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第1章 高校編
青いヒカリ1
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海岡高等学校に通う九条遙加が霊媒体質だと気づいたのは、穏やかな日常の中何の前触れもなく突如として現れたこんな出来事からだった。
その日は5月中旬だというのにまるで梅雨入り前のような重苦しい空の色をしていた。
確か天気予報では雨は降らないと言っていたはずなのに何とも怪しい空模様だった。
「みんな早く帰る準備してー。少しでも遅くなったら次練習させてもらえなくなるからねー」
部長の言葉に軽音楽部のバンドのメンバー達は焦って帰り支度を始めた。
週に2回。これは顧問の先生と部長が必死に掛け合って学校側から許可された貴重な練習日。頭の硬い生活指導の先生の思い込みで軽音楽部は素行が悪いと決めつけられている。
ロックをやるのは不良だなんて一体いつの時代の人間なのだろうか。理解に苦しむ。
現在高校2年生の九条遙加は軽音楽部のバンドメンバーに誘われて知り合いのバンドでリードボーカルをしていた。いつもは楽器屋さんのスタジオを借りて練習しているけれど、今日は学校に置いてあるアンプから気持ちよく大きな音を出しても文句を言われない貴重な日だ。
貴重な学校での音出し練習も終わったので、部長に言われる前からスタジオ代を稼ぐためのバイトに行こうと荷物をまとめ終わった九条は徐に立ち上がった。
そう、何の気無しに立ち上がっその時に異変が起きたのだ。
突如として視聴覚室の中に現れた透き通った青い光が部屋の外に向かって一直線に出て行った。それはまるでレーザービームのように。
しかし、単なる視聴覚室にレーザービームを出せるような機材があるわけがない。それに加えてただでさえ一部の先生達に嫌われている軽音楽部にそんな予算が下りるわけもない。
その一部の先生からはアンプから出てくる音がうるさいと眉間に皺を寄せて見下すように言われるがトランペットやサックスの音だって負けていないと軽音楽部の連中は思っている。
しかしコンクール上位入賞常連校のブラスバンド部と嫌われ者の軽音楽部では先生の態度があからさまに違いすぎた。同じ生徒なのに。
それに加えてバンドとしての完成度の低い、簡単に言えば演奏が下手な先輩は上手い後輩のことを『生意気だ』と言ったりする。
生意気だのなんだのいう前に上手くなればいいだけの話なのだが、そう言う奴らは努力するのは好きではないようだ。
話が横道に逸れてしまったので元に戻そう。
視聴覚室の中で突如発生した青い光は九条遙加の頭上を通り、そのまま扉や壁をもすり抜けてスーッと外へ出ていった。ご丁寧にわざわざ視聴覚室の出入り口の扉をすり抜けて。
それを見ていたのは3人の生徒だけ。しかも九条以外の二人は霊感があると自覚のある者だった。
一方九条はというと、
『18歳までに霊に関する体験をしなければ、霊感に目覚めることはない』
と言う言葉を闇雲に信じていた。彼女は自分には霊感なんてものはなくて、全く違う世界の関係のないことだと思っていた。
霊感なんてないはずなのに、彼女は青い光を見てしまったのだ。まあ、ないと思っていたのは本人だけなのだが……。
一緒に光を見ていた霊感のある二人は青い光について何やら話し出した。
「あれは、霊だね」
「そうだね、間違い無いだろうね」
二人は軽音楽部の他のバンドのギターリストとキーボード奏者だった。
ギターリストの岩館秋彦は青い光が九条の近くを通ったのを見ていた。
「あの青い光、九条の近くを通ってたけどお前は見えたか」
「うん、残念ながら見えたよ。あれって何だったの?」
「多分、ここから出て行った不幽霊じゃないかな、何かに惹かれてきてたけど用が済んだから帰ったんじゃないかな、多分」
「何でそんなこと分かるのよ」
「いや、分かるというより何となくそんな感じがするだけ、かな」
「ふーん……」
その日この話は一旦そこで終わり、皆それぞれアルバイト先へと急いだ。
進学校であるこの学校で練習場所を確保するためにバイトをしているのは軽音楽部ぐらいである。特に禁止されているわけではないので、学校側も注意はしない。というよりしたくてもできないのだ。なぜか軽音楽部は成績優秀者が多いからそれらしい理由をつけられないのだ。
学内の他の多くの学生は大学受験に向かって陰では必死に勉強している。だから普通はアルバイトどころではないはずなのだ。しかし音楽に魅入られた軽音楽部の部員達は生音を直接身体で感じる快感を忘れられなくてそれを求めてバイトをするのだった。
軽音楽部の部長、如月京香は頭脳明晰でマネージメント力に優れた才女だった。
軽音楽部は規律や規則などほとんどなく基本とても緩い部活で有名なのだが1つ、いや
2つだけ約束事があった。
『バイトを理由に成績が下がったものは部活への参加を認めない』
『人様に迷惑をかけないこと』
成績が下がっても退部させるわけではなく、次の試験で挽回すれば良いのであるが成績を下げた者はいない。
人様に迷惑をかけないというのは表向きの言葉であって、実際は
『学校に目をつけられる行動は慎むこと』
と訳される。
そんな才女と呼ばれる彼女には少しだけ人と違う力を持っていた。
霊が見える、という力を。
その日は5月中旬だというのにまるで梅雨入り前のような重苦しい空の色をしていた。
確か天気予報では雨は降らないと言っていたはずなのに何とも怪しい空模様だった。
「みんな早く帰る準備してー。少しでも遅くなったら次練習させてもらえなくなるからねー」
部長の言葉に軽音楽部のバンドのメンバー達は焦って帰り支度を始めた。
週に2回。これは顧問の先生と部長が必死に掛け合って学校側から許可された貴重な練習日。頭の硬い生活指導の先生の思い込みで軽音楽部は素行が悪いと決めつけられている。
ロックをやるのは不良だなんて一体いつの時代の人間なのだろうか。理解に苦しむ。
現在高校2年生の九条遙加は軽音楽部のバンドメンバーに誘われて知り合いのバンドでリードボーカルをしていた。いつもは楽器屋さんのスタジオを借りて練習しているけれど、今日は学校に置いてあるアンプから気持ちよく大きな音を出しても文句を言われない貴重な日だ。
貴重な学校での音出し練習も終わったので、部長に言われる前からスタジオ代を稼ぐためのバイトに行こうと荷物をまとめ終わった九条は徐に立ち上がった。
そう、何の気無しに立ち上がっその時に異変が起きたのだ。
突如として視聴覚室の中に現れた透き通った青い光が部屋の外に向かって一直線に出て行った。それはまるでレーザービームのように。
しかし、単なる視聴覚室にレーザービームを出せるような機材があるわけがない。それに加えてただでさえ一部の先生達に嫌われている軽音楽部にそんな予算が下りるわけもない。
その一部の先生からはアンプから出てくる音がうるさいと眉間に皺を寄せて見下すように言われるがトランペットやサックスの音だって負けていないと軽音楽部の連中は思っている。
しかしコンクール上位入賞常連校のブラスバンド部と嫌われ者の軽音楽部では先生の態度があからさまに違いすぎた。同じ生徒なのに。
それに加えてバンドとしての完成度の低い、簡単に言えば演奏が下手な先輩は上手い後輩のことを『生意気だ』と言ったりする。
生意気だのなんだのいう前に上手くなればいいだけの話なのだが、そう言う奴らは努力するのは好きではないようだ。
話が横道に逸れてしまったので元に戻そう。
視聴覚室の中で突如発生した青い光は九条遙加の頭上を通り、そのまま扉や壁をもすり抜けてスーッと外へ出ていった。ご丁寧にわざわざ視聴覚室の出入り口の扉をすり抜けて。
それを見ていたのは3人の生徒だけ。しかも九条以外の二人は霊感があると自覚のある者だった。
一方九条はというと、
『18歳までに霊に関する体験をしなければ、霊感に目覚めることはない』
と言う言葉を闇雲に信じていた。彼女は自分には霊感なんてものはなくて、全く違う世界の関係のないことだと思っていた。
霊感なんてないはずなのに、彼女は青い光を見てしまったのだ。まあ、ないと思っていたのは本人だけなのだが……。
一緒に光を見ていた霊感のある二人は青い光について何やら話し出した。
「あれは、霊だね」
「そうだね、間違い無いだろうね」
二人は軽音楽部の他のバンドのギターリストとキーボード奏者だった。
ギターリストの岩館秋彦は青い光が九条の近くを通ったのを見ていた。
「あの青い光、九条の近くを通ってたけどお前は見えたか」
「うん、残念ながら見えたよ。あれって何だったの?」
「多分、ここから出て行った不幽霊じゃないかな、何かに惹かれてきてたけど用が済んだから帰ったんじゃないかな、多分」
「何でそんなこと分かるのよ」
「いや、分かるというより何となくそんな感じがするだけ、かな」
「ふーん……」
その日この話は一旦そこで終わり、皆それぞれアルバイト先へと急いだ。
進学校であるこの学校で練習場所を確保するためにバイトをしているのは軽音楽部ぐらいである。特に禁止されているわけではないので、学校側も注意はしない。というよりしたくてもできないのだ。なぜか軽音楽部は成績優秀者が多いからそれらしい理由をつけられないのだ。
学内の他の多くの学生は大学受験に向かって陰では必死に勉強している。だから普通はアルバイトどころではないはずなのだ。しかし音楽に魅入られた軽音楽部の部員達は生音を直接身体で感じる快感を忘れられなくてそれを求めてバイトをするのだった。
軽音楽部の部長、如月京香は頭脳明晰でマネージメント力に優れた才女だった。
軽音楽部は規律や規則などほとんどなく基本とても緩い部活で有名なのだが1つ、いや
2つだけ約束事があった。
『バイトを理由に成績が下がったものは部活への参加を認めない』
『人様に迷惑をかけないこと』
成績が下がっても退部させるわけではなく、次の試験で挽回すれば良いのであるが成績を下げた者はいない。
人様に迷惑をかけないというのは表向きの言葉であって、実際は
『学校に目をつけられる行動は慎むこと』
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霊が見える、という力を。
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