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第2章 迷子の仔猫
子猫の行方
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10月24日 藤原邸
過去への扉を通り門脇と蒼井が見たのは猫のみいちゃんが今まさに誘拐されるその瞬間だった。
二人が辿り着いた場所は5.5次元。次元監視者の使う6次元と同じく過去次元にいる者からは見えない空間だ。今2人は部屋の天井の辺りにある空間からその過去に起きたことを見ている。気分はまるで透明人間だ。
なぜ彼らは過去に起きたことを見ているだけなのか。
それは門脇が純粋にその時何があったのかを知りたかったこと。そして彼には過去を変える動機も必要もない。故に行動如何では他次元に飛ばされる恐れのある過去次元に入り込む必要がなかった。
それからこの5.5次元は6次元と同じように空間に浮いているが6次元ほどの広さは無く、半径1.5m程の半透明な風船のような姿をしている。
天ヶ瀬や蒼井の仕事場でもある6次元以上の次元には普通の人間は行くことができない。事故や事件を起こさず次元移動できるのは次元監視者やそれ以上の存在だけだから。
時間が遡ること二人が扉を通る前。
門脇が5.5次元で猫の動向を確認することになったのにはこんな理由があった。門脇は過去へ行くに際して九条から聞かれたことがあったのだ。
「門脇君は猫を助けにいきたいの、それとも事実を確認しにいきたいの」
その質問に門脇は間髪入れずに答えた。
「事実をこの目で確認しに行くつもりでここに来ました。できれば時間を早送りするみたいに状況把握に必要なところだけをピックアップして見たいのですが、そんなことは可能でしょうか」
「大丈夫、可能だよ。その代わり過去に干渉するようなことはできないけど大丈夫かな?」
「はい大丈夫です。あの、過去に干渉するとどうなるんですか? それと猫が今どこにいるのか分かると有難いのですが……」
『過去に干渉するって、過去を変えるってことか? そうじゃなくて、猫の居場所さえ分かればこれからの動き方も決まってくるから情報が欲しいんだけど』
「干渉するってことはこれまであった事実を変えてしまうということなんだ。だから現在や未来も変わってしまう。もしかしたら他の誰かの命に関わることにまで及ぶことだってありうる、そんな感じかな」
『本当は整合性が取れなくなるほどの変化を加えたものはパラレルワールドに飛ばされるんだけど、それは教えてはいけない事になってるから……ごめんね』
珍しく九条が謝罪した。心の中でだが。
「現在や未来が良い方に変わるとは限らないわけですね」
『やはり、過去を変えるリスクは恐ろしいな』
「そういうことだね。それと猫の居場所の件は大丈夫、見に行けるよ。そうすると今回は干渉できない場所から過去を見るということでいいかな」
「ありがとうございます、そちらでお願いします」
『干渉できる所へなんか行きたくない、怖すぎるよ』
とこんな会話がされていた。
このような経緯で九条は門脇と蒼井を直接過去に入り込ませるのではなく時間移動が可能な5.5次元へ送った。それは客である門脇の依頼内容に合わせたのは勿論のこと、蒼井にとっては時間移動と5.5次元の研修になるので九条としては一挙両得だった。
客の門脇の依頼と蒼井の研修。一体どちらが九条の真の目的なのかは知らない方が良さそうだ。
蒼井本人の知らないところで勝手に研修が始まろうとしている。しかしその事を九条は蒼井に伝えていないし今後伝える気もさらさら無い。九条は蒼井のポテンシャルの高さを認めているだけでなくイレギュラーな状況で何が起こるのかを楽しみにしていた。
そんなわけで九条は彼が自然体で居られなくなるような余計なことは敢えて伝えないのだった。食わせ者の門脇と一緒なので本人たちにとっては困ったことでも、九条にとっては面白いことが高い確率で起きると彼は確信していた。
時間は二人が猫のみいちゃんが誘拐される瞬間に戻る。
まるで映画の撮影現場を見ているような感じだと門脇と蒼井は感じていた。蒼井同様門脇が異次元に対して少しも違和感や驚きを感じていない。二人は性格は正反対だが性質的には似たもの同士なのだ。
