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第1章 高校編
クリスマスライブ1
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9月某日。ブルーローズのメンバーは練習のために如月邸へと向かった。準備があると言って先に帰った如月を訪ねた4人は門の前でまたお約束のように驚いた。少し前に行った別荘など比べ物にならない程広い敷地に邸宅があった。来客用のインターフォンを押すと使用人が迎えにきてくれた。事前に話が通っていたようで名前を名乗るとすぐに中へと入ることができた。
大きな城のような建物が1つ。少し離れたところには小洒落たデザイナーズマンションのような建物もあった。それとは反対側にコンクリートの打ちっ放しのような3階建ての建物があった。どうやらそれが新設されたスタジオ設備のようだ。4人はそこへ案内された。
中に入るとすでに如月が待っていた。
「いらっしゃい。どう、お洒落な感じでしょ」
「すごいな、スタジオだけじゃかったのか」
すごいという割に大平はあまり驚いた様子ではない。
「スタジオは2階に作ったの。将来的に1階は事務所にして3階はミーティングルームとかにしようと思っているのよ」
「もう、そこまで考えてるのか……」
「何を言っているの? 5年10年先のことを考えるのは会社経営するのなら当然のことよ。もっと先の事まで考えないとね」
「また始まったよ……」
「それで練習はもうできるのかな」
「大丈夫よ、そこの階段から2階に上がって。行けばわかるから」
「「りょうかーい」」
秋月と烏星の2人は脇目も振らずに2階へ行った。大平と遙加もそれに続いた。2階には2つスタジオがあった。1つは練習用のスタジオ。もう一つはレコーディングスタジオだった。
「一応最新設備で整えたのだけれど、もっといいものができたら順次メンテナンスしていくから。さあ、クリスマスライブに向けて練習開始よ」
その掛け声とともに4人は練習用スタジオに入りそれぞれのチューニングが終わると演奏を開始した。今回のライブでの演奏曲にはこれまでのオリジナル曲に加え九条薫の作曲した曲も加えられた。バンドスコアまであって至れり尽くせりだ。作詞は当初英語でされていたものに日本語訳をつけたと言う。作詞者の名前は伏せられていてwith Kとだけ知らされている。その存在については如月も把握していない。デモテープに入っていた声が男性にしては高い声だったのだが女性の声には聞こえないのでバンドメンバーの中での認識は『男性だろう』と言うことで一致している。
ぶっちゃけ男性だろうが女性だろうが曲が良ければそれでいいのだ。遙加は敢えて英語と日本語、両方で歌うことにした。その時の気分や客層によって変えるのも有りだと思ったからだ。休憩をしに一旦スタジオの外に出て5人は感想を述べ合っていた。
「それにしても九条さんの曲すごいよな。演奏の難易度が高いところもあるけど、なんていうか直接心に訴えてくるって言うのか、上手くいえないけどそんな感じがするんだよな」
大平の言葉に烏星も続いた。
「そうだな、越えなければいけない大きな壁だな」
秋月はまた違った角度から見ていた。
「達也、別に無理して超えなくていいじゃないかな。曲にはその人の個性や人生の厚みが出てしまうから僕たちは、僕たちにしかできない音楽を作っていけばいいと思うんだけど」
「航平、偶にはいいこと言うじゃないか。達也、変に対抗意識は必要ないと思うぜ。九条さんとはプロとしての年季が違いすぎるから」
「そうだよね。でも薫の曲が歌いやすいのもあるんだけど、歌詞も気持ちを込めやすくってとってもいい感じだよ。でも、私にもwith Kが誰なのか教えてくれないんだよね。それに今回だけとか言ってるし……」
それを聞いた如月は透かさず言葉を添えた。
「それはちょっと勿体無いから、また九条さんに曲をお願いする時にはwith Kに作詞してもらうようにしましょう。こう言う交渉は私に任せておいて」
さすがプロデューサー兼マネージャー、目線が違う。それに有言実行の如月が断言したことは必ず現実になるので話を聞いていた4人も今回に関してはとても喜んだ。
今回のクリスマスライブはいつもの楽器屋さんではなくその系列のライブハウスで行われる。出演するバンドはコピーバンドではなくオリジナルの曲を演奏するバンドだった。チケットを販売するのだが、高校生でも入れるくらい良心的な値段だ。今回の良い点は出演バンドが自分たちでチケットを捌くのではなく楽器屋さん主催で売ってくれることだ。
