ゲーマー女子ですが魔王(♂)に転生してしまいました。殺されたくないので運命回避させていただきますっ!

近藤蜜柑

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兄弟の章

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「可愛い後輩が出来ましたわね」
「はぁ~」
にこやかに微笑むシェールの隣でペイストが大きなため息を吐いた。

「ペイストが入学式前におかしかったのは弟さんがいたから?」
「まぁ、な。両親離婚して、逢うの久しぶりなんだよ・・・」
「そうなんだ」
現代では珍しくないけど、原因はそこじゃなくて、きっかけにしかなってないんだろうけど、なんかあんまり立ち入っちゃいけない雰囲気だ。
私もシェールもそれ以上は聞かない事にした。



少し経ったある日の夕方、オルドルに中庭に呼び出された。
試験の結果を聞いたんだろうな。

「・・・・・・。質問してもいい、デスカ?」
「どうぞ。何でも聞いて」
頑張って敬語を使っているみたいで可愛い。ラルにでも言われたのかな?

「魔法剣士はいつか片方だけに絞るべきですか?」
直球だなぁ。
「そうだね~。魔法の勉強は大変だし、剣の練習だって大変だから、ひとつに絞った方がラクだからって勧める人は多いね」

そう。1年前に私も先生に言われた。いつかどちらかに絞るべきだって。
勉強は大変だし、全体を見る必要がある。結果的に私は魔法剣士を選んだ。理由は・・・先生同士が喧嘩しそうだったからなんだけど。
今この学校には魔法剣士の卒業生はまだ1人もいない。ゲームでは魔王が初めてだった。そしてオルドルは・・・

「・・・・・・」
悔しそうにしてる。
「ペイストの言う通りな事もあるけど、それでも両方やりたいなら、才能とかもそうだけど、絶対に手放さない覚悟が必要だよ。2人分頑張らないといけないからね」
「でも、オレは、もっと剣が使えるようになりたい!オレは、剣士になりたい!」
「魔法が全く使えない人もいるから、僕個人としてはもったいないと思うけどね」
そう。オルドルは魔法使いを勧められていた。

ゲームではオルドルの過去も語られている。魔法使いとして学校を卒業して、騎士団に所属した時に剣士として頑張ったけど、騎士団では嫌味を言われることも多かったみたい。
なんで魔法使わないんだって・・・

オルドルは騎士団長だったけど、魔法も使えるみたいなのに、覚えなくて、ストーリーのピンチな時と、最終奥義でしか使わない。
なんだか、使いたくないみたいだった。魔王の仲間になる前はペイストが騎士団長だったから、目には目を剣には剣をかと思ってたけど、ひょっとして・・・

「ねぇ、オルドルはペイストが好きなの?」
「はあ!?変なこと言わないでくださいよ」
「そうだね~。ペイストって魔法全く使えないしね」
「え!そうなんですか!?」
純粋に驚いている。知らないなら、ごめん、オルドル。少し卑怯になるね。

「うん。気配もわからないから、魔法に対しての防御が凄く弱いんだ」
「へー」
「会った時は素直じゃなくってね、好きな子にイタズラするような子供なんだよ」
「はぁ、そうですか・・・」
「単純バカだから突き進むだけだし」
「・・・・・・」

よし、もう少しかな?
「力が強いから引っ張っていかれると痛いんだよね~」
「・・・あの!アンタ兄貴の友達なんじゃないのかよ!さっきから黙って聞いてれば、悪口ばっかり言いやがって!確かに単純バカの筋肉バカだけど、優しいし、頼りがいあるし、守りたい想いは誰にも負けてない!オレの自慢の兄貴をバカにすんな!!」
「ふふふっ」
やっぱりそうだ。

「なんだよ!」
「ごめんごめん。君も素直じゃないね」
「ふざけてんのか!?」
「自慢の兄貴、か。僕、一人っ子だから羨ましいな」
「・・・・・・っ!!」
オルドルは真っ赤に染まった。やっぱり後輩は可愛いね。

「ごめんね、君をからかっただけだよ。僕も結構迷うから、引っ張ってくれるの有難いんだ。・・・やっぱりオルドルはペイストが好きなんだね。いや、憧れてるって言った方がいい?」
「・・・・・・・・・・・・うん」
長い沈黙の後で答えてくれた。普通に聞いたってダメなのはわかってた。
「そう」

オルドルは観念したように話してくれた。
「オレたち、両親離婚して、別々に暮らしてるんだ。あんまり似てないだろ?」
「う~ん。体格がまず違うね。ペイストは筋肉ムキムキで、学校でもっとムキムキになってる。多分もっとムキムキになる。オルドルは、引き締まった感じだね」
「だよなぁ~。オレ中々筋肉付かないんだよ。兄貴は父さん似で、オレは母さん似なんだ」
素直に思った事を言うと、オルドルは笑っていたけど少し凹んだ。

「でも、やっぱりよく似てるよ?」
「え?ど、どこ!?どこが!?」
「ふふふっ尻尾が見えた。嬉しい?憧れのお兄ちゃんと似てるところがあると」
「うるさいっ!・・・・・・で?」
気になるし、嬉しいみたい。仲良いね~。

「うん。まずはその素直じゃないけど、思い立ったら突き進む性格」
「オレも!?慎重だって言われるけど」
「考える時間が違うだけだよ」
「あー、それはあるかも」

「見た目はその瞳と髪だね」
「瞳?髪もか?」
2人ともどことなく似てる。

「瞳の色はペイストが空の青で、オルドルは海の青。あと髪質が似てるんだよ」
「そっか。へへへへへっ!」
ペイストより黄色い山吹色の髪をナデナデしてみる。やっぱりツンツンしてて、気持ちいい

「あ、ペイストの方が身長も高いね!こんな事出来ないし」
「俺がチビだって言いたいのか?子供扱いすんなよ!」
「何それ~後輩を可愛がってるだけだよ~?」
「モノは言いようだな!!センパイ!」


オルドルとペイストもすれ違いから、ああなってしまったみたい。

数日後、学校で2人を見かけた時は誰が見ても仲の良い兄弟にしか見えなかった。
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