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第1章 繰り返す女
美味しい夕食
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天ヶ瀬と蒼井が現在へ帰って来た頃、鮫島李花は優雅に風呂上がりのシャンパンを楽しんでいた。一流と名のつくホテルはとても便利な場所で、24時間ルームサービスを受け付けている。
鮫島李花は気分も良かったこともあってシャンパンのアイスアンペリアルロゼをボトルで注文した。グラスを余分にもう1つ頼んだが快く受けてくれた。優秀なホテルマンは1人で宿泊する客の行動に違和感を覚えても、態度や行動には決して出さない。金払いさえしっかりしていれば良いお客様なのである。
このホテルにはバトラーと呼ばれる部屋付きの専任コンシェルジュがいる。タイムトラベルで過去に来たのだから関わる人間は極力少ない方が良い。鮫島李花がいつもは使わないこのホテルを選んだことは唯一の正解だと言える。欲望に忠実な彼女がそこまで考えていたのか、或いは偶然の賜物なのか単に悪運が強かっただけなのかは本人にも分からない。
この部屋のバトラーは遅い時間であろうと、新鮮な野菜のサラダと牛フィレ肉のステーキも目の前のテーブルに並べてくれた。生ハムとチーズの盛り合わせもそっとその隣に置いた。
二つのうちの1つのシャンパングラスはバトラーによってシュワシュワとしたピンク色液体での満たされている。そしてステーキからはうっすらと湯気が上がっていて、今まさに食べ頃だと主張している。もう後は大丈夫だと伝えるとバトラーは挨拶をして部屋から出て行った。
部屋の入り口のドアが閉まる音を聞いてから、鮫島李花はもう1つのグラスにもシャンパンを満たした。そして自分の持つグラスをそのグラスに近づける。
「乾杯!」
手に持ったグラスの中身を一気に飲み干した。目的を遂げた達成感と、ほんのり甘い今の気分によく合うシャンパンだった。婚姻届を提出したことで、自分が本庄幹彦の妻になれたと浮かれた鮫島李花は、他には誰もいない広いホテルの部屋で寂しく一人きりで祝杯をあげた。
鮫島李花が何杯目かのシャンパンをグラスに満たしていた頃、天ヶ瀬と蒼井はレストラン・ブルーローズにいた。今日は珍しく、オーナーである九条がカウンター席に座っていた。どうやらお店はもう閉店したようだった。
少し前まで客がいたテーブル席の中央には、最近生花が置かれるようになった。カサブランカが飾られている時などは花粉がつかないように雄蕊は取り除かれている。ユリの花粉は一度ついてしまうと取れ難いからだろう。小さな気遣いができるから安心して任せられるからその花屋に依頼したと先日天ヶ瀬が話していた。
花屋の店名は『プチフローリスト』。店主はフラワーデザイナーをしている涼しげな雰囲気の美しい女性だ。ディナータイムに入る前に店主自ら花を飾りに来るので蒼井も何度か会った事がある。
カウンター席に座る九条が二人の足音に気づくと、足音のする方へ体ごと向けた。
「お疲れ様、蒼井くん大丈夫だった?」
そう言われて蒼井は『何を以て大丈夫というのだろか』と思った。
「はい、天ヶ瀬さんのおかげで良い経験ができました」
さながら優等生のように答えた。しかし九条は期待した答えと違ったのだろうか、自分から話を振っておいたのに
「ふぅーん、そっか」
とだけ言ってまたカウンターへ向き直ってしまった。蒼井は『えっ、それだけ、他に何かいうことないの?』と思ったが口には出さずに様子を見る事にした。
蒼井がブルーローズでピアノを演奏する様になって大分経つのに九条と天ヶ瀬の心の声だけは未だ聞こえた事がなかった。演奏前の客の声は心の声も口から出る声もしっかりと聞こえるし他の従業員の心の声ももちろん聞こえる。しかし時々聞こえない方が良い時もあるようだ。
シェフのロバートからはこんな心の声が聞こえてくる。
『今日は美味しい鴨肉が手に入ったから、美味しいコンフィが作れるぞ!』