異次元にいる二人の感覚ではすぐ近くで映画のメイキングシーンを見ているようだった。撮影されている映画の役者は犯人グループと猫のみいちゃん。
するとみいちゃんは犯人が部屋に入るや否やすぐに犯人から距離を取り部屋の隅へと移動した。
キャットウォークを使って天井の方に逃げよとした丁度その時、犯人の一人が瞬く間にみいちゃんに近づきあっという間に確保してしまった。
あまりの速さに何が起こったか分からない猫のみいちゃんはキョトンとしていた。だがすぐに逃げようと犯人の左頬に猫パンチを食らわせた。つもりだったが頬には当たらず興奮して立てた爪が犯人の手の甲を抉った。
「……痛ッ」
薄手の手袋をしていたはずの犯人から少し高めの声が聞こえたかと思うと猫はその隙に逃げよとした。だがすぐにもう一人の犯人によって捕まってしまった。
すぐにキャリーケースへと放り込むように入れられたが、みいちゃんは抵抗して騒いでいた。その様子から鎮痛剤などは使われなかったことがわかった。犯人グループは三人。皆目出し帽を被っているので人相は分からない。
1人は怪我をした者。声の高さから女だと思われる。
もう1人はキャリーケースにみいちゃんを放り込んだ大柄な男。
最後の1人は細身だが骨格がしっかりしているから男のようだ。そして何故か床に魔法陣のようなものを描き始めた。
男が魔法陣が描き終わるとすぐに床にぽっかりと穴が空いた。すると3人とみいちゃんはスッと穴の中へと消えていってしまった。その後すぐに魔法陣は跡形もなく消えてしまった。
それを見た二人は呆然と顔を見合わせた。門脇が徐に呟く。
「なぁ、今見たのって手品とかじゃないよな。お前も見えたよな、穴が消えたの」
「見えたよ、穴が開いて閉じてくところも。手品じゃないと思う、魔法陣描いてたし……」
「そうだよな…… 俺はあんなの初めて見たけど蒼井は見たことあるのか、魔法陣」
「いや、僕だって初めて見たよ……なんだか狐につままれたみたいだな……」
二人は生まれて初めて見た魔法に衝撃を受けていた。九条に言われて過去や未来へ時間旅行をしているが、まさかこの時代に魔法使いなどいるわけがないと思っていたからだ。あれは小説や映画の中での出来事だと思っていたのだ。
しかし、確かに犯人達は目の前で魔法陣を描いて一瞬で姿を消してしまった。
夢見心地な気分からやっと現実に戻ってきた二人。犯人達のあまりの手際の良さに呆気に取られ、大切なことを忘れるところだった。
「あれじゃ、手掛かりなんてあるはずないな」
そう言うと門脇は深く大きな溜息をついた。
「いや、3人の中の1人小柄な奴は声も高かったから女性だと思うけど、そいつ怪我してなかった? 猫に引っ掻かれていたでしょ」
「そうだった、さっきはマスクで顔が見えなかったけど、流石にアジトに帰ったらマスクは外すだろうから顔が見られるはずだよな」
あまりに自然な流れで魔法陣を使っていたことから、初犯で無いことが窺える。目の前にいた犯人グループは3人だったが、もっと大きな組織の可能性だってある。もしかしたら2人はとんでも無い事件に足を突っ込んでしまったのかもしれない。
「次の場所に移動しよう、猫の足取りを追うんだろ?」
目の前の事態に唖然としていた門脇だったが、蒼井に話しかけられた事でここが異次元であることを思い出した。
「そうだな、早く行こう」
次元移動してから蒼井は門脇の心の声が聞こえていなかった。蒼井はそれが前回のように異次元に来たからだと思っているが、実は自分で”異次元では心の声が聞こえない”という自己暗示のようなもので聞こえなくなっている。
自己暗示で心の声が聞こえないという現象は、心の声を聞くか聞かないか自分の意思でオン・オフできるということだ。それは存在する次元に関係なく行えることだと彼はまだ気づいていない。
しかし彼は本人の意思に関係なく、九条が望むように少しずつ進化成長している。蒼井本人が気付くのはいつになることやら。腹黒九条は全く教える気はないらしい。
2人は過去に来ていきなり衝撃的な場面を見せられて殊の外動揺していた。定まらない気持ちを落ち着けようと何度も深呼吸をした。
