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眼鏡の章
しおりを挟むシェールとの特訓にも慣れてきた頃、とある人に呼び出された。
校舎裏って怖すぎる!でも、ゲームでも悪い人じゃなかったし!
「ちゃんと来たね」
「よ、呼ばれたから」
「あんたがマオ?」
「は、はい!」
やっぱり緊張する!
「ぶっ!あははははははっ!」
「え?何?」
しばらく笑った後、呼び出したフォルスはニッと笑った。
「そんな緊張しなくていいよ!何も取って食いやしないからさ!」
「は、はい」
「アタシはフォルス。シェールのダチだよ」
「へーそうなんだぁ・・・」
存じております。
「ただ、アンタに礼が言いたかっただけさ」
「礼?」
「ありがとうね。シェールを友達にしてくれて」
あーそっか。そうだよね。友達が変わったら分かるよね。特にシェールとフォルスは幼なじみなんだし
「アタシは、あの子が困っていた時に側にいてあげられなかった。
アタシが助けてあげなきゃいけなかったはずなのに。
ありがとうね、マオ!」
「・・・・・・!」
「マオだろ?名前違うのかい!?」
「ううん、合ってる。ぼくもシェールに助けてほしかったから・・・」
それだけ言うのがやっとだった。一瞬意識が飛んでた。
フォルスも寂しそうだったけど、台詞が変わった。しかも、よりによってこの台詞が
「アタシは、あの子が苦しんでるってわかっていたのに何も出来なかった。
アタシが助けてあげなきゃいけなかったはずなのに。
ごめん、ごめんねシェール・・・」
ゲームでシェールとの戦いの後、部屋を後にしようとしたパーティーに、ボロボロになっても向かってきたシェールを部屋に押し戻したのはフォルスだった。
部屋を後にした後、すぐに扉は自動で閉まり、部屋に水が溢れてきて、倒れたソルシエールはまだ生きていたけど、もうどうする事も出来なかった。
扉はガラスのような作りをした透明で、割ろうと思えば割れた。でも、割ったらパーティーみんなが巻き込まれてしまう。それは、パーティーの全滅を意味していた。
パーティーが全滅すると、魔王を止める障害が無くなる。
きっと、魔王に残酷な選択を迫られたんだろう。
魔王を止めなければ、災害が起こり続ける。
災害が起こり続ければ、もっとたくさんの動物や植物そして、人が死ぬ事になる。
フォルスは真っ青になって、扉を一瞬割ろうとして、直前で手を止め、扉にそっと優しく触れて懺悔のように静かに涙を溢して、その台詞を言ったんだ。
でも、今はごめんねがありがとうに変わった。
プレイヤーの傍観者だった時の悲しみよりも、今の2人の関係が嬉しかった。
フォルスを心配させちゃいけないと、グッと堪える
「僕も、シェールと仲良くなれてよかったよ!最初は随分と苦労したけど。でも、シェールの事は尊敬してる」
「そう。ってかいつのまにか泣きそうだね。そんなに大変だったのかい?」
「大丈夫。嬉しかっただけだから」
「・・・ふーん。まぁいいけど」
怪しまれてる・・・。ゲームでもそうだったけどフォルスは相変わらず鋭いや。
「僕はシェールが元気になってくれて嬉しいし!」
「下心も無さそうだね。・・・ってかアンタ随分と話しやすいね?まるで同性みたいだ」
ぎくっ!ホント鋭い・・・!フォルスには気をつけなきゃ・・・!
「でも、下心ある奴は近づけなくてよくないかい!?」
「あーペイストね。でも、シェールも楽しそうだし・・・」
「だからだよ!あん時いじめてた奴だろ!?なんで今はナカヨシコヨシしてんだ!?」
あー・・・。
ちょっと迷ったけど、別に口止めされてはいないし、言っても問題なさそうだと、打ち明ける事にした。フォルスは噂とか好きじゃないから信頼できるしね。
「いや、実はね?」
少し前、どうして眼鏡を取ったのかペイストに聞いてみると
「シェールに一目惚れして、眼鏡取った顔が見たかったんだってさ」
その後シェールに頼んでみると、外してくれて、やっぱりめちゃくちゃ可愛かった。
ペイストはマジマジと見て、赤くなって、すぐに眼鏡を指差して似合うからずっと付けてろ!って言ってた。目の色と同じぐらい青い顔に変わってね。
シェールは不思議そうに、でも嬉しそうに眼鏡をかけた。
「後で聞いたら、可愛すぎて心配になったんだってさ」
「わ、分かってる奴だな!」
あーなるほど・・・
「フォルスってシェールの事大好きなんだね・・・」
「え、あ、違っ!わないけど・・・」
「ふふっ」
「・・・でも、幼馴染だからってずっと側にはいてあげられないんだね」
「ずっと側にいるなんて無理だよ」
幼馴染でも、兄弟でも、家族でも、双子でも、恋人でもそれは同じだ。見ている方向は同じでも、歩く道はそれぞれに違う。
「そう、だね」
「シェールだって、子供じゃない。信じて見守る事も必要だよ。助けてほしいって言われたら全力で助けに行けばいいよ!2人は幼馴染で、親友でしょ?」
「・・・そう。そうだね!」
「ふふふっ」
「は、話は終わりだ!じゃあ、あ、ありがと」
2人の関係は良好みたい。良かった!本当にもう大丈夫だ!
実はシェールに外してもらった後、こんなやりとりがあった。
「マオさんって寮では眼鏡かけてるんですか?」
「いや、裸眼だよ。何で?」
「たまにやってます。これ」
シェールは指先で眼鏡をなおした。
「そ、そう?」
「ほら、それだよ。困った時にするんだな」
ペイストが指を指す。
「あークセかな?」
「そうですか・・・」
「かけてたんだ。昔ね」
「昔?」
あ、ヤバ!
ちょっと残念そうなシェールに口が滑ってしまい、席を外すと足を運ぶ。
「眼って良くなったりするのか?」
「さあ?あまり聞いた事ありませんわ」
ペイストとシェールは2人揃って首を傾げた。
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