ゲーマー女子ですが魔王(♂)に転生してしまいました。殺されたくないので運命回避させていただきますっ!

近藤蜜柑

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先輩の章

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さて、季節は巡り一年後
ラルが入学してくる年だ。
何故かペイストがソワソワしてる。たしかに、ラルがきちんと後輩になるとはいえちょっと変だ。

「はあ~憂鬱。何で僕が新入生にスピーチするの?生徒会長でもないのに・・・」
「せいと、会長とは何ですか?」
「あー、何でもないよシェール」
「でも私はとても誇らしいですわ!生徒の代表の方とお友達なんですもの」
「気持ちはわかるけど、胸張って行け!」
「うん!ありがとうシェール、ペイスト」
フィック先輩のご指名なんだよね。あの人、基本的にはとても頼りになるから。先生たちに頼まれごとされたりするみたい。
まぁ、普段のが通常だと私は思うけどね・・・


「あっ!!!」
「ペイスト、何、どうしたの?」
「ビックリしましたわ」
「ふへっ!?な、ないが?」
「いや、こっちのセリフだから。何かあった?」
「大丈夫ですか?」
この一年でペイストとシェールはとても仲良くなった。よく3人で遊んでる。
フィックやフォルスと一緒に遊ぶ事もあってみんな仲良く学生生活を過ごしている。

「いや、アイツがいたんだ!緊張してんだよ。久しぶりに逢うから」
そう言ってペイストは顔を隠す。こんなペイストは珍しい!
「ラルに?」
「いや、弟・・・」
「弟?ペイストがお兄ちゃんか~。でも何かわかる気がする」
「そうか?」
実際に、ゲームで兄だと知っているのもあるけど、こうやって過ごしていると、ペイストは引っ張っていくムードメーカーだ。
楽しい遊びを思いつくのは、決まってペイストだった。
ん?ペイストの弟って・・・


「在校生代表、マオ」
フィック先輩が司会してる。あの人、ちゃんとすれば凄い人なのに、普段がアレだからなぁ~。授業は寝てばかりなのに成績は良い。勉強してるのも見た事ないから、シェールは秀才で、フィック先輩は天才って感じだ。


「はい!」
返事をする。
リシンは姿を消して、念のためにシェールに預けた。

やばい!行かなきゃ!アレ?メモが無い!
くそっ!もういいや。思った事話そう

マイクの前に立った。何だか緊張してくる。

「在校生代表のマオです。みなさん入学おめでとうございます。・・・すみません。せっかく用意したメモ忘れて来ちゃったみたいです。多分、緊張で寝坊した夢を見たせいです!」

くすくすと笑い声が聞こえる。
姿を消してシェールの近くにいてもらう為にリシンの為にリンゴを7個も食べたからだと思う・・・
少し齧っただけじゃイヤだとごねて大変だった。
良かった、笑ってくれてる。

「在校生代表なんて言われましたけど、僕はまだ2年生です。去年入ったばかりなんです。最初は両親に勧められたのと、自分のとある目的の為だけにこの学校に入りました。
でも!今はそんな僕に仲間が出来ました。たった1年でです!先輩達に同級生、そして・・・君達が後輩。これから沢山の想い出を一緒に作る後輩になって、今度はみなさんが素敵な先輩になっていってください。
在校生代表 マオ」

お辞儀して、と。
ふぅ~終わった終わったぁ・・・ん?

ぐすぐす

えっと?何人か泣いてる?今日は入学式だよね?
戻って2人に聞いてみる。

「ペイスト、シェール、みんなどうしたの?」
「ちょっとな・・・」
ペイストも目頭を押さえて何かに耐えているみたいだ。
「皆さん感動しているんです!」
シェールもちょっと泣いてる?
「そうかなぁ?皆涙もろいね、何だか卒業式みたいだよ?」
そんなつもりなかったんだけどなぁ・・・。


入学式の後に、呼び止められた。
「マオ様~!お久しぶりッス!」
「ラル!久しぶりだね!まさか去年潜入してたなんて分からなかったよ」
「そこまで覚えて頂いて感激ッス!オレも素敵な先輩になれるよう頑張りますッス!」
「代表の人か。ども」
「こんにちは。よろしくね」
新入生代表の子だ。幼さが強くて、ペイストがあの反応をしなければわからなかっただろうな。
この子は主人公チームのメンバーで、オルドル。ラルとは同級生だったんだね。あーそっか。だからゲームでもあんなに仲良かったんだ。


「兄貴、いたんだな」
オルドルがぶっきらぼうに言う。
「・・・いちゃ悪いかよ」
いつも騒がしいペイストが無口だ。苦手とか、嫌っているというよりも、まだ逢いたくないってカンジ?苦虫を噛み潰したような。

「誰もそんな事言ってないだろ!?」
「新入生代表か、アレは勉強ができる奴だぜ。剣はどうした?」
「・・・っ!僕は兄貴とは違う。勉強も剣も手を抜かない!」
「二兎追うものは一兎をも得ずって知ってるか?半端な気持ちじゃ両方とも逃がすぞ」
「言われなくても分かってる。僕は力だけの兄貴とは違う。熱くなって空回りの自滅しないから」
「あっそーですかー!」
売り言葉に買い言葉。
なんか一見すると険悪なムードに見えるけど、これって・・・

「ペイスト、この子が弟?やっぱりペイストはいいお兄ちゃんだね・・・」
「はあ!?マオ!お前何言ってんの!?」
ペイストは怪訝そうな顔をしてる。

「え?だって心配してるんでしょ?」
「心配ですか?」
シェールがきょとんとしてるので解説する。冷静に分析すると熱は冷めるって言うしね。

「うん、だって。剣と魔法両方使うのってやっぱり大変だよ!全体を見て前に出て剣で戦えばいいか、後ろに下がって魔法で支援するか、回復するか。僕もその時々で瞬時に判断しなくちゃいけないし」
「え!?アンタ魔法剣士なの!?」
「うん。そうだよ」
オルドルが食いついてきた。魔法剣士はほとんどいないし、ゲームでもまだ少なかったから当たり前かもしれないけど、根っこは素直で人懐っこいのかもしれない。

「アンタ!?マオ様になんて口の聞き方ッスか!!ちゃんと敬語使うッス!」
「え?この人がラルのよく言ってるカッコイイ先輩?」
「そうッス!自分だって代表挨拶で感動したって涙ぐんでたじゃないッスか!!」
「うっうるさい!!行くぞラル!」
オルドルは真っ赤な顔して寮に向かう。

「ちょっと待つッス!マオ様、先輩達すいませんッス!」
「気にしないでいいよ。彼も照れ屋さんだね」
ってかラル、そんな事話してるの?相変わらず羨望の眼差しが熱いな・・・

「素直じゃないだけッスよ!」
「ラル!行くぞ!」
「うん、そうだね」
「ラル!!」
痺れを切らすのも早い。短気なところもペイストと同じだ。

「わかってるッす!ではまたマオ様!」
「その様って!やめて・・・」
既に遠いラルには聞こえていないだろう。ラルは強い者に巻かれる主義で、ゴマすりが上手い。
そんなラルに顔の傷が少しあったのが気になった。

ゲームでのオルドルは常に笑顔を絶やさないような、気持ちが読みにくい腹黒な部分が強かったけど、ラルはゲームと何も変わっていない。
ラル1人だけがそのまま。私は顔の傷の原因が気になった。傷がどんどん増えて、ラルだけは変わらないままなんじゃないかって少し怖かった。
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