何度か深呼吸を繰り返した後、やっと平常心を取り戻した二人は次の場所へと移動した。
これ以上、刺激的なことが起こらないことを祈って。
過去への扉を通り門脇と蒼井が見たのは猫のみいちゃんが今まさに誘拐されるその瞬間だった。
二人が辿り着いた場所は5.5次元。次元監視者の使う6次元と同じく過去次元にいる者からは見えない空間だ。今2人は部屋の天井の辺りにある空間からその過去に起きたことを見ている。気分はまるで透明人間だ。
なぜ彼らは過去に起きたことを見ているだけなのか。
それは門脇が純粋にその時何があったのかを知りたかったこと。そして彼には過去を変える動機も必要もない。故に行動如何では他次元に飛ばされる恐れのある過去次元に入り込む必要がなかった。
それからこの5.5次元は6次元と同じように空間に浮いているが6次元ほどの広さは無く、半径1.5m程の半透明な風船のような姿をしている。
天ヶ瀬や蒼井の仕事場でもある6次元以上の次元には普通の人間は行くことができない。事故や事件を起こさず次元移動できるのは次元監視者やそれ以上の存在だけだから。
時間が遡ること二人が扉を通る前。
門脇が5.5次元で猫の動向を確認することになったのにはこんな理由があった。門脇は過去へ行くに際して九条から聞かれたことがあったのだ。
「門脇君は猫を助けにいきたいの、それとも事実を確認しにいきたいの」
その質問に門脇は間髪入れずに答えた。
「事実をこの目で確認しに行くつもりでここに来ました。できれば時間を早送りするみたいに状況把握に必要なところだけをピックアップして見たいのですが、そんなことは可能でしょうか」
「大丈夫、可能だよ。その代わり過去に干渉するようなことはできないけど大丈夫かな?」
「はい大丈夫です。あの、過去に干渉するとどうなるんですか? それと猫が今どこにいるのか分かると有難いのですが……」
『過去に干渉するって、過去を変えるってことか? そうじゃなくて、猫の居場所さえ分かればこれからの動き方も決まってくるから情報が欲しいんだけど』
「干渉するってことはこれまであった事実を変えてしまうということなんだ。だから現在や未来も変わってしまう。もしかしたら他の誰かの命に関わることにまで及ぶことだってありうる、そんな感じかな」
『本当は整合性が取れなくなるほどの変化を加えたものはパラレルワールドに飛ばされるんだけど、それは教えてはいけない事になってるから……ごめんね』
珍しく九条が謝罪した。心の中でだが。
「現在や未来が良い方に変わるとは限らないわけですね」
『やはり、過去を変えるリスクは恐ろしいな』
「そういうことだね。それと猫の居場所の件は大丈夫、見に行けるよ。そうすると今回は干渉できない場所から過去を見るということでいいかな」
「ありがとうございます、そちらでお願いします」
『干渉できる所へなんか行きたくない、怖すぎるよ』
とこんな会話がされていた。
このような経緯で九条は門脇と蒼井を直接過去に入り込ませるのではなく時間移動が可能な5.5次元へ送った。それは客である門脇の依頼内容に合わせたのは勿論のこと、蒼井にとっては時間移動と5.5次元の研修になるので九条としては一挙両得だった。
客の門脇の依頼と蒼井の研修。一体どちらが九条の真の目的なのかは知らない方が良さそうだ。
蒼井本人の知らないところで勝手に研修が始まろうとしている。しかしその事を九条は蒼井に伝えていないし今後伝える気もさらさら無い。九条は蒼井のポテンシャルの高さを認めているだけでなくイレギュラーな状況で何が起こるのかを楽しみにしていた。
そんなわけで九条は彼が自然体で居られなくなるような余計なことは敢えて伝えないのだった。食わせ者の門脇と一緒なので本人たちにとっては困ったことでも、九条にとっては面白いことが高い確率で起きると彼は確信していた。
時間は二人が猫のみいちゃんが誘拐される瞬間に戻る。
まるで映画の撮影現場を見ているような感じだと門脇と蒼井は感じていた。蒼井同様門脇が異次元に対して少しも違和感や驚きを感じていない。二人は性格は正反対だが性質的には似たもの同士なのだ。