やはり仕事中だからなのかほぼ料理の話だけだった。
蒼井は『みんなプロだから仕事に集中してるのかな』などと尊敬にも似た思いを懐いていたが、実際はスタッフが料理や酒が大好きな仕事馬鹿なだけだった。
「天ヶ瀬さんお店閉店してますけど、本当に何か奢ってくれるんですか? 僕わりと空腹なんでガッツリ食べたいです」
「大丈夫大丈夫、ロバートに美味しい賄いを頼んでおいたから」
そんなことを言ったかと思うと、厨房に向かって大きな声を響かせた。
「ロバート~、カウンターに賄い二人分よろしく~」
天ヶ瀬は言葉を発しながら勝手知ったるワインセラーへと向かって行った。
上機嫌でワインを1本抱えてこちらに戻ってきた天ヶ瀬。
「今日は、初仕事のお祝いに蒼井くんの好きなシラーをご用意しました。九条さんも飲むでしょ?」
「それは勿論いただくよ。でもまだあの監視対象の女、過去にいるんじゃないのか? あぁ、でもこれ以上は何もしないだろうし、まぁアイツもいるから大丈夫か。蒼井くん今日は特別だよ」
ワインで機嫌が良くなった九条は、カウンターから差し出されたグラスを3つ受け取って並べた。
『アイツって誰だろう? 僕の知っている人なのかな?』という蒼井の心の声は二人にはしっかりと聞こえている。
そこである意味では大切なことを思い出した蒼井は天ヶ瀬に聞いてみることにした。
「天ヶ瀬さん奢りって、賄いのことだったんですか?」
『もっと違うもの食べさせてもらえるかと思ったのに、でもロバートさんの賄いは美味しいから得体の知れないものより良かったのかも……』
「えっ、ダメだった? でもワインは僕の奢りだから!」
『この人の前でシラー好きだって言ったことあったかな?』と蒼井は疑問に思った。
「ロバートさんの作る賄い美味しいから全然ダメじゃないですけど…… でもどうして僕がシラー好きだって知ってるんですか?」
「これでもここブルーローズのソムリエだから、お客様の好みは覚えておかないとね」
「僕、お客様じゃないです。ピアニストですがブルーローズの従業員の一員のつもりです」
隣で話を聞いていた九条からの言葉に蒼井は目を見開いた。
「これからは、次元の監視者の仕事もよろしくお願いするよ。独り立ちできるまで、天ヶ瀬に面倒見てもらってね。二人ともよろしく頼むよ」
九条は二人の報告を聞かずに蒼井が監視者になることを決めてしまった。
『僕、ピアニストなんだけど、大丈夫なのかな』
「あの、僕で大丈夫ですか? それに次元移動とかって特別なことじゃないんですか?」
そんな心の声も含めて蒼井の言葉を聞いた九条は一瞬口元を緩めた。
「大丈夫だよな、天ヶ瀬」
「問題ないですよ蒼井くんは。直ぐに慣れると思いますよ、あの次元にも」
「そう言うわけだから、改めてよろしくね。もちろんピアノも弾いてもらうから安心して」
『僕の意思関係なく話が進んでいるし…… これはもう続けるの確定って感じ? 他でもない九条さんからの依頼だしな……………… もうこれは腹括るしかないか、よし』蒼井は無理矢理自分を納得させた。
『よろしくお願いします。先輩?』
「よろしくお願いします。天ヶ瀬さんも?」
「も、じゃないでしょ蒼井くん。これからよろしくね」
三人の話しが何となくまとまった頃、ロバートがサービスワゴンに賄いにしては豪華過ぎる食事を運んで来た。
『ローストビーフ丼タレも絶品なんだー。喜んでくれるかな? そうだジャーマンポテトも持ってこよう』
「今日は、ローストビーフ丼だよ。ライスが少し足りなかったからジャーマンポテトも持ってくるね!」
その時、漸く蒼井は気付いた。ロバートの心の声は聞こえるのに、九条と天ヶ瀬の心の声が全く聞こえていないことを。しかしすぐに意識は目の前にある豪華なローストビーフ丼へと戻った。
食欲をそそる香りに話どころでは無くなった三人。ひとまずワインで乾杯してローストビーフを一口食べた。三人ともあまりの美味しさに無言でローストビーフ丼を食べ進めた。
三人は『『『これは絶対、裏メニューに入れないで欲しいな』』』と一言一句違わず同じことを考えていた。
翌日、誰もいない厨房で開店準備をしているロバートに九条が小声でこっそりと囁いた。
「また今度昨日の賄い作ってくれ、頼む」
九条の言葉にロバートはスキップするほど浮かれた。そして後日あの2人が6次元に次元監視者の仕事に行っている時に、九条の賄いがローストビーフ丼だったことは2人には内緒である。
鮫島李花は気分も良かったこともあってシャンパンのアイスアンペリアルロゼをボトルで注文した。グラスを余分にもう1つ頼んだが快く受けてくれた。優秀なホテルマンは1人で宿泊する客の行動に違和感を覚えても、態度や行動には決して出さない。金払いさえしっかりしていれば良いお客様なのである。
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この部屋のバトラーは遅い時間であろうと、新鮮な野菜のサラダと牛フィレ肉のステーキも目の前のテーブルに並べてくれた。生ハムとチーズの盛り合わせもそっとその隣に置いた。
二つのうちの1つのシャンパングラスはバトラーによってシュワシュワとしたピンク色液体での満たされている。そしてステーキからはうっすらと湯気が上がっていて、今まさに食べ頃だと主張している。もう後は大丈夫だと伝えるとバトラーは挨拶をして部屋から出て行った。
部屋の入り口のドアが閉まる音を聞いてから、鮫島李花はもう1つのグラスにもシャンパンを満たした。そして自分の持つグラスをそのグラスに近づける。
「乾杯!」
手に持ったグラスの中身を一気に飲み干した。目的を遂げた達成感と、ほんのり甘い今の気分によく合うシャンパンだった。婚姻届を提出したことで、自分が本庄幹彦の妻になれたと浮かれた鮫島李花は、他には誰もいない広いホテルの部屋で寂しく一人きりで祝杯をあげた。
鮫島李花が何杯目かのシャンパンをグラスに満たしていた頃、天ヶ瀬と蒼井はレストラン・ブルーローズにいた。今日は珍しく、オーナーである九条がカウンター席に座っていた。どうやらお店はもう閉店したようだった。
少し前まで客がいたテーブル席の中央には、最近生花が置かれるようになった。カサブランカが飾られている時などは花粉がつかないように雄蕊は取り除かれている。ユリの花粉は一度ついてしまうと取れ難いからだろう。小さな気遣いができるから安心して任せられるからその花屋に依頼したと先日天ヶ瀬が話していた。
花屋の店名は『プチフローリスト』。店主はフラワーデザイナーをしている涼しげな雰囲気の美しい女性だ。ディナータイムに入る前に店主自ら花を飾りに来るので蒼井も何度か会った事がある。
カウンター席に座る九条が二人の足音に気づくと、足音のする方へ体ごと向けた。
「お疲れ様、蒼井くん大丈夫だった?」
そう言われて蒼井は『何を以て大丈夫というのだろか』と思った。
「はい、天ヶ瀬さんのおかげで良い経験ができました」
さながら優等生のように答えた。しかし九条は期待した答えと違ったのだろうか、自分から話を振っておいたのに
「ふぅーん、そっか」
とだけ言ってまたカウンターへ向き直ってしまった。蒼井は『えっ、それだけ、他に何かいうことないの?』と思ったが口には出さずに様子を見る事にした。
蒼井がブルーローズでピアノを演奏する様になって大分経つのに九条と天ヶ瀬の心の声だけは未だ聞こえた事がなかった。演奏前の客の声は心の声も口から出る声もしっかりと聞こえるし他の従業員の心の声ももちろん聞こえる。しかし時々聞こえない方が良い時もあるようだ。
シェフのロバートからはこんな心の声が聞こえてくる。
『今日は美味しい鴨肉が手に入ったから、美味しいコンフィが作れるぞ!』
やはり仕事中だからなのかほぼ料理の話だけだった。
蒼井は『みんなプロだから仕事に集中してるのかな』などと尊敬にも似た思いを懐いていたが、実際はスタッフが料理や酒が大好きな仕事馬鹿なだけだった。
「天ヶ瀬さんお店閉店してますけど、本当に何か奢ってくれるんですか? 僕わりと空腹なんでガッツリ食べたいです」
「大丈夫大丈夫、ロバートに美味しい賄いを頼んでおいたから」
そんなことを言ったかと思うと、厨房に向かって大きな声を響かせた。
「ロバート~、カウンターに賄い二人分よろしく~」
天ヶ瀬は言葉を発しながら勝手知ったるワインセラーへと向かって行った。
上機嫌でワインを1本抱えてこちらに戻ってきた天ヶ瀬。
「今日は、初仕事のお祝いに蒼井くんの好きなシラーをご用意しました。九条さんも飲むでしょ?」
「それは勿論いただくよ。でもまだあの監視対象の女、過去にいるんじゃないのか? あぁ、でもこれ以上は何もしないだろうし、まぁアイツもいるから大丈夫か。蒼井くん今日は特別だよ」
ワインで機嫌が良くなった九条は、カウンターから差し出されたグラスを3つ受け取って並べた。
『アイツって誰だろう? 僕の知っている人なのかな?』という蒼井の心の声は二人にはしっかりと聞こえている。
そこである意味では大切なことを思い出した蒼井は天ヶ瀬に聞いてみることにした。
「天ヶ瀬さん奢りって、賄いのことだったんですか?」
『もっと違うもの食べさせてもらえるかと思ったのに、でもロバートさんの賄いは美味しいから得体の知れないものより良かったのかも……』
「えっ、ダメだった? でもワインは僕の奢りだから!」
『この人の前でシラー好きだって言ったことあったかな?』と蒼井は疑問に思った。
「ロバートさんの作る賄い美味しいから全然ダメじゃないですけど…… でもどうして僕がシラー好きだって知ってるんですか?」
「これでもここブルーローズのソムリエだから、お客様の好みは覚えておかないとね」
「僕、お客様じゃないです。ピアニストですがブルーローズの従業員の一員のつもりです」
隣で話を聞いていた九条からの言葉に蒼井は目を見開いた。
「これからは、次元の監視者の仕事もよろしくお願いするよ。独り立ちできるまで、天ヶ瀬に面倒見てもらってね。二人ともよろしく頼むよ」
九条は二人の報告を聞かずに蒼井が監視者になることを決めてしまった。
『僕、ピアニストなんだけど、大丈夫なのかな』
「あの、僕で大丈夫ですか? それに次元移動とかって特別なことじゃないんですか?」
そんな心の声も含めて蒼井の言葉を聞いた九条は一瞬口元を緩めた。
「大丈夫だよな、天ヶ瀬」
「問題ないですよ蒼井くんは。直ぐに慣れると思いますよ、あの次元にも」
「そう言うわけだから、改めてよろしくね。もちろんピアノも弾いてもらうから安心して」
『僕の意思関係なく話が進んでいるし…… これはもう続けるの確定って感じ? 他でもない九条さんからの依頼だしな……………… もうこれは腹括るしかないか、よし』蒼井は無理矢理自分を納得させた。
『よろしくお願いします。先輩?』
「よろしくお願いします。天ヶ瀬さんも?」
「も、じゃないでしょ蒼井くん。これからよろしくね」
三人の話しが何となくまとまった頃、ロバートがサービスワゴンに賄いにしては豪華過ぎる食事を運んで来た。
『ローストビーフ丼タレも絶品なんだー。喜んでくれるかな? そうだジャーマンポテトも持ってこよう』
「今日は、ローストビーフ丼だよ。ライスが少し足りなかったからジャーマンポテトも持ってくるね!」
その時、漸く蒼井は気付いた。ロバートの心の声は聞こえるのに、九条と天ヶ瀬の心の声が全く聞こえていないことを。しかしすぐに意識は目の前にある豪華なローストビーフ丼へと戻った。
食欲をそそる香りに話どころでは無くなった三人。ひとまずワインで乾杯してローストビーフを一口食べた。三人ともあまりの美味しさに無言でローストビーフ丼を食べ進めた。
三人は『『『これは絶対、裏メニューに入れないで欲しいな』』』と一言一句違わず同じことを考えていた。
翌日、誰もいない厨房で開店準備をしているロバートに九条が小声でこっそりと囁いた。
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