そして今回のクリスマスライブは楽器屋さんで定期的に開かれるライブで将来性のあると思うバンドに対して出演依頼をかけた。だからオリジナル曲のあるバンドしか出演しないのだ。
ちなみに楽器屋さんとは楽器店およびスタジオ経営をしている企業の店名である。
大きな城のような建物が1つ。少し離れたところには小洒落たデザイナーズマンションのような建物もあった。それとは反対側にコンクリートの打ちっ放しのような3階建ての建物があった。どうやらそれが新設されたスタジオ設備のようだ。4人はそこへ案内された。
中に入るとすでに如月が待っていた。
「いらっしゃい。どう、お洒落な感じでしょ」
「すごいな、スタジオだけじゃかったのか」
すごいという割に大平はあまり驚いた様子ではない。
「スタジオは2階に作ったの。将来的に1階は事務所にして3階はミーティングルームとかにしようと思っているのよ」
「もう、そこまで考えてるのか……」
「何を言っているの? 5年10年先のことを考えるのは会社経営するのなら当然のことよ。もっと先の事まで考えないとね」
「また始まったよ……」
「それで練習はもうできるのかな」
「大丈夫よ、そこの階段から2階に上がって。行けばわかるから」
「「りょうかーい」」
秋月と烏星の2人は脇目も振らずに2階へ行った。大平と遙加もそれに続いた。2階には2つスタジオがあった。1つは練習用のスタジオ。もう一つはレコーディングスタジオだった。
「一応最新設備で整えたのだけれど、もっといいものができたら順次メンテナンスしていくから。さあ、クリスマスライブに向けて練習開始よ」
その掛け声とともに4人は練習用スタジオに入りそれぞれのチューニングが終わると演奏を開始した。今回のライブでの演奏曲にはこれまでのオリジナル曲に加え九条薫の作曲した曲も加えられた。バンドスコアまであって至れり尽くせりだ。作詞は当初英語でされていたものに日本語訳をつけたと言う。作詞者の名前は伏せられていてwith Kとだけ知らされている。その存在については如月も把握していない。デモテープに入っていた声が男性にしては高い声だったのだが女性の声には聞こえないのでバンドメンバーの中での認識は『男性だろう』と言うことで一致している。
ぶっちゃけ男性だろうが女性だろうが曲が良ければそれでいいのだ。遙加は敢えて英語と日本語、両方で歌うことにした。その時の気分や客層によって変えるのも有りだと思ったからだ。休憩をしに一旦スタジオの外に出て5人は感想を述べ合っていた。
「それにしても九条さんの曲すごいよな。演奏の難易度が高いところもあるけど、なんていうか直接心に訴えてくるって言うのか、上手くいえないけどそんな感じがするんだよな」
大平の言葉に烏星も続いた。
「そうだな、越えなければいけない大きな壁だな」
秋月はまた違った角度から見ていた。
「達也、別に無理して超えなくていいじゃないかな。曲にはその人の個性や人生の厚みが出てしまうから僕たちは、僕たちにしかできない音楽を作っていけばいいと思うんだけど」
「航平、偶にはいいこと言うじゃないか。達也、変に対抗意識は必要ないと思うぜ。九条さんとはプロとしての年季が違いすぎるから」
「そうだよね。でも薫の曲が歌いやすいのもあるんだけど、歌詞も気持ちを込めやすくってとってもいい感じだよ。でも、私にもwith Kが誰なのか教えてくれないんだよね。それに今回だけとか言ってるし……」
それを聞いた如月は透かさず言葉を添えた。
「それはちょっと勿体無いから、また九条さんに曲をお願いする時にはwith Kに作詞してもらうようにしましょう。こう言う交渉は私に任せておいて」
さすがプロデューサー兼マネージャー、目線が違う。それに有言実行の如月が断言したことは必ず現実になるので話を聞いていた4人も今回に関してはとても喜んだ。
今回のクリスマスライブはいつもの楽器屋さんではなくその系列のライブハウスで行われる。出演するバンドはコピーバンドではなくオリジナルの曲を演奏するバンドだった。チケットを販売するのだが、高校生でも入れるくらい良心的な値段だ。今回の良い点は出演バンドが自分たちでチケットを捌くのではなく楽器屋さん主催で売ってくれることだ。
そして今回のクリスマスライブは楽器屋さんで定期的に開かれるライブで将来性のあると思うバンドに対して出演依頼をかけた。だからオリジナル曲のあるバンドしか出演しないのだ。
ちなみに楽器屋さんとは楽器店およびスタジオ経営をしている企業の店名である。
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