異次元にいる二人の感覚ではすぐ近くで映画のメイキングシーンを見ているようだった。撮影されている映画の役者は犯人グループと猫のみいちゃん。
するとみいちゃんは犯人が部屋に入るや否やすぐに犯人から距離を取り部屋の隅へと移動した。
キャットウォークを使って天井の方に逃げよとした丁度その時、犯人の一人が瞬く間にみいちゃんに近づきあっという間に確保してしまった。
あまりの速さに何が起こったか分からない猫のみいちゃんはキョトンとしていた。だがすぐに逃げようと犯人の左頬に猫パンチを食らわせた。つもりだったが頬には当たらず興奮して立てた爪が犯人の手の甲を抉った。
「……痛ッ」
薄手の手袋をしていたはずの犯人から少し高めの声が聞こえたかと思うと猫はその隙に逃げよとした。だがすぐにもう一人の犯人によって捕まってしまった。
すぐにキャリーケースへと放り込むように入れられたが、みいちゃんは抵抗して騒いでいた。その様子から鎮痛剤などは使われなかったことがわかった。犯人グループは三人。皆目出し帽を被っているので人相は分からない。
1人は怪我をした者。声の高さから女だと思われる。
もう1人はキャリーケースにみいちゃんを放り込んだ大柄な男。
最後の1人は細身だが骨格がしっかりしているから男のようだ。そして何故か床に魔法陣のようなものを描き始めた。
男が魔法陣が描き終わるとすぐに床にぽっかりと穴が空いた。すると3人とみいちゃんはスッと穴の中へと消えていってしまった。その後すぐに魔法陣は跡形もなく消えてしまった。
それを見た二人は呆然と顔を見合わせた。門脇が徐に呟く。
「なぁ、今見たのって手品とかじゃないよな。お前も見えたよな、穴が消えたの」
「見えたよ、穴が開いて閉じてくところも。手品じゃないと思う、魔法陣描いてたし……」
「そうだよな…… 俺はあんなの初めて見たけど蒼井は見たことあるのか、魔法陣」
「いや、僕だって初めて見たよ……なんだか狐につままれたみたいだな……」
二人は生まれて初めて見た魔法に衝撃を受けていた。九条に言われて過去や未来へ時間旅行をしているが、まさかこの時代に魔法使いなどいるわけがないと思っていたからだ。あれは小説や映画の中での出来事だと思っていたのだ。
しかし、確かに犯人達は目の前で魔法陣を描いて一瞬で姿を消してしまった。
夢見心地な気分からやっと現実に戻ってきた二人。犯人達のあまりの手際の良さに呆気に取られ、大切なことを忘れるところだった。
「あれじゃ、手掛かりなんてあるはずないな」
そう言うと門脇は深く大きな溜息をついた。
「いや、3人の中の1人小柄な奴は声も高かったから女性だと思うけど、そいつ怪我してなかった? 猫に引っ掻かれていたでしょ」
「そうだった、さっきはマスクで顔が見えなかったけど、流石にアジトに帰ったらマスクは外すだろうから顔が見られるはずだよな」
あまりに自然な流れで魔法陣を使っていたことから、初犯で無いことが窺える。目の前にいた犯人グループは3人だったが、もっと大きな組織の可能性だってある。もしかしたら2人はとんでも無い事件に足を突っ込んでしまったのかもしれない。
「次の場所に移動しよう、猫の足取りを追うんだろ?」
目の前の事態に唖然としていた門脇だったが、蒼井に話しかけられた事でここが異次元であることを思い出した。
「そうだな、早く行こう」
次元移動してから蒼井は門脇の心の声が聞こえていなかった。蒼井はそれが前回のように異次元に来たからだと思っているが、実は自分で”異次元では心の声が聞こえない”という自己暗示のようなもので聞こえなくなっている。
自己暗示で心の声が聞こえないという現象は、心の声を聞くか聞かないか自分の意思でオン・オフできるということだ。それは存在する次元に関係なく行えることだと彼はまだ気づいていない。
しかし彼は本人の意思に関係なく、九条が望むように少しずつ進化成長している。蒼井本人が気付くのはいつになることやら。腹黒九条は全く教える気はないらしい。
2人は過去に来ていきなり衝撃的な場面を見せられて殊の外動揺していた。定まらない気持ちを落ち着けようと何度も深呼吸をした。
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