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沈黙の献身
嫉妬
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仕事の仲介でアルロの元に行けば、ルキエルは外で貧民たちと世間話をしていた。珍しいものだ。ルキエルに近づく者全てをアルロは許さないというのに。
王都の貧民街の一番近い邸宅に入っていけば、アルロがいつものしかめっ面で長男ライホーンと何やら話していた。私が入ってきたので、ライホーンは一礼して、家から出て行った。
「外にルキエルがいるが、大丈夫なのか?」
色々と心配になって聞いてみた。ルキエル、見た目は女寄りだが、その持って生まれた雰囲気とか、あと、口調で、そういうものを勘違いさせている。だから、育ちの悪いガキと見てしまう。
だけど、本性を知る私は、どうしてもルキエルのことは心配になる。
「心配ない。それは、ルキエルが育てた貧民だ」
「ルキエル、何やってるんだ?」
「わからん。知らない内に保護して、気づいたら、レーリエットといつも一緒にいた。ルキエルにだけは、絶対服従している」
「そんなのがいるのか」
後ろ姿では、ルキエルよりもがっしりとした体格で、背も高かったように見えた。
「気をつけろ。今はまだ未熟だが、才能がある。ルキエルに悪さする奴らは、あの男に裏で痛めつけられている」
「そんな番犬がいるとは、挨拶しないといけないな」
ルキエルの知らない一面を見せられた。そんな番犬を側で飼っているとは、とんだ性悪だな。
私はいつもの通り、皇帝の動向と、貴族関連の仕事の仲介である。サツキが死んでからずっと、貴族関連の仕事は私の仲介なしでは、王都の貧民街は受けないこととなっている。そのため、裏では色々と嫌味やら嫌がらせやら受けてはいたが、結局、私抜きでは野良の妖精憑きをどうにか出来ないため、貴族どもは黙り込むしかなかった。
一応、仲介するということで、それなりに調べてからの紹介である。さらに、私の子飼いの妖精憑きを使っての契約まで施すので、貴族どもは嘘偽りなんて出来ない。そこまでして、後ろ暗い仕事をアルロに紹介しているのである。
「貴族どもが、私抜きで仕事の依頼には来ていないか?」
「来ているが、全て、断っている」
「一応、長女は気をつけなさい。あれは、勝手にやらかす」
アルロのことは心配していない。アルロの長女リンネットが危険だ。あの女は、何をやらかすかわかったものではない。
「監視をつけている。そのお陰で、最近、そのやらかしが俺のとこに報告された」
「本当に、お前、何者だよ!?」
「………」
アルロのことは、本当に謎が多い。腕っぷしもそうだが、後ろ暗い仕事も上手にこなすのだ。色事だって詳しい。サツキのことさえなければ、とんでもない非情な男なんだ。
だけど、アルロがどこの誰なのか、今だに謎だ。本人は貧民と言い張っているが、おかしいと感じる所が多すぎる。それなりの教育を受けているのだ。ただの貧民育ちが、貧民を使って軍隊や暗部を組織するのは、普通ではありえないのだ。そういうことを知る参謀役が必ずいる。しかし、王都の貧民街は、アルロ一人で組織化したのだ。
こういう話になると、アルロは決まって黙り込む。どうしても過去のことは話したくないのだろう。
貧民相手に、過去をほり返すはやってはいけないことだ。だから、つい叫んでしまうが、そこまでである。
私がちょっと騒がしくしすぎたからだろう。ルキエルがやってきた。
「あんた、来てたんだ。今日は顔色いいな」
アルロの前だってのに、ルキエルは私に声をかけてくる。アルロは、それをただ、黙って見ているだけだ。
一応、日中では、アルロはルキエルを息子として扱っている。ただ、他の子どもたちとは区別している。ルキエルはある意味、特別扱いだ。
距離が近いので、私はルキエルから離れるために、席を立つ。
「アルロ、受けるのか?」
「ああ、頼む」
「わかった」
あえて、私はアルロの前ではルキエルを相手にしない。だからだろう。ルキエルは家を出る私の後をついてくる。
「無視するなよ」
「私をアルロに殺させたいのか!!」
「あんたと親父、仲良しじゃん」
「仕方なく、世話してやってるだけだ。本当は、いらないのだろうがな」
本当のアルロは、もっと用心深い男だ。サツキの件は、情の部分で失敗したのだ。
私はさっさと迎えの馬車を呼んで、ここから離れる指示を出した。そうして待っている間に、ルキエルは私の手をつかんでくる。
「手、あったかくなってきたな。前は手、冷たかったのに」
「そうなのか? よくわからん」
「女抱く時とか、言われたことなかったか?」
「そんな事、いちいち覚えていない。どれだけの女を抱いたことやら」
随分と過去の話になる。だが、それを話した途端、ルキエルは乱暴に私の手を離した。本当に、この男は我儘な女みたいだな!!
「女遊びなんて、ルキエルに会うよりも過去の話だ。いや、ルキエルが誕生するよりも昔だな」
「今から、また、女遊びしてればいいじゃん。金持ってんだからさ」
「なんだ、女遊びをしたいのか? アルロに内緒で、連れて行ってやるぞ」
「行かない!!」
ちょっとからかってやれば、ルキエルは怒って、貧民たちの元に戻って行った。本当に気分屋だな。
ふと、殺気を感じて見てみれば、機嫌悪いルキエルを笑顔を向ける貧民が、私のことを睨んできた。これはまた、随分と綺麗な男だな。
綺麗すぎて、あれだ、怖いものを感じる。
歴史が古い家だ。色々と当主は口伝を受け継いでいる。そういうものがあるので、あの綺麗な男が何者なのか、すぐにわかる。
「あの男は、とんでもないものを招き寄せるな」
「ナナキのことは、気を付けてください」
私のことを心配したのか、アルロの長男ライホーンが私に忠告してきた。
「ナナキというのか、あれは。心配ない、あの男は、私には手が出せない。絶対にな」
「ナナキは、ルキエルに絶対服従です。ルキエルの障害となるものは全て、排除する。まだ、実力は親父に届かないから大人しくしているが、それも時間の問題だと見ている」
「だろうな」
ルキエルに対しては優しく見守る態度をとるナナキ。しかし、その正体は人となった元妖精だ。あんなのを知らずに側に置くルキエルのほうが危ない。
「あの男は、扱いを間違えるな。正しく使えば、いい道具になるぞ」
「ルキエルのためにしか動かない男だ」
「だから、上手にルキエルを使うんだ。後でアルロに言っておく」
「無理ですよ。親父のことを憎んでいる」
そりゃそうだろう。あの元妖精はルキエルにべったりだ。ルキエルに執着があるのだ。そのルキエルを苦しめるアルロは敵でしかない。
「私に任せなさい。人心と一緒だ」
妖精憑きであるルキエルの側にいながら、正体を隠しているのだ。ナナキはどうしてもそれを隠したいのだろう。それが、今のナナキの弱味だ。
私が笑ってやると、ナナキは途端、不機嫌な顔を見せた。なんとなく、気づいたんだろうな。私のような後ろ暗い男は、人の弱味を平気で利用するのだ。
やっと馬車が来たので、私は乗り込んだ。
「俺も行く」
「ルキエル様!!」
突然、ルキエルが馬車に乗り込んできた。それを止めようとするナナキ。
「ルキエル様、今日はレーリエットと一緒に側にいてくれると」
「気が変わった。親父に伝言しておいてくれ」
「そんなぁ」
「おいおい、勝手に決めるんじゃない」
本当に、ルキエルは気まぐれすぎだ。私の予定とか、全て無視だ。
ルキエルを強制的に馬車から下ろすのは簡単だ。しかし、私の側近も、御者も、ルキエルには触れない。ともかく、ルキエルの扱いは難しいのだ。
王都の貧民街では、ルキエルにちょっとした傷をつけただけで、晒し首とされた。アルロの敵対勢力がルキエルを誘拐した時なんか、敵対勢力が消滅したのだ。貴族だって、噂の息子に興味w抱いて、最後、首だけとなった。
ルキエルに無体なことをして無事なのは、実は、私くらいだ。まあ、私もアルロと一緒になって、ルキエルに手を出した奴らを潰したりしているがな。
つまり、馬車から力づくでルキエルを下ろせるのは、私だけだ。ルキエルに絶対服従しているという貧民ナナキでさえ、馬車の外から悔しそうに見ているしかない。
「ルキエル、お前、勝手に」
さすがに兄であるライホーンは手を出した。ルキエルの細い腕をライホーンがつかんだ。
「大人しく戻れ。親父から許可貰ってないだろう」
「こいつの家は別に許可なんていらないだろう。今日は、そういう気分なんだ」
「いやいや、都合よく家出に使われるのは困る。私はアルロとはいい関係でいたいんだ」
私もライホーンの味方をする。急にされても、私だって困るよ。
ライホーンが力づくで引っ張ったが、ルキエルは私の腕をつかんで抵抗する。
「今日はこいつのトコで泊まる!!」
「また今度にしなさい。急に言い出されたって、私にだって用事があるんだ」
「ほら、迷惑だって言ってる」
「いつもアンタの都合にあわせて行ってやってるんだから、たまには俺の都合にあわせてくれたっていいじゃないか!!」
今にも泣きそうな顔で叫ぶルキエル。そういう顔をされてしまうと、私は勝てないな。
「わかったわかった。ライホーン、後でアルロに詫びに行く。ほら、離してやってくれ。ルキエルの腕が真っ赤になってる」
「わ、悪い」
慌ててライホーンはルキエルの腕から手を離した。あまり鍛えてないから、ルキエルの腕は一部、青くなっていた。
「すぐ治るからいい。ほら、馬車出して」
「ルキエル様!!」
「ナナキはレーリエットの護衛してろ。絶対だ」
「………わかりました」
ルキエルに命じられ、ナナキは大人しく従った。それでも、私のことを睨んでくる。ナナキにとって、私はルキエルを奪う者なんだろう。アルロと同じなんだ。
違うのは、ルキエルがあえて、私の元に飛び込んできた、ということだ。アルロに対しては、仕方なく、嫌々だ。
扉が閉められ、馬車を走らせてしばらくすると、ルキエルのほうから私に深く口づけしてきた。
「ちょ、まっ」
静止しても止まらない。私の膝に座り、舌を差し込んで、唾液を飲み込むようにして深く口づけする。その音が、馬車の中に響き渡る。そうしていると、私もその気にさせられ、答えた。
しばらくして、満足したのか、呆けた顔でルキエルは私から顔を離した。
「あんたの唾液は、変わらないな」
「そりゃ、変わらないだろう。私は臓腑まで、妖精を狂わせる香に犯されるように、吸引を欠かさないからな」
「けど、顔色、いいよな。やっぱ、他に、こういうことする妖精憑きがいるんだろう」
嫉妬の顔を見せるルキエル。
一体、何を言っているのかわからない私は、とりあえず、ルキエルを向かいの席に座らせた。
「話が見えない。だいたい、どうして、妖精憑きなんだ?」
「あんた、子飼いの妖精憑きがいっぱいいるって聞いた。男も女もいるって。妖精憑きは、見た目がいいから、あんただって、その体質使って、閨事やってるんだろう。俺が触っても、立たないし」
ルキエルは私の下半身を見ていう。
「あのな、私はそういう訓練を受けてるんだ。簡単に女に篭絡されたら、大変なことになる」
「どっかで発散してるだろう!! 俺とやる時、かなり、きついし」
「してない。それで、どうして妖精憑きが出てくるんだ? 言っておくが、子飼いの妖精憑きにそんなことしてないぞ」
「俺にはしてるじゃないか!?」
「前提が違う。いいか、子飼いの妖精憑きの教育は、恐怖だ。ルキエルみたいに甘やかしたりしない」
「けど、あんたの体液、俺は癖になってる。それ、知ってて」
「口伝で伝えられているが、実際には使わない。どれほどの子飼いの妖精憑きがいると思っているんだ。ルキエル一人に対しても、時間と労力がすごくかかっているんだぞ。それを全ての子飼いの妖精憑きになんかやっていたら、時間と労力が足りない。だから、恐怖で教育だ。こっちのほうが早いんだ」
「けど、女遊びすごかったって、聞いた」
表では有名な話だ。ルキエルの耳にまで届いたのは、貧民の誰かがルキエルに言ったんだな。
貧民ナナキの顔が脳裏を横切った。もっと違う時に、そういうカードを使ってくれ。あの男、駆け引きが下手だな。
これでは、恋人に言い訳しているみたいだ。顔が赤くなるのをどうにか我慢した。だいたい、私とルキエルは、お互い、利用する関係なんだがな。
だが、私はもうルキエルに情を持っている。それは、男女とか、そういうものではない。ルキエルだからだ。ルキエルには、何もかも捧げてやりたい。本当は、体の関係はもう必要がない。ただ、側にいるだけでいい。
ルキエルは、私に対して、情とか、そういうものを抱いているわけではない。ルキエルにとって、私は都合のいい男だ。道具を帝国中から集めてくれて、ちょっとした我儘であれば叶えてくれる、そういう存在なんだろう。そこに、お気に入りの玩具、という妖精憑きらしい独占欲がついてきただけだ。
嫉妬ではない。ルキエルは、私というお気に入りの玩具を別の妖精憑きに盗られるのではないか、と危ぶんでいるのだ。
ただ、どうして、今更、そんなことを思ったのか、そこが謎である。
そういう、子どものような独占欲で、ルキエルはついてきたのだ。
「なんだ、私の体から、何か匂うのか?」
妖精憑き同士で、そういうことをするのだ。お気に入りだ、と知らしめる行為をするらしい。ただの人にはわからないのだ。
「しない。顔色がいいから、そう思っただけだ」
「だから、どうして、そういう話になるんだ。私を独占する妖精憑きがいるなら、同じ妖精憑きならば、すぐわかるという話じゃないか」
「詳しいな」
「そりゃ、妖精憑きを殺す一族だからな」
敵を知るのは大事なことである。妖精憑きの習性全て、口伝で伝えられている。
仕方なく、私はルキエルの隣りに移動してやる。そうすると、ルキエルは不貞腐れた顔でくっついてきた。
「まさか、ルキエルが私に匂いつけしているのか?」
「しない!!」
「そうだろうな」
していたら、城にいる魔法使いに、私が妖精憑きに囲われていると気づかれる。そこから、私を囲う妖精憑き探しである。魔法使いであればいいのだが、野良の妖精憑きとなれば、大変だ。
「あんたに匂いつけたって、その香ですぐ消されるよ」
「………」
したんだ。つい、私は嬉しくて笑ってしまう。答えたルキエルは耳まで真っ赤だ。言ってしまって、失言だと気づいたんだな。
「そうか。では、今日も匂い付けしてもらおうか。すぐに消えてしまうからな」
「あっ」
私は上からルキエルに口づけする。私の唾液には逆らえないので、ルキエルはすぐに口をあけて、舌を差し出してきた。
何度もしていくと、ルキエルは座ってもいられない。座席に倒れてしまう。その上に私は圧し掛かり、しつこく口づけする。
「今日こそ、道具を持って帰るか?」
そして、わざと止めて、どうでもいいことを聞いてやる。ルキエル、そんなつもりで馬車に乗り込んだわけではないのだ。
夢中になっていた口づけがお預けにされて、ルキエルは物足りないような顔で見上げてきた。
「今日は、そんな、つもり、ない」
「これは、そういう条件じゃないのか?」
「じゃあ、子飼いの妖精憑きとやればいいだろう。女もいるって聞いた」
「また、それか。別に、女が好きとか、そういうのじゃない」
「俺も、男が好きなわけじゃない」
「私も男が好きなわけじゃない」
「やってるじゃないか!?」
「どうしてだろうなぁ」
そこが問題だ。私は本当は、男を抱けないのだ。
実際に、アルロの伝手まで使ってまで、男を抱こうとしたのだ。これが、全く、反応もしない。それどころか、鳥肌までたってきた。
しかし、下で不貞腐れながらも、私の口づけで身もだえするルキエルにだけは、私は反応するのだ。しかも、随分と深みに嵌っている。
「お袋のこと、初恋なんだってな」
「………」
一気に萎えることを言われてしまった。私はゆっくりとルキエルから離れた。ついでに、向かいの席に移動する。
「誰から聞いた?」
「オクトがそんなこと言ってた」
「そうか」
オクトには誰に言ったのか? そこはもう、決まっている。屋敷の使用人やら側近どもやら、そういうことである。
瞬間、私は甘いもの全てをなくした。表情まですっかり冷たくなったものだから、ルキエルは少しおびえた。
「心配ない。私はルキエルには優しくしてやる。だから、二度と、その話を私の前でするな」
「けど、俺、身代わりなんだろう?」
「………」
当初はそうだったから、否定出来ない。ルキエルには、嘘がつけないのだ。
否定もしない私に、ルキエルは傷ついた顔を見せた。そこまで私に対して情を持ってくれている、と見えてしまって、私は笑いそうになるのを我慢した。
王都の貧民街の一番近い邸宅に入っていけば、アルロがいつものしかめっ面で長男ライホーンと何やら話していた。私が入ってきたので、ライホーンは一礼して、家から出て行った。
「外にルキエルがいるが、大丈夫なのか?」
色々と心配になって聞いてみた。ルキエル、見た目は女寄りだが、その持って生まれた雰囲気とか、あと、口調で、そういうものを勘違いさせている。だから、育ちの悪いガキと見てしまう。
だけど、本性を知る私は、どうしてもルキエルのことは心配になる。
「心配ない。それは、ルキエルが育てた貧民だ」
「ルキエル、何やってるんだ?」
「わからん。知らない内に保護して、気づいたら、レーリエットといつも一緒にいた。ルキエルにだけは、絶対服従している」
「そんなのがいるのか」
後ろ姿では、ルキエルよりもがっしりとした体格で、背も高かったように見えた。
「気をつけろ。今はまだ未熟だが、才能がある。ルキエルに悪さする奴らは、あの男に裏で痛めつけられている」
「そんな番犬がいるとは、挨拶しないといけないな」
ルキエルの知らない一面を見せられた。そんな番犬を側で飼っているとは、とんだ性悪だな。
私はいつもの通り、皇帝の動向と、貴族関連の仕事の仲介である。サツキが死んでからずっと、貴族関連の仕事は私の仲介なしでは、王都の貧民街は受けないこととなっている。そのため、裏では色々と嫌味やら嫌がらせやら受けてはいたが、結局、私抜きでは野良の妖精憑きをどうにか出来ないため、貴族どもは黙り込むしかなかった。
一応、仲介するということで、それなりに調べてからの紹介である。さらに、私の子飼いの妖精憑きを使っての契約まで施すので、貴族どもは嘘偽りなんて出来ない。そこまでして、後ろ暗い仕事をアルロに紹介しているのである。
「貴族どもが、私抜きで仕事の依頼には来ていないか?」
「来ているが、全て、断っている」
「一応、長女は気をつけなさい。あれは、勝手にやらかす」
アルロのことは心配していない。アルロの長女リンネットが危険だ。あの女は、何をやらかすかわかったものではない。
「監視をつけている。そのお陰で、最近、そのやらかしが俺のとこに報告された」
「本当に、お前、何者だよ!?」
「………」
アルロのことは、本当に謎が多い。腕っぷしもそうだが、後ろ暗い仕事も上手にこなすのだ。色事だって詳しい。サツキのことさえなければ、とんでもない非情な男なんだ。
だけど、アルロがどこの誰なのか、今だに謎だ。本人は貧民と言い張っているが、おかしいと感じる所が多すぎる。それなりの教育を受けているのだ。ただの貧民育ちが、貧民を使って軍隊や暗部を組織するのは、普通ではありえないのだ。そういうことを知る参謀役が必ずいる。しかし、王都の貧民街は、アルロ一人で組織化したのだ。
こういう話になると、アルロは決まって黙り込む。どうしても過去のことは話したくないのだろう。
貧民相手に、過去をほり返すはやってはいけないことだ。だから、つい叫んでしまうが、そこまでである。
私がちょっと騒がしくしすぎたからだろう。ルキエルがやってきた。
「あんた、来てたんだ。今日は顔色いいな」
アルロの前だってのに、ルキエルは私に声をかけてくる。アルロは、それをただ、黙って見ているだけだ。
一応、日中では、アルロはルキエルを息子として扱っている。ただ、他の子どもたちとは区別している。ルキエルはある意味、特別扱いだ。
距離が近いので、私はルキエルから離れるために、席を立つ。
「アルロ、受けるのか?」
「ああ、頼む」
「わかった」
あえて、私はアルロの前ではルキエルを相手にしない。だからだろう。ルキエルは家を出る私の後をついてくる。
「無視するなよ」
「私をアルロに殺させたいのか!!」
「あんたと親父、仲良しじゃん」
「仕方なく、世話してやってるだけだ。本当は、いらないのだろうがな」
本当のアルロは、もっと用心深い男だ。サツキの件は、情の部分で失敗したのだ。
私はさっさと迎えの馬車を呼んで、ここから離れる指示を出した。そうして待っている間に、ルキエルは私の手をつかんでくる。
「手、あったかくなってきたな。前は手、冷たかったのに」
「そうなのか? よくわからん」
「女抱く時とか、言われたことなかったか?」
「そんな事、いちいち覚えていない。どれだけの女を抱いたことやら」
随分と過去の話になる。だが、それを話した途端、ルキエルは乱暴に私の手を離した。本当に、この男は我儘な女みたいだな!!
「女遊びなんて、ルキエルに会うよりも過去の話だ。いや、ルキエルが誕生するよりも昔だな」
「今から、また、女遊びしてればいいじゃん。金持ってんだからさ」
「なんだ、女遊びをしたいのか? アルロに内緒で、連れて行ってやるぞ」
「行かない!!」
ちょっとからかってやれば、ルキエルは怒って、貧民たちの元に戻って行った。本当に気分屋だな。
ふと、殺気を感じて見てみれば、機嫌悪いルキエルを笑顔を向ける貧民が、私のことを睨んできた。これはまた、随分と綺麗な男だな。
綺麗すぎて、あれだ、怖いものを感じる。
歴史が古い家だ。色々と当主は口伝を受け継いでいる。そういうものがあるので、あの綺麗な男が何者なのか、すぐにわかる。
「あの男は、とんでもないものを招き寄せるな」
「ナナキのことは、気を付けてください」
私のことを心配したのか、アルロの長男ライホーンが私に忠告してきた。
「ナナキというのか、あれは。心配ない、あの男は、私には手が出せない。絶対にな」
「ナナキは、ルキエルに絶対服従です。ルキエルの障害となるものは全て、排除する。まだ、実力は親父に届かないから大人しくしているが、それも時間の問題だと見ている」
「だろうな」
ルキエルに対しては優しく見守る態度をとるナナキ。しかし、その正体は人となった元妖精だ。あんなのを知らずに側に置くルキエルのほうが危ない。
「あの男は、扱いを間違えるな。正しく使えば、いい道具になるぞ」
「ルキエルのためにしか動かない男だ」
「だから、上手にルキエルを使うんだ。後でアルロに言っておく」
「無理ですよ。親父のことを憎んでいる」
そりゃそうだろう。あの元妖精はルキエルにべったりだ。ルキエルに執着があるのだ。そのルキエルを苦しめるアルロは敵でしかない。
「私に任せなさい。人心と一緒だ」
妖精憑きであるルキエルの側にいながら、正体を隠しているのだ。ナナキはどうしてもそれを隠したいのだろう。それが、今のナナキの弱味だ。
私が笑ってやると、ナナキは途端、不機嫌な顔を見せた。なんとなく、気づいたんだろうな。私のような後ろ暗い男は、人の弱味を平気で利用するのだ。
やっと馬車が来たので、私は乗り込んだ。
「俺も行く」
「ルキエル様!!」
突然、ルキエルが馬車に乗り込んできた。それを止めようとするナナキ。
「ルキエル様、今日はレーリエットと一緒に側にいてくれると」
「気が変わった。親父に伝言しておいてくれ」
「そんなぁ」
「おいおい、勝手に決めるんじゃない」
本当に、ルキエルは気まぐれすぎだ。私の予定とか、全て無視だ。
ルキエルを強制的に馬車から下ろすのは簡単だ。しかし、私の側近も、御者も、ルキエルには触れない。ともかく、ルキエルの扱いは難しいのだ。
王都の貧民街では、ルキエルにちょっとした傷をつけただけで、晒し首とされた。アルロの敵対勢力がルキエルを誘拐した時なんか、敵対勢力が消滅したのだ。貴族だって、噂の息子に興味w抱いて、最後、首だけとなった。
ルキエルに無体なことをして無事なのは、実は、私くらいだ。まあ、私もアルロと一緒になって、ルキエルに手を出した奴らを潰したりしているがな。
つまり、馬車から力づくでルキエルを下ろせるのは、私だけだ。ルキエルに絶対服従しているという貧民ナナキでさえ、馬車の外から悔しそうに見ているしかない。
「ルキエル、お前、勝手に」
さすがに兄であるライホーンは手を出した。ルキエルの細い腕をライホーンがつかんだ。
「大人しく戻れ。親父から許可貰ってないだろう」
「こいつの家は別に許可なんていらないだろう。今日は、そういう気分なんだ」
「いやいや、都合よく家出に使われるのは困る。私はアルロとはいい関係でいたいんだ」
私もライホーンの味方をする。急にされても、私だって困るよ。
ライホーンが力づくで引っ張ったが、ルキエルは私の腕をつかんで抵抗する。
「今日はこいつのトコで泊まる!!」
「また今度にしなさい。急に言い出されたって、私にだって用事があるんだ」
「ほら、迷惑だって言ってる」
「いつもアンタの都合にあわせて行ってやってるんだから、たまには俺の都合にあわせてくれたっていいじゃないか!!」
今にも泣きそうな顔で叫ぶルキエル。そういう顔をされてしまうと、私は勝てないな。
「わかったわかった。ライホーン、後でアルロに詫びに行く。ほら、離してやってくれ。ルキエルの腕が真っ赤になってる」
「わ、悪い」
慌ててライホーンはルキエルの腕から手を離した。あまり鍛えてないから、ルキエルの腕は一部、青くなっていた。
「すぐ治るからいい。ほら、馬車出して」
「ルキエル様!!」
「ナナキはレーリエットの護衛してろ。絶対だ」
「………わかりました」
ルキエルに命じられ、ナナキは大人しく従った。それでも、私のことを睨んでくる。ナナキにとって、私はルキエルを奪う者なんだろう。アルロと同じなんだ。
違うのは、ルキエルがあえて、私の元に飛び込んできた、ということだ。アルロに対しては、仕方なく、嫌々だ。
扉が閉められ、馬車を走らせてしばらくすると、ルキエルのほうから私に深く口づけしてきた。
「ちょ、まっ」
静止しても止まらない。私の膝に座り、舌を差し込んで、唾液を飲み込むようにして深く口づけする。その音が、馬車の中に響き渡る。そうしていると、私もその気にさせられ、答えた。
しばらくして、満足したのか、呆けた顔でルキエルは私から顔を離した。
「あんたの唾液は、変わらないな」
「そりゃ、変わらないだろう。私は臓腑まで、妖精を狂わせる香に犯されるように、吸引を欠かさないからな」
「けど、顔色、いいよな。やっぱ、他に、こういうことする妖精憑きがいるんだろう」
嫉妬の顔を見せるルキエル。
一体、何を言っているのかわからない私は、とりあえず、ルキエルを向かいの席に座らせた。
「話が見えない。だいたい、どうして、妖精憑きなんだ?」
「あんた、子飼いの妖精憑きがいっぱいいるって聞いた。男も女もいるって。妖精憑きは、見た目がいいから、あんただって、その体質使って、閨事やってるんだろう。俺が触っても、立たないし」
ルキエルは私の下半身を見ていう。
「あのな、私はそういう訓練を受けてるんだ。簡単に女に篭絡されたら、大変なことになる」
「どっかで発散してるだろう!! 俺とやる時、かなり、きついし」
「してない。それで、どうして妖精憑きが出てくるんだ? 言っておくが、子飼いの妖精憑きにそんなことしてないぞ」
「俺にはしてるじゃないか!?」
「前提が違う。いいか、子飼いの妖精憑きの教育は、恐怖だ。ルキエルみたいに甘やかしたりしない」
「けど、あんたの体液、俺は癖になってる。それ、知ってて」
「口伝で伝えられているが、実際には使わない。どれほどの子飼いの妖精憑きがいると思っているんだ。ルキエル一人に対しても、時間と労力がすごくかかっているんだぞ。それを全ての子飼いの妖精憑きになんかやっていたら、時間と労力が足りない。だから、恐怖で教育だ。こっちのほうが早いんだ」
「けど、女遊びすごかったって、聞いた」
表では有名な話だ。ルキエルの耳にまで届いたのは、貧民の誰かがルキエルに言ったんだな。
貧民ナナキの顔が脳裏を横切った。もっと違う時に、そういうカードを使ってくれ。あの男、駆け引きが下手だな。
これでは、恋人に言い訳しているみたいだ。顔が赤くなるのをどうにか我慢した。だいたい、私とルキエルは、お互い、利用する関係なんだがな。
だが、私はもうルキエルに情を持っている。それは、男女とか、そういうものではない。ルキエルだからだ。ルキエルには、何もかも捧げてやりたい。本当は、体の関係はもう必要がない。ただ、側にいるだけでいい。
ルキエルは、私に対して、情とか、そういうものを抱いているわけではない。ルキエルにとって、私は都合のいい男だ。道具を帝国中から集めてくれて、ちょっとした我儘であれば叶えてくれる、そういう存在なんだろう。そこに、お気に入りの玩具、という妖精憑きらしい独占欲がついてきただけだ。
嫉妬ではない。ルキエルは、私というお気に入りの玩具を別の妖精憑きに盗られるのではないか、と危ぶんでいるのだ。
ただ、どうして、今更、そんなことを思ったのか、そこが謎である。
そういう、子どものような独占欲で、ルキエルはついてきたのだ。
「なんだ、私の体から、何か匂うのか?」
妖精憑き同士で、そういうことをするのだ。お気に入りだ、と知らしめる行為をするらしい。ただの人にはわからないのだ。
「しない。顔色がいいから、そう思っただけだ」
「だから、どうして、そういう話になるんだ。私を独占する妖精憑きがいるなら、同じ妖精憑きならば、すぐわかるという話じゃないか」
「詳しいな」
「そりゃ、妖精憑きを殺す一族だからな」
敵を知るのは大事なことである。妖精憑きの習性全て、口伝で伝えられている。
仕方なく、私はルキエルの隣りに移動してやる。そうすると、ルキエルは不貞腐れた顔でくっついてきた。
「まさか、ルキエルが私に匂いつけしているのか?」
「しない!!」
「そうだろうな」
していたら、城にいる魔法使いに、私が妖精憑きに囲われていると気づかれる。そこから、私を囲う妖精憑き探しである。魔法使いであればいいのだが、野良の妖精憑きとなれば、大変だ。
「あんたに匂いつけたって、その香ですぐ消されるよ」
「………」
したんだ。つい、私は嬉しくて笑ってしまう。答えたルキエルは耳まで真っ赤だ。言ってしまって、失言だと気づいたんだな。
「そうか。では、今日も匂い付けしてもらおうか。すぐに消えてしまうからな」
「あっ」
私は上からルキエルに口づけする。私の唾液には逆らえないので、ルキエルはすぐに口をあけて、舌を差し出してきた。
何度もしていくと、ルキエルは座ってもいられない。座席に倒れてしまう。その上に私は圧し掛かり、しつこく口づけする。
「今日こそ、道具を持って帰るか?」
そして、わざと止めて、どうでもいいことを聞いてやる。ルキエル、そんなつもりで馬車に乗り込んだわけではないのだ。
夢中になっていた口づけがお預けにされて、ルキエルは物足りないような顔で見上げてきた。
「今日は、そんな、つもり、ない」
「これは、そういう条件じゃないのか?」
「じゃあ、子飼いの妖精憑きとやればいいだろう。女もいるって聞いた」
「また、それか。別に、女が好きとか、そういうのじゃない」
「俺も、男が好きなわけじゃない」
「私も男が好きなわけじゃない」
「やってるじゃないか!?」
「どうしてだろうなぁ」
そこが問題だ。私は本当は、男を抱けないのだ。
実際に、アルロの伝手まで使ってまで、男を抱こうとしたのだ。これが、全く、反応もしない。それどころか、鳥肌までたってきた。
しかし、下で不貞腐れながらも、私の口づけで身もだえするルキエルにだけは、私は反応するのだ。しかも、随分と深みに嵌っている。
「お袋のこと、初恋なんだってな」
「………」
一気に萎えることを言われてしまった。私はゆっくりとルキエルから離れた。ついでに、向かいの席に移動する。
「誰から聞いた?」
「オクトがそんなこと言ってた」
「そうか」
オクトには誰に言ったのか? そこはもう、決まっている。屋敷の使用人やら側近どもやら、そういうことである。
瞬間、私は甘いもの全てをなくした。表情まですっかり冷たくなったものだから、ルキエルは少しおびえた。
「心配ない。私はルキエルには優しくしてやる。だから、二度と、その話を私の前でするな」
「けど、俺、身代わりなんだろう?」
「………」
当初はそうだったから、否定出来ない。ルキエルには、嘘がつけないのだ。
否定もしない私に、ルキエルは傷ついた顔を見せた。そこまで私に対して情を持ってくれている、と見えてしまって、私は笑いそうになるのを我慢した。
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