
「そ、そうなんですか!?」
ものすっごく意外だ。喜ぶべきか?
「星川さんは学園ですごい人気ですよ。特に男子からは入学早々騒がれてましたし」
1科とは交流がない俺の耳にすら入ってきたので、相当な熱気なのが分かる。
「ははは、真夏は男に対してあまりいい感情は抱いてないんだよね」
「えっ、そうなんですか?」
少なくとも俺に対する接し方は普通だし、周囲の男子とも良好な関係に見えるけどなぁ。
「もっとも、その原因を作り出したのは俺と親父なんだけどね」
満さんは肩をすくめる。何かあったのかな?
「お兄さんは天王坂高校を出ているんですよね?」
「真夏め、俺の経歴を話したのか。まぁいいけどさ」
満さんは天王坂高校の話題に対して面白くなさそうな反応を示す。
「天王坂を卒業して、世間一般では日本一と称されている大学に現役で入ったまではよかったんだけど」
すごいな。周囲から讃えられるべきレベルの神童じゃないか。
「知らず知らずのうちに中退してニートになっていた」
いや、そんなキリッとした顔であっさり言われましてもどう反応すればいいのか分かりません。大学入学からの展開が早すぎませんかね。
満さんは鋭い眼光で俺の目を射貫くように睨んできた。
「君、電気系統の物質を操れるだろう? 恐らく栄養ドリンク辺りがトリガーだな」
――え?
なぜこの人は貴津学園の生徒でもないのに、能力のことを知っているんだ!?
というか、どうして俺の秘密をものの一瞬で見抜けたんだろう?
「なんで分かったのって顔をしているな」
俺はこくこくと首を縦に振った。
「さっき君の右手から一瞬雷光が迸ったのを見てしまってね。それで確信したよ」
この人は天才だ。なにしろ天王坂高校を卒業している。
しかし単なる天才でもなさそうだ。
満さんは絶対にこの不可解な能力についての詳細な事情を知っている。
「君を能力者に変えたドリンクにも心当たりはある。今の段階ではまだ詳しい内容は話せないけどね――そうか、奴らは本格的に計画を実行しはじめたか……」
「あの、奴らとは? 計画って」
顎に手を当てて神妙な面持ちで思案する満さんに疑問をぶつける。
「詳細は追々話すつもりではいるけど、迫害された人々を救済しようとしているとある組織があってね」
「そんな怪しげな組織があるんですか」
今や日本もすっかり物騒な国になったものだよ。
「その組織に関与している誰かが、何らかの理由から貴津学園に件のドリンクを送りつけたんだ」
「どうしてそんなことを……」
「単純に実験台にしたかったんじゃないかな」
高校生を実験台にするとか、とんでもない組織だな。
「学園はドリンクを飲ませる前に検査したと言ってましたよ? ドリンクに訝しい成分はないってお墨付きもありましたし」
専門機関が調べた結果、異常は見つからなかった。
更に学園長も承認していたんだ。がさつだけど天才の学園長が異常を見落とすはずがない。
――――だけど、もし、気づいていながら理由があって意図的にスルーしていたとしたら?
そんな疑念がふと脳裏をよぎるも、満さんは俺の思案を待たずして話を続ける。
「なら、現代の科学では察知できないように作られていると考えるべきだね」
そんなことが実現できる組織があるのか……?
眉唾な話でとても信じられないけど、俺自身が実際に超能力という不可解な現象に遭遇してしまっている以上否定はできない。
「なぜこうなったのかを今考えても時間の無駄だ」
つまり現段階で超能力の詳細を追ったところで何も解決できないと満さんは暗に告げている。
「話の方向性を変えよう。ドリンクを飲んだ人は全員超能力を使えるようになった?」
「いえ、使えた人と使えなかった人がいました」
俺や豊原は使えて太一や誠司は使えなかった。
「ほう。両者の違いは分かるかい?」
「能力者は暗い人や捻くれた人が多かったと思います。よく言えば個性的と言いますか……」
自分で言っててあれだけど俺も該当者なので複雑な心境だ。
「なるほどな――ときに高坂君はRPGは好きかい?」
RPG? プレイは結構してはいるけど。
「え、えぇ、好きですよ。先週発売した作品は特にやり込んでます」
「おお、気が合うね。俺もその作品にハマってるよ」
い、いきなり話が明後日の方向に脱線していませんかね?
「すまない、話が逸れてしまったね。で、だ。RPGではよく魔法の概念があるよね。君だったらゲームで何のために魔法を使う?」
単に敵にダメージを与えるだけならば通常攻撃で事足りる。魔法を使うシチュエーションがあるとすれば――
「魔法は敵との相性によっては通常攻撃よりも敵により大きなダメージを与えられますからね。簡潔に言えば敵をやっつけるため、ですかね」
「普通はそうだね。では補助魔法や回復魔法の存在意義は?」
「補助魔法は効率よく相手を倒すために使いますし、回復魔法がないと味方が死んでしまいますね」
戦闘において、特に回復魔法は重宝する。RPGにおいてHPの温存は死活問題だ。
「ゲームオーバーにならないためにはどうする?」
「パーティのHPを残しつつ敵を倒す、それしかないと思いますよ」
「そうだね。つまり補助魔法だろうが回復魔法だろうが、結果的に魔法というものは『敵を倒すための手段』に集約される」
ゲームの中ではそうかもしれない。けど現実世界で回復魔法が存在するなら、その使用目的はゲームとは違うはずだ。誰かを傷つけるためではなく誰かを助けるため。怪我や病気を治療するため。それらの用途に使われるべきだ。
「少なくとも君が得た能力はね、人を傷つけるために存在しているんだ」
超能力は使い方によって人の命を奪うこともできてしまうって太一にも言われたっけ。
「ここからは俺の推測だけど、ドリンクに入っていた物質がドリンク摂取者の体内――恐らくは脳に侵入して記憶を辿るんだ。そこで陰性か陽性かの判断を行い、陽性の場合は物質が脳に常駐する」
物質とか記憶とか、小難しい話になってきたな。
「陰性と陽性の判断材料は何になるんですか?」
「記憶の内容だ」
特定の記憶が能力発動の引き金になるってことか?
「さっきも言ったけど、ゲームでの魔法の存在理由は誰かを倒す――端的に言えば破壊が目的だ。標的を倒すぞ、悪者には制裁を、あいつが憎い――そういった他害の感情が能力のエネルギーに成し得るとしたら?」
他者への憎悪は感情なので姿形はない。それが超能力として具現化する? それって普通に危険じゃないか?
「感情は鉄や石油などとは違って目に見えて存在する有限物質ではない。記憶として持ち続ける限り永遠に存在するものだ」
嫌な感情は記憶を失わない限り、本人次第でいつでも記憶から蘇ってしまう。記憶の出来事を克服して気にならなくなったら話は別だろうけど。
「そんなものがエネルギー源になれば能力が使い放題だよね? ゲームでよくあるMPの概念を無視できる。非常に恐ろしい仕組みだよ」
「枯渇しない魔力みたいなものですか。チートじみてますね」
チートという単語を聞いた満さんは頷いた。
「記憶というものは、記憶喪失にでもならない限り決してなくなりはしないからね。たとえ本人が忘れていても、海馬にはいつまでも残っている。つまり、記憶を能力発動の燃料にすれば、能力が永久に使えるようになる」
感情が恒久的な魔力を提供し、記憶が超能力を実体化させるって仕組みか。
「石油とかの有限な資源とは違って、記憶は残っている限り空にならないですもんね」
「ちなみにどんな記憶があれば能力が使えるようになると思う?」
満さんが次なる問いを投げかけてきた。
先ほどの話から考えるに負の記憶だよね。
「嫉妬や憎しみとか、トラウマの記憶が能力を発動させるエネルギー源になるんじゃないでしょうか」
「正解だ」
満さんは微笑すら浮かべずに俺を見つめてくる。
「こんなことを聞くのは酷なんだけど、君には過去にそういった類の出来事があるかい? あ、無理に話す必要はないからね」
過去――――心当たりがありすぎる。
俺は幼少時代からの幼馴染に劣等感など様々な感情を抱いた。嫉妬心や羨望感は今をも持ち続けているし、幼馴染同士で比較され続けてきた過去は、俺の記憶に黒歴史として強く刻み込まれている。
「俺は、幼馴染に対して嫉妬や羨望の感情を抱き続けてます」
「なるほど。君の場合は記憶に残っている嫉妬心などがドリンクの成分と反応して能力が使えるようになったんだね」
羨ましい。なんで同じ幼馴染でもこうも違うんだ。そんな負の感情が記憶として残り、その記憶を媒体に俺の両手から雷が作り出せるってメカニズムか。
ん? ここで腑に落ちない点が。
「クラスメイトの中には単に浮いたり瞬間移動する能力の人もいましたよ? それは攻撃目的とは違うんじゃないですか?」
満さんは口元に手を当てて目を閉じた。
「なんとも言えないけど、浮いて他者を踏みつけることができるかもしれない。瞬間移動で他者の背後へと回って攻撃をしかけることができるかもしれない。パッと見攻撃目的ではない能力でもこじつけてみると、結局は攻撃手段になり得るかもしれないよね」
「発想の転換ですね」
それにしてもみんな人生谷ありなんだなぁ。
能力者はみんな、俺のように屈折した思いを抱いて生きているのだろうか。
思い出したくもない過去に蝕まれているのだろうか。
そういえば豊原も能力者だけど……まぁ、あいつはなんとなく想像はつく。
「すまないが、君たちから超能力を消失させる方法は分からない」
「そう、ですよね」
いくら満さんでも、奇妙な能力の全てを把握しているはずもなく。
本人は推測と謙遜してたけどおおよそ正解っぽい気がするし、そこまで予想できるだけでも十分だしすごいと思う。
「だが、先ほど話したトンデモ組織はまもなく淘汰される手筈だから、そこは心配いらないよ」
満さんはそこまで話すと、鋭く光っていた目を細めて優しい笑みを零す。
「つまらない話をして申し訳なかったね」
「いえ、色々と知れてよかったです」
何も分からずに得体の知れない超能力を持ったままでは気味が悪かったしね。
「さて、ここからは純粋に親交を深めようじゃないか」
この人、いくらなんでも切り替えが早すぎない? さっきまでの重い話で締まった空気は一瞬で掻き消え、いきなりだらけモードに入ったぞ。
「なにせ、真夏が男の子を自宅に連れ込んだのは初めてだからね。正直ビックリだ」
「そ、そうなんですか!?」
ものすっごく意外だ。喜ぶべきか?
「星川さんは学園ですごい人気ですよ。特に男子からは入学早々騒がれてましたし」
1科とは交流がない俺の耳にすら入ってきたので、相当な熱気なのが分かる。
「ははは、真夏は男に対してあまりいい感情は抱いてないんだよね」
「えっ、そうなんですか?」
少なくとも俺に対する接し方は普通だし、周囲の男子とも良好な関係に見えるけどなぁ。
「もっとも、その原因を作り出したのは俺と親父なんだけどね」
満さんは肩をすくめる。何かあったのかな?
「お兄さんは天王坂高校を出ているんですよね?」
「真夏め、俺の経歴を話したのか。まぁいいけどさ」
満さんは天王坂高校の話題に対して面白くなさそうな反応を示す。
「天王坂を卒業して、世間一般では日本一と称されている大学に現役で入ったまではよかったんだけど」
すごいな。周囲から讃えられるべきレベルの神童じゃないか。
「知らず知らずのうちに中退してニートになっていた